昴くんはなにもしない 作:あまも
そういえば指紋認証とかあったっけな……
ホームボタンあった方が便利だと思ってましたが、無ければないでそれはそれで結局慣れるもんですね
というわけで短くて入れるところなかった話です
閲覧ありがとうございます!
唐突だけど、ポアロで朝コーヒータイムだ。
休日の朝イチランニングの時に、今朝は“安室透“が出勤してるって聞いてね。
どんなニッコニコの顔でやってんのかねと思いましてね。
ワクワクしながら見に行ったんですよ。
まさか開店凸とは思うまいと、朝も早くから勇んで行ったんですよ。
開けた途端に梓さんに「あら、沖矢さんたらホントに来た!」とか言われてね。
「開店と同時に、見知った顔が来ると思いますよ」とか言われていたそうな。
クソッ、ヤツに思考が読まれている!
アルミホイル巻かなきゃ!
……まぁ、零くんならそれくらい読むか。
「本当に沖矢さんが来ましたよ、安室さん!……あれ?」
梓さんてば最初は、彼の言う通りに私がやって来たことにはしゃいでいたが、何故私のことを“見知った顔”だと分かっていたのか、彼女がその疑問に気付いたようだ。
「何時でもいい、とは言いましたけど、他のお客さんがいないタイミングを狙って来るだろうことは読めましたからね。……コイツ、僕のことをからかいに来たんですよ」
「へっ?」
ニッコニコのあむぴの丁寧語のトーンが、私を指さしてから1段階下がった。
こころなしか目も笑ってるのに笑っていない。
透くんの言う通りそのままで、朝イチからの眩しいお顔は拝みに来たけども!
「だって、
「他のお客さんが居なくても、勤務中はいつも仕事中ですよ?“
「やだなぁ、他人行儀。寂しいじゃないですか。いつもみたいにしてくださいよ。ホラ、オーダーは“いつもの”ですからね」
いつものカウンター席の、トイレ側の端っこに梓さんが水を置いてくれているが、視線は私と透くんを交互に、呆気にとられたお顔で見ている。
「まったく……メニューも朝の“いつもの”か?」
「はい。いやぁ、研修終えたてほやほやの新人さんに、ちゃんとマスターや梓さんの味、再現出来るんですかねぇ?……あ、これ付けてください」
「いくらいきつけでも、持ち込みは次から止めてやれ。……梓さん、入れてやっても良いですかね?」
「へ?……あっ、ああ、はい!いつものことなので大丈夫ですよ!」
私のポアロでの朝の“いつもの”、こと目玉焼きトーストの朝食セットに、キウイを添えて貰おうと買ってきていたキウイを渡すと、文句は言われたが、呆れ顔で受け取ってくれた。
私が席についてからも、キッチンで作業を始めた彼と私とを交互に、目を丸くして見ていた梓さんだったが、今の話の中でオーダーが入ったことに気付いていそいそとコーヒーを淹れてくれる準備を始めた。
作業中も、まだしきりにチラチラと見てくる。
ついに口を開いた。
「……お知り合い、だったんですか!?」
「ふふ。“おともだち”ですよ。ねぇ〜?」
「こっちは仕事中だぞお前。ほら」
あらやだ、ペンちゃんがあんなんになった理由が垣間見えますわ。
手際よく付け合せのサラダの小鉢や、サクサクに焼きあがったトーストにハムと目玉焼きを乗せる透くん。カウンター越しに直接渡されたその皿と、梓さんが淹れてくれたコーヒーを受け取る。
あちあち!
「ありがとうございます。……ふふ、透くんったら大変ですねぇ。お給料、頑張って稼いでくださいね」
「まったく……今回だけだからな」
悪態ついてはいるけれど、卵の殻のように飾り切りしたキウイと小さなスプーンを小皿に添えてくれている。
他のお客さんが居たらこっちだって頼まないが、今は早すぎてお客さんいない時間だからね。
「へぇ〜!」
梓さんが何やら楽しそうにしておられる。
たぶん、“安室透”がこんなに、まるで“素”のような姿を見せたのが新鮮なんだろう。
珍しい姿だからちゃんと見とくといいよ。
そのうち仕様変更で修正されるから。
今回、私の来店にあたって、こちらも零くんからとあるオーダーを頂いている。
“おともだち”感の演出だそうで、私が彼を振り回し、私の道楽に付き合ってくれるくらいの親密さ、というのを強調しろとのこと。
『いつもの』店で『仲の良い友人』と『会話する』のは自然なこと。
そして常連が『行きつけの店』に、大変そうだから有能な人材を『紹介する』のも自然なこと。
…………自然なことかなぁ?!
変に隠さず、もっとちゃんと先に言っててくれれば、口裏合わせでもなんでもなくその通りにしてあげたのにさ。
これだから秘密主義は!
「ああ、安室さん、友人が勧めてくれてポアロを選んだって……沖矢さんのことだったんですね」
「『混む時間帯になるととっても忙しい』、って、梓さんやマスターが仰ってたのでね。マスターにオススメさせていただきました」
「それなら、この間にはもう、どんな人が来るかも知ってたんじゃないですか!……えっ、もしかしてマスターも知ってたんですか?」
「だから私でエプロンのサイズを測ってたんじゃないですかね?見ての通り、ほとんど身長も体格も同じですから。……ま、彼は私よりちょっとだけ小さいですが」
「オイ」
ふはは。実はちょっぴり気にしてること言われてピキってら。
梓さんの前だから手は出せまい。
成長期終えてのリザルト。
私の身長どころか、景光くんの身長も超えられなくて残念だったねぇ。
…………ってことは、あむぴ、赤井さんにも身長負けてるのか?
うわ、弄るのやめとこ。やぶ蛇だこれ。
いつもにこにこ優しくて、頼りになるイケメンなのが私立探偵の“安室透”。
彼の安室透としての親しみやすいキャラ作りで、完璧超人ながらも友人とは気兼ねなく、感情を様々に表したやり取りをする姿を見せることで、人間性を演出し本職や裏の顔の気配を消したいらしい。
……こんな小細工しなくても、普段の安室透のニコニコ顔だけで充分に効果はあると思うがね。
前みたいな、私に似た胡散臭さは無事消滅したけれど、それでも普段の姿と違いすぎて鳥肌立っちゃうもの。
今なら“安室透”は何ひとつ裏のない、ただひたすら有能なだけの男!
ただし自分についての質問はのらりくらりと答えないぞ!
やっぱ胡散臭いじゃねーか!
「梓さん、透くんはちゃんとカフェのお仕事、出来てます?」
「あっ!“ちゃんと”、なんてモンじゃないです!安室さん、すごいんですよ!もう研修なんて要らなかったくらい!即戦力です!怖いくらい!」
「それは良かった」
「いったいどこで遊ばせてたんですか、こんな人!」
「はは。色々やってましたねぇ」
そら……美女の隣やら秘密の研究室やら厳重警備の網の中やら鉄火場やら首都高やら峠道……色々ですよ。
「ついにまともな職が見つかって良かったですねぇ、透くん」
「今までだってまともでしょうに」
ははは、面白い冗談だこと。
毎日が嘘に満ちた世界のどこがまともだっての。
■
『クッション取り替えたよ〜』なんて連絡を貰ったので、ヒロキくんの開発室のカレー皿の寝心地を確かめに、ARATAの社屋ビルへとのこのこと出向いて来たのだ。
そうしたら何故か……受付のお姉さんに「お待ちしておりました」とか言われ、案内されてビルの上階に通されまして。
ARATAの会議に……何故か、部外者のはずの私が参加することに。
役員でもなんでもないのに、そこら辺の大学院生が予算だの開発会議だの……聞くべきじゃなくない?
なんで入室した私に誰も疑問の声も上げず、当然のように私の席が樫村さんの隣に用意してあるんです?
あっ、三船くんも会議にお呼ばれしてら。
周りと同じく無言だけど、すげえ顔でこっち見てくる。
君だけだよそんなに反応してくれるの。手を振ってあげようね。
そんで……何?『特別顧問相談役:沖矢昴』って……いつから私はそんな役職になったんです?
次郎吉サァン!!助けて!!
同じ相談役ではあっても、いるはずもない部外者が助けてくれるはずもなく。
ワイ、部外者やんな?間違いないやんな?
樫村さんに聞いても、「会議を聞いていてくれるだけでいい」とか「何か気になる事があったらいつでも聞いてくれ」とか………………何??
何なの!?
私はARATAの何なの!?
一応、せめて阿笠さんが協力しているし、ヒロキくんもノアズ・アークも手がけて、……間違いなく、先行でテストプレイした人間ではあるので、コクーンの開発の進捗くらいは聞いて……とっとと退散したのだった。
強制終了を何度も繰り返すと、身体に問題が出るのは間違いなかったそうで、制限をしっかりとつける必要があるから、医者の監修も入れるんだってさ。
まーた先延ばしですか!
ヒロキくんの開発室に逃げ込んで、クッションにダイブして結局あれらは何だったのか聞いてもヒロキくんはニコニコするばかりで何も答えてはくれない。
だのにノアズ・アークが右耳から、未だに続く会議内容を丁寧に要約して伝えてくれちゃうんだけど。
いらないってば。
最新ゲームとかゲーセンに置く筐体とかの話、興味はあるけどVRでしょ?
志水さんに教わるからいいって。
『何かアドバイスがあったら、いつでも伝えるからね』ってノアズ・アークは言うけどさ。
私から出てくるアドバイスなんて何にもないって!!
…………あ、電源製造の提案に三船電子が頑張る気マンマンだ。三船は勉強熱心だからオススメ。
︎︎新しく社員も増やして、提携する企業も続々と増え、グループとして大きくなってきたみたいだからこれから盛り上がっていくんじゃないかな。
︎︎手伝ってあげて欲しいな。
四井は……もう下火だから、絶対手は出さない方がいい。
︎︎今あそこ、仕事取ろうと必死だけど娘さんの件で芋づる式に不祥事掘り出されてる真っ最中だから、長持ちしないよ。
鈴木さんが協力にかなり傾いてくれてるのはいい報告。朋子さんがネックだね。交渉頑張って。
…………新事業…………へぇ、通信……手を出すんだ。……自動車のアクセサリー……?ナビとか?
…………いや……えぇ……?その提案、元々枡山憲三……組織のお偉いさんがトップやってたとこからのものだろ?
………………………………それ受けるのは……やめといた方が良いと思うなぁ。
いや、これはアドバイスとかじゃなくて。全然。
違うってば!ああ!ちょっと!寝言を真に受けるなよ!稼げる時に稼げよ!ジャンバリ!
なんか、人が寝て言ってる寝言をノアズ・アークが拾い上げて樫村さんに伝えちゃうせいで迂闊なこと言えないな……私、適当なことしか言わないってのにさ。
どうやらARATAはコクーンやゲーム開発の他にも新事業として、携帯情報端末を始めたいらしい。
スマホの原型……というか、まだ電話とは言えないが、小さいiPodに似た物が出てきていたから、多分それに食らいつこうとしてるのかね。
当然メーカー名も例のリンゴではないのだけれど、ポスト的にはその位置の会社の製品を、開発研究のために三船くんの会社が海外から買い付けてきたのだとさ。
海外では、意外と既に出回ってたみたい。
今後ともご贔屓に、のご挨拶……おすそ分けってやつだな。
フゥン……やるじゃん三船くん。
日本ではガラケーが多機能で既にだいぶ便利なもんで、まだまだ普及しそうにないが……未来は誰でも持つようになるのは私が知っている。
良い着眼点だ。その調子だぞ三船くん。
元々は、横にキーボードついてるとか、折りたたみ式であったりとか……色々経ていたと思うが……既にマルチタッチ式になってたのね。
………………言ってくれればよかったのに!
古いのは売らずに取っといてあったから、使える使えないはともかく何台か、部屋や車や阿笠さんの倉庫漁れば出てくるのだ。
言ってくれれば、わざわざ買いに行かなくても、初期型からの変遷とか適当なの見せてあげられたのにさ。
三船くんたら。
自分は常に最先端技術を学んでる、という事を周囲に知らしめたかったんだろう。
私個人は、時代が戻ってきて嬉しい限り。
■
会議が終わり、お偉方の根回しタイムが始まった。
引く手数多な若いやり手の三船くんは忙しいことだろう。
三船くんがホクホクとした良いお顔で、手応えを感じながら、役員さん達と食事会の予約のお話をしている目の前にチラリと顔を出してみた。
彼は直ぐに気付いてくれて、お偉方向けの顔を嫌そうな顔にしている。
彼の周りの役員、お姉さまやおばちゃまが多いな。流石三船くんだ。
彼以外の他の方々は、私を見ても遠巻きにか目線逸らすかだから、彼くらいの反応があると嬉しいなぁ。
せっかくだから、スマホでヒロキくんへ電話をかける姿を見せてあげた。
ほーら、これが当時の最高峰、大画面大容量謎回線フルディスプレイに顔認証と様々なアプリケーションの詰まった、最新最先端のスマートフォンだよ〜。
オマケにノアズ・アークも住み良い環境!
これくらいのがたくさん普及したら、みんな嬉しいよね。
何も言えなくなった彼へ、その私の持つ最も古くて新しい電話番号を教えてあげようね。前は断られたが、私の直通だぞ。
もっとお話しようぜ三船くん。
最近はPHS、使う機会も減ってきた。
もっぱらガラケーだったが、スマホ時代がくればそちらも使わなくなるだろう。
ノアズ・アークが動きやすい環境に、出来れば揃えてやりたいし。
……これまで、新一くんが小さくなって以来…何台ガラケー壊してきたかな。
水没だの落下だの、この間なんて過電圧……私のせいじゃないとはいえ。かわいそうなことをした。
ぐぬぬ顔の三船くんに手土産として、ヒロキくんに貸していた型落ちのタブレットPCを貸してやり別れた。
あれの中には件のメッセージアプリが入っていて、樫村さんところのペンちゃんが活動しやすいようにしてあるから、特に企業向けのスケジュール管理用に特化したものとなっている。
彼ならきっと、活用できるだろう。
私を最新機器で煽るのはやめた方がいいって、中々覚えないねぇ、彼。
群馬と三船さんが原作より発展してるそうです。
一方、ウェディングドレスを着た宮本由美さんが隣に謎の男を並べて撮られたウェディングフォトが江戸川くんから送られたので秀吉さんに転送した悪い男がいるらしいです。
誰矢さんの仕業ですかね……
かけたら書こうと思ってましたが、秀吉さんが一喜一憂一喜一憂繰り返すだけなのを見てるだけの話でした
読んでいただきありがとうございました!