昴くんはなにもしない   作:あまも

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すいません工場作ってました

セルフ三次創作して楽しくなってたら急に正気に戻った時に死にそうな気持ちになります

キャラ変レベルの口調はわざとです。お目こぼしください。

閲覧ありがとうございます!


56-2:そこかしこの酔っ払い

 

 

 

 二日酔いも酷いし、一旦クリスさんが取ってくれていた部屋で休むことにしたが、どうにもノアズ・アークが素っ気ない。

 

 せっかくもらった服だが、上着だけ椅子に掛け、そのままベッドに戻った。頭がグラグラするし、真っ直ぐ歩ける気もしない。

 これで……飲酒運転とかする人、凄いよね。

 

 尊敬は一切しないが。

 

 

 

 で、ノアズ・アークさん?

 なんで怒ってるのか、お兄ちゃん聞きたいなって思っててぇ……

 

『…………何があったか、覚えてないの?』

「覚えは……これが見事に無いんですよねぇ…」

『……お兄ちゃんが自分で言ったんだよ?“【禁忌】指定だ”って。…………だから、ボクから伝えることは出来ないよ』

 

「……えぇ?」

 

 

 何てこと指示してんだよ、この酔っ払い〜!

 

 【禁忌】、なんて記録も、関連情報の取得も止めるからノアズ・アークが何も学習出来ないじゃないか。

 しかも何について止めたのかを、止めた本人の私が知らない。

 ばかじゃないのかこの酔っ払い!

 ヒロキくんに頼んでサーバー内の昨夜付近の学習データを人力目視でチェックして、該当箇所が……知らなきゃ分かんねぇじゃねえか!

 

 

 ……………………ん、って事はノアズ・アークも参照出来ないの?

 

『……見れないよ』

「じゃあどうしてそんなに不機嫌に……ぶすくれちゃってるんですか?」

『見れないけど、ボクは見てたよ』

「ホー……?見ていた時の感情だけは残ってるんですかね」

『…………………………』

 

 おー、おー、唸ってる唸ってる。

 AIのくせに、そんな小芝居出来るようになったの?

 

 コマンドを用意してからも、基本的には自由に学習させていたから、それらが使用されることもほとんどない。

 しかも【禁忌】指定にする程のことは、この先組織関連で何が引っかかるかも分からないから、迂闊に指定もできない。

 つまりほとんど該当する指定はないはずで……私の知る限りでは無かったはず。

 

 だから、ノアズ・アークが明確に【禁忌】指定されたものに対して、こんなに執着するとは思わなかった。

 

 まったく、この学びたがりさんめ。

 それでも、『見ていた』とかの事はちゃんとわかるのは、前後の繋がりからの予測を――

 

「……そうだ、ノアズ・アーク。私、クリスさんと会って飲み明かしたんだと思うんですが、私がホテルに来てからどれくらい寝ていたんです?」

『半日……ううん、ギリギリ半日ではないね。……お昼、過ぎてるんだよ?お兄ちゃん』

 

 ありゃ。となると、ホテルに連れ込まれたのは深夜頃かな。

 ……“ホテルに連れ込む”ってワード、怪しさしかないな。

 危ない危ない、これがもし性別逆だったら事案だったや。

 ふぃー……男で良かった〜!

 

「ホォー、なるほどね。連れてきてくれたのは?」

『…………………………あの女の人。お兄ちゃんが、大好きな、……キレイな人』

「やっぱりクリスさんですか。……なるほど?クリスさんにお酒を飲まされてる所を【禁忌】にでも指定したんですかね?いやぁ、それだと話が合わないな…どこでしょうね」

『……知らないよぉ……』

 

 泣きそうな声で言うノアズ・アークに、なにやら随分と心配させたらしいことを実感した。

 

 どうやらこれは、“見ていたこと” の内容と、“それを【禁忌】とされたこと” について、どちらも大変不愉快なものだった事だけ認識しているのに、その正体を漁ることが出来なくて、学習するためのシステムである彼にはおあずけされたみたいなもんなんだろう。

 それでこうしてぶすくれているようだ。

 

 逆に言うと、【禁忌】に指定されたにも関わらず、それが何か、不愉快なことが起きたことだけでも伝えられるよう、【禁忌】に抵触するギリギリまで攻めてデータを残した結果……、ってことだな。

 

 うーん?

 

 

 …………これ、酔っ払い(わたし)が何を【禁忌】としたか、確認させるため、か?

 

 

 …………なるほど、実はこれ、次のコクーンのテストが大変そうな事になりかねないな?

 またコクーンテストから1歩離れちゃったわね。

 

 …………動かずにいてもガンガンと頭が痛くて、時折吐き気がするが、まぁ少しはマシになった……ような気がする。

 水だな。水が足りないんだよ。

 

 しっかし……私は何の理由でわざわざ隠すような事を……

 

 

 

 ハッ!

 

 

 

 ま、まさか……あんなこと(うっふん)(とか)そんなこと(あっはん)(とか)…!!

 

 

 

 

「……はは。……無いな。ナイナイ」

『何が?』

「いやぁ、それだけは絶対に無いなぁ、と。……だとするとなんですかね」

『何が??』

 

 無いわァ〜。

 それは有り得ないから、だとすると……なんだろうな。

 

 クリスさんも……なんだかんだ言って悪いお人だからね。

 なんかのお試しされたとかかな?

 

 私に何か、悪いことをさせたという説もあるが…………クリスさんがぁ?

 それも……んな訳あるかいってな。

 

 あの人は、自分が公では守れない、有希子さんや蘭ちゃん達を守らせるために、この頼りにもならんもやしな私が彼らの傍に居るのを許しておられる。

 その私が犯罪者なんぞに成り下がっては、役たたずまっしぐらじゃんね。

 

 

 ……じゃあなんだ……?

 まさか、本当に酒を飲ませたらへべれけの醜態晒しおじさんと化してしまって、恥ずかしさのあまり、そのような事が無かったことにしようと、隠蔽を図った…だけ……ってコト!?

 

 それは…………色々な所に申し訳ないな。

 

 ……直近もだが、その前のことも暫く靄がかかったように曖昧な感じから察するに、なんとなく酔っ払い(わたし)が何を目的として、ノアズ・アークに指定したのか、見えてきたかな。

 恐らく、みたいなのはあるが……これはヒロキくんにログを見せてもらう必要がある。

 

 …………シャトー米花かな。

 

「ノアズ・アーク。ヒロキくんに、連絡を」

『なんて?』

「サーバー見ます」

『……うん、わかった。伝えておくね』

 

 ノアズ・アークのデータチェック、1分程度のデータですらとんでもない量だからな。

 これ目視で、昨夜の該当してそうな箇所を見て、解析して、人間が読めるように直して……って作業に、ノアズ・アークが使えないのはかなりキツイが、これやっとかないと……クリスさんに何されたかわからんのは流石にまずい。

 

 ここに零くん(バーボン)や景光くんが突っ込んでこないし連絡も鬼電されてないって事は、クリスさんが何らかの情報を私から手に入れて、それで事を起こした、または組織に共有したことはないはずなので、恐らくは、私は何かを隠し通せたはずなんだ。

 

 ……ヒロキくんのこと、困らせちゃうだろうか。

 ただ、そうなるなら何を伏せたのかは確認はしなくちゃならないから、うーん…

 

 

 やっぱりお酒はダメだね、悪い文明!

 

 いや、酒造家さんたちの努力は大変素晴らしいのだけど飲み方悪い人間が飲むべきではないってか飲ませた方が悪いってことはつまり飲ませたクリスさんが悪いから……

 

 

 う、うん!このホテルに連れてきてもらったのも、チャラってことだな!

 

 

『…………寝たら?』

「そうですねぇ……」

 

 考え事しながらバタバタしていたが、いつになく冷たいノアズ・アークからのご提案。

 

 それには乗っかりたいが、これが頭痛くて寝れないのさ!

 

 

 ■

 

 

 とりあえずなんとか寝てみたが、目覚めは未だ最悪だし、結局クリスさんも来てはくれなかった。

 忙しい方だし。

 

 とはいえ、お酒がどれくらいで消えるのかわからん。なんせほとんど飲まないから。

 少なくとも、こうした頭が痛いだの気持ち悪いだの体調不良の状態が続いているなら、まだ酔いが残ってるかもしれない。

 飲酒運転の可能性はゼロにせねばならない。

 

 ということで?

 

 

「……うっわ酒(くっさ)!」

「閣下〜!!」

「やだ、ちょっと、酒臭いぞ昴お前!!どんだけ飲んだんだ!?」

「心の友よ〜!」

「やめろ!この……酔っ払い!!」

 

 心の友を呼びましたと。

 

 わざわざ来てくれた秀吉に、開けて開幕お出迎えは良くやられるのでやり返してやったってのにさ。

 酒臭いから引っ付くなと邪険にされてしまった。

 んだァてめぇ…3件ハシゴした由美さんよりマシだろ!!

 

 対局とかなければ来てくれる辺り、研究とかしなくて大丈夫なのかお前って毎回思わなくもないが、言うて秀吉だもんな。

 勝てるか。そうだな、秀吉だもんな。

 

「いや、実は酒臭いのはこっちの服でして。零してたりしたんですかね」

 

 酒臭さはもっかいシャワーとけろんちょとうがい挟んだから多分大丈夫なんだが、着ていた服がビビるくらい酒臭くてね。今フロントで買ってきた袋に詰めてて、そこから酒臭さがプンプンと。匂いだけで酔いそう。ウェップ

 

「ええ?……じゃあ今の素面?」

「二日酔いではあります」

「全然普通じゃないか」

 

 そこの取り繕いはそこはそれ、私の特技のひとつですしおすし。

 

 取り繕える程度には回復したものの、タクシーで帰るのも運転代行頼むのもなんだかなと思い、もののついでに呼び出した太閤閣下ちゃんでございます。

 

「素直に謝って、怖いお友達に事情話した方が良いんじゃないか?」

「いやですよ。あの人たち、私が否定しても疑って来るんですよ」

「まぁ……そりゃ状況だけならそれは……そうなんじゃない?」

『だよねぇ』

 

 ノアズ・アークと秀吉がうんうんと納得しながら頷くみたいな声出してるけど、本当にそういうんじゃないんだってのに!!!

 

「お前ならわかってくれると思ってたんだが」

「はは。……まぁ、そうだね」

 

 高級ホテルを背景に背負うには似合わな過ぎる、ボッサボサの頭と無精髭に、羽織とジャージ、つっかけ履いたもっさりした男が僅かな苦笑で頷いた。

 てーめぇ、わかっててからかいやがってよォ……

 

 服やら荷物やらいくらか持ってくれて、忘れ物チェックをノアズ・アークと共に確認してフロントにてチェックアウト。

 お迎えの人がこんな感じのが来て、ホテルの従業員の方々には猛烈に怪訝そうな顔されたが、まぁまぁまぁ。

 

 

 ■

 

 

「……で、ホントに僕の部屋でいいのか?」

「シャトー米花で良いですよ。ヒロキ君が部屋貸してくれるそうなので」

 

 私のフォレスターの運転席で、秀吉が安全運転してくれている。

 滅多に運転しない……というか、高校卒業間近の頃に私と一緒にマニュアル車の免許取りに行ってくれてから、“自分の車”というのをこいつが買ったとは聞いてないから、恐らくほぼゴールドペーパー免許マン。

 

 それでも教習所仕込みの運転は、慎重ながら手際はいい。

 ……ちょっとキープレフト過ぎかも。

 あの、ちょっと……キープレフト過ぎかも!

 

「もっと右側走ってくださいよ」

「ええ?君の車、車幅わからないんだもん」

 

 ヒェッ

 

「怖いこと言ってる……駐車場、他の車から離して下さいね」

「はいはい。まったく、送らせといて偉そうに……」

 

 ぶつくさ言うなよゴールドペーパー免許マン!!擦ったら承知しねぇぞ!

 

「酔っ払い……」

「酔ってませんもん」

「じゃあ自分で運転しろよ」

 

 そこはほら、万が一がありますしね?

 

「というか、君ねぇ。歳下の子に心配されるとか恥ずかしい事だよ?ノアズ・アークとかヒロキ君が心配してたんだからね」

「うーん」

「うーんじゃなくてな」

 

 うーん。

 珍しく秀吉までもが説教モード。お酒飲むのが悪いとは言わないけどね、とコンコンと説明してくれるが、お前それ由美さんに言える?

 

「由美タンはお酒を楽しんでる時が1番輝いてるからね」

「君ねぇ」

 

 その由美タンが前後不覚で玄関前で鍵開けられなくて行き倒れてたから、仕方なく玄関マットの上まで配達したことが幾度となくある身としては、コイツ将来あの酒豪の彼女と一緒になった時どうするつもりなのかと…………

 いや、それ以前に全ての事柄で振り回されること確定してたか。…………ならいいか。

 好きになっちゃったもんはしょうがないな、うん。

 早く誤解が解けてちゃんとヨリ戻せるといいね。

 

 

「それで? この間の依頼の件もついでにしたかったんだろ」

「ええ、丁度良かったのでね。

 ……閣下〜?」

「その呼び方やめろよ。あと猫撫で声も気持ち悪いぞ」

 

 車が信号で止まったタイミングでちょっかい出すも、嫌そうな顔をされてしまった。まったく、……口裏合わせの依頼なのに!

 

「是非是非、その件についてお話してたため、私は昨夜から閣下の部屋にお邪魔してた事に……して頂きたくってぇ」

「やだよ。ちゃんと素直に謝ってこいよ」

「ヤダヤダヤダ」

「君ホントに素面か?」

 

 我ながら怪しいので、だから運転頼んでんでしょーがよ。

 

「めんどくさい酔っ払いだなぁ」

「由美さんよりはマシかと」

 

 めんどくさい酔っ払い、と言われて即座に浮かんだのはやっぱり彼女。ついポロッたら、信号がそろそろ青になるにも関わらず秀吉が顔をこちらへ向けて絶叫しだした。

 やっべ。

 

「はぁ!? 由美タンと飲んでたのかよ君!!!!!!」

「前見ろ前!!飲むわけねーだろあの魔王となんて!」

「まぉっ……魔王とはなんて言い草だい!あんな可憐な人を!!」

「何が可憐だお前、ありゃ信長だよ信長!魔王信長!!されこうべで酒飲んで高笑いするほうだろ。間違ってもねねじゃないっての」

「ねね、ねね……ね、ねねって、羽柴秀吉のお、おおお嫁さんのね、ねねねねね」

「おいバグってないで前見ろ!!前!」

 

 言い争いになっちゃったかと思えば、突然ぷすんと気の抜けるような勢いで徐々に顔を赤らめて、いやいやそんなまだ、まだ早いよそんな…とかモジモジし始めたが後ろ詰まってクラクション鳴らされてるんだけど!!

 

 酔っ払いよりめんどいな色恋バカ!!

 

 

 ■

 

 

 なんとか事故もなく、人も車も無事でシャトー米花の駐車場に到着した。

 どうなる事かと思ったよ。

 嫁も何も、未だに音信不通の立場で何言ってんだか。

 このままじゃ高木くんたちのほうが先にゴールインしちゃうんじゃないか?

 

「僕の方は長期戦!順調に集めてるんだから、そのうちすぐに…」

「集まっても連絡取れなきゃなぁ」

「ウッ」

 

 ふははは。

 あの人がどんだけ着拒にしようと、私を経由すれば1度だけなら必ず連絡が取れるのは確定しているからな。

 いざとなったらこいつは私を頼らざるを得ないって寸法よ……

 

「ノアズ・アークが手伝ってくれるし!」

「はぁ?ノアズ・アークをそんなくだらない事に貸すわけないだろ。世界一の人工知能様だぞこの子は」

「きみきみきみ、いまのいままで使いっ走りにしてるこの僕のこと、誰だと思ってんだい」

「彼女に愛想つかされて着拒までされてる憐れな男」

「キィーーーーッ!!!」

 

 がはは。地団駄踏んでる隙にシャトー米花に入り、秀吉の部屋の番号で開けてもらう。後ろから肩怒らせてむすむす歩いてくる部屋の主は、いつも通りのもっさりスタイルでエレベーターに直行した。

 管理のお姉さんが目を丸くして私と秀吉のやり取りを見てたが、住人のプライベートでしてよ!

 天下無双の世界一の棋士様の無様な様は、オフレコにして差し上げてね!

 

 

 とりあえずヒロキくんと、ノアズ・アークの【禁忌】について確認しなきゃならんのだが、ここまで売り買いやり取りしすぎてしまい秀吉のこと煽り過ぎちゃって……本題に入りにくい。

 

 

 の、ノアズ・アーク〜?お兄ちゃんを助けて〜?

 

 

『……はぁ』

 

 うっわ人間臭さ全開のため息!

 お願いします!お願いノアズ・アーク!

 

『…………秀吉お兄ちゃん、結局、依頼の方ってどうなったの?』

「ん?……ああ!そっかそっか、そんな話だったっけ」

 

 ノアズ・アーク〜!!

 

 流石だノアズ・アーク!ありがとう可愛いぞノアズ・アーク!!よーしよしよしよし良い子だねぇ、なんだかんだ言ってもやってくれるお前が大好きだぞノアズ・アーク!飴ちゃん欲しいか?あっ、ちょっ、スマホの画面乗っとるのやめてやめて、零くんへの電話発信3秒前とかいう脅し止めて!!

 

 私と同じく怒りもあまり持続しない秀吉が、あっさりといつもの顔に戻って「依頼の話ね〜」なんて鼻歌混じりに部屋のドアを開けて招いてくれた。

 

「水は?」

「いただきたく」

「はいはーい。洗濯機僕のも入ってるけどめんどいからそのまま回しちゃって良いよう。あと好きに座ってて、資料持ってくるよ」

 

 勝手知ったる友の部屋。

 洗濯機に酒臭い私の服をブチ込み、洗濯洗剤入れてスイッチョン。お風呂から水をとらないなんて……金持ちめ!

 

 リビングに行くと、相変わらず散乱している棋譜。

 それらを纏めて、綺麗に並べられた将棋盤の歩を適当に一歩前へ滑らせておく。

 

 今研究してんのは……振り飛車か。よくあるやつだっけね?

 

『秀吉お兄ちゃんとこの軽量型に教えてるみたいだよ』

「ホォー」

 

 あの子、また戦法増えるのか。

 

 一点特化で学習しまくってる子は他にいないので、せっかくだし、とヒロキくんと一緒に適当に枠与えて将棋ゲーム作って、あの子に学ぶ機会与えたんだ。

 その後放置してたら、気付いたらかなり進化してて……もうびっくり。

 ARATAのサーバー借りて容量増やしてるから、もうあの子を“軽量型ノアズ・アーク”とか言えないってか…………

 

 …あれ、ペンギンじゃないんだよな、たぶん。

 

 

「お、やってる?」

「やってないやってない」

 

 水とお茶、それにファイルを持ってきた秀吉が対面に座り、歩をパチリと進めてきた。やってないってば。

 

「それで、そのおすすめの方……なんでまた帝丹高校にご興味が?」

「なんでも、新一くんに――」

「――この話は無かったことで」

「ええ?」

 

 話の初めだが早速終わりだ終わり!!

 

 今、ただでさえ本堂くんで手一杯なのに、何が悲しくて新一くん関連でも爆弾呼び込まないといけないんだよ。

 

「まぁまぁ、話聞けよ昴。お前がお求めだったのは、『情報集めと護衛できそうで、口の固い人』ってんだろう?この子はまさにその通りなんだってば」

「えぇ〜?……ホントにござるかぁ?」

 

 ウソじゃない?もしくは秀吉、騙されてんじゃないの?お前騙しやすい顔してるもん。

 

「ホントホント。ほらほら、この資料見れば分かるだろ、あの子が作ったんだけどね」

 

 秀吉が差し出してくる履歴書。受け取ろうとした矢先、スピーカーにして置いていたノアズ・アークが、画面に白い輪をぼわと拡げた。

 

『誰か、お兄ちゃんについて調べてる』

「ホォー?」

「へぇ」

 

 リアルタイム情報?……みたいだね。

 本堂くん?…………じゃ、ないらしい。

 

「特定していいですよ、ノアズ・アーク」

「ああ待て待て昴。僕当ててやろうか、その相手」

 

 ジャージにダサもさファッションスタイルのままの秀吉が、にやりと笑って置いてあった扇子を手に取り、私の手に乗せられたファイルを示した。

 

「この子だろ」

「ホォー……?」

『見てくる?』

「……うん、見てきてください」

『了解』

 

 秀吉がお茶を飲んでる隙に、適当な所の歩を前へ。角道とか知らん。

 

「へー……って、昴、適当にやってる?」

「当たり前じゃないですか。今あなたと真面目に指してられるほどの余裕ないんです」

 

 片手間で相手出来ないだろ太閤名人なんて。だからやってないって言ってるのに。

 

 もらったファイルをペラペラと何枚か流し見するが……

 

「…………高校生探偵って、流行ってんですかね?」

「なんで?」

 

 言葉を返す度にパチリ、パチリと秀吉が打ち返してくるので、仕方なく返してるけど、チラと見た時にはなんか分からん盤面になっていた。

 誰だこんなの打ってんの。……私か。

 

「西の高校生探偵が、なんか…探偵甲子園とか言うのに呼ばれたそうで」

「探偵甲子園????」

 

 静華さんから聞いたんだが、『新一くんとこにも届いとんとちゃうか』とのことで、確認したところ届いていた。新一くん、まだ小さいのに高校生とか名乗れまい。

 だのに行ってくるつもりしてんだろうか。

 

「西だの東だの、北だの南だの…よくもまぁ各地におられるこって」

「頭いい子が多いんだねぇ」

 

 天才がなんか言ってら。

 オメー程の頭は数える程しか見たことないぞ。

 

 

 





越水ちゃんすこすこのすこなんですが、この作品、接点がどうしても捻出出来なくて……

なんとかならんかやってたら大量の三次創作が出来てました。おわりおわり


雪は頼むから早くとけてくださいお願いします


読んでいただきありがとうございました!
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