昴くんはなにもしない   作:あまも

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風邪引きました
季節の変わり目、皆さまは暖かくしてしっかり予防と対策なさってください
私は花粉症ではないと信じているのでこれは風邪です



お話のほうは……これ、ちょいグロなんですかね?
直接的な表現は避けましたが苦手な方は薄目で見てください



閲覧ありがとうございます!



58-2:まな板の上の魚

 

 

 

 

 

 結局の所、私は彼をどうしてやりたいのか。

 

 小林くんにそれを訊ねられ、それによって小林くんも彼への対応を考えるとのこと。

 

 

「俺は何一つとして信用してないけどな」

 

 

 眉を吊り上げたままでそんなことを言うものだから、なんだか零くんみたいな対応だと思っていたのだけども。

 今、零くんが自由に動けない代わりに、その役割でこの横の“橋波 正二”という男を見極めてやろうとしてくれてるっぽい。

 

 

 

 そんなら任せちゃおうかなぁ。

 私より余程しっかり見てくれるでしょ。

 

 

 

 それに、元々相性は良かったはずだもの。

 

 

 ………………よく考えなくともいい。

 決めたなら、そのように。

 

「……私は、彼のことは助けたいです。

 彼の自立の足がかりとして、私に貸せるものがあるならどんな力でも……」

「わかったわかった。それだけ聞ければ良いんだよ!余計な事まで言うなっての」

 

 途中で手を上げて遮られてしまった。

 まだ「何でもする」とまでは言ってないじゃん……

 

 正体はわからないが、“沖矢昴”の顔した悪い人はいないからな。

 

 ……少なくとも、“江戸川コナン”の不利益になる悪い人はいないはずだ。

 私ですらこんなに立派な味方サイド!

 

 

 監視というか、この人の事は小林くんが見てくれるらしい。

 それは同時に、この人が小林くんを見るって事にはなるが…………どうせ“ずっと”は、いないだろうし。

 小林くんが苛立ちながら、お茶に手をつけた。話の区切りとしたいようだ。

 口つけたお茶がぬるめでビックリしてら。

 私に合わせてくれてるのさ。

 

「…………お前確か入院だったよな。いつだ?」

「今日です」

「今日!?」

「もう入院セット揃えて車に乗せてありますよ」

 

 この話の決着ついたら行こうかなと思っていたので、小林くんが引き取ってくれるなら話が早くて助かる。

 

 隣でのほほん顔が面白そうに首を傾げた。

 

「おや、入院ですか? 沖矢さん、どこか具合が悪いので?」

「どこかしら悪いのはいつもなんですけど、今回ちょっとはしゃいでたら足を捻っちゃったんですよね」

「それはそれは」

「実は今も、この後どんな目にあうのかと震えが止まりません」

「それはそれは。僕も実は目が、生まれつきの病でして……」

「おや、橋波さんも?」

 

 

「のんびり会話してる場合かー!」

 

 

 小林くんがうがー!と、いつにないほど大真面目にお怒りになられている。

 ちゃんと元々、「近いうちに入院しちゃうことになっちゃって……」と事前に謝ってあったじゃないか。

 その時は零くんも景光くんも、なんでもっと早くに言わないんだとか早く病院行けとか心配の声を返してくれたのに。

 

「今日とは聞いてないぞ、ハル!!

 おまえ、こんなやつ構ってないでさっさと行けよ!!」

「でも橋波さんも困ってらっしゃったようですし……」

「ホォー……」

「困ってないだろこれ!」

 

 

 指突きつけられている、ニヤニヤに見えなくもない橋波さんの表情。

 

 いやぁ……沖矢昴顔を知り尽くした私にはわかる。

 

 これは『この状況、流石に病人に付き合わせたのは悪いことしたな……』って気まずい顔だね!

 そして言いたいことはあるけど今は口出ししないでおこうかな、という場の空気を読ん……いや、これ自分が口開いたら相手を怒らせるだけだなって理解し(わかっ)ている顔だな。うん。

 間違いない!

 

「……ってことは、あれか。お前が戻るまで、あの部屋貸すつもりだな」

「あ、見ました?」

 

 出てくる前に、木馬荘のお値段高い物やら荷物を箱に詰め直して来てある。

 元々、新生活応援フェアでセットで安かった生活家電や消耗品ひと揃えくらいしか置いてない部屋だからな。

 見られて困るものも車にしか乗せてないし。

 

 

「……お前の考えはわかった。あわよくば屋敷の管理とかも、賃金払ってやらせる気だろ」

「おおー!そうですそうです。それなら彼も、東都で仕事探しながら生活基盤整えられるでしょう?」

 

 やっぱりネズミや害獣は怖いからねぇ。

 

 見張っておきたいけど、自由に泳がせて様子もみたい、そんな相手にさせるのには丁度いいじゃん?

 小林くんもそう思ったから考えを読めたんだろうし!

 

 

 

 ■

 

 

 手荷物しか持ってなかった橋波さんの首根っこ捕まえて、小林くんは彼を木馬荘に連れていってくれた。

 「おやおや」とか言いながら、大人しく連行されていったな……

 

 小林くん、きっと尋ねて問うて、詳しいことまで聞くつもりなんだろう。

 

 席から立たずに見送った私の足を、小林くんも橋波さんもちらりと見てから行ったので、ああいう人たちには動きの違和感とか、気付かれてしまうものなんだろうな。

 

 

 泥酔以降、取り繕いが間に合わなくなっててね。

 予定ではなんの問題も無く病院向かえるはずだったのに。

 やはり酒はダメだなと。

 

 

 送っていこうかと心配そうに声をかけてくれた阿笠さんには灰原さんのお迎えに行くように頼み、私は自分の車の運転席に乗り込んだ。

 最後の辛抱である。

 

 

 

 運転しながらの思考のお供は、あの男。

 

 いやはや、そっくりだった。本当に。

 

 薄皮一枚貼るだけであんなんなるとか、やっぱりファンタジー過ぎる。

 

 

 

 阿笠さんが普通に、私の様子以上のことでは慌てていなかったから、恐らく彼には話は通ってるんじゃなかろうか。

 

 

 当たり前だが、私だってあの男が本当の親戚だなんて微塵も信じちゃいない。

 “沖矢昴”の顔はそう易々と使えるところに無い。

 

 隣で「ホォー」だの「おやおや」だのと鳴いていたあの男……証拠はないが本命は“赤井秀一”の予行練習だろうと思っている。

 だってそうだったから。席が埋まっていたから、代わりの席が増えただけ。

 フルーツバスケット!

 

 次点では、“赤井秀一”のための役どころの人物紹介しに来た……工藤氏。

 いずれは赤井さんになるのだろうけど、元々存在してましたとするために工作中ってね。

 あの人は私の癖とか全部まるっと知ってるから、私に寄せるのなんて簡単だろう。

 

 

 3つ目……ガチの親戚説?

 ……いやぁ、無いでしょ。ないない。

 

 

 私に――この“沖矢”に親戚なんて、ましてやあそこまで似てる存在なんて、都合よく存在するわけないからな。

 

 

 じゃあどうやってノアズ・アークの管理する“テバ”のセキュリティを掻い潜って、『私の親戚』の立ち位置用意したか、だが……

 

 

 ここに、ヒロキくん(管理人)か、ノアズ・アーク(本人)か、“私自身(指示者)”が絡んでる、はず。

 

 で、私が顔を貸した上で、“橋波正二“が“私”を頼って来た設定なら、そりゃもう“私自身”が絡んでる一択なのよ。

 

 私からなら、ノアズ・アークにもヒロキくんにも口止め出来るからな。

 逆に私は彼らに託したことは聞かないし。

 

 

 

「……ってことです?ノアズ・アーク」

『さぁ。……お兄ちゃんから指示されてることはあるけど』

 

 イヤホンからの声はそんなお返事だった。

 なるほどねぇ?

 

 

 

 チェックするべきは、『水無怜奈』じゃなくて“更にその前”だったか。

 

 

 

 そうか、そうだな。

 『水無怜奈』について隠すように設定したなら、そのように私に指示が、あったはずなんだ。

 

 本堂瑛祐についての進捗や、今後の予定についてを新一くんと相談したはずなんだ。

 

 

 それについて、『相談したこと』そのものが私から抜けてるって事は?

 

 

「ノアズ・アーク。“預けているものはある?”」

『……工藤優作が預かってるよ』

 

 

 

 …………なるほど、なるほど。

 

 私に変に動かれると困るやつか。

 

 

『あと無理せず一刻も早く療養してくれって』

「はい」

 

 ノアズ・アークの声は気遣わしげだった。

 あとの私に託した私は、どこまで我慢するかまで決めてたんだろうか。

 …………長引かせろって、ことです?

 

 

 結論、病人は寝てろってこと。

 

 

 エーン!また大事な作戦でハブられた!

 

 悲しいからふて寝してやるんだから!!!

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 

 さて。

 年貢の納め時である。

 

 

 フォレスターのエンジンを切り、私は一人、深くシートに背を預けた。

 

 車内に漂うのは、ハッカの香りとメンソールの匂いと、助手席の着替えを入れたボストンバッグの洗濯洗剤の匂い。

 

 右足一本での運転は、まあ。

 気にしなければどうってことはない。

 ただ、ブレーキを踏むたびに、腹経由でフッドレストの左の足にも力がこもっていい具合の……、解熱鎮痛剤飲みまくってもぷるっと寒い、ある意味眠気覚ましにはちょうどいい塩梅の…………痛みがね。

 

 ……正直に言おう。

 もう病院行くだけだからこれ以上我慢しなくて良いからな。

 

 ちょっとだけ涙が出た。

 まったく、大人のくせに。

 大人だって辛いことがあったらすぐ泣いちゃうんだぞ。

 

 

 

 気分的には出頭しに来た犯罪者な気分。

 病院の自動ドアが開いた瞬間、『この顔にピンと来たら』の張り紙見たような表情で、受付から顔見知りの受付のおばちゃんが小走りで駆け付けてきてくれた。

 

「アンタ!やっと来たのかい!……て、真っ青じゃないアンタ!」

「……えへ。入院の手続きをお願いします。新出先生から、話は通っているはずですが」

「この……やせ我慢して!まだ歩けるの?車椅子は?」

「ふふ、大丈夫です。歩けますよ。……あ、車って長期駐車のところで大丈夫でしたかね」

「自分で運転してきたのかい!?」

 

 

 受付のおばちゃんに差し出した書類が、自分でも笑っちゃうくらい微かに震えている。

 

 ひったくるようにして奪われたあと、騒ぎで寄ってきた看護師さん達や警備員さんが集まってきて、結局車椅子に着席させられてしまった。

 まだ歩けますのに。

 

 解熱剤を最後だもんね〜なんて景気よく一気に入れすぎたかもしれん。

 今日ずっと手が冷たいんだよな。

 

 

 診察室の硬い台の上。

 やらかした場所が場所だけに、ちょっと恥ずかしくて嫌だが、いまさらそうも言ってられない。

 看護師さんの手を借りて、サポーターでガチガチに固めた患部を解いていくんだが、いやぁ、案の定、痛ぇのなんの。

 圧迫してた所に血流戻ってきて、ズンズンズイズイあ〜血が流れてる〜ってのがよくわかるペースの痛みがこう……いてぇッス。

 あと湿布臭くて申し訳ない気分になる。

 

 サポーターの下から姿を現したのは、これ生きてる人間のお肌で合ってる?と自分で確認したくなっちゃうくらいの色合い。

 

 うーん……腐ってんね!

 

 赤黒く腫れ上がり、古い火傷跡を内側から押し広げる、汚い色した熱の塊。

 なんかたぽたぽしてる。

 

 ははっ、膿〜!

 

 昨日、炭火の横で楽しく温まってしまった代償は、組織を内側からドロドロに溶かしてやろうって発酵具合でこれからって時だったらしい。危うく醸されるところだった。危ない危ない。

 どこぞの組織もこんぐらいドロドロのボロボロでサクッと切り取って終わりにならんかね。

 汚さならこんくらいなもんじゃないの?

 

 今回、智明くんから引き継いで担当してくれることになった先生が、やべー色になってる所を見ておられる。

 

 

「なんてことだ。沖矢さん、あなた、こんな有様でここまで……」

 

 医師の絶句。

 ……そんなにやばそう?

 

 いやねー、私だってちゃんともうちょっとまともなうちに来よう来ようと思ってた時代はあったんだけど中々本堂くんが頑固だったもんでさぁ。

 

 酒と釣りがトドメ? 一理ある。

 

 私は気分的には昨日、美味しいお魚を食べて、山で『自分探し』を完了させてきたばかりの、心身ともに極めて健康な山男なんだがな。

 

「お土産、お持ちすれば良かったですかね」

「冗談を言っている場合じゃない! 予定は明日だったが、これは緊急だ!すぐに手術室を確保!」

 

 怒号に近い指示が先生から飛び、慌ただしく状況が変わる中、私はちゃちゃっと一筆二筆書かされて、呼び出された屈強な介護士さん達の手も借りて、手際よく、けれど傷に響かないようにそっと、ストレッチャーへと放り込まれた。

 視界が高くなり、白い天井のライトが規則正しく流れていく。

 

 あー……。

 

 この、『捕まっちゃった』感。

 

 これこれ、この『まな板の上の魚』感。

 

 

 病院始まったなって感じするわ〜!

 

 

 

 ■

 

 

 局所麻酔が、炎症の酷い場所にはこれっぽっちも効いてくれないのは計算外だった。

 

 だって選べるって言うからさぁ。

 見れるもんなら見たかったじゃん。

 

 肉を切り裂かれ、内側のぐずぐずと壊れて使えなさそうな部分を容赦なくこそぎ落とされる振動が、脳に直接ダイレクトアタックしてきてさ。

 

 痛い。

 うん、普通にめちゃくちゃ痛い。

 

「グロ画像見たいッス」とか言ってたの馬鹿じゃないのかと自分にキレるのもアホらしくなってきて、けれどいまさらやっぱ全身でと頼むのも恥ずかしいし面倒で、私はただただ処置を見守ってたってワケですよ。

 

 なます〜!

 いや、ケバブかな?どっかにこんな拷問あった気がする。

 昔の日本だか中国だっけ?

 

「……よし、ドレーン入ります。固定して」

 

 なんかヌルッと……キモい感触が足に。

 管だのなんだの、妙なもの入れられるとこう……引っこ抜きたくなるよね。

 

 

 

 

 全ての処置が無事に終わり、病棟のベッドに運び込まれた頃には、外はすっかり真っ暗真っ黒。

 空いてたからか、それとも空けといたのか、以前入ったVIPな個室である。景色が良い。

 

 

 前と違って、なにやら大仰な有様だ。

 

 左足は高く吊り上げられ、股関節はガチガチに固定。

 腕には太い点滴の針。

 そして、意識の端っこで鳴り続ける、傷口が心臓にでもなったんじゃないかってくらいどっきりどっきり内側から定期的に殴られてるみたい。

 

 携帯とかPCとか弄れるかな〜なんて思ってたが、読み返そうと思っていた闇の男爵すら読めそうにない。

 身動きしようとすると、殴られてたのが蹴り飛ばされたんかなくらいの痺れを伴って足に意識を戻させてくる。

 今まで無視しててごめんて。

 ちゃんと集中して見てやるから。

 

 

 

 ふふ。

 

 すごい……ねっ!不自由!

 

 頭の中でちいさくてかわいいいきものが頷いてくれている気がする。

 笑っちゃうくらい、何一つ、自分の思い通りにならない。

 

 いやぁ、最悪。

 

 荷物の中の携帯越しに、ノアズ・アークが聞いていそうな気もするが、まだそこにいるのかな。

 当然イヤホンなんかしてないからわからないな。

 

 まぁ、でも、これでようやく一息つけそうだ。

 

 

 不自由過ぎてこのままどれくらい拘束されるのか心配になり、絶対安静を厳命して行こうとした先生に訊ねたところ。

 曰く、『腐ってる所が無くなるまで』だそうだから、膿がどこまで入り込んでるやら。

 

 

 ぶっ壊れてはいないはずだから、そう長くはならないと信じたい。

 

 麻酔が今はだいぶ効いてて、グロ画像展開された時より遥かにマシだから、数日くらいならヘーキヘーキ。

 

 

 とりあえず…………

 

 することも無いし、寝るか〜!

 お疲れ様のおやすみなさいませ!

 

 

 

 

 ■

 

 

 意識の泥の底、重く暗い場所から、ようやく浮上してきたのは翌日の午後を回った頃だった。

 看護師さんが気を利かせてくれたのか、カーテンで遮ってくれていたようだが、隙間から差し込む西日が、病院の白いリネンをこれでもかと眩しく照らし出している。

 

 なんで西日って毎度毎度こう眩しくてノスタルジックで人に寂しさと切なさと眩しさを与えてくるんですかね。

 

 

 

 ……こんな病室にまで追いかけられるとは。

 

「…………ぅ」

 

 掠れた声を絞り出し、強ばった体だの寝過ぎとコリから来る頭痛だのより何より、全身に感じた重だるさに辟易した。

 

 体が、ダル重〜!

 

 麻酔だの解熱鎮痛剤だの消炎剤だの、昨日、あれもこれもと薬漬けしてた痛み止めの魔法が、ひとつ残らず成分使い果たしたらしい。

 

 ツケが回ってきたわ!

 一括でポンと返せれば良かったのに。

 

「お目覚めですか、沖矢さん。……よく眠っていましたね」

 

 わりかし聞き慣れた声。

 事務的な優しさで安心感を含ませてる、看護師さんの声。

 視線だけを動かせば、そこには私の腕から伸びる点滴の速度を調整し、私の左足から伸びる排液の管を厳しくチェックしている看護師さん発見。

 ちょっと面倒くさそうに、けれど事務的に対応してくれる看護師さん。結構よく見る。

 

 意識がはっきりしてくるにつれ、そして今しがた流れで自分の足を認識してしまって、左の膝裏から太ももから腰へ、ズキズキと、いや、むしろゴリゴリと肉を削り取るような……あいててて

 

「おはようございます。……いえ、こんにちは、の、時間でしょうか。足の具合はいかがですか」

 

 声は優しい。けれど、私みたいな面倒くさい患者担当するだけあって、変な注文にもダメですと一蹴してしまえる強さがある。

 みんなして私の対応に慣れていく……

 

「……元気ですよ。と言いたいところですが……。左足は痛いし、ダルいし重いし……だいぶキツいです。山登るより疲れました」

 

 看護師さんに苦笑いされながら、水やら貰って、体温や心拍数などチェックされていく。

 

 手足の先は一部冷たくて一部暖かい。

 特に、左足の先は冷えてるのにそこまでの道中がめっちゃ熱い。

 未だに高く吊り上げられた私の左足。

 巻かれた布の隙間から伸びる、シリコンの管の先はベッドの下へと落ちている。

 中には、汚れが溜め込まれた透明なバッグがぶら下がっているんだろう。

 

 

 ……好奇心で『見てみたい』と言ったら一蹴された。

 どんな色なってるか気になるじゃん。

 

 

「……はへぇー……これは……しばらく外には出られそうにないですねぇ」

「当たり前です。大人しく寝ていてください、沖矢さん」

 

 ぴしゃりと独り言に返事されて、けれど要望は聞いてくれてカーテンの隙間を閉めたり、手元に携帯や本を持ってきてくれた。

 

 携帯で連絡確認しようとした腕が……上がらないッピ!

 

 

 はぇー、無理無理。

 ツケがデカ過ぎる。

 

 一応皆には連絡してあるし、阿笠さんにも予定繰り上げた話は通ってるだろうから周知はされてるはず。

 

 面会OKになったら連絡確認すればいっか。

 

 

 

 ……小林くんから“お兄ちゃん”の新着情報とか、本堂くんから確認メールやら、零くんやら灰原さんからのメールやら、色々来てそうな気もするけど……

 

 

 ある意味、なにもしなくていい時間が用意されて、これはこれでいいかもしれない。

 

 や、でも寝返りはうちたいです。そんくらいの自由は欲しい。

 くっ……看護師さん帰っちゃった。この程度で呼ぶのか?用事がある時は呼ぶべきじゃん?

 

 てか痛み止めかなんかくださいよ〜!

 

 

 





Always痩せ我慢してる主人公です

しばらくこの後の事件に関して、「なにもしない」タイムとなります。
そのための怪我!

この後、東都中の病院という病院が大混乱になる?
いやぁそんなテロ行為がまさか起きるわけ



読んでいただきありがとうございました!
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