昴くんはなにもしない   作:あまも

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かぜで寝込んでる間に寝ながら出来るやんと思ってぽこポケ買っちゃったのか運の尽きでしたね
すいません、執筆そっちのけで山削ってました……本当にすみません。

時間がアホほど吸い取られる……いけないゲームだ……


というわけでお見舞い話です

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60-1:心配な見舞人

 

 

 

 

 

 最初は面会謝絶にしてやろうかと思ったのに、通知がヤバすぎたので睡眠しっかり取れたくらいで面会許可出したら、さっそく阿笠さんと灰原さんが小林くんを伴ってやって来た。

 

 

 

「会う人間は少ない方が良いでしょう。どうせ酷い有様でしょうから」

「あはは……それはそうなんですけど」

 

 灰原さんの采配だそうな。

 “私の”保護者として阿笠さん、現状把握に灰原さん、そして皆からの伝言を預かり、連絡の繋ぎとして小林くん。

 

 この最小メンバーで訪れてくれたようだ。

 

 まぁ……足の怪我だし。

 固定されてるからそういう感じにもなる。

 そこら辺、よく分かってる人選で来てくれたようだ。

 

「それで、昴。足は大丈夫なのかのお」

「ええ、今は悪い部分を絞り出してるところです。明日か明後日にはドレーンも抜けるだろうと」

「おお、そうか」

 

 ホッとひと息つく阿笠さん。

 

 この後、灰原さんと一緒に病状説明と治療方針を、先生からお話というか相談会だそうで。

 

 うーん……こちとらとっくの昔に成人してるんですけどねぇ。

 どういうわけだか、小さいお姉さんが出来てしまった気分である。

 中も外もガキンチョではあれど、私なんかより余程知識はしっかりしておられるから仕方あるまい。

 

 私は先に治療方針の希望を伝えてあるので、改めて確認する時間を先生が取ってくれている。

 果たして、私の要望は小さなお姉さんによってどこまで却下されてしまうんだろうか。

 

 阿笠さんだけならまだ何とかなったのに……

 

 

 そちらに2人は向かうとして……

 

 

 

「よし、じゃあ俺だな。覚悟しとけよハル」

「お手柔らかにお願いしますよ、みっちゃん」

 

 

 窓辺のソファーとテーブルを持って来て、ベッド脇に座り込んだ小林くんである。

 

「まず、お前の名義で届いた重要書類な。目を通しておいてくれ。希望があれば手続きしてきてやる」

「あ、はい」

 

 何言われるのかとヒヤヒヤしてたら、肩透かしな一撃からスタートした。

 

 本人が開封しなきゃいけない書類がわんさか。

 ARATAからの連絡は……後でいいや。真っ先に話が欲しいやつならノアズ・アークが言ってくれるでしょ。

 ゲッ、科研費。サーバー代が跳ね上がってる件について説明しろだと?

 海外のサーバーに繋いでるから増えたって言ってるのに!流用はしてないよ!

 

 

「あと、橋波は俺が見張りについて、お前の管理してる住居の整備をやらせる、で良かったか」

「はい。それでお願いします。給料は仕事ぶり見て、適当にみっちゃんが決めてください」

 

 口座はノアズ・アークに言えば出してくれるだろ。

 すんなりと頷いたのが良くなかったのか、小林くんの眉がめにょっと下がった。

 

「…………本当に良かったのか」

「? ええ。みっちゃんが見ていてくれるなら安心ですし」

「お前の顔で何しでかすかわからないんだぞ」

「私のやりそうなことなら私がいつかやってますよ。私がやらなそうなことなら、そりゃ別人ですからね。判別は容易でしょう」

 

 逆に、その違いすらもわからないような人はただの知り合いかそれ以下程度の人たちだからな。

 その程度の人たちにいくら誤解されようがどうでもいいことだし。

 

「それに、みっちゃんが追い出さなかったのだから、“危険な人では無い”ので違いないでしょうから。問題ありませんよ」

 

 十中八九赤井さんの“みらいのすがた”だから、今の時期まだ現役バリバリの赤井秀一が活躍しているのだし、“橋波”という男は生活基盤と目撃情報揃えたら、それとなく控えめな生活に移行するはず。

 いや、まぁあれがガチの親戚という説は一厘程はある…………いやぁ、ないでしょ。

 

 小林くんは取り出していた書類で顔を覆った。

 そうしてデカデカなため息ひとつ。

 そろりと上がった顔をサングラスもあげて、眉と口の端が困りきって下がっていて、さらけ出された目には心配の2文字が浮かんでいた。

 

「俺はお前が心配だよ、ハル。悪い大人に食いものにされてないか?」

 

「悪い大人代表みたいな人がなんか言ってるわ」

「確かにグレーゾーンでお前頼りに生きてるけどさ」

 

 へんにゃり力なく肩を落とす様子だが、頼りないとは微塵も思ってない。

 むしろ頼り切ってるんだから、力を貸せるところは存分に使い倒して欲しい。

 

 持ちつ持たれつ!

 

 それに、今更いまさら。

 気にせず私の金をジャンジャン使うがいいさ。

 

 阿笠さんや工藤家たち、そして友人たちへの恩返しのためのジャンバリなのだから。

 

 

「そんな悪い大人の1人からだ。『キールの収容先は特定した事は伝え済み。忍び込ませていた組織の手の者からの確認を待ってから、奪還作戦に移行するが、騒ぎは気にせずお前は寝てろ』だそうだ」

「あらやだ、早いですね」

 

 思ってたより早いな。

 本堂くんの誤解がちゃんと解けたのか?

 

 寝てろとは言いますけど、この米花総合病院から足が不自由な男が出来ることなんて出歯ガメしてチクリ魔するくらいしかない。

 それだってノアズ・アークが代わりにやってくれるだろうから、私はなんもする気は無かったが。

 

「江戸川君からだが、『予定通りに進行中。ちょっと予定外はあったけど、組み込んでこのまま進む』のだとさ」

「ホォー……?

 ……まぁ、なんか上手い具合に進んでるなら良かったんじゃないですかね」

 

 その伝言の内容はよくわからないが、タイミング的に『水無怜奈』と赤井さん関連だろう。

 

 ……それをこの小林くんが伝えて来たってことは、彼はその“予定”の内容を知ったわけで……

 つまりは橋波さんの立ち位置が“ただの親戚ではない”で確定でよさそうだ。

 

 

「蘭ちゃんと園子ちゃん、そして本堂君から、『お見舞いにいつ頃行って良いですか?』と確認されてるが、本堂君はなるべく早めを希望しているな」

「れーくんに確認して、決行予定日に彼らをここへ呼べるようにしてください。蘭ちゃんや本堂くんに杯戸町方面に出歩かれると面倒でしょうから」

「ああ、ゼロともその線で進めていた。予定を調整してみる」

 

 寝てるくらいしかできない私だが、本堂くん及び蘭ちゃんたちを、お見舞いとしてここに来させてくれたら、腕掴んで離さないくらいは出来そう。

 

 来る時はチェス持ってきな!

 

 秀吉だの工藤先生には負けまくってるけど、まぁまぁやれるほうだってのをお見せしちゃるけんね。

 

 …………彼らはホラ、あたまがおかしいから(褒め言葉)。

 

 

 

 その他、由美さん、小五郎さんたちから。

『無理して悪化した結果入院沙汰になった』などと、この小林くんが話してしまったようで。

 

 各所から、バカだのアホだのスカポンタンとか散々お叱りお言葉を賜った。

 

 

 酒の話は出てこなかったから、やったぜ!

 

 

 警察一堂からまとめて、代表としての名前は千葉くんで出してくれたらしいプラモデルに、なんでまた工具が必要なものをと開けるだけ開けて脇に持っていきながら。

 ふと、小林くんが。

 

「ところでお前、病状が医者の見立てより遥かに悪化してたらしいけど」

 

「ギクゥ」

「口で言うってことはなんかあるんだな。春の山の雪解け水に、足つけて冷やしてたらしいとか灰原さんに聞いたぞ」

「いやぁそれは……」

 

「あと酒を吐くほど飲まされたって、誰にだ?」

「ギェッ」

 

 

 

 あーっと、ルート解放してた〜!

 

 

 そうかそうか、灰原さんたちと一緒に来たならそりゃそうか……

 

 あぁあ真っ直ぐに真実を見抜こうとする猫目で見つめてきやるこの男!!やめてやめて!もうほとんど見抜いてるというか確かめるだけなのに言わせようってんだからもう!タチの悪い!

 

「おい、ハル?」

「エィン……」

「変な鳴き声で誤魔化すな。おい、こっち向け。後ろめたい事したって分かってるんじゃないか」

 

 これは喋るまで許されなさそう。

 しかも私はベッドの上から動けない!詰み!

 

 ……ぴえんこえてぱおん……

 

 

 

 ■

 

 

 

 面会解禁の翌日。

 

 この体、代謝は良いのでサラッと悪い部分は頭だけになり、無事腐ってる所は抜けきっただろうとのお医者様の判断。

 ついに見せて貰えたのだけど、その排液もただのなんかちょっと薄い色つけられた水みたいなのがパックに溜まっていて……

 なんかもっとグロいの予想してたのに拍子抜け。

 もっとこう……黄緑色のとか“ぼく、膿です!”みたいなの出ると思ってたんだけどなぁ。

 初日にはそういうのが出てたんだろうか。

 

 

 そんなわけで、管も抜けて傷口も縫い合わされ、ぷるぷるよちよちと、ヒィヒィ言いながらにはなるが、ひとりでなんとかトイレにも行けるようになった。

 個室内にはあるんだけどめっちゃ時間かかったもんで、帰りの道中、3mくらいの支えがない空間に、無駄に広い個室に対して内心でキレながら困っていたら、点滴換えに来た看護師さんに見つかって『呼んでください!』とか怒られたが。

 

 やだぁ……小生見るからに“病人”みたいになるから、車椅子、ヤでござるよ。

 

 ……分かった分かった、次からちゃんと呼ぶから。

 だからその簡易式を持ち込むのはやめてくださいこれ以上の羞恥は、ホント……

 

 

 

 

 

 本日、面会に何人か来てくれた。

 

 

 午前中に秀吉がヒロキくん連れてきてくれて、色々とボードゲームやらノアズ・アークの通信周りやら設定して行ってくれたが、2人してジト目だったのはちょっぴり悪いことしたなって気持ち。

 入院するとは言ってたが、病状がこれほどだったとは2人とも知らなかったのである。

 小林くん経由でノアズ・アークが教えちゃったらしい。

 

 秀吉に至っては、お前今日これから対局行くのか?くらいのキメキメの顔で眼鏡外してやって来たから、これは一体なんのご褒美かと思ったら……目を逸らさせずに説教するための策略だったもんで。

 連日、お医者先生やら看護師さんやら灰原さんやら小林くんやらに怒られてるというのに、また同じこと言われてしまった。

 

 わかったわかった。

 しばらくは寝てるし安静にしてるって。

 

 

 その秀吉達と入れ替わるようにしてやって来たのが智明くんね。

 

 懇々と、不調を放置する事の重大さとその修復の大変さ、そして体を大事に扱うことの尊さを説教なさって、最後にデコピン一発。

 私の額に。

 

 最後のは、成実さんとひかるさんからの分らしい。

 

 智ちゃんがはじめてのデコピンを……ちょっと痛かった。

 

 

 

 

 その智明くんが退室した10分後、「忘れ物しちゃったよ」とか言って全く同じ顔の智明くんが入室してきた。

 

ベッドからは陰になって見えなかった、ソファーの背もたれの所に置いてあった書類カバンを手に取っているが、腕にかけたコートの中から取り出された物だし、智明くんはメガネを車に載せちゃいない。

 

 

「…………怪我の方は心配ないですよ。足を切り落とすこともないですから」

「もしも切り落とすなんてことになったら、見過ごしてしまった主治医の責任でもあるだろう……。より一層管理が必要になってしまうんじゃないかい」

「ふふ。これ以上管理されたら、私は気が狂ってしまうので、これくらいが丁度いいんですよ。

 今回の件は、頼みごとを断りきれなかった私のミスが大半です。大目に見てください。

 …………私の『取り繕い』も中々上手になってきたでしょう」

 

 えへんと、ベッドの上で胸を張って見せたら、智明くんはべしりと、ごくごく軽い力で頭を叩いてきた。

 

 ……心配そうな顔を作っている。

 智明くんのよくする顔だが、この智明くんがするのは違う気もする。

 

 叩いたまま、頭に乗せられた手を退けてくれない。

 撫でてくれるわけでもない。

 軽い手の、冷たい感触だけ頭に感じる。

 暖房効いてて、この部屋も病院も暖かいからね。

 ……ついさっき、外から入り込んできたばかりみたいな冷たい手だ。

 

 

「お仕事、忙しいのでしょう。早めに戻らねばならないのでは?」

「……君は本当に……バカなやつだな……」

 

 絞り出すみたいな智明くんの声。

 

「ふふ。それくらいの方が使いやすいでしょう」

 

 私の返事への返答は、ため息。鼻を鳴らすに近いかもしれない。

 

 

 

 らしくない。

 本当に、らしくない。

 

 智明くんなら、こういう時は誤魔化すみたいに人の頭ぐしゃぐしゃにして再度注意事項並べ立てて、最後の最後に良心咎めるようなこと呟いて帰るんだから。

 

 

 では、この智明くんに、私は何を期待してるのだろう。

 謝罪は……いらないし必要ない。

 怒りは普通に怖いからやめてほしい。

 

 頭に乗せられた手が、親指だけ動いて額の、髪の生え際辺りをさりりと擦った。

 

 

「…………不具合がある時はきちんと報告しなさい」

「はい。すいません」

 

 指だけだがさりさりと、ほんの僅かにでも労ってくれてるような気がして、これだけだというのに嬉しくなる。

 我ながら、チョロいなぁ。

 

 でも嬉しいのは事実。

 そうだよ、私は頑張ったぞ。

 

「……今は休むことだね。取り繕いでもなく、普通に過ごせるようになったら……また」

「! はい、楽しみにしてますね!」

 

「……」

 

 智明くんたらまたもやため息。

 

 体調直れば、また遊んでくれるという予約をもらったみたいなもんだろ今の!

 

 懲りねぇのかって?今更過ぎてんなもんどうでもいいんだよなぁ!

 

 

 何やら『開封注意』の文言のメモの付いた封筒を置いて、去っていった智明くん。

 

 

 ……あの人、なにで来てたんだろうか。

 タクシーか、それとも誰かの運転?

 

 

 えっ……あの智明くんの姿で、バイク乗ってたら……

 ……バカかっこいいじゃん……!

 

 

 

 

 窓辺に寄ろうと四苦八苦してたら看護師さんにまた怒られたし、外の景色は良すぎて、駐車場なんか見えませんでしたとさ。

 

 良い部屋ってのも困りもんだね!

 

 

 

 

 ちなみに封筒の中には黒いUSBが入ってて、見覚えのある白い仮面のシールが付いてたからマジで注意案件だったわ。

 

Eyes only.(部外秘)』の、シャレオツなメモまでついている。

 なんならこっちも嬉しい。

 

 

 え〜、これ、もらっていいのぉ?

 

 他には見せるなってんならもう、これ用に本体何か用意しようかなぁ!

 

 

 

 ■

 

 

 

 更に翌日。

 今日も今日とて、小林くんが近況報告に来てくれたが、杯戸中央病院で潜伏していた組織の男が江戸川コナンくんの機転により発見されて……身柄を押さえようとしたら、首に爆弾巻いていたその男が病院ごと自爆するとか脅してきて、取り押さえ損ねたのだとか。

 

 

 新一くんと赤井さんで後を追って…………最終的には一歩遅くて確保はし損ねたけど、組織の動きが少しわかったとの事。

 

 ついにいよいよ……事が起こりそう、なのだとさ。

 

 

 今のうちから既に、色々と手の見せ合い読み合いが始まってるそうな。

 だいぶフリータイムが多かった新一くんがちょっと心配だが、赤井さんが隣に居て、小林くんと零くんが見守ってて……クリスさんもこっち来てるならまぁ、大体大丈夫でしょ。

 

 

 じゃあ明日は、朝から高校生たち、預かろうかな!

 

 ………………新一くん、泊まり込みだと!?ばっかおめー、帰りなさいよ!!

 

 

 小林くんに後は頼んで、私は様子見るっきゃないかなぁ。

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 杯戸町にて、なかなかの規模の車両事故や車両火災が相次いで、主要道路がほぼ麻痺したらしい。

 

 

 

 

 またこれ、ミニパトポリス娘達がへべれけでキレ散らかすやつじゃないですか、ヤダー!

 

 

 





女神が首都高爆速で爆風の中駆け抜ける前にこっちのクラッシュは終わらせたいという気持ちだけはあります
でも主人公視点しばらく動きがないので、何もないなにもしない話が続きましてお待ちいただいてるのになんだか申し訳ないです
だからといっても展開は変えないのでご容赦ください

読んでいただきありがとうございました!
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