昴くんはなにもしない   作:あまも

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口調しっくり来なさすぎて練り続けてさらにわからなくなりました。


閲覧ありがとうございます!



62-1:ともだちの妹

 

 

 

 驚くべきことに、零くんはそれ以上私に聞いてこなくなった。

 

 ただし、景光くんと一緒になって、橋波さんや、灰原さんの周りの人達……あの臨時の先生や、本堂くんの近くに現れた人物などを重点的に調べ始めたようだ。

 

 

 

 これからそこに1人追加するのかぁ。

 この私が。

 

 なんだか申し訳ない気分だ。

 くたびれメガネのお兄さん、あんなに頑張ってるのに。

 

 

 

 

 本日。

 

 その怪しい人物候補のひとりが、仕事の打ち合わせついでにお見舞いに来てくれた。

 約束の時間にドアをノックする音。

 ちゃんと下で受付のお姉さんから『お客様です』の一報も入ってたので、お通ししてもらっているからね。

 

 

 やって来たのは、ライダースジャケットを着た細身の……………………

 

 

 えーと………………

 

 

 秀吉の妹というからには女の子が来るはずだったんだが、受付のお姉さんは『男の子』と言ってた通り、現れたのはパッと見では男の子に見える人物。

 

 んー…………

 いや、でも肩のなだらかさとか腰の位置とか、うん。

 こう……野郎みたいに角張ってなくて、ボーイッシュな格好なのに、混じる柔らかそうな……

 えーと、うん。

 

 女の子だね。

 

 

「真純さん?」

 

 

 問いかけると、彼女は勝ち気そうな目で私を見据え、ニカッと輝く白い八重歯を覗かせた。

 あらかわ……

 んん、何かダブった気がする。

 前に見た?

 

 

「正解! ボクが世良真純さ。ヨロシクな!

 ……なんだい、受付の人には男だと思われてたみたいだけど、君はちゃんとボクが女だって見抜いてくれたんだね」

 

 声もなんだか少年っぽい。わざと低めにしてる?

 真純さんは手に持っていたヘルメットを脇に抱え直し、ずいずいとベッドの側まで歩み寄ってくる。

 

 ち、近いよぉ……秀吉と同じで距離感バグってんの……?

 

 私が先程、上から下までマジマジと見てしまった視線が、彼女の肩や腰のラインを辿っていたのを知ってて、それも面白そうに、わざとらしく胸を張ってみせてくる。

 なぁ樺地ィ……ウッス……

 

 

 いやいや。

 思うもんはなんもないけど、視線が不躾過ぎたのは申し訳ないな。

 あと体型をどうこう言うのも失礼だろう。

 

 彼女も未来ある若者だからね!うんうん。

 成長期成長期。

 

「失礼しました。『可愛い女の子』が来ると聞いていたので、カッコいい男の子みたいな子が来て、驚いてしまって、つい」

 

 服装も立ち振る舞いもカッコいい男の子だが、彼女の顔立ちは間違いなく美人の器量よしさんだ。

 元気が溢れた天真爛漫な様子が、園子さんや……吉田さんに似てるな、なんてのも思う。

 

 んん、やっぱりなんか引っかかる。

 そんなに子供っぽくはないだろ、この子。

 ……まぁ、こういう顔も好きだよ。流石、秀吉の妹。

 

「アハハ!よく間違われるから気にしなくて良いよ。でもそんなにジロジロ見なくても大丈夫。中身は正真正銘、吉兄の自慢の妹さ」

 

 真純さんがきれいなウインクキメてくれたが、そのうっすい胸に手を当てている姿勢は、日頃からあえて男の子らしい素振り見せてる習慣のひとつに見える。

 もしやジェンダー的な……?タイプのかた……?

 

「えーと、キチニイ……?」

秀吉(しゅうきち)兄さんのことさ!昔から、ボクは『吉兄(きちにい)』って呼んでるんだ」

「ああ」

 

 キチニイってなんだと思ったら、秀吉の事か。

 一瞬脳みそが混乱してしまった。

 

 

 私、普段アイツのこと「秀吉(ひでよし)」で呼んでたからさ。

 ちゃんと読み方違うの分かってんだけど、あの字面はどう見てもヒデヨシだろ。と、ついつい。

 秀吉も訂正するのがめんどくさくなったのか、もしくは諦めたのか、だいぶ最初の頃からずっとそのまま呼ばせてくれているので、長いことそのままだけど、久しぶりに本名言われると誰かわからんくなっちゃって。

 

 

「それにしても……沖矢さん。吉兄から話は聞いていたけどさ……まさか、依頼主の脚がそんなに大変なことになっていたとは、コッチもビックリだったよ。その包帯の厚み、ただの怪我じゃないってことくらい聞かなくてもわかる。結構大事(おおごと)だったんじゃないか?」

「ふふ……もう処置は終わってるので、快復待ちですよ」

 

 彼女はソファーの方にヘルメットと少ない荷物を置いて、代わりに傍らにあった椅子を引き寄せてくると、前向きではなく、背もたれを前にして跨るように座った。

 

 さっきから思ってたが、なんかこの子すごい……フレンドリーじゃない?

 

 肘を背もたれに預け、少しだけ身を乗り出して私の顔を覗き込む。

 仕草があざといんじゃが!

 

 

 これやっぱ蘭ちゃんのライバル枠だって!!

 

 

 色々と周りを勘違いさせまくった挙句、実際のところ実は彼女は逆に蘭ちゃんの方が好き、とかレベルの……お花畑展開まで有り得るぞこれ!!

 

 

 ………………

 

 それ、どっちにしろ地雷じゃねーか!!

 

 

 

 新一くんと蘭ちゃんの間に挟まるんじゃない!

 私がクリスさんに殺される!

 

 私がひとり、脳内でぐぬぬしながら……ケガのことは心配いらないけど、動くのは現状難しい話を簡単にしておいた。

 

 

「なるほどね……前から話は聞いてたし、その怪我だからってわけでもないんだろ?

 “あなた”がボクを呼んだってことは、吉兄に相談していた『とある高校生君の護衛』の件、ボクに任せてくれるって決めたから……ということでいいのかな?」

 

 彼女は椅子の背もたれに顎を乗せたまま、上目遣いにこちらをじっと見つめてくる。

 探るような、それでいて期待を隠しきれない、目の端のまつげの特徴的な目だ。

 

 ……なんかこの目、どっかで……

 てかさっき八重歯見た時も思ったけど、なんか……白い……まぶしい……うーん?

 

 

 ……ナンパするみたいだから直接は言わないけどさぁ。

 

 君、私と前に会ったことある?

 

 

 …………いや、秀吉に聞けばいっか。

 高校生くらいの頃に、なんか秀吉と遊びに出かけた時とかに、アイツの“世良”の妹について、話聞いた気がするし。

 

 んん、一緒に出た時か……?

 いや、なんか偶然だったような……

 

 

 まぁいいや。

 どうせ秀吉がしっかり覚えてるだろ。

 

 えーと、仕事の依頼ね。

 依頼ねぇ……

 

「色々と状況が変わってきましてね。少々面倒な様相を呈してきたので、そちらがそれら諸問題を受け入れられるかにもよります」

「状況が?それに、諸問題?……へぇー。ボクがイギリスから来る間に、もう既に色々起きちゃってるみたいだね」

 

 真純さんは面白そうに口角を上げた。

 面倒な事になってると言われたとは分かってて、それでも楽しそうな辺り、なるほど。

 探偵さんらしい。

 

 

 もうホント困っちゃうわぁ!

 

 

 ■

 

 

 依頼を本格的に頼む前に、彼女に、いくつか確認せねばならない事がある。

 まず、彼女からの……事前に秀吉経由で言われてた話。

 

「そちらの都合や、元々あった仕事の関係で度々転居や、イギリスに戻る必要がある旨はこちらも了解済みです。この東都での滞在はお母上といっしょに、主にホテルで過ごす予定との事でしたが、資金面は大丈夫ですか?」

「ああ!日本に住む、ママの友だちが少し援助してくれるって。それに、こっちの都合でもあるからさ」

「そうですか。……滞在中に必要になった費用など、ご希望があれば依頼料とまた別途に必要経費として算出しますので、お母上とご相談ください」

「えっ、ホントに良いのか?!」

 

 真純さんは弾かれたように身を乗り出し、椅子をガタリと鳴らして喜んだ。

 本当は、秀吉と一緒か、もしくは別でもせめてシャトー米花の部屋を使ってほしかったのだが……

 

「出来れば、こちらがシャトー米花に借りた部屋で落ち着いて貰えたら助かるんですが……」

「あー……それはちょっと……」

 

 苦笑いする彼女がこれこの通り。

 

 元々、イギリスで暮らしていた彼女にわざわざはるばる来てもらうのなら、滞在にかかる諸々の費用は全てこちら負担で支払うのが筋。

 

 と、移動費から滞在費から、全て出す気満々だったのだけれど、そこはどうやら彼女と、そして秀吉の実の母である彼らのお母上から「そこまで世話になるわけにはいかない」と真純さんが怒られてしまったそうで。

 彼女の一人暮らしは心配だからと、お母上も一緒に来日して、ふたりで住むのだからとお部屋もホテルを長期で取ってしまったそうな。

 

 手際がいいというか……仕事が早い!

 

 彼女への依頼を頼むことには乗り気な反応してたとはいえ、まだ確定でもなかったのにさ。

 

 ……やっぱりナシで!なんて言って、いきなり反故にされ……大事な娘さんが、平和とはいえ日本の空の下にポイと放り出されては、お母上もさぞや心配だろう。

 

 

 この町が平和か? とは言ってはいけない。

 

 

 ノアズ・アークがシャトー米花の低層階1部屋借りちゃって、今は秀吉やヒロキくんや私の趣味やらなんやら詰めたゲーム部屋と化してる部屋があるんだけどね。

 あの部屋とかを真純さんに貸す気だったんだが、なんと秀吉からも渋い反応されてしまっている。

 

 秀吉、どうやら妹とは連絡取ってるみたいだが、実のお母上とはほぼ音信不通になっているらしい。

 嫌いとかではなく、『僕は羽田家として生きてるからね』、とか何とか言ってたけども……

 

 案外、苦手だったりしてね。

 遅い反抗期か〜?

 

 

 真純さんはバイクに乗るらしいから、維持費とか食費とか交友費とかも申請してくれたら依頼料に追加で出すようにしようかなと考えている。

 

 園子さんはお嬢様だから。

 お友達になったら、パーティーとかお呼ばれするかもわからん。

 

 ああ、本堂くんの服も仕立てとくか……有希子さんに頼もうかな……何が必要とか、私は全然わからん。

 

「……と、ああ。そうでしたそうでした。

 お友達として傍で護衛してもらえるのがベストなんですけど、彼、意外と警戒心が強いのでまずはお友達のお友達から攻めてくのが良いかなと――」

「待って待って、沖矢さん。話がまだ見えないよ」

 

 彼女は慌てて私の言葉を制した。

 ︎︎椅子の背もたれを指先でとんとんと叩きながら、“秀吉の妹”から少しだけ、探偵の顔に戻る。

 

「できれば、何故その高校生に護衛が必要なのか、とか、話せる範囲でいいから、事前情報をくれないか?吉兄から少し教わってるけどさ、聞く限りではあなたとその高校生、ほとんど関係ないらしいじゃないか。なんだって、あなたがそこまでするのかとか……明確にしてもらわないと」

 

 真純さんは、きちんと人間模様を聞いてくれるつもりのようだが……

 

 

 ええ?

 君、それ大体事前に調べてわかってんじゃないのか?

 

 

 ……や、まぁ組織の幹部やらFBIやらCIAやら公安やらの話はそう簡単に出てしまっては世界に秘密も謎もあったもんじゃないし、もしそちらを知っていたとして、そんな不透明なところにただの一般大学院生が絡むには繋がりがイマイチ見えない話だろう。

 そして、自分の調べと、こちらの開示した情報を擦り合わせて、自分への信用具合を測ろうって魂胆もあるんだろうか。

 

 なんせ“秀吉の妹”の“高校生探偵”。

 そして、うろ覚えでも記憶通りならバーボン3人衆の中に1人、ヘルメット持った女の子がいたはずだから、その子が彼女で合ってるならレギュラー確定だ。

 

 実力はどんだけ高く見積もってもいいはず。

 

 

「それではお話ししますが……すいません、少しフェイク挟ませてくださいね。万が一ということもありますので。

 そして、内容は他言無用でお願いします。実際聞いてから引き受けて貰えるとなったら、さらにもう少し詳しく説明しますが……人の命がかかってますので」

「モチロンさ!若くたってボクも探偵。情報はきちんと管理させてもらうよ!

 ……それにしても、なんだか穏やかじゃない話のようだね?」

 

 彼女がとんと胸を叩いて胸を張る。

 ………………そういえば、私の身の回り、けっこう発育の良い方が多かったっけな。新鮮だわ。

 

 

 いやぁ、穏やかどころかひでぇ話だもんよ。

 万が一断られて、勝手に詳しいこと調べられたら敵わない。

 フェイク混ぜてることもちゃんと説明して、信頼して詳しく話した顔でもしとかないとね。

 

 

 探偵ってのはホント、人の裏を探り当てるのが大好きなんだからまったく。

 

 

「実はとある警察関係者の男性が殺されまして、その娘さんが敵討ちに、同じく警察さんになったんですけど、彼はその弟なんですね」

「いきなりハードな話が来たね!」

 

 

 ぼかして言ったとしても、本堂くんの父親がハードな目に遭ってしまったことには変わりない。

 何が地獄って、その娘さんこそが原因で、潜入してた父親は死んだっぽい状況が…………

 組織での本堂さんについて、調べて探って、アタリつけた零くんの教えてくれた話である。

 

 

 実際に殺したわけではないのでは?と言いながらも零くんが言葉を濁していたのを見るに、気持ちの良い話ではなかったのは確かだろう。

 

「そこは詳しくは私も知らないのでご説明できないんですが、そのお姉さんが、どうやらミスったみたいで……お父さんを殺した悪い人たちに、彼女も狙われるようになってしまったとか」

「それは大変だ」

「それで事故を装って命狙われまして、幸い一命は取り留めたんですがしばらく身を隠していて……ほら、数日前に杯戸町で事故騒ぎがあったでしょう?」

「ああ。あれにはボクも参ったよ……」

「あれで居場所がバレてしまって、彼女、急遽高飛びする羽目になっちゃって」

「それは……」

 

 やれやれ、と手の平を上げて肩を竦めて見せる。

 

 真純さんは難しそうな顔だ。

 真意を測りかねてる……的な?

 

「元々は、“毛利小五郎”への依頼だったんですよ。『弟の保護をお願いします』と」

「毛利小五郎?ああ、なんか最近日本で話題の……居眠り探偵だっけ?」

 

 惜しい!

 でも居眠りは事実だから……まぁいっか。

 イギリスで過ごしていた彼女は、こちらの名探偵についてはそこまで興味が無いそうな。

 実質工藤新一なのに……

 

「それで……実はこの弟くんのほうも、いなくなったお姉さんの事を探していて、丁度毛利小五郎の探偵事務所に来たんですよ。

 お姉さんは事故で怪我して身を隠していた頃だったので捜索中には私が彼から話聞いていて……」

「ん? 沖矢さんは毛利探偵の助手かなんかなのか?」

 

 おっと、そこ詰めてなかったか。

 

「お手伝いですかね。小五郎さんは、パソコンに弱いので、その操作のお手伝いでたまに」

「なるほどな!うん、ちょっと分かってきたよ。それであなたが見てたけど……彼が高校に通ってる時の人員が欲しかったって事だな」

「ざっくりとはそうなりますね」

 

 当初の予定ではその通りだったんだが、困っちゃうのはこの後。

 

「ただ、すんなりといけない理由が増えまして。そちらをご説明しますね」

「ウン。いよいよ問題点だね」

 

 話聞いてるうちに、椅子の背もたれに寄りかかっていた彼女が、体を起こして改めて、背もたれに肘突いて前のめり。

 キラキラと、興味津々と好奇心とを隠さない瞳が輝いておられる。

 

 

 なぁんでこの子、こんなに……

 秀吉から、ちゃんと『仕事の時は真面目だよ!』とか聞いてたんだが、来た時からずっとフレンドリー感出してきてるのなんなんだろう。

 真面目ではあるのに、立場としては雇用主と雇用される雇われ側の関係で、彼女は売り込みに来てる側なのにさ。

 

 ぶっちゃけ、あまり似てないのに秀吉みを感じて……私も絆されそうになる。

 

 懐いてくる従姉妹の姪っ子感が凄い……!

 

 

 人懐っこい犬猫はかわいいのは当たり前なんだってば!

 

 

 

 ■

 

 

 

 ひと通りご説明差し上げた。

 

「あー……つまり……今、彼自身はものすごく警戒してて、そのお姉さんの同僚さんも、彼の周りの監視は厳しめになってるんだ?」

「そうなんですよ」

 

 話を聞いた真純さんが、顎と口に手を当ててフーム、と思案顔。

 

 

 お姉さんを追っていた悪い人たちが、手がかり探してこの東都をうろついてる話と、お姉さんの“(エサ)”になっちゃうその弟くんの存在がバレたらまずいから、現段階はほとぼり冷めるまで警察さんが保護してる状態……ってね。

 

 色々と伏せられていた弟くんも、説明聞いてお姉さんが危なくなってしまうからと理解して、現在周りを注意深く観察してるタイミングだから、上手くやらないと、真純さんが警戒されちゃって、学校復帰後も会いに行けなくなっちゃうからね。

 

 真純さんは指を鳴らしてキメ顔をした。うわかわいい。

 

「まずは彼から信頼を勝ち取る必要があるってワケだな」

「そうですね……できそうですか?」

「任せとけって!ボクは見ての通り、あんまり女の子らしくはないからね。男子高校生相手でも、距離は詰めやすいんじゃないか」

「もしくは彼の友人2人から攻めてみても……ああいや、こっちはこっちで別のハードルがあるのか」

 

 蘭ちゃんや園子さんには、ラブコメの波動に弱い名探偵とそもそも恋愛に疎いけど愛情は人一倍……いや、人百倍な無敗の男がいるからな。

 ストーリーとしてはありえる。だが余計な波風はいらないだろ。

 

 人付き合いを計算しながらやってもらうなんて……しかもあの気難しくて激情家な本堂くんと、名探偵……更には家目当てで近寄る人間に対しては鋭くなるご令嬢までもがが目を光らせてる所で!

 もし私なら、絶対に無理だな。保って1日、それ以上は裏探られて終わるだろう。

 

 のらりくらりとか、私できないもの!

 

 それこそ橋波さんやあむぴみたいに、もっと早くから潜り込んどけば『でも赤井が死ぬ前から居たしな……ほな違うか』のコントが出来るから良かったんだけど、私の決断が遅くなってしまって、事態が動いてからの投入となってしまった。

 どこの陣営からも疑われちゃう羽目になっちゃって……ホント……申し訳ない。

 

「私の依頼……どうされますか?」

「えっ?」

 

 恐る恐る、彼女の顔を見たのだが、思いの外あっけらかんとしていてこっちもあれれと首を傾げることになった。

 

「その……もう受ける気満々ってか、もう受けてるつもりだったんだけど」

「……それはよかった」

 

 彼女はやる気を表現するように、また胸を張ってドンと拳で叩いている。

 うーん、頼もしい。かわいい。

 

 まずい、彼女がオタクに優しい友情強めな女子高生の距離感で迫ってくる……そういうの、誤解されるから良くないんだぞ君!

 

 

 私は、ベッドの上からではあるが、可能な限り頭を下げた。

 

「ご協力感謝します、真純さん。……どうか彼をよろしくお願いします」

 

 多少なりとも私のまじめな態度に、真純さんが慌てて首やら手やらを横に振って、顔を上げさせようとしてきた。

 

「おいおいおい、あんまり気にしないでくれよ!大袈裟だなぁ!

 ボクだって、やりたいことがあったからイギリスから来てるんだし……50:50、お互い様だろ!」

 

「なっ!」と、また八重歯見せてニッカリと満面の笑顔。

 うーん、まずい。ここまで強力な妹力を持つ相手だとは……

 

 事前に情報探って来てたし、もっと腹芸というか、素直に一筋縄では行かない相手を想像してたから、ここまで協力的で理解があると、こっちもほだされちゃう。

 

 

 

 

 だって秀吉の妹だぞ!良い子に決まってるだろ!

 

 

 






真純“ちゃん”と呼ぶまで秒読みですかね

意外と気に入ったらしいです



読んでいただきありがとうございました!

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