昴くんはなにもしない 作:あまも
誤字脱字報告ありがとうございます!
漢字や言葉の間違いが多いですね。ふいんきふいんき言ってるせいかな。
しばらくコナンくんが出てこないかもしれませんって言おうと思ったら結構しばらく出てなかったですね。
閲覧ありがとうございます!
怖ぇよ……
怖過ぎるよ…………
アメリカからの帰国の飛行機は、外の景色なんて見てる場合ではなかった。
夜景とか楽しみにしてたのに……機内食も喉を通らないし、眠れもしなくて……終始震えて、青ざめていた。
CAさんたちは、私が飛行機が苦手でそんなことになっていると思ったのか、かなり声をかけてくれたし様子を見に来てくれた。気遣いは嬉しい。すごく嬉しい。
ただね、申し訳ない、飛行機は好きなんだけど……
れーくんから……降谷 零からお怒りの呼び出しを受けてしまって……!
降谷 零は私の友人で、私が大怪我で病院に入院していた頃に出逢って以来、友人関係……の、はずなんだけど……
初めて会った時にちょっとからかってしまったからか、私とのやりとりに容赦がなくなってしまって、なにかとすぐ喧嘩になってしまう相手である。
それでも優しい奴だから、私のことを心配してくれてるというのはわかるので。心配からくる怒りなのは分かるので……
…………だってあっちもあっちで秘密主義っていうか大事なことなにも教えてくれないし弱いところ見せてくれないし……あっちが心配するほど私は別に弱くないし……
そんなわけで、私に対して零くんが怒ってるのはいつもの事なんだ。
ただ、今回の……あの電話の有無を言わせない時の怒りはまずい。100:0で私が悪い時の……事実と正論で押し潰して来る時の……頑固親父降谷の時の怒りだった。
やだぁ……覚えにないのに悪いことした覚えしかない……
あれは悪いことだったのかもしれない……いやあっちはひょっとして悪いことなのか……?
悪いことってなんだ……?人を殴るのは悪いことなんだからアイツも悪いことしてるじゃないか……
わかんないよォ!
■
他のお客さんやCAさんに心配そうにされつつ、フラつきながら私は日本の地を踏んだ。
致し方なし。
腹括って着信履歴から電話をかけると、留守番電話サービスになったのでとりあえず日本に無事到着した事と、お土産を配り終わったら家に待機しておく旨を吹き込んでおく。
会話しなくて助かった。怖いわぁ……
早速、毛利探偵事務所と阿笠さんに、お土産を届ける。クリスさんからおすすめされて、有希子さんから太鼓判もらった、クマの形のグミの箱詰めを預けてきた。蘭ちゃんと新一くんには青リンゴ、小五郎さんにはドンペリ、阿笠さんにはロゼワイン。
新一くん曰く、私のいない数日の間に色々あったらしい。
高校生探偵が探偵事務所にきてたり、
一度大きく戻ってみたり、
テレビに出てたり。
……服部くんがきて、未成年飲酒キメたのか……
いよいよ身を隠したいのかどうなのかハッキリして欲しいところだな。小五郎さんと犯人がインパクトを掻っ攫ってくれたとはいえ、お前テレビに出るとか……SNSが蔓延してなくて良かった。
世が世なら切り抜かれてgifがばら撒かれてたぞ。
そして小五郎さんが語る程度には、一般にも携帯は出回っているらしい。
悩みの種は尽きないね。
…………さて。
……覚悟決めるか!
この沖矢、逃げも隠れもせぬ!来るなら来い!
そう気合いを入れて、自宅の上がり口の所で正座で待機しながら夕飯の野菜スティックをポリついていたら、スマホに着信が来た。
来たわね降谷 零。
――――と、思っていたのだが……、その名前は意外や意外。
なんだろう。出るか。
「もしもし、どうしました?」
『どうしましたじゃないよ、お前、帰ってきてるんだろ?!あの別荘、ヤバいぞ!屋根裏部屋に死体だ!』
「ああ、見付けましたか。さすがですね」
阿笠さんの伯父の屋敷の再調査を頼んだ友人だった。
私の期待通り、ちゃんと見付けてくれたらしい。……というか普通にノーヒントで見つけてくるのすごいな。こちとら多少屋敷の主人について知識のある阿笠さん連れていてもわからなかったのに。
『おま――お前!死体があるのがわかってて――』
零くんを怒らせて困ってるっていうのに、こっちの友人まで声を荒らげておられる。
なんてこった。困ったな。彼は、普段は朗らかにこやか爽やかにお花飛ばしてるような人なのに。
…………通話の後ろが、やけに騒がしい。
聞き覚えのある音である。独特な……エンジンの排気音と……スキール音。
おい。随分景気よく回してるじゃないか。
「予想はしてたんですよ。でもそこに行くための手段がわからなくって。ところであなた運転中じゃないですよね?」
『確かに、なんか暗号はあったけど……いや違くて!運転中だけど、それどころじゃないんだよ!』
「それどころじゃないではなくてですね。あの車かわいいんだから無理させないでくださいよ。だいたいあなた、運転中に通話なんて注意力散漫で事故りますよ。警官に捕まったら困るのはあなたなんですよ。【運転中 必要ですか その電話】です。路肩に停車を勧めます」
『だーーーっ!良いから聞けっての!お前、あの別荘!!人が――――』
ピンポ――――ン
気の抜けたチャイム。そして鍵を閉めていなかった扉のノブが回る。
あっやっべぇ、本物来ちゃった。
通話終了ボタンをタップ、スマホを野菜スティックと一緒に廊下脇に寄せて、居住まいを正す。
玄関に向かい正座した上で、手のひらを床に付け、額が床に付くまで伏せ、しばらくその姿勢を保つ。
やがて、扉が開き………人の気配がそこに。
「……土下座はまず相手より低い位置で正座をする事から始まる。よって、お前のそれは土下座ではないぞ」
朗々とした声。内容がスっと頭に入ってきた。
「えっウソっご」
「謝罪相手がよしと言う前に顔を上げることも間違いだ。そもそも謝意がこもっていない」
上げてしまった頭の上に硬いものがあったらしく、自分から頭をぶつける形で強かに打ち付けてしまった。
頭をおさえつつ見やれば、手刀の形にした手をそのままに、呆れた顔をしている黒ずくめの零くんが目の前に。
「な、殴ることないじゃないですか」
「みんなお前が悪いんだよ昼行灯め」
そのままズカズカと我が家が如く上がり込み、私の襟首掴んで引き摺る握力。調理前のアヒルかな。
ええい理不尽イケメンゴリラめ!
フローリングまでキレイにしてて良かった。私で雑巾がけする羽目になる所だった。
小姑のような零くんに、ツーってやってフッてするアレをされないよう、帰ってきてから頑張ってキレイにしたからね。
部屋に入り、私をペイと部屋の中に放り投げて、黒キャップに黒いパーカーとチノパン姿の金髪色黒男はぐるりと人の部屋を見渡して一言。
「……物が無さすぎる。逃亡中の犯人か貴様」
「何を失敬な」
部屋にあるのは備え付けの家具一式。キッチンまわりと寝具は結構充実しているけれど、部屋そのものには特に何も置いてないからね。
「盗聴・監視対策は」
「そこはバッチリです。妨害も出してます」
「座布団」
「ああはいはいはい」
普段お客様とか来ないから座る所なんて考えてなかった。
引っ張って来たクッションを渡していざ座卓囲んでお話かと思いきや、座卓をわざわざ除けられて、膝突き合わせて座らされる。怖過ぎる。
「えー、と……れーくんお久しぶりです」
「ハル。ひとまず元気そうでなによりだ」
だが第一声がそんなで、私のよく知る、言葉はキツイけど心配してくれてる時の零くんだったのでちょっと安心してしまった。
「れーくんも元気そうでよかったでs」
「で、謝ってきたからにはなんで怒られるか心当たりがあるんだろう」
そんなことも無かった。心理的な緩急の差による油断を誘う戦略である。
心当たり……心当たりなんてそんな……
「部屋を1つ余計に借りてることですか?」
「あれ倉庫だろ。無駄金だとは思っているが、それじゃない。レンタル倉庫とか、そもこんだけこの部屋が広いなら、こっちに置けばいいじゃないか」
「あれは阿笠さんからのいただき物を置いておくところですから。今後増えるかもしれませんし……実際増えてますし。発明品とか、普段使いません」
「たしかに雑多に物が散らかっていたな」
︎︎見てるぅ……人の部屋見ないでください……
「あとは……郊外の屋敷を秘密基地にしようとしてることとか……?」
「お前持ち家なんかあったのか?」
「最近手に入る予定が出来まして……」
「家を買えるほどの資金はどこから?」
「企業の方々と阿笠博士の間を取り持つ仲介や、私の方でも企業の皆様のデータ収集、データベース制作のお手伝いをさせていただいております」
「データ収集はどういったものを?」
面接かな?
てかそこら辺知ってるだろうに聞いてくる……ってことはここに零くんの怒りの原因があるんだね?
「あまり企業様の秘密に触れる内容は……ああ今更……はい……人材募集の際の、提出書類や内容の精査、過去にしていた事、本人の精神性、隠している事がないかの確認ですね」
昨今の文明レベルではちょっと難しい事もあるが、かつてのような情報化社会だった頃は良くやっていた。アナログってやっぱり大変。
探偵まがいということなかれ、存外これが中々大事。
結構いるんだよ、掲示板とかに面接官の悪口書きまくったり、上司や部下の事好き勝手言いふらしたり、実際本当にやらかしてるのを隠してる人。
誰が言ってるかわからないからって誰が見てるかわからない所に個人情報出すの止めようね〜!
最終選考まで行った連中で特に怪しそうと企業側が目をつけた連中だけ、かつ様々な所に分散して依頼しているようなので、数はそれほど多くはない。
企業としても、面接なんて取り繕ってなんぼの世界だが、きれい事言ってる裏があまりにも目に余るような人物だったら、一緒に働きたくはないだろう。
「……最近やった仕事は?」
「あー、そちらも精査ですね。2件で、どちらも友人からの依頼です」
ひとつはマジシャンの真田くんから。彼の人生的な意味での大先輩が、得意なはずのマジックで失敗したのが引っかかるとのことで。
老いた身では難しいだろうそのマジックを、わかっていただろうに挑戦した経緯を知りたいと。
本人的には、老いても尚健在であると証明したかったんだろうし、相当念入りな準備と用意、そして万が一の緊急事態にも備えていただろうに何故? という気持ちだったようだが……
……まぁ、匿名性って怖いよね。
掲示板の書き込みに対して、健在を証明したかったのは当たり。
けれど、彼は準備の時間と、自分の老いを正しく認識できていなかった。
どれだけすごい技術があっても、自分の力量の見極めは大事であると、真田くんは神妙に受け止めていたので……今後ともお互い頑張ろうな!
ところでお前顔良いけど怪盗キッドじゃないよな!たぶん正体は新一くんとクリソツな少年だったはずだから……大丈夫だと思うけど……
なお、真田くんにはその件の後の書き込みは見せていない。あれはネットの良くある良くないところだからね。
………………そういや、最近の書き込みでオフ会やるとか書いてたな。…………………………動機を先に見つけてしまったやもしれん。
あと依頼のもう一つは…………あ
「え、まさか……コレですか」
「……お前」
ノートPCのケースに入れていたFDDから取り出した白いフロッピー。その白色に紛れて貼ってある白いステッカー。
「なんでよりによって白いツバメなんか……」
「カラスですけど」
「白い雀なら瑞兆だったな」
「カラスですって」
呆れ顔で人の話を聞かない人だな。
「お前、あの女に何を依頼されたんだ」
「あの女……クリスさんですか? クリスさんの依頼は、女優仲間に言いよってきた、ルポライターの男の精査と、知り合いでプログラミングが得意そうな奴はいないかという話でした」
だからあのフロッピーディスクには、男の精査結果と、知り合いで声掛けたうち、金稼ぎたそうに……暇している……仕事を探している人達の連絡先をまとめたものをぶっ込んだのだ。
以前、色々まとめた5件ぐらいの精査結果をひとつにまとめて渡したら「重くて開けなかった」などといわれてしまったので、かなり容量に気をつけてみたんだけれどどうだろう。開けてるかな。
「2つ目は一旦いい。1つ目の方」
「えーと……ちょっと待ってくださいね」
そっちか。男の情報は、たしか他所に見られても良いように、簡潔に結果だけまとめたんだっけな。
「ブレット・ヒュー・チャリス。掲示板の使用は無し。他者からの情報無し。情報機関での映り込み無し。よって性格判断不可。
記載住所誤りあり、住所変更済み、公式的な情報無し、添付写真の骨格、治療履歴、一部身体情報に同一性のある個人あり、該当名なし、よって変装の可能性あり、記録改竄の形跡あり、要調査の必要あり……で、
身分を偽った悪い人の可能性あり、と伝えましたね」
なんだい零くん、そんなデカいため息ついて。
片手で顔を覆い、胡座をかいていた膝に肘をついて酷く肩を落としておられる。
そうしてそのまま、ぽつりとひと言。
「そいつFBIだぞ」
「えぇ?女優のストーカーが?……あ、この女優の方が調査対象ってことですか」
「違う。組織への潜入を試みていた潜入捜査官だった」
「――――――はは…… そんなまさか」
私が笑い飛ばしてみせると、やや俯いた零くんの雰囲気が変わった。
黒キャップのつばの所から、いつもと違う目が覗く。
お、これがもしや記憶の中の友人がキャッキャしてた、バーボンモードってやつか。初見です。
「その結果を元に、彼の追加調査を行うのが僕のアメリカでの任務だったんですよ」
あー、だからアメリカに居たんだ。
口調変わった零くんって、なんか誰かに似てるな。この食えなさそうな、人の事からかってるような不遜な感じ。
新一くんはこれくらい生意気だけど、違うし……誰だろう。
どうしたんだい、さっきよりデッカいため息つくじゃないか零くん。お、降谷 零に戻った。困ってる?
「……ハル。頼むから、もうちょっと真面目に話を聞いてくれ」
「こちとらすこぶる真面目なんですけど」
むしろ話聞かずに勝手に話してるの零くんのほうじゃないか。
自己完結するなっていつも言ってるでしょうに!これだから天才共はよォ!
……はいはいわかりましたよ、ちゃんと考えながら腰を据えて話せって事でしょう。
こういう時の零くんと、真面目に話しようとすると、私、喧嘩腰になるから嫌なんだけどなぁ。こっちもため息出ちゃうよ。
「……わかりました。ここからは本音でいきます。いつも通り、話せること、話せないこと、話したくないことはありますのでご了承ください」
私の知っていることなんてほとんどは話せることだけれど、私の“私”としての記憶関連だったりの話したくないことはある。ここで引っかかると話が進まないから、そこを詰めるのはNGというのは昔からのお約束。
零くん自身も、自分の家族については「話したくない」としているからこれお互い様ね。
……景光くんだけは、できるかぎりの全部を教えてくれてたんだっけね。
「ではまず……れーくんが気にしてるのは、私が組織と繋がっていた事がわかったからですか?」
「ああ。お前、あの女が組織の人間だとわかってたのか?」
「確信したのは今回でようやく、ですね。最初の出会いからしばらくは、そんなこと考えたこともありませんでした。怪しく思うきっかけは……」
流石にシャロンさんとクリスさんが同一人物となったら、多少怪しくは思ったものの、逆に初めて会った時点で、クリスさんが何らかの事情で母を装っていたのだとすれば、うん。有り得た。
でもさすがにね。
「工藤新一が死亡したという情報は本来どこにも出回っていません。それは殺した側の人物しかわからない」
「おい。おい待て。」
ここでバーボンストップ。まだ疑惑の確信がどこか話してないでしょうが。
……あ、違うな、素直にビックリして目がキュってなった降谷零だこれ。
「工藤新一、って、工藤先生の息子さんだろう。……殺されたのか?」
「あれ、れーくんの所に情報来てないんですか?バーボンさんは探り屋なのに……組織ではウォッカって人と一緒にいたジンって人が殺した事になっているはずですが」
「ハァ?!待て待て待て。お前、ベルモット以外の幹部の名前まで知っているのか?」
「ベルモット……あー!クリスさんがベルモットさんだったんですね、なるほど!」
「なんでそっちは知らないんだ!」
ふふ……久しぶりに見たけど変わってないなぁ零くん。
でもビックリしてる所悪いけど、ここ話したくない記憶関連ポイントだからどうしよう。
つい思ったまま喋ってしまった。本音すぎたな。
……めんどくさいから新一くんが情報拾ってきた事にしようかな。そのうち知るでしょ。新一くんだし。
このあと滅茶苦茶舌戦した 喧嘩はカットします
キャンティとかコルンは知らないけど一般人に目撃されている狙撃手がいたらしい事は知ってるくらいの記憶です。
観てる映画と観てない映画がありますが、完璧に覚えているのは摩天楼とベイカー街だけらしいです。
読んでいただいてありがとうございました!