昴くんはなにもしない 作:あまも
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それっぽいけどなんか違う話ですが、ノアズ•アークのいる世界だから有り得ないことも有り得るんだと思います。そういう話です。
やっと名前出る〜
閲覧ありがとうございます!
そんなわけで、零くんと喧々囂々やんややんやと事の経緯をお伝え申した。
「では気を取り直しまして」
「勝手に話を変えるな。とにかく、この件で一旦まとめるぞ。
まず現在のお前の状況としては、工藤先生の息子さんの手伝いを第一目標としているんだな。
その工藤先生の息子さんが、組織の事件に首突っ込んで危ないことになってしまったため、慌てて阿笠博士を頼った結果謎の薬品によって身体が縮んで、現在小学生として過ごしながら……組織について……調べている…………
で、本当に合っているのか?本気で?」
「本気です。マジです」
信じられないかもしれないがマジである。工藤新一は江戸川コナン。これこの世界の真理。沖矢嘘つかない。
阿笠博士が薬品作ってる?……嘘ついたかもしれん。
や、だってそのお薬の事よく知ってそうなベルモットと、バーボンって結構組むらしいから、それを匂わせてしまった日には情報の出処を探られてしまって無い腹モゾモゾかもしれないし……そんな零くんに話すの、良くない気がして……
「……俺からなにかする必要はないんだな?」
「はい。新一くんことコナンくんは放っておいたら勝手に動いてしまうので、見かけた時に困っていたら助けてあげてほしい、という程度です。
……もちろん探ってもらっても大丈夫ですし、彼の力を借りても大丈夫。あなたが良い人だと見れば喜んで“お手伝い”してくれるでしょうね」
「いくら工藤先生のところの子でもな。力を貸してやる……手伝いはしてやるが、子供の力を借りるは警察官の名折れ。怠慢だ。…………なんだよ、何か言いたいことでも?」
ふふん。そんなことを言って……いずれわかるさ、いずれな……という気持ちでにこやかに見ていると、またため息。
上を向けと言うので上をむく。
うん、天井だ。はめ込みのライトカバー。
「下を向け」
「は ィごッ」
顎に何か硬いものがががが!舌噛むところだった。石みたいな拳を私の顎の下に伸ばしていた零くんが、むっすりしておられる。
些細なからかいじゃないですかぁ。
いずれこの零くんは、観覧車の上ではしゃいだり、大胆な告白したり、監禁されてるとは思えない態度してたりするんでしょう?
妙な意地張ってないで、せいぜい彼と仲良くしておくが良いのである。
「それで……お前の監視をベルモットから命じられたわけだが。元々監視には気付いていたな?」
「ええ。これでもサワダヒロキくんの友人です。樫村さんの次に、彼に信頼してもらっている立場の人間である自覚はありますからね」
「それだけじゃないだろ」
「……ハッキングの件ですか」
新一くんにはしていないと言い張って来たが、流石に本職の方の前である。
ごめん。 ちょっとやってます。
しかも名義的にはこの公安所属警察官 降谷 零氏の“協力者”という事になっている。
……いうて零くんと協力者関係になったの、私が大学留年確定してやけになって大暴れしてた頃からだけど。
その前とか、もっと若い時とか、ちょいちょい調子に乗ってやらかしてたりする。
彼は私のやらかしが逐一報告されるし、私も彼の安否がわかるし互いにWinWinな関係……
だったはずなんだけれど、彼は全然私を使わないし、私も彼に迷惑かけられないのでそう簡単にバレるような所は狙わなくなったから、お互い抑止力として働いて……
いや、零くんの抑止力でもなんでも無かったな。私が控えていただけじゃないか?
…………良い子にしてたよ!
「それだけじゃないだろ」
それだけじゃ……ない?!
「えっ、うそ、他なんて何かありました?……ええ?なんでしょう……すいません、思いつかないです」
組織から監視されることになった理由とそもそも監視されていることと関係がある……教授が何かやったか?それとも、……ノアズ・アークか?
「
「あー……」
そっちか〜
良かった〜〜
別にあれはそれほどヤバくはない。それならノアズ・アークの方がよっぽどヤバいと思うけれど、私のことを他の人より知っていて、かつ裏も表も情報戦の最先端で戦ってる彼ですら
まだしばらくは情報合戦は勝てそうだな。
Nebulaはもう存在しないし、作り直すのも時間がかかるからね。いくらでも話しちゃう。
そしてノアズ・アークから目を逸らしてくれ。
「良いですよ。お話します。ちょっと長いですから、お茶でも飲みながらどうですか?未開封の緑茶か、天然水がありますが」
「緑茶で」
「了解しました」
キッチンの床下から常備の2lペットボトルとグラスを2個、片方に氷も入れて持っていく。
私がお茶を取りに行っている間、零くんはジッと、胡座の膝にそれぞれ肘を突き、組んだ手の上に顎を乗せて考え事をしていた。
きっと、工藤新一についてやクリスさんと私の関係などについてを整理しているんだろう。
……真面目な話するの、苦手なのだが。話題が話題だし。
さて……どこからどこまで話したもんかな。
■
「Nebula……正式には
かつて、検索アプリで可愛いキャラクターがオタク向けな情報を個々人に合わせて持ってきてくれるやつあったけど、それを思い出しながら自前で組んだ。
この世界ではノアズ・アークというファンタジーにどっぷり突っ込んだトンデモプログラムが作れることも知ってるからね。
あわよくばあんなものを、と目指したわけだ。
ノアズ・アークはヒロキくんの分身。ってことで、私も私の分身を作ってやろうとしたのだけれど……色々と足りなかった。資金も、ストレージも、情報資源も、私の技術も。
あったのは阿笠博士の超技術による性能の良いPCだけ。
私の丸写しのはずのソイツはただの出来の悪いプログラムで、天才の真似を私がやってもこんなものかと、酷く落胆してしまったのを覚えている。
もしくは、私を写したから出来が悪くなったのかと。
結局、まともには動かなかったから……増やしたのである。頭が足りないのだからと、頭数を増やした。
「私が求めそうなものを、私になりきって探しておいて貰う、みたいなものですね。
けれど、全てを一つのプログラムにやらせようとしていたのですが、それだと情報量が膨大すぎて、収集が間に合わなくて。そこで、情報収集の最適化を図るために、担当を区分けすることにしました。そこからデータの選別や、予測まで手が回らず更に区分け……そうしてモジュールを複数作りました」
様々な、莫大なデータの選別と提供にも問題が出てそこも分けて。今度はあまりにも扱うデータと動かすプログラムが膨大で、普通のPCでは動かせなくなり、必要な時に必要な部分だけを起動する統括システムを設計。
「各モジュールには、私の友人の性格モデルを起用しました」
「………………ん?」
ふんふんと、緑茶を口に含みながら頷いていた零くんがここで眉根を寄せた。
「最終的には7つのモジュールに細分化の予定でしたが、試験的に統括を『れーちゃん』、選別を『みっちゃん』、予測を『かっか』と大まかに分配して試験運用を開始したんです」
工藤氏がこの7つのデータに分ける、という構想を聞いて、「では七姉妹か」とか言うので驚いた。女の子では……ないよ!
「れーちゃんって、どういうことだ?」
「『れーちゃん』は、Nebulaのモジュールの一つに与えた……れーくん、あなたの特性を参考にした個性モデルです。システム全体の“統括”と“整合性の管理”を担当していました」
持たせた基本特性は真面目で、規律正しく曲がったことを嫌う性格。情報の正確性やモジュール間の連携を監督する。零くんのような、冷静な判断力と洞察力をプログラムに実装したものである。
……まぁ、あの頃は学習不足で、当時のランドセル姿の零くんくらいのクソガキ……かわいらしい性格だったのだが。妙に生意気でずる賢かったっけな。懐かしい。
ああ、零くんの目つきがどんどん悪くなっていく。彼も彼で努めて怒りを抑えて、話聞こうとしてくれてたんだろうに。
「……つまり、なんだ。お前、勝手に人に似せたものを……人格を、プログラムに作ったのか」
「……勝手に参考にしたことは、すいません。ですが、それは違います。人格を作ったわけではありません。あなたの『情報に対する姿勢』や『判断のプロセス』といった思考の特性を、アルゴリズムに応用したのです。プログラムとしての安定性を保ちつつ、より人間的な使い心地と最適な情報提示を実現するためのアプローチです。感情を持つ『人格』ではなく、あくまで『情報処理パターン』のモデル化です」
私は、モデル分けは人間のような感情や意識を持つ人格をAIに与えようとしているわけではなくてだね。
それでは、プログラムとしての安定性や予測可能性を損ないかねない。
私が目指したのは、膨大で多様な情報の中から、ユーザーが何を求め、どのように情報を解釈し、何に優先順位を置くかを、より正確に考えること。
例えば零くんなら、ある情報に接した際にまずその真偽を疑い、複数の情報源と照合し、矛盾がないか徹底的に確認するはず。そして、全体の中での位置づけや、それがもたらす影響を冷静に分析する。そのような情報に対する姿勢や判断のプロセスを、アルゴリズムとして落とし込んだ。
それを私は性格としている。
元は私だからね。考え方を与えただけだ。
……多重人格?確かに!
……いやちょっと違うか?
『れーちゃん』は、その中でも特にシステム全体の正確性や整合性を保つという、非常に重要な役割を任せた。
零くんの持つ、規律を重んじ、細部まで見通し、必要な情報を集める能力、そして物事を俯瞰して最適な状態に導こうとする特性は、統括モジュールとして理想的だった。
……人って判断されたのがまずかったかなぁ。零くんの眉根がシワッシワである。睨まんといてください。
「……確か、Nebulaは何者かに抹消されたんじゃなかったか。その時、そのシステムだった俺たちはどうなってる」
「ですからあくまでパターンであって、彼らは人では……いえ、はい……その通りです。『
ということになっている。
…………私の予想だと、『闇の男爵』は攻撃ではなく防御だったんじゃないかと思っている。
あの直前に色々あったし、それについてを私が知りたがったから、“
未だに、
だって、『闇の男爵』を組織がセキュリティとして使っていて、使われたらデータが全て抹消されることはあの頃でもわかっていたのだ。
そこに自分から突っ込んで行ったなら、それはほとんど自殺だ。
でも、ただのプログラムが自殺するわけない。私の命令が何か妙に伝わったんだろう。
ヒロキくんやノアズ・アークにそこら辺ぼかして聞いても、生暖かい目で見てくるだけだからさぁ。天才共め。
「それは、倫理的にどうなんだ。少なくとも、今俺は不快に感じたが」
「……それは……れーくん、あなたの不快感はもっともですね、深くお詫びを。プログラムの機能性ばかりを追求し、モデルとなった皆の特性を、単なるデータとして扱ってしまった私の倫理的配慮が欠けていました。あなたの感情を軽視した私の過ちです」
本体は私だとはいえね。性格真似させてましたなんて言われたらやだよね。
プログラムの中で人格として存在していたわけではない。しかし、自身の思考や特性が、本人の意思とは無関係に、一つのデータとして扱われ、しかもそれが消滅したと聞かされれば、不快感を覚えるのは当然のこと。
「ちがう、そこじゃない。データだとしても、そこには俺が、俺の性格を真似たデータや、ヒロや、他の人物を真似たデータがあったんだろう」
「ええ、おっしゃる通りです。ですが私の言葉が足りませんでした。『データ』という言葉の裏には、あなたの知性がデジタル化された『れーちゃん』が存在し、他の友人たちの個性も同様にプログラムとして『いました』。
勝手が過ぎましたね。私の認識が甘かった。本当に申し訳ありません」
「だから、そこじゃないと言ってるだろう」
あれ、違うのか。というか、怒りだった零くんの表情が、なんか苦くて酷く……あわれなものを見たみたいな顔になっている。
憐れまれてる……ってコト?!
「……お前、最初に言ったじゃないか。『Nebulaは私に成りきって』と。個人の特性を真似るには、真似る前の特性の本体がいたんだろう。
俺はその分野に詳しくはない。でも人工知能とは学習させる必要のあるもので、お前は人の性格を真似できるようなものを作っていた。
お前が、最も手っ取り早く、一番良く理解していて、断りもなく好き勝手に加工させられる人間の思考データを、利用しないわけがない。
Nebulaはお前の、ハルのコピーか?」
おや。
なんでそれがひっかかるんだか。
「ええ、そうですよ。それを目指して作成しました」
にっこりしてみる。私だけど私じゃないのだが、私みたいなもんだからね。概ねはい、というやつ。
「…………なら、お前……今の話で、何か重要な、話してないことがあるな?」
えっ!? なんで気付くの?!
あっ、びっくりしたのを見とがめられてる!やめてやめて、こればっかりは本当に、深堀られると困るんだって!
零くん怒るとかの次元じゃないから!
■
零くんの推理はこうだ。
組織曰く、Nebulaは組織のデータを漁っていたのだと言うが、私はそれを命じてはいない。
……プログラムが暴走して制御不能になった、ウイルスみたいになっちゃったテヘペロの説明を、クリスさんは良い感じに報告してくれたらしい。
命じてないことを実行する人工知能は、ありえない。ノアズ・アークは1回座ってようか。
「お前は何を探らせていた?」
となるのは、なるほどたしかにね。
そして、私が組織についてを探させた覚えは無いのにそこに辿り着いているなら、私と、『闇の男爵』を持つ組織との繋がりは、
クリスさんか『闇の男爵』か、
そこに潜入捜査していた、零くんか、景光くんのこと。
その上で、探るなと言われ、友人がどこで何してるかを知らされなかった私がやりそうなことといったら?
「『私じゃない人に探してもらえばよくないですか?』とか、考えたんだろう」
オッオワ――――ッ!!
見事だ降谷 零――っ!
「わあ……よくぞここまで……」
「正解か。クソ……何のために隠してるのか考えろこの馬鹿」
「情報漏洩には気を付けてますよ」
話す相手は選んでるからね。
ため息つきっぱなしだな零くん。呆れてばっかりだな零くん。
ごめんね不甲斐ない友人で。
「そのデータも消えてるんだから今更か。
……ハル。以前も聞いたが、お前がNebulaが消されて落ち込んで傷心旅行していた頃、ヒロから何か連絡は無かったのか?
探していたなら、ヒロについての情報を見なかったか?アイツは、ちょうどその頃に、行方不明になって……」
「……」
しょぼんと、難しい顔をする零くん。未だに連絡の無い景光くんの事を探しているらしい。
景光くんと私が、ほぼ同時期にいなくなった時。零くんは大慌てで、潜入捜査の事もなぁなぁで、必死に探してくれていた。
私の方は、まぁ、Nebulaと大学留年でヤケクソ傷心旅行だったわけだが。
……やっぱり、原因ってあれだよね。
いや、ホント。ごめんね、不甲斐ない友人で。
「……彼は……」
「! 何か知っているのか!?」
いや私が話せることは、大体みんな零くんも知っているでしょうに。そんなに目を輝かせて、些細な手がかりでも欲しいと。
グゥ……胸が痛む……
と。
玄関の方から、何かの振動音がして来た事に気付き、私も、零くんも動きを止めた。怪訝な顔の零くん。
一方の私、まずいことに気付く。
スマホ、置きっぱなし……ってか、振動し続けて野菜スティックの入ったカップに触れたから、音が大きくなったのか!
「まずっ!」
「は?待て、逃げるな!」
慌てて立ち上がろうとしたのを、零くんに止められてしまう。今それどころじゃなくて!
本来、もっと早く連絡しとくべきだった!
最悪、かけられた電話に拒否なり通話なり返事出来ればまだ良かった!
扉が蹴破られた音。土足で駆け込んでくる音。零くんが、その音に臨戦態勢を取り、腰に手をやる。
「ハル!!!無事か!?……って」
駆け込んできて、銃のようなものをこちらに向けるのは細身の男性。
月影島から帰ってきて以来に見るその顔は、よほど慌てていたのか、いつもセットしている前髪が乱れて、彼の特徴のある目元がよく見える。
零くんが、腰から抜いた銃を取り落として、その重い音が、静かな部屋に良く響いた。
「……ヒロ?」
オ"ァ"ァ"ーッ!
不甲斐ない私ですまない!本当にすまない!!
喧嘩するかと思ったら喧嘩しなかったですね
予定では降谷さんが投げ飛ばしてたんですけど
このサブタイトル、プー太郎みたいに見えますね
読んでいただいてありがとうございました!