昴くんはなにもしない 作:あまも
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お返事遅くなることはしばしばありますが、どうぞ消さずにお待ちいただければと思います。なるべくお返事頑張ります。
閲覧ありがとうございます!
私の車は普通のATの乗用車だ。
普通の、ではあるが、SUVなので確かにちょっと大きいサイズではある。
問題は、この米花町という街中……あまり、こういった大きな車が多くないので、地味に目を引くらしい、という。
おかしいな、田舎とか……それこそ群馬とか東北方面に山登り行くとそこら辺にポロポロ落ちてるのに。
車体の色も赤なので、更に目を引くんだろう。昔から、交通違反で捕まるのは赤やら派手な色した車が多い。ただでさえ目を引くからね。しかたないね。
結果、路駐とかを私の車でやると……目立つのだ。人の記憶に残りやすい。
私はこの車……SUBARUのフォレスターのことは大好きなんだけど、これだけはいただけない。
私は物は使ってるうちに愛着が湧くタイプの人間なので、車体の色なんてなんでもいいやと思って有希子さんに希望を聞いたら『昴ちゃんは絶対赤!』と言うから赤にした……ら、こんなに目立つとは思っていなかった。
レッドパール、夜ならそうでもないんだけど。
だから交通違反はしない。速度超過もしない。
最初この車に変えたばかりの頃に、色々あって法定速度26km/h超えてしまって、切符切られて以来違反は無い。あの時は……うん……
ともかく。
この車が私の車である、というのは、知り合いには共通認識なのだった。
コンコンと、窓をノックされ、そちらに顔をやったら、ニコリと晴れやかな笑顔。
「やっぱり沖矢さんだ」
「……蘭ちゃん。…………えっ、なんでここに……?大学……?」
帝丹大学祭にて。友人に、お前デカい車持ってたよなぁ!と、物資搬入の足にされ、ついでに一緒に回ろうぜと誘われ、人混みに疲れて車で座席を倒して顔にパンフレット被せて寝ていたら、窓の外には蘭ちゃんの姿が。後ろには園子さんの笑顔もある。
慌てて扉を開けると、こんにちはと明るい調子でご挨拶されたので、……ええと、おはようございます。寝起きでちょっとすぐには頭が回らない。ここ、大学だよな?
「私たち、サスペンス物の面白そうな劇が大学祭でやるって聞いて来たんです!」
「ガキんちょも誘ったんだけど、来なかったのよねぇ。せっかくあのガキんちょも好きそうな話だったのに」
「ははぁ、それはそれは」
ああ、そんなのやってたっけな。『俺達に朝はない』だったっけ。
「それで、見覚えのある車が停まってたので沖矢さんだと思って」
「アタシは大学は大学でも違うんだから、違う車でしょって。でも蘭が絶対そうだって言って聞かないんだから……じゃあ確かめてみましょってなったのよ」
「ホー……」
たいへんアグレッシブだこと……
そういう行動、普通に事件に繋がることもあるから私はとてもできないよ。怖いし。
今回はちゃんと私だったから良いけど。
「あまり知らない人の車にちょっかい出さないように気をつけてくださいね。たまに、素手で触るな近寄るな!って怒る人もいるんですから」
「えへへ。はい」
「気をつけま〜す」
はい、よろしいお返事。車好きの人の中にはそういう所、神経質な人がいるのは間違いないからね。気を付けるに越したことはない。
私の車のナンバーはすの9876なので、覚えておこうと思ったら覚えやすいものだし、彼女たちなら今後早々間違えたりはしない……と、思うが。
「沖矢さん、どうして帝丹大学に?」
「友人に誘われましてね。……お2人は、もう劇は観てきたんですか?」
「あ、これからです!夕方から始まるんで」
「そうだ、沖矢さんも良かったらどうですか?」
それはそれは。
可愛らしい女子高校生2人に誘われて、断る理由も無いだろう。
「では、ご一緒させていただきましょうか」
あと普通に、大学の女子に餓えてる男もいる所に彼女たちを送り出すのはちょっとね。
車から降りると、園子さんは無性に楽しそうにはしゃいでいる。そもそもこういうお祭りものが好きなんだろう。鈴木相談役をはじめ、派手で注目を集めるのが好きな人達だからな。
にしたっても楽しそうというか、嬉しそうだが。
「あ、沖矢さん、今日はキッチリしてる日なんですね」
「ああ……そうですね、お祭りなので。裏方なんだから別にどうでもいいだろうと言ったんですが、友人からシャンとしてこいと怒られまして」
キッチリしてる日て。蘭ちゃんてば、まるで私が普段はキッチリしてないような事を。
その通りではあるが。
今日の私はちゃんと白のハイネックにジャケットと、有希子さんおすすめの格好で背筋も伸ばしているので、多少なりともまともに大学生に見えるはず。
「……あっ、友人ってもしかして……」
「残念、女性ではありますが彼氏がおられますよ」
園子さんがにしゃりと笑って変な勘繰りを見せたので止めておく。私に彼女なんているわけないだろうに。
案の定、園子さんは口を尖らせて、つまらなそうに不満を主張している。面白がるんじゃありません。
会うたびに女性の影の無い私を面白がって、散々そんな弄りをしてくる彼女。まったく、彼女に彼氏が出来たら、仕返しに面白がって茶化してやる。
ポイント制だからな!
「でも、その友人さんと一緒じゃなくて良いんですか?」
「その友人さんは午後から店番当番なので私は自由なんですよ。今はただの暇人です。お気になさらず」
「つまりフラれたってワケね」
容赦なくポイント貯めてくな君。ええい、早めに使ってしまえ。
「そういう園子さんは、今日お誘いする男性はいらっしゃらないんですね」
「良いんです〜今日は蘭に誘われたんだし、蘭と楽しむって決めてたんだから!」
「そ、園子……」
私の煽りに、ちょっとだけ不満げに、けれどすぐにいたずらっ子な笑顔でもって、隣の蘭ちゃんの首に抱き着いた。体重をかけているのか、蘭ちゃんが少しだけ傾ぐが、そこは蘭ちゃん、しっかりと受け止めている。蘭ちゃんも、戸惑いながら照れ臭そうにして笑顔。
は?てぇてぇかよ。
クリスさんに送る写真にこれも残しとこうぜ。ノアズ・アーク、撮っといてくれ。言わずとも撮っててくれると信じてる。
彼女は工藤家と蘭ちゃんのファンガールだが、蘭ちゃんがありふれた日常を送っている姿も大好きだからな。まさか同性の友人の抱き着きにスキンシップ過多をキレる人でもあるまい。
……私が邪魔……ってコト!?
「だいたい、沖矢さんもこんな美少女2人を侍らせて!ヨッ!色男!」
「えぇ?色男はよしてくださいよ」
確かに今日だけで、彼女たち2人をはじめ、様々な女性と回ってはいたけども。誰ともそんな仲ではない。ただの友人ばかりだ。やけにお誘いは多かったのは確かだけども。
というか、そんな感じで今日色々な女性と回っていた結果、私が男性からのやっかみの視線に耐えかねて一人で車で寝てたんだから。
打ち上げまで誘われていたので、帰るに帰れなかったという話。
この際、2人を送ると言って抜けようかな。どうせ飲み会でも私は酒を呑まないから、送迎役が欲しかっただけだろうし。飲みニケーションとか知らん。
なんかそう考えたらムカついてきた。こんなに皆に誘われてたの、そういう事なのでは?
知らぬ、知らーぬ!
「っと、ここですね。『俺達に朝はない』の会場」
宣伝のビラを見る。殺人の現場を見られ、見てしまった美少女が攫われて…………
今丁度起きてなかった?そんな事件。予言者かよ。
「なんかこんな事件、ありませんでしたっけ」
「あ、美少女誘拐殺人事件!」
「犯人、今日ようやく捕まったらしいわね。午後のラジオでやってたわ」
おや、私の寝てる間に解決していたのか。
警察も日夜頑張ってる頑張ってる。
ところで新一くんは関わってないだろうね?
さて、劇が始まって。
早々に、何かおかしい、と皆で首を傾げることとなった。
「そ、それに……相手はまだ子供……」
「バーカ、オレ達の顔を見られたんだ、生かしておけるか…」
細長い印象の男性と、もじゃもじゃないかにもなカツラをつけた、胴体下膨れな男性。
「なんか、あの役者ちょっと変じゃない?」
「そーねー……」
「なんかヨタヨタしてるし」
「セリフとちってばっかだし……」
「…………」
ヨタヨタというか、胴体が変に出っ張ったり揺れたりしている。下膨れ、というか背筋がなだらかでない。腕が一切動かない作り物。服の前合わせから一瞬漏れる光。
挙句、今しがたモゾモゾポコンと首元から生えた新たな小さな手。その手にある……
いや蝶ネクタイ型変声機…………!
何してんの新一くん!
「残酷だぜ、アニキはよ」
「ああ、たとえガキでも容赦しねぇ……」
しかも今コロンと転がった頭。その顔は、メイクはあっても見覚えがある。この間、河川敷でのチョロかった子供たちの一人。
あの子がいるなら、新一くんの下の胴体役も自然とわかる。
何してんの少年探偵団!!
後ほど、みんなまとめて送る際に聞いた所によると。
かくれんぼしていたら、歩美ちゃんがあの寸劇の人達の車に誤って乗り込んでしまい、今話題の美少女誘拐事件の犯人に連れ去られたと勘違いした新一くんが、例のターボエンジン付きスケートボードで車を追いかけ、なんやかんやあって役者の一人を倒してしまったのだそう。
決めつけって良くないよね。という話だった。
■
お屋敷にて。
豪邸である。紛うことなき豪邸。
鈴木財閥とも肩を並べると呼び声高い、長門グループのお屋敷である。
何故ここに私が?というと、今日は毛利探偵事務所の面々の送迎でござい。
この間、蘭ちゃんと新一くんを送り届けたらそんな話になり、私最近暇なので、と私から持ちかけた。
どうせ事件が起こるんだろ。知ってる知ってる。
なので、私は送り届けてはいサヨナラ、帰りは連絡頂戴ねと、関わるつもりは無かったのだけれど……途中で新一くんから呼び出されてしまった。
「おー、コイツが工藤の協力者のにーちゃんか」
行った先、屋敷の玄関前にて。褐色肌のカッコイイ少年が、私をジロジロと見てくる。
はい握手握手。
ぶしつけな、探るような視線だ。私の見た目に怪しい所を探しているに違いない。
ごめんね、全部怪しくて。
「……ホー……君が西の高校生探偵、服部平次くんですか。御噂はかねがね」
「ん、なんや工藤。オレの事教えとったんか?」
「い、いや……」
高校生探偵と知り合った、という所までしか教えてもらってないからか、新一くんが妙な顔。怪訝とも、気まずいともとれる。
高校生探偵服部平次に正体がバレた、なんて話、私は新一くんから聞いてないもんねぇ?
正体がバレたなら、一応協力している人間に話くらいはしておくべきだろうに。
「ですから、御噂はかねがね、と。し、コナンくんが高校生探偵と知り合ったことは聞いてましたから……どんな人か、気になるじゃないですか。大阪府警本部長の息子さんで西の高校生探偵と名高い、剣道の腕も立つ将来有望な少年だって、大人気ですね」
「なんや、調べたんかいな」
やや不満気な表情。自分の事を勝手に調べられて気色悪いと感じているらしい。やだなぁ。
「会って早々探るような目で見るよりはマシかなと思いますよ」
「……」
特に、握手の時の私の手に集中していたようだけど。
褐色の少年が私を睨めつける。私にやましい所なんて無いので、どれだけ探ってもなんも出ませんよっと。
「だから、スバルさんはとりあえず初対面の人煽ってみるのやめろって。服部も、この人は胡散臭いけど怪しい人ではねーから」
ここで新一くんストップ。とりあえず屋敷に入り、3階へと歩き出した。新一くんを間に挟む形だ。
「煽ってないですよ、ひとの事調べようとしてるんだから、ひとに調べられても良いってことでしょう?」
「工藤ォ、こないなうっさんくさいにーちゃん、信用してええんか?大丈夫か?」
ま!お言葉ですこと。胡散臭いのは否定できないけどね。
新一くんのクソデカため息。
「服部。この人は沖矢昴さん。阿笠博士の息子さんだから、俺の事を小さい頃から知ってるんだ。隠しておけない」
「ん、なんや、あの博士の……にしては顔も体格も似とらんやないか。」
「養子です。血の繋がりはありませんよ。
ふふ、流石、探偵さんは人のあまり触れられたくない所をズケズケと突いてくるんですね。いやぁ、まるで何かの事件の犯人にでもなった気分です。疑われるって、悲しいことですよね」
「……やりにくいやっちゃな、ジブン」
そういう奴なんでゆるしてほしい。
「それで、コナンくんは何故私を呼び付けたんですか?彼と会わせる為?」
「それもあるけど、今日は長門会長の誕生パーティーらしいんだ。それで、しばらく屋敷に居ろって服部が言うからさ。今日の迎えは頼んでたけど、遅くなったり、泊まりになったら悪いから、帰っても良いよって」
「ホー……んん?そもそも会長さんは、なんの依頼だったんですか?」
屋敷に居る必要は無かったところを引き止められた、と言っているように聞こえた。
「小学生の頃の初恋の女性を探して欲しいって。でも写真とかもなくて、氏名と来歴と、足取りの最後だけ教えられてた」
「ふんふん。確かに屋敷に残る意味はないですね。なんでコナンくんたちに屋敷に残ってほしかったんですか?平次くん」
「んなもん、オレが工藤に会いとーて……わかったわかった」
ふざけはじめた服部くんに、新一くんは階段上から麻酔銃の照準を合わせるという脅しで返す。屈した彼が話始めるに曰く。
「会長ハンがな、昨日の晩に変な音を聞いたっちゅうんや」
寝静まった真夜中の廊下を、誰かがヒタヒタと走る足音。何かと何かがぶつかるような物音。それらを何度も聞いたそうな。
「泥棒が下見に来てるんやないか思てな、捕まえるんなら1人より2人のが捕まえやすいやろ?」
話を聞く分には、泥棒かもしれないが……この2人がいて、病気であまり身動きの取れない老人がいて、怪しい、包帯で顔を隠した男もついてくる、と。
うーん、これは……人が死にそう。
M1Y〜
読んでいただきありがとうございます!