昴くんはなにもしない 作:あまも
大抵はなにもしないので聞いた話によると、といったもとが増えるつもりでした。
マジで彼はそういう興味が無いです
閲覧ありがとうございます!
新しいイヤンホホもろたで工藤!
…………いやこれはわざとっていうかそういうネタで……ふいんきとかみたいなアレで……誤用とかでは……はい…
新一くんから言葉は正確にとのお叱りを……イヤンホホ言うでしょ……せやかて工藤。
阿笠さんから、アクセサリーみたいに加工されたワイヤレスイヤホンマイクをもらった。
今まで使っていたのは黒くて丸っこいものだったけれど、これは一見すると奇妙な形。でも、私の耳の型を取って作っただけあって、かってないほどジャストフィット。小さくなって目立ちにくくもなった。ちゃんと開放型で周囲の音も聞けて……やはり天才か。
型と材料の諸事情で右耳専用になってしまったらしいのだけど、そんなの些細なこと。大丈夫、他の人に体の左側向ける癖、既についてるから。
「じゃがのぉ……」
こんな素晴らしい物を作ったというのに、阿笠さんはどこか浮かない表情だ。どうしたっての?
「右耳のイヤーカフって、同性愛者って意味だというのを小耳に挟んだらしいわよ」
「こ、これ哀くん!」「ゲッホ」
ああ?
読書中の灰原さんからのタレコミいただきましたと。アイスコーヒー吹き出した新一くんと、大慌ての阿笠さん。
アイスコーヒーの処理手伝ってやるか。
にしても、気にしてたのそんな事?
「今更じゃないですか? 私が女性から好んで好かれているわけでもないですし、そんなサイン見て気にしてくるような相手がいても断れば良いだけです」
アクセサリーの着ける位置で意味が変わるとか聞いたところでなぁ。そんなイヤーカフなんか、結婚指輪は左!とかみたいな知名度でもないだろうし。今どきはやんないよ、そういうの。
「あら意外。気にしないのね」
「“そういう意味”で後ろ指さされるのは慣れてますしね。私、顔良い美人は男女問わず好きですし、それを隠してるわけでもないですし……なにより、興味が無くて」
学生の頃からちょいちょい話題に上がってはいた話。
そりゃね。
横にあんな、いずれ100億の男と見た目はキツそうなのに話し出すと癒し系の男侍らせて、それでも飽き足らず度々テレビで話題に上がる着物美人な太閤閣下やら、若くて可愛い天才少年ヒロキくんやら、工藤さんちの王子様やら並べて遊び呆けてたら、そりゃねぇ。
私でも後ろ指指して「アイツ“そっち”の人?」って言いたくなるよ。
でもヒソヒソ噂話された所で、最終的にそんなおもんない話題、他の事件で流されて終わるからね。だって結論はどうでもいい話だし。
あー、なんか思い出してきたぞ。最後に女の子と付き合った頃の話。
たぶん、新一くんはそれを思い出して吹き出したんだ。そうだろ?目を逸らしたな。そうなんだな。
「……顔さえ良ければいいわけ?」
「いや、うーん……だって見てて楽しい方がいいじゃないですか。
︎︎とりあえず、私の中では人ってのは顔以外の優先順位が無いです。いい人はなんも……関係無しにいい人ですし。そもそもお友達はお友達、私の大事な人達はみんな等しく大事な人達です。
……あ!灰原さんも今でそのお顔ってことは将来はさぞや――」
「コーヒーおかわり」
「アッハーイ」
この話は終わらせようね〜。
とりあえず阿笠さんは、右とか左とか気にせずジャンジャン改良してってもらって大丈夫。
これは いいモノ だッ!
「ところでこれって、もしかして小林くんからですか?」
「いや、彼じゃなくて……“れーくん”からのプレゼントじゃよ。『進級祝い、遅れてすまない』じゃと言っておったわ」
遅れすぎ!!何ヶ月経ったと思ってる!!……いつから計算して?
ってか零くんかよ。そういやそんなこと言ってたっけな。発信機とか内蔵されてない?帰ったら調べなきゃ……腕時計、使ってないの気にしてたと景光くんから聞いてるからな。
これは確かに愛用することになる。
うん……慣れたらたぶん、着けたまま寝るな、これ。ジャストフィットすぎてやばい。違和感が無い。
しかも中身と性能はこれまでとほぼ同じ!むしろ音声がクリア!ノイキャンは?!ノイキャンはついてますか!?えっ!強弱も操作できるの?!
ノアズ・アーク!ノアズ・アーク!早く試してみよう!
「……新しい玩具もらった
「そのままなんじゃねーの?ああなるとガキなんだよな〜あの人」
そこのちびっ子共!聴こえてるからな!!
だれがガキだよ、お前らもだろうが!!
あとイヤリング型の電話もらったんだね新一くん。後で番号教えてね。
■
阿笠さんの別荘を舞台とした宝探しゲームがついに行われた。
ちゃんと子供たちはそれぞれお宝を山分けして、灰原さんはあそこの蔵書の中で好きなものを貰ったそう。
そして新一くんは、私が考案して零くんが改良し、景光くんが追加情報を足したやや難易度高めの暗号の謎解きを楽しんでくれたそうな。
危険が無いように、そして子供たちがあまり調度品を汚さないように、管理人という名の見張りを引き受けて傍で監視してくれていた小林くんから、子供たちみんな楽しそうにしてたとの報告もメッセージにあがってきている。
発案者の阿笠さん初め、我々3人も調査や掃除した甲斐があるってもんだ。
こんぐらいの、金のかからないお遊びなら付き合えるんだがなぁ。
……ごめん、引率はやっぱり怪しいかもわからん。
ちなみにお宝は、阿笠さんと、三船くんとこの会社に頼んで無惨なバラバラ惨殺体だったものを修理してもらった。
塗装し直したり繕い直して、内部に喋る機能つけてたり、ともすると元の玩具よりグレードアップしてる気がする。
子供たちを送り届け、ホクホク顔で4人が阿笠邸に帰ってきたので、私も嬉しくなってしまった。
ご飯は用意しといて差し上げたからな!今夜は珍しく茶色飯じゃないぞぉ!
「って、ミネストローネか。珍しいな」
「あなた、茶色いものと煮込み料理だけはレパートリー多いのね」
「そうだな、ハルの作る煮込み料理は美味いのは間違いない」
私だってたまには色つきのものも作るとも。
︎︎見た目は若いふたりから不満が出てきてるが、味に関しての不満はここまで聞いた事ない。
︎︎料理上手な景光くんが頷いておられるからね。
当時、なんとか沖矢昴のキャラクター解像度上げようと、記憶探ってたらエプロン着けて鍋持ってる画像見たような気がしてきたので、有希子さんに師事して教えてもらったりした経緯がある。やっちゃダメなことだけは守ってるから、味は美味いはず。
とはいえ、元々あまり料理することに情熱は無かったし、美的センスは皆無なもので。
出来上がりの色合いは、キャラメリゼがばちこり効いた仕上がりの物ばっかりになってしまうのだ。
「最後の焼きとか煮る工程まで来たら、目を離してても大丈夫ですからね。その間に他のことできますし」
逆に手早く作業する必要があるものとかは苦手だ。頭の中で同時進行は辛うじてできるけど、手際が追い付かなくってね。
なので基本、私の献立は一品ドンと出して、後は出来合いのものを添えるような食事になる。今日は添え物に塩茹でブロッコリー。マヨでどうぞ。結局これが1番美味い。
灰原さんには意外なことに好評。趣味嗜好が案外似ているらしくて、今日のような野菜たっぷりのスープをたまにおかわりするほど食べてくれる。
灰原さんは、脂身やお肉の好きな阿笠さんのヘルシー食生活改善計画にも賛同してくれているからね。私が見てない時の阿笠さんの食事もしつかりと監視してくれて……度々、こっそりお菓子に手を出していると報告が。
メタボ改善しような!
食事中、話題は我々の用意した名探偵向け難易度高めの謎について。
「あれって、元々あった暗号に追加したって小林さんに聞いたけど、あの本棚以降の指示の暗号からがスバルさんと小林さんの用意したもの、で合ってた?」
「残念、その前も後も、要所要所で差し込みましたよ。でも本棚以降はライトの溝手前までが私たちの暗号ですね」
「マジかー、本棚から本見付けるのに手間取ってさ。あれって小林さんのパート?」
「お、正解だ。あそこは俺の担当だぞ。実際なんも聞かずに俺が解いてみたら…コイツ、本の指定忘れててさ。あの暗号、“本”ってだけの情報で探させようとしてたんだ」
みんなして言うじゃん。
「あの本棚から最近読まれた痕跡のある本を探せばいいだけじゃないですか。ちゃんと本や暗号の内容も、ゴールになってる屋根裏部屋に隠された肖像画を題材としたんですよ?」
「それ答え知らなきゃわからないって」
…………確かに!!
新一くんの言葉に、小林くんがうんうんと頷いている。
『このままじゃお前のよく言う、納得のいく謎解きにならないぞ』と言われてしまって、しぶしぶ小林くんに任せて謎を追加してもらったのだけど、そこの追加パートこそが新一くんはお気に入りらしく。
やっぱりこういうのを考えるのは昔から景光くんだな。
「お前はいつも答えから逆算するから、早い時はめちゃくちゃ早くて、間違ってる時は見当違いな事言ってるんだよ。山勘でゴリ押すなっての」
「傾向と対策ですよ」
「試験勉強かよ」
なんだい新一くん。私の参考資料はミステリー漫画だぞ。
なお現実味と再現性は置いてく。
「ところで」
ここまで黙々と食べていた灰原さんが、口に付いた赤い色素を行儀よく拭ってから一言挟んできた。
「……あの本を選んだのは、ゴールのお宝との関連性以外に他意は無かったのよね?」
「? ええ、内容が私のお気に入りなのでせっかくだからと使いました」
いつもローテンションな灰原さん。目を伏せて頷く。
「…………そう」
「何か気になりましたか?」
気になること言われると気になるので、全部気にせず聞いて欲しい。なんかあるなら聞いてくれよな。
「……あなた、あれ…『絵のモデルに選ばれる程美しい人間が、自分の描かれた絵に呪いをかけて実際の自分に重なる年齢を絵の自分に負わせて、醜くなることを拒み、年月が過ぎようとも変わらない美貌を利用して悪事を働く』話でしょう?」
「まぁ……部分的に抜粋するとそうですね」
話としては違うけれど、視点を彼に合わせたならそうなる。
美しかった肖像画は、見るも無惨な醜い絵となり、そしてさいごには本来の形にそれぞれ戻ったオチ。因果応報で悪役がちゃんと懲らしめられていてよい。
「…………本当に他意はないのよね?」
すごい確認してくるね。
ええ?そんなに?
なんにもないけどなぁ……
灰原さんが気になることなんてあった?
「……あなたの、そのたまに当たる妙な山勘が変に働いた結果じゃないことを祈るわ…」
ふ、不穏なこと言うなよ!!
なんだろう?絵とかに関係してる事?それとも、呪いとか、年齢とか美貌とか?
でも呪いなんてそんなの、いくらファンタジーな人達もいるからってそんな、非ィ科学的な……
服部くんが謎の予知夢見てたな。
悪い予感系の予知は大抵フラグとして扱われるし……んん、なんかあるんかな。
とりあえずあの絵はちゃんと、栗介さんの肖像画と並べて飾っておこうね。
︎︎呪い、とまでは言わないが、……想いはこもってそうだし。
■
新一くんや子供たちが、小五郎さんたちとみんなで旅行にでかけているので東都は平和になる……かと思いきや、普通に起こる強盗、引ったくり、そして殺人事件。
探偵って職業がダメだと思う。
居合わせてしまった事件を、安室さんや小林くんに任せ、駆け付けた警察さんへの説明くらいはやってあげて……
なんてことをして、予定より遥かに時間をかけたが、無事、薬局での買い物を終えることが出来た。
買い物ひとつでも命取り。
流石米花町。怖いね。
阿笠さんが当てた沖縄旅行チケットだったが、残念ながら体調を崩してしまった彼の代わりに小五郎さん達に任せた形だ。
︎︎子供の引率なんかも付随してしまったのには申し訳ないと思う。
︎︎頑張ってください。
私はそれが原因……とはいわないけど、ついてけなかったから。
展開がいつぞやの伊豆を思い出すが、今回は私もちゃんと聞いていたので、灰原さんと一緒に看病のため東都に居残りである。
当の本人が体調不良となれば黙ってはいられないからね。
阿笠邸に戻ると、灰原さんは阿笠さんの寝るベッドの隣のベッドに腰掛けて読書中。あの別荘から持ってきた蔵書だ。
医学の知識も多少齧っている彼女が、付きっきりで看ていてくれるので私も買い出しに気軽に出れるし家事に離れることが出来て良い。なんなら家事も小さい手で手伝ってくれるし。
普通にいい子すぎて困る。
しかも、彼女としても歩み寄ろうという気持ちはちゃんとあるようで、ポツポツとではあるけれど会話もしてくれる。
私は普段の口の悪さと喧嘩腰が顔を出さないよう、慎重に会話する練習兼ねて灰原さんとの仲を深めると。
とはいえ、個人の話は踏み込めなくて、出来事の話なんかしてるとどうしてもここは米花町、事件の話がふえてくる。
私の知らない、新一くんが子供たちと一緒に解決した事件の話を聞く代わり、こちらも彼女の知らない、昔の事件や事故の話……と、病床の阿笠さんが寝てるのをいい事に枕元で物騒な会話が飛ぶこととなった。
素直に物騒。
さて、旅行といえば、ということで。
今頃飛行機で空飛んでるであろう彼らに思いを馳せ、新一くんが1年前に遭遇した飛行機内での殺人事件の被害者となった男が何故殺されたのかの話だとか。
あれは放火した馬鹿が悪い。運が無いことを悪事で補強するなよな。純粋に悪人。放火はアカン。
︎︎尖ったものがあれば人は殺せるのをまざまざと見せつけられてしまったが、必殺仕事人もそんな感じだったっけね。人って簡単に死ぬもんだね。
︎︎おっと。話題にしたかったのは違うそこじゃない。
「私も大概デリカシーありませんけど、女性の下着について直接蘭ちゃんに聞いたとかいうノンデリには負けますよ…」
「…………彼、そんなことしたの?」
「灰原さんも気を付けてくださいね」
彼、そういうの良く考えないところあるからね。最近ようやく、少しは女性への対応も覚えてきたと思うが、昔は本当に……ノンデリのひと言では済ませられないようなヤツで……蘭ちゃんはよく頑張ったよ。
そのくせ読書家だもんで、女性の喜ぶ口説き文句もノンデリ発言と並行してポコポコ出てくるからホンマに……
それもそれでなんか嫌だったのか、ターン返して話題を変えようとしてくれた灰原さん。
︎︎私が昼飯作りながら聞こえるポツポツ話。
数週間前の、少年探偵団を連れてキャンプに行ったはずの彼らが何やら事件に遭遇した挙句、帰ってきたら阿笠さんは怪我してて私が盛大に取り乱した話題に。
あー、あれね……
「あれは私の肝が冷えました……」
「……ごめんなさい。しっかり見れていなかったの」
「いえいえ。他にも見てあげなきゃいけない子供たちが居たんですから、仕方ありません。悪い人は隙を窺うものですからね」
自由奔放に動き回る子供を見ながら、目を離した隙を狙われてしまった事を子供に怒る私ではないよ。
本来、それは大人の仕事だからな。歩美ちゃんだけでも守りきった彼女は本当に頑張ったと思う。
「あの日、あなたが裏取りをしてたのよね」
「そうですね。最初に江戸川くんから連絡もらいまして、新情報が出る度に速報流してました」
わざわざ老婆に整形してまで、宝を求めた女性……西川睦美。元の顔の写真を見たが、とてもキレイな人ではあった。きっとこの顔で悪いことをしていたら、私は騙されていたかもしれな…
な、何だよ。思い出してただけだよ。なんだよ灰原さん、その目で見んといて。
大奥様、娘さん、その使用人、同僚と死体を重ねに重ねまくった末に、無為に重ねた年月をただ嘆く事となった、強欲な女の話。
うん……今思い出しても普通にえげちぃ。
彼らが帰ってきた時にはなるけれど、その話ついでに新一くんが、件の庭のチェスの駒でつくられた暗号、というのを書き出してくれたのだっけな。
配置の細かいことまでよく覚えていたもので、秀吉ばりの記憶力じゃないかと感心したものだ。
……書き出してくれている時の、その書く順番を見てしまった私は何故彼がそんなに記憶に残ったかを察せてしまって、あっさり解けてしまった。
事件の顛末を聞いてから解くものじゃないね。
「あの暗号、あなた本当にすぐ解けたわね。チェス好きは伊達じゃないってこと?」
「あれは……先に答えが出されてたものですから……」
カンニングした気分で、あんまり気持ちの良い解読じゃなかった。
ってか、あの後その暗号清書して秀吉とヒロキくんや、ウイスキーダブルスとの報告会で見せてまわったけど、答えが出るのが一番速かったのは秀吉だったのには驚いたね。
扇子でパタパタ仰いで、5往復したくらいでパチリと綴じたアイツのドヤ顔が忘れられない。
不覚にもちょっとだけヤツの顔の良さに負けそうになってしまったから、ちゃんともっともへもへしててほしい。
この話は友情に重きを置いています。
美人も子供も見てるだけが一番いいとか思ってる主人公ですね。コミュ障がよ
読んでいただきありがとうございました!