昴くんはなにもしない   作:あまも

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ヘイト管理的に大きいのが狙われてはいたんですが、結果的にはより悪い事にするのに定評があります

閲覧ありがとうございます!


23-2:洞窟探検と名探偵たち

 

 

 思っていたより歩きやすい洞窟の床面に、大人が立って動ける程高い天井。

 どうもただの洞窟ではなく、手掘りで拡げられたものらしい。確かにこれは地元の史跡。案内板でも立ててみりゃいいのに。

 

 ……いや、奥が危険だから立ち入り禁止の立て札があったのでは?

 

 うん……そうなんだろうな…………とっとと子供たち見つけて追い出さないと。

 

 

 中からコショコショと子供たちの声がする。案外、まだ奥まで行ってはいないらしい。

 子供の足わからんな。予想立てると、予想と違うところにいる。これが子供か。

 

 足早に、足音を小さく近寄る。

 

 ……見つけた。大きいの1、小さいの3。お宝を誰かがとかなんとか……危ないところだってわかってないのか。洞窟なんて危険しかないんだぞまったく。ガキ共がよ。

 おっと。つい本音が。

 

 調声機のスイッチを切って、軽く息を吸う。

 

 小さい方の子供……円谷くんと新一くんの頭に手を伸ばし……

 

「――竜の道に何用か…」

 

 その小さくて掴みやすい頭を鷲掴みにしながら、私の本来の声…嗄れた、聞き取れるかも分からないおどろおどろしい声で語りかけた。

 

 残った2人の子供たちは飛び上がって、そして4人一斉に大声を上げる。

 うひゃ、反響が。耳キーンなるわ。

 吉田さんと小嶋くんが振り返った。

 

「お、オバケ――ッ!」「って、あれ?怪しい兄ちゃん!?」

 

「おや、意外ですね。逃げるかと思ってました」

 

 調声機の電源を入れるために手を離すと、捕まっていた2人も飛び退る。

 

 やっといてなんだが、やりながら思った。

 これ普通、洞窟の奥に向かって逃げるよね。危ない危ない…仲間を見捨てて逃げる精神性してなくて良かったのか悪かったのか。

 

 つい、ちいさないきものへのいたずらごころが先制で出ちゃって。

 

「な、なんでここに?!」

「お、お、お、オバケかと思いましたよぉ〜!」

 

 円谷くんが泣きごと言いよるが、そんなオバケが出るかもしれないような所に忍び込んで何言ってんだか。

 そして新一くんはいつもいつも…私がいちゃ悪いのかって。

 

 吉田さんは涙を堪えている。女の子泣かせたと灰原さんにバレたらまずいな。頑張ってそのまま堪えてくれ。

 野郎共は後でつむじぐりぐりしちゃるから覚悟しとけよ。

 ……小嶋くん、つむじどこ?

 

 

 まったく。悪ガキ共め。

 でも怪我する前に見つかって良かった。

 

「ほら、怖いところなのはわかったでしょう。こういうのは見なかった事にして、薪拾って戻りま――」

 

 

 気付いたのは私の耳と、子供たちを外へと誘導していた私の後ろを見ていた新一くんの目。

 足音と。金属音。スライドを引く……

 

「伏せろォ!!!!」

 

 3人を庇うように押し倒した新一くんだが、その小さい背中は小嶋くんの半分もない。

 私もしゃがんで、子供たちを覆おうと……する前に発砲音。蓄光バンドを巻いていた左腕に熱。間に合ってないなこれ。

 

 あーーーーもう!巷に銃火器出回り過ぎ!!!

 

 

 ひとり20キロあるかもわからないようなちびっこ3人と、重量級な小嶋くん。

 全員は難しいな。いち早く立て直してくれた円谷くんの手伝いもあり、転がす勢いで転げるようにして私が新一くんと吉田さんを抱え、円谷くんがライトで照らし、小嶋くんはヒィヒィ言いながらも足を動かして、なんとか皆で暗い石筍の陰に飛び込んだ。

 バンドを服の袖に隠してライトを消すよう……促す前に既に皆消灯済。

 それくらいは言わなくとも出来るか。

 

 歩いてきたのはマッシュルームヘアの骸骨みたいな男。手には……トカレフ?たぶんトカレフ。

 ゾロゾロと、後から生えてきた追加の男が2人。奥にまだいたのか。

 

 私たちを見つけてはいないのか、キノコ頭が銃をぶっぱなした事を怒られている。

 確かに、まだ我々は洞窟に入り込んだだけだ。撃たれなければ油断して呑気にお話ししてたかもしれない。

 

 1人は入ってきたあの入口へ向かい、残りの2人は周辺を探すらしい。

 

 あの男たちの目を盗み、ここから出口へと向かえるだろうか。

 

 男がこちらに寄ってきたので、小嶋くんと吉田さんの口を声を出さぬよう押さえて、新一くんが円谷くんの方を必要以上顔を出さないよう押さえてくれてはいるが……みんな呼吸が荒い。静かにしてくれ。

 そりゃ驚いただろうし、緊張はする。私だって心臓バックバクだし。

 

 わかっている。原因はそれだけではない。

 新一くんが一等しんどそうに呼吸している。私が抱えた時に嫌な顔をしたし、今も脇腹を強く押さえている。

 ので、たぶん負傷しているんだろう。弾当たったか。……いや、後悔は後にしよう。今は状況の判断が先。

 

 私も私で、吉田さんを抱えた左腕は段々力が入らなくなってきた。

 やれやれ、始終頼りにならない大人だこと。

 

 男たちが少し離れたくらいで手を離し、小声でもって新一くんに訊ねてみる。

 

「し……コナンくん。案はあります?」

「灰原に…探偵バッチで呼びかけてみてくれ…

 

 吉田さんが1番取り出しやすい所に持っていたようですぐに出してくれた。

 彼女の小声の、けれど必死な呼びかけにすぐに灰原さんが返事を返す。

 焦っていて不明瞭な説明になってしまっている吉田さんの手に近寄って、小声で伝える。

 

「緊急事態です。警察と救急を呼んでください。拳銃を持った男が3人、発砲され重症1名、軽傷1名。そこから西の史跡、“と金”の石碑が目印です。地元の方なら知っているかと。

 2人は洞窟にはなるべく近寄らないでください」

『……わかったわ。博士!――怪我をしたのは?』

 

 少し声が離れたのは、阿笠さんに電話をかけてもらうために声をかけたからだろう。

 

「江戸川くんと私です。江戸川くんが銃撃され左腹部負傷。貫通していますが、出血多量。位置的に腎損傷の可能性もあり。ここでは圧迫までしかできません……君たち、コレを、コナンくんの指示通り彼の傷に巻いてやってください」

 

 話しながらウエストポーチからスポーツタオルを引っ張り出して、お守りがわりの焦げて錆びたナイフに引っ掛けて三本ほどに裂いたもの。ハンカチと合わせて円谷くんと小嶋くんに渡す。

 不格好だが、まぁ。……こんなことならナイフ、研いでおくんだったな。

 

 ふと、吉田さんが不安そうにこちらを見てくる。

 ……安心させるのは私、得意じゃないんだよ。

 

 視線を遮るよう右手で頭を撫でてやりながら、新一くんに灰原さんと繋がっている探偵バッチを持って行くよう頼んだ。

 子供3匹……3人にやんややんやと囲まれている彼を置いて、あの悪いオッサン連中の様子に耳を澄ます。

 

 もしこのまま入口側から出ようってんなら、入口に向かったパッツン骸骨男が戻ってくる前に、あの2人の目を盗むなり倒すなり、なんとかしないとだけど……頼りの綱が立ち上がるのも難しそうな負傷。

 

 うーん、困った。

 

 私が怪我するならまだしも………………うわ、クリスさんに殺されそうだな………………内緒にしとこ…………

 

 ペラペラ喋ってくれる内容からざっくり推測するに、『強盗やってヘタこいた仲間をぶっ殺してここに隠そうとしてたらガキの声がしたからあのマッシュヘアに追い出すよう指示したのにあの馬鹿、無駄玉撃ちやがってよォ』

 ……みたいな流れらしい。

 

 …………もしかして、私が『見なかった事にして』とか言ったから、『もう何か見ちゃったのでは?』と思わせちゃったりしちゃったりして咄嗟に出てきたのではなかろうか。

 

 また私のせい……ってコト!?

 

 

 ええい、このポンコツがよォ!

 

 

 ……一応、新一くんの腕時計型麻酔銃があるため、ひとりは戦闘不能にもっていける。

 そして時間を挟めば、虎の子の、私の貰った麻酔針も仕込むことでもうひとりいけるが、再装填の時間が稼げるとは思えない。

 私の手袋はあるけれど、飛び道具持ちの相手に触れるほど肉薄出来る気がしないし、2人以上相手ではひとり残ってしまう。

 

 ヒン……ここで大事になってくるのね護身術……

 

 

 最終手段、「ここは俺に任せて先にいけぇ!」でも良いけど、銃がなぁ。離れても最悪当たるのが……

 

 ………………入口の石碑に書いてあった文面的に、“至福の光”ってのが宝とかではないパターンにワンチャン賭けて、このまま奥に行くってのも……アリ?

 

 さて、どうする?江戸川コナンくん。

 

「奥……に行く…」

 

 息をつきながら新一くんが答えてくれた。まだ頭は回るらしい。出るまで頑張って貰わないと。

 

「灰原と連絡が取れたから…あとはアイツらから逃げるだけ……ハカセがここの洞窟は抜ける道があると、聞いてきてくれたからな…そっちから逃げるぞ、オメーら……」

「了解。君たちは怪我してないですね?歩けない奴は居ないですよね?」

「うん!」「だいじょうぶだぜ!」

 

 よしよし。新一くんの腹に巻いてもらったタオルを、念の為私の力でもう一度強く縛り、背中に乗ってもらう。最近子供背負うの多いな。

 てか子供が負傷するのが多いのか。

 いやだわぁ。未来に愁いが残りますことよ。

 

「でも、お兄さんは……」

「……コナンくんは私が背負うから、君たちは転ばないようついてきて。服を掴んでていい。連中から離れたらライトをつけていい。ここを離れないと」

 

 円谷くんがライトで私を照らそうとするので手で遮り、ウエストポーチとパーカーの裾と袖をそれぞれ掴ませて、ブツブツと文句を言っている悪いおじさん2人から四つん這いのまま少し離れる。

 

 確かに怪我はしてるが、新一くんのように動けなくなるほどじゃない。

 てか一刻も早く新一くんを病院に連れて行かないと。

 

 

 

 

 だからガキ共はウジウジ言ってないで、チャキチャキ歩くがいい!

 

 わたしがいけないんだ……じゃない!

 立ち入り禁止無視も、軽い気持ちも、そもそもの発見も走り出すのも脅かすのも……

 

 そんな当たり前でわかりきったこと、自分の中で反省して飲み込むしかないんだから。やっちまったのは仕方ないのだ。

 

 皆それぞれ各々危機管理がなってなかった全てまとめての結果が悪い。全員悪い。

 

 各自反省!

 

 今回のこの大失敗を、失敗した事も忘れて次に活かすことも出来ないで、似たようなポカを繰り返して他人に迷惑振りかけまくる私みたいな阿呆にさえならなければそれでいい。

 

 こういう時、新一くんは励ましの言葉を投げかけるのが上手くて素晴らしい。

 

「だから…スバルさんも来てくれて助かったよ。ありがとな……」

「どっちかというと……いえ。頑張って、みんなでさっさと出ましょうね」

 

 すぐネガネガする私に、耳打ちみたいな距離で感謝を伝えてくれるけど、私来たの間違いじゃないかなって気がしてならない。でも子供たちだけで放置も出来なかったし……

 

 今回の私のミス?

 

 一番は、子供たちから目を離した事さ!

 次点でガキ共と見たら弄りたくなる性分かな……

 そして新一くんを守りきれなかったことかな……!

 

 ……………………………………えっ、今回の戦犯、ほぼ私じゃない?

 

 

 ■

 

 

 子供の浅知恵というか、裏の裏かいてくる奴の心当たりあり過ぎて不安だった作戦はアイツらが中途半端にかしこいおかげで功を奏し、なんかこう……見るからに人工物!な卵型の石と横穴群まで辿り着いた。

 

 さっすが江戸川コナンくん(名探偵)!あのライトの弁償くらいは任せろバリバリー!

 

 ここまで来るのにライトをつけるなとは言えず、ある程度離れた辺りで小嶋くんが蹴っつまづきかけたので渋々ライトの使用を了承。

 

 私や新一くんの怪我と出血量を見て、声を上げそうになったガキ共の口を塞ぐには手が足りず、自己申告で「2人とも怪我はしてるけど直ちに問題は無い」と言っておいたにも関わらず悲鳴を上げてしまった吉田さんには悪いが、また口を塞がせてもらった。騒ぐなってのに。

 

 そりゃ血なまぐさいし新一くんは危ないけど。

 

 

 新一くんのような直撃ではないものの、私の左上腕部に掠っていった弾はさぱっと三頭筋辺り裂いていったので腕を持ち上げるのがキツいのなんのって。

 新一くんはそれを見越して、右側に寄りかかってくれているので助かる。

 

 

 てか……石になんか刻まれてて……ここまで来て謎解き?

 新一くんを早く病院に連れてかなきゃいけないのに??

 

 

 

 めんどくさいなぁもう!!これだから謎解き上等ミステリー探偵世界は!!

 

 

 ええとね……

 “と金”の洞窟……たまご……竜……“と金”なんて他に何かに使えないし、ならだいたい将棋ネタってのがヒントなんだろう。

 じゃあ将棋だと仮定して、たまごは玉子だとして。

 竜の道?

 

 

 あぁ〜知らねぇ〜!!

 

 

「コナンくん、この謎、ヒントは将棋だとすればこの場合、たまごを(ぎょく)としたなら竜の道となるのは?」

「…………3番目、の前の1本だけの、道……」

 

 息も絶え絶えながら、答えを導き出してくれた優れた頭脳。しかし、先程より元気はない。ガキ共も不安そうだ。私だって不安だ。

 急がないと。……いいや、焦るなよ、焦ったら良くないことになる。冷静・沈着・慎重に。焦りは最大のトラップだもんね、零くん。

 

「さっすが名探偵。ほら、ガキ共行くぞ!」

 

 地面の堆積物を見るに、長居するのも良くないらしい。なるほど危険な洞窟だ。こういう所で転ぶと良くない。

 ……人が入らないから、ここまでなってしまったんだろうが……また悲鳴上げられても困るか。

 

「上は見ちゃだめですよ」

「え?」

 

 あっ。

 

 吉田さんと小嶋くんが、私が余計なことを口から出したせいで上見ちゃった。

 

 口からポロリ!馬鹿!全部裏目!!

 

 向けられたライトの光に驚いたコウモリが、一斉に降りてくる。

 キィキィ聴こえてたし、コウモリのクソ臭いでしょうに!

 コラ、伏せるな!床に触るな!余計に変なの出てくるぞ!

 5感のうち味覚以外でわかるでしょ!

 

 こんな、コウモリの大群が頭上ひしめいてる事なんて!

 

 

 なんにせよ、子供の高らかなよく響く悲鳴があがってしまったので、このままでは連中が来てしまう。

 

 

 やだー!!もうこんなクソゲー!!

 

 

「目と口を塞いでれば問題ないから! 絶対に口開けるな!顔も擦るな!壁伝いに前に!」

 

 コウモリなんて病原体の塊だからな。触ったところ舐めるなよ!素肌も隠せよ!

 1番露出の多く、パニック状態の吉田さんを最初に、円谷くんを次に、とガキ共の首根っこ掴んで正解の道に放り込み、最後に小嶋くんの背を押して自分もそちらへ。

 

 ほら走れ走れ!

 

 

 逃げないと、もっと恐ろしいデカブツが飛び道具使って襲ってくるぞ!

 

 

 ■

 

 

 色々大変ではありましたが、病院で一息つけたのでOKです。

 

 病院に駆け付けて来た小五郎さんにはめっちゃ怒られてしまった。

 お預かりしてるお子様を危険に晒したので、そりゃ監督不行届ですよね。

 

 でも拳銃もってる男が洞窟にいるかもしれない予測はちょっと無理があるって。小五郎さんだって拳銃は予想外でしょ?それでも私がいたのに目を離したのはなんでって、まぁ……

 …………はい……目を離したのがそもそも悪いです……はい……すいません……

 

 幸いにして、少年探偵団の3人は怪我もなく、手洗いうがい消毒念入りにで問題ナシだったのでそこは本当に良かった。

 それでも新一くんの手術が終わるまで心配そうだったし、帰りたがらなかったので、仲間意識というものがしっかりし過ぎた若者で……景光くんとか、この子供たちのこういう所が好きなんだろうな。

 

 連中も、阿笠さんが呼んでくれた目暮警部の引き連れた警察さんに確保されたので良かった。

 

 ……ひとり、脳天ぶち抜かれて死んでたらしいが……

 暗いところに打ち捨てられてたもんで、その死体は私しか見てないはずだ。子供たちは暗闇で何も見ていないだろう。

 うん。足早に急がせたし。小嶋くんはちょっと躓いたけども、柔らかさには気付かなかったようだし。

 

 いや〜、夜目が利いて良かったわい。

 

 

 で。

 

 蘭ちゃんが、輸血の血液型を聞いてないのに同じだと断言した辺り確定演出しちゃったので灰原さんも新一くんも私も内心で頭抱えておる。

 確定だよ〜!

 

 とりあえず私は小林くんと相談してみようね……

 

 あっ、私の怪我のことなんて言おう。

 

 





予約投稿失敗しました(寝落ち)

寝落ちしかけで書いてたら、口がとんでもなく悪くなっててビックリしました。修正しきれてないかもしれない

読んでいただきありがとうございました!
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