昴くんはなにもしない 作:あまも
アンチ・ヘイトタグを必要ない程度に子供嫌いなだけの主人公に納めたい作者VS子供苦手であって嫌いではないと主張しながら喧嘩おっぱじめるなど勝手に動く主人公VSダークライ
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閲覧ありがとうございます!
今回の新一くんは、幸いにして中身の損傷は軽微で済んだ。
撃たれた環境も含めて内臓の調子を見るため、1週間くらい様子見で、入院することに。
ある意味、放っておくと事件に飛び込んで行ってしまう子だから病院に置いておくとなにも起きない安心感があってこれはこれで良い。
そして、怪我させた負い目から、病院の手続きと入院中の世話を任せて頂きまして。
蘭ちゃんは学業があり、小五郎さんは仕事があるからね。
……どうせ私も怪我してて病院来る用事あるので、ついでだついで。
■
「江戸川くん、私、マジで無理だと思います」
「……そうかな?オレはかなり助かってるけど」
着替え持ってきたついでに、ちみっこ高校生たちと作戦会議だ。
あの時は私も新一くんも、ついでに阿笠さん含めてみんなして小五郎さんにこっぴどく叱られたため、今回無茶してしまったことには2人で反省したのだが……
改めて考えると、あんな所に拳銃持ちが複数名いるなんて予測をしてる奴がどんだけいるんだと。
そんな文句が溢れてきてしまうんだが。
ここに主人公がおるじゃろって?
いや……だとしてもせいぜい刃物か鈍器でしょうよ……なんで銃火器……ここUSAじゃなくて安全神話の日本だぞ?
いよいよもって零くんと相談しなきゃ。でもクリスさんの件もある。立て込んでるな。
新一くんの病室は小児病棟の1人部屋。他の人もいないので、悠々とお話ができる。
丸椅子を灰原さんに預け、私は今の新一くんには広すぎるベットの余白に腰掛けている。
「スバルさんって子供苦手だったのか?」
「え、知らなかったんですか?」
付き合いの長い新一くんからの驚きの言葉。
「だって……アンタ、子供の扱い上手いし、優しいだろ」
はぁ?
思わず、一緒に来ていた灰原さんを見つめてしまった。
そう見えます?と。
灰原さんは左右に首を振っている。
だよねぇ。
「江戸川くん、君、人を見る目ないですね…」
「あ、アンタに言われたくねー言葉だな…」
新一くんは、太閤閣下監修の詰将棋集を閉じて、苦い顔。
工藤先生曰く、私は決めつけが多いとの事だから今後はこの人悪いかも、良い人かもを考慮しますって。
ちなみにアレは以前、小五郎さんが足を折った時の差し入れだが、退院後に投げ返されたのでそのまま新一くんに渡している。
灰原さんがため息をついて、解説を入れてくれた。
「彼の子供への優しさは、それ以上関わりたくないって意思表示でしょ…現に、あの後彼らのこと…避けてる様だし」
「ギックゥ」
「口で言うなって。図星なのかよ」
今回頑張って子供たちに立ち向かってみたわけだが、やっぱ無理である。
彼らへの優しさは、子供相手の大人の態度を参考にしていたから優しく見えただけなんじゃないの?子供に酷いことしてる大人なんてそういないでしょ。
しかし少年探偵団……あんなんばっかされたら、私はそのうち口より先に手が出ると思う。
暴力反対!なら、げ ん こ つ で殴ってばかりの小五郎さんはどうなんだって?
あの人は、ちゃんと殴って叱れば
暴力の根底にはしっかりした“子供を守る”って意図を感じるし……
言う事聞かない生意気なガキには、ああいう人に真剣に怒ってもらうのがいっちゃんいいんですよ。
それに屁理屈言うようなのは矯正不可です。無理無理。…………あっブーメラン返ってきた。いやでも事実……はい……
…………うん、そうだ。あのガキ共相手にして…次のやらかしに出くわした日には、やり過ぎな程、理不尽に怒る自信がある。怒るというか、八つ当たりだろう。
もう無理ってのはそういう意味。
私はやっぱり、『子供だからしょうがない』を考慮出来ないってか……
どうしても、よその子だから私の知ったこっちゃないって気持ちになるっていうか……
無遠慮な態度で来るならこちらも無遠慮に立ち向かわねば無作法というものというか、極論関係無いしどうでも良くなっちゃうのが…………
そしてこれ、産まれた時から私の身内の新一くんは感じたことのない私の“これ”を、最近やって来た灰原さんは身に染みてわかってしまったんだろう。
根はいい子なのは知ってるけどさぁ。円谷くんも、(ネタで)黒幕疑惑がある話を聞いてた通りあの歳にしてはかしこい子だった。
だがね。大人の話を聞かない無鉄砲正義感ヒーロー面無責任特攻クソガキはノーセンキュー。
…………いやこれはブーメランでは……破片が飛んで来た気がする。
阿笠さんが引き取った以上、灰原さんでさえ頑張って見てるのに、あのクソガキ共まで見れるほど、私の懐は広くないのだ。
「でもあの後、アイツらスバルさんのこと見直したって言ってたぞ」
「ハッ。どの口が――失礼」
考え事してたらつい口からポロリが。
最近これも多くて困る。みんな私が考えてる時に話しかけるとポロリが出てくるとわかってしまったらしい。
気を付けないと、私の素の口の悪さが拡がってしまう。
しかしなぁ。
「“見直した”の時点で人の事侮ってる証拠じゃないですか」
子供たちの言葉そのものが、私のことを下に見てる意味だ。
この調子だと、阿笠さんや小五郎さんのことまで侮ってそうで…苛立ちが募る。
全部が全部、なんでもできる人間なんてひと握り。一長一短あるのが普通の人で、その一長が素晴らしいならそれは才能だろうて。
その点、阿笠さんは言わずもがな。小五郎さんは……あの人、本気出したら絶対スゴいはずなんだが。
私は、あの子供たちと比べたら、正義感と行動力と食い意地では劣るだろうがそれ以外は勝ってると自負してるぞ。
…小学生と比べてって、勝って当然の低レベルな戦いしてバカみたいじゃないですか。うわぁ最悪。
「確かに私は普段からポンコツへっぽこ不審者やってますが、ガキ共に馬鹿にされるほどの不審な動きをした覚えはないですよ」
「……な?」
「……本当に変なところで妙なプライドが高いわね…」
何を納得しとるんだちびっこ共。人を指差すんじゃないよ。
「今回で、子供の引率は本気で私には向いてないのがわかりました」
「けどよー……今回はついてきてくれてたのが博士だけだったら、あの洞窟まで来てくれてはいねーだろうから、もっと大変な事になってたかもしれない」
「おや、わかってたんですね?」
やっぱり、自分で考えさせると答えに勝手に辿り着いてくれる相手はいいなぁ。
口には出さなくとも、顔には出してしまう新一くんが顔を引き攣らせておられる。
「私が洞窟にいかなかったらどうなってたか、想像はちゃんと出来てるようでなによりです」
「あら、どうなってたのかしら?」
あらやだ灰原さんたら。あなただって、説明しなくとも解ってるだろうに。
わざわざ言わせるんです?
「あの時、洞窟に誰かが先に入っていた様子だと皆さん気付いてましたね。小嶋くんがお宝を先取りされたと、所有権を主張していましたが相手はアレでした。鉢合わせして銃撃されていたなら、子供たちに当たっていたかもしれません。
上手く逃げ果せたとしても、奥へと逃げる事になり、ただでさえ子供の足で暗い洞窟の移動なんて遅くなるでしょうに、誰かしらが負傷していたならそれは余計に。アレに追い付かれていたかもしれませんし、謎に辿り着いたとしても江戸川くんの意識が無かったら子供たちだけであの5本の道から正解を選ばなければならない事になっていたかも」
「追い付かれてしまっていた可能性は高いわね」
全ては想像だ。私が追い付いたから良かったものを、もう少し待ってみる選択や、廃屋の方を選んだり、灰原さんに通信手段の用意をさせていなかったりしたなら、どうなっていたことやら。
「そうならなかった“かもしれない”話ですが、そうなっていた“かもしれない”話です。
…ね、好奇心旺盛な引率者の名探偵に、子供たちを任せたのは失敗だったかもしれませんね、灰原さん」
「ええ…そうね…」
わはは。名探偵ったらバツ悪そうにして〜!
「洞窟で、江戸川くんは彼らに『未解決になるかもしれなかった事件を見つけられた』と言いましたね。同じく、『私たちが未解決事件の被害者となる可能性があった』事をお忘れなく」
「……うん……」
これまで彼は、頼りにできる大人が父親しかいなかった。彼の思考についていけるのはあの人だけだった。
その工藤氏が海外に行き、なまじひとりで半年過ごしてしまったせいで、『誰かに頼る前に自分が動いた方が早い』の理論を学んでしまったのがまずかったな。
零くんみたいな、足りないものは足りなくならないよう用意……しておけるわけでもない未成年の身分のくせに、そんなん学んでしまって。
それでも、大きな失敗は確かにいくつもあったはずなのに、ここまで何とかなってはいたのが良くない。
ひとことで言うなら、事が上手く行き過ぎてしまった。
幸いにして、小林くんという信頼できる名探偵の助手を紹介できたから、今後の遠出は彼に任せるとして。
私は…どうやってあの少年探偵団のガキ共と新一くん、灰原さんに冷静・沈着・慎重の阿笠さんの標語の大切さを伝えようかと……私も守れてねぇな。一緒に頑張ろうな。
「ちなみにアナタが彼らの引率で見ていたとしたら?」
「へ?」
灰原さんからキラーパス。
それは……見ていたとしてもダメかもわからんね。
「新一くんに任せてましたかね。立ち入り禁止は流石に止めますが、止められたかは……難しいです」
この場合、軽犯罪なのか文化財保護なのか……侵入そのものは『立ち入り禁止』を明記されている以上確実に罰則がある。
法を盾に止めても、あのガキ共の事だから「ちょっとくらいなら大丈夫」とか吐かすだろう。
「……脅して、ガキ共を泣かせていたかもしれませんね…」
足を滑らせて隙間に挟まって衰弱死やら、行方不明事故やら、落盤事故の話でもしてれば良かったかな。
あとは……毒虫……毒蛇、蝙蝠……怪我……落下……うーん。
「うん。脅すしかないですね」
「今あなたの呟きの中にいくつか冗談じゃなさそうなものがあったように思えるのだけど」
「全部冗談じゃないんだろ。スバルさん、そういう事故の記録よく調べてたから…」
やだなぁ。山に行くのに事故が怖くて調べてた時期があっただけじゃないか。
【洞窟、死亡事故】で検索検索〜!
てか殺人事件に嬉々として飛び込むサメちゃんに言われたくねぇ〜!!
「なんにせよ、彼らは私には手に負えませんから」
小林くんに任せてサポートに回るぞい!
「……この後アイツら来るらしいけど」
「え。じゃあ帰りましょう灰原さん」
「嫌よ。まだ私の話、終わってないもの…
だからあなたは、彼らをしばらくこの病室から離しておいて貰おうかしら」
えっ。
その時、賑やかな聞き覚えのある話し声と早足の足音。小児病棟のこの部屋は扉が開けっ放しで、よく聞こえる。
「オイ、コナン!!」「コナンくーん!」「お見舞いに来ましたよ〜!」
ゲェッ!もう来たのかガキ共!!!
■
病室追い出され、ガキ共連れて売店行ってこい言われてしまった。彼ら用の菓子でも買ってこいとのことで。
少年探偵団は口々に私に何事か言ってきているが、今更何と言ってこようが、私にはもう彼らと仲良くしたい気が湧いてこないもんで。
物で釣って終わらせるのも確かに話が早いのだが……
けれど洞窟で反省してたのは私の見間違いだったのか、現在の彼らの言動は、言葉の端々から感じる「私たちの大冒険のお陰で事件解決に至った!少年探偵団大勝利!」の雰囲気。
新一くんがあの時、ウジウジ悩む彼らと私にかけた励ましの言葉。あれに縋りたくなるのもわかるが、にしたっても。
なんか途端にこのガキ共に物を奢りたくなくなってきた。
全面的に監督不行届な私のせいとはいえ。
「じゃあ、あの洞窟の謎の仕組みを答えられた人にだけ私への挑戦権をあげますよ」
「「「挑戦権?」」」
「ってなんですか?」
揃って首を傾げ、代表したのは円谷くん。
私はポケットから物を取り出して見せた。
阿笠さんが、新一くんに暇つぶしにと持ってきた、樫村さんと三船くんとこの合同で制作された携帯ゲーム機がここにあるじゃろ。
中身はただの横スクロールシューティングゲーム。
「勝てたら菓子をあげますよ」
一斉に上がる歓声。病院ではお静かに。
謎解きを思い出させた狙いとしては、繋げてあの洞窟での出来事をよくよく思い出させるのが1つ。2つに、あの謎を解いたのは新一くんで、私からのヒントは子供たちは聞いてなかったはずなので、わけも分からずあの道に押し込まれたくせに自分達もやりました感出すんじゃないってかもし新一くんの意識が無かった場合、彼らは解けたのか気になった。
最後に、考えてる最中なら私が構ってやる必要ないだろ。
……と、思ってたんだが、このガキ共……人にヒントをめちゃくちゃ求めてきやがる。あの暗号文の文面や洞窟の状況をよく覚えてないらしい。
ヒントと一緒に、あの時の洞窟突入が如何に危険な行動だったかを想像させるべく、洞窟突入から順ぐりに状況を時系列で並べ、軽犯罪法の話や破傷風の話や、蝙蝠に素手で触ると何が起きるかのお話も交えた所、一応、一時的に彼らは怖がっている様子を見せた。
でもどうせまた忘れて突っ走るんでしょ?意味ないなぁ。
「『と』と、竜と、たまご……」
この3人だと円谷くんが抜きん出てかしこい。だが気付く力は吉田さんが持っており、俺バカだけどよぉ〜な雰囲気で予想外の方向から発想を持ってくるのは小嶋くん。
少年なりにかしこい連中だとは思うが……無意識に出てくる人のことをディスる言葉に辟易してきた。
……これが私にキレる人達の気持ちですか。すまんね零くん。これは確かにキレるわ。
大人が子供のために何かしてくれて当然!の考え方、止めな?
私みたいな悪い大人がバチ切れる原因だぞ。
「あの時は時間制限があったのに、最後の答えも知ってる時間無制限の今の君たちが解けないのは、少年探偵団とは言えないんじゃないですかねぇ〜?」
「えー! だって、兄ちゃんヒントくれねーじゃねーか!」
「開示されていた情報は全て出したじゃありませんか。これ以上のヒントを拒んだのは君たちでしょう?」
「だって、お兄さん……一緒に怖い話するじゃない」
「怖い話ではありませんよ吉田さん。あの洞窟の事実です。あそこで何があったか聞いてくれたんですから、私は何があるかを答えてるんですよ?」
「だって……」
「洞窟だけでも先程言った通り危険だったのに、あんな連中までいて、しかもご遺体まであって……良かったですねぇ。直接見てなくて」
「……でもですよ、スバルお兄さん。この謎、答えがわかってるのに解く必要無いですよね?」
「えぇ??円谷くんったら、冗談が過ぎるなぁ。謎があるのに、解き方教えて貰って満足するなんて……少年探偵団が?本気で言ってます??」
結果。
いつまで経っても戻ってこない私たちを探しに来た、車椅子の新一くんと灰原さんに、私が子供たちをいじめてるのが見つかり脇腹パンチと侮蔑の目を向けられる事となった。
だって、先に煽ってきたのアイツらだよ灰原さん!!
「あなたね……喧嘩って、同レベルでしか起きないらしいわよ」
「……ガキ共と同じ、次元……ってコト!?」
「ええ」
「つまり私は若いってコト!?」
「若さを自分で主張する人って、内心では認めたくない老いを感じてるからって言われてるわよね」
帰りの車内で灰原さんからオーバーキルされました。図星すぎてなにも言い返せない……!
しわしわピカ〇ュウ顔で運転していたら、横から嘆息が聞こえた。
「……私からも注意しておいてあげるわよ」
「それはぜひぜひお願いします」
あいつらも灰原さんからの言葉なら多少聞いてくれるでしょ。
「…………彼の退院の前の日の夜に、手伝って欲しいことがあるのだけど」
「新一くんに釘差しに行くんです?」
「…………」
「もしくは、彼が蘭ちゃんに正体をバラすか否かを確認してくるんですね?」
「…………………………」
わぁ。長い沈黙ですこと。
キャンプ場での話から輸血の時の蘭ちゃんの様子を考えたら、ねぇ。
「お手伝いはいくらでもお任せを」
「…………お願いするわ」
顔見えないけど声は憮然としてる〜!
否定はされてないから、私の予想はその通りなんだろう。
︎︎灰原さんが彼にどう訊ねるのか、楽しみでもある。
こう言っちゃなんですが、よそん家の犬猫預かった時の反応と同じです。
読んでいただきありがとうございました!