昴くんはなにもしない   作:あまも

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やっぱりラブコメ挟むとなぜか日頃の頭の良さがどこかに行ってしまうの仕方ないにしても真面目に考えてたこちらがバカにされてると感じるほど全力で大きいサイズを楽しんでて、主人公でなくとも灰原さんの苦悩が味わえて凄い……困りました。

閲覧ありがとうございます!


24-1:それいけ黒衣の騎士

 

 

 

 気分的には久しぶり、日数的にはそうでもなく。実際のところはどうかな。

 

 

 目の前に、黒いゴテゴテした派手な衣装に身を包んだ新一くんがドヤ顔で立っている。

 

 

 コナンくんに変装した灰原さん、観客席からクリスさんへの永久保存版新蘭激アツ劇場を撮影していた私。

 

 きっと私たちの内心は揃っただろう。

 

 『この馬鹿野郎』と。

 

 

 目立ちたがり屋の血が騒いじゃったか、ほなしゃーないか…しゃーなくないのよ。

 

 お前死んでることになってるんだってのに、何堂々と顔晒してんだ!!このバカ!頭良いのにこの…バカ!

 

 服部くんなんて、自主的に正体隠すの手伝ってくれるためだけにわざわざ大阪から学園祭見に来てるんだぞ!わざわざ!

 あんな、なんとも言えない変装までして!

 

 変装ひとつで四苦八苦してる人がいるってのに!

 

 眉毛は百歩譲るけど、せめて標準語で喋れ。

 

 

 くそっ……劇を終わらせた後、楽屋裏で衣装返してもらう時に仮面外すところまで撮影して正体はこの人です!までやって最高の映像に編集してやろうと思ってたのに……智明くんとツーショット撮ってちゃんとやってたのは本人ですって証明写真するつもりだったのに……

 

 うっかり、一連の流れで既にドラマみたいなのが撮れてしまっている!

 

 そこは原作は漫画でアニメ化もされてる作品だけあって。アニメ名場面集でこのまま流せそうなかっこいい新一くんが撮れてしまった。

 

 登場台詞がキザすぎて、新一くんが何言ってるかわからなかったけど。

 

 お姫様な格好の蘭ちゃんと並んでとっても良い感じ。

 

 

 

 この映像引き換えにしたら、ワンチャン、クリスさん帰ってくれないかなぁ……?

 

 ■

 

 帝丹高校学園祭の最中に起きた毒殺事件。被害者は病院勤務の男性、蒲田さんで、容疑者は4名。同じ病院勤務の女性2名と、男性1名と……まさかの高校生の女の子。

 高校生の子は除外だなこりゃ。…………いや、決めつけは良くない。

 とはいえ、状況の説明してる彼らの話聞いてたら普通に怪しい人いるし……注視しててもなんか怪しいし、服部くんや新一くんもいつもの笑顔で笑ってるから答えはわかってるなこりゃ。

 

 てか今回の皆様、新一くんが入院してて私が腕縫った米花総合病院の人達か。世間狭っ。

 

 病院で事件が起こらなかったのを見るに、やはり新一くんの怪我での入院は休憩ポイントなんだろう。

 外で事件が起きて、飛び出していかない限りは(摩天楼参照)。

 病気だと出てきちゃうから…(雪山ロッジ炎上橋走破)

 

 どうしても新一くんを止めたい時は、眠らせるか他の事件で釣るか、彼が怪我で動けない隙にってことだな。

 やる予定は…

 

「なァなァなァ、沖矢ハン」

「おや、なんですか?ガングロバージョン新一くん」

「もう粉取ったやろが!」

 

 しばらく擦れそうなネタ来ちゃったな。

 それで、黒衣の騎士様が工藤新一だったことにビックリして目を白黒させていた服部くんは、なにやらぶすくれておられるが、何用かしら。

 犯人わかったの?

 さっきドヤ顔でコナンくんに話もちかけて逃げられてたけど。

 

「あ、ああせやった。な、あの工藤、なんかオカシいとこ無いんか?アンタ、工藤のこと前々から見とるんやろ?」

 

 服部くんってば、あちらの大きい工藤新一を偽物だと思っているらしい。

 先程、彼はトイレのゴミ箱漁って笑っていたので、証拠でも見つけたのだろうね。その格好でやる事じゃないと思うが。

 

 あとはどう組み立てて追い詰めるののやら。

 今もまた、変にポエミッシュなことを言って歓声を浴びている。

 

「あれは正真正銘、工藤新一ですよ。見てくださいあの自信満々でキザったらしい、まさに顕示欲の化身と言える大仰な態度。

 いやー、生意気で、かわいいですね」

「散々言うやんけ思たら、最後おかしない?」

 

 かわいいだろうが。つむじ押したくなる。大きくなっても私より身長低くてかわいいね。

 

 後で灰原さんと口裏合わせて、何考えてこんな大舞台でのバカをしでかしたのか問い詰めないとな。

 推理ショーおっぱじめるの、裏で全然良かっただろ。なんで衆人観衆の真ん前でやる必要あるんだよ。

 

「せやけど、あれ、ちっこい工藤もおるやないか。あっちも工藤、こっちも工藤って、どないなっとるんや」

「服部くん。あなたはその下手な変装で誰になってましたか?」

「下手ってあんまし言わんといて…んん?もしかして、ちっこい方が誰かの変装なんか?」

 

 あれ?服部くんって灰原さんと会ったこと無かったっけ?…………無かった気がするな。

 “江戸川コナン”のフリを大人しくやってくれる、同い年位の小さな子供の発想がなければ、いかに西の名探偵と言えど答えは出てこないか。

 これは失敬。

 

「そうなりますね。

 あの子は――私の妹です」

 

「妹おったんかアンタ」

 

 嘘じゃないもん。阿笠さんの養い子って意味では私の後続だもん。

「かしこくていい子ですよ。ほら、お呼びですよ」

 

 新一くんが服部くんを呼んでいる。ほら、安心して大親友工藤新一名探偵の助手をしてくるがよいさ、名探偵。

 

 …………行った先で十円玉をせびられている。

 同い年で同じ頭のレベルの友人ってのが嬉しいのはわかるが……なんかこう……

 

 昔から見てて思ったが、新一くんの末っ子感はなんなんだ。ひとりっ子なのに。

 あれか。有希子さんにかわいいかわいい言われて育ったからか。

 

 

 さてさて。

 今回は服部くんが大活躍してくれて、新一くんがカッコよくキメてくれちゃった件はみんなの心の中に留めて貰えそうである。

 SNS、広まってなくて良かった。

 最終兵器怪電波で電子機器全部壊すことになる所だったよ。

 

 服部くんが説明はしてくれたけど……一応帝丹高校の裏掲示板、1週間くらい張り付いておこうかな。

 

 高校のOGが殺人〜なんて、どこででも有り触れててつい口を滑らせやすい話題だ。どこかの動かない高校なんて、在校生がやってすらいる。

 

 話を広めないよう、見ておかねばなるまいよ。

 

 ■

 

今日も今日とて朝日の昇る前のジョギングwith安室さんの報告会議。

 いつもの堤無津川の河川敷は、同じく走っていたりお散歩で、すれ違ったりする程度には人がいる。

 全くいないより、人に紛れるのでこっちのが実は内緒話に向いてるそうな。

 

 今日の議題は?

 

「江戸川少年がって、本当に?」

「ええ。なんか、間違って中国の薬用にもなるってお酒を飲んだら、戻っちゃったんですって」

「……まず未成年の飲酒からだな」

「ここは本当に、風邪に効く薬だと聞いたから持ってきたらお酒だった、っていう純粋なうっかりミスなので見逃してあげてください」

「……」

 

 すごく難しい顔してる。

 今回の学園祭で、工藤新一がまた姿を見せ(てしまっ)た件について、である。

 

 子供が間違ってお酒を口に含んでしまうことはままあるから、無理矢理飲ませたとか、子供が飲みたがったものを酒だと知ってて飲ませたわけでもないものなので…

 1度までなら大目にみてやる事にしたのか、頷いて話の続きを促してくる安室さん。

 

「そのお酒、パイカル?って言うらしいんですが、その成分を分析して、灰原さんが試作品を作ってみたそうです」

「そんなものから作り出せるのか…」

「で、工藤新一くんはご存知あんな感じの人なので、大きく戻れるならと喜んで被検体になり、大きくなった挙句私や灰原さんが大人しくしてろとあれほど言ったのに学園祭の劇場に立ったり、起きた殺人事件を衆人観衆の目の前で推理してみせたりしてまして」

「もしかして彼はバカなんじゃないか?」

 

 どんどん深くなっていく安室さんの眉間のしわ。

 1周まわってるかもしれないのは、ほんとにそう。

 

「とはいえ試作品で不完全な薬ですから、何時また小さくなるか、小さくなるのかわかりません。学校にも行かず、大人しくしててほしいんですがね…」

「まさか、学校に行こうと…?」

「昨日の様子だと、もし一眠りしてもなお工藤新一でいられたならば学校行くでしょうね」

「もしかして彼はバカなのか?」

 

 彼にも色々あるんですよ。蘭ちゃんを心配させたくなくて、とか。

 

「それで、工藤新一が元気に謎解きしている様子を見ていた新出先生が存在してしまったので、映像はクリスさんに渡して良いですよね?」

「ああ、あの女から依頼だな」

 

 学園祭の話を聞きつけ、私に『もちろん撮影はしてるんだろうな?』と圧のあるメッセージが届いている。

 江戸川コナン(灰原さん)が映っている所はカットした編集版だよ。

 大きいサイズの工藤新一くんをしっかり安室さんにも検閲してもらって、そのままクリスさんに持っていってもらおうね。

 

「そんなことがあったので、今度の長野旅行、すいませんが先延ばしになってしまいました」

「ああ。それは彼らの経過観察の方が重要だろう。何かあればすぐに報せてくれ。

 こちらでも、長野県警に関係していそうではあったが怪我で意識不明だった人物が快復したそうだ。部下経由にはなるが、上手くいけば彼があちらにモーションかけてくれるかもしれない。長い事意識不明だっただけに、少なくとも、最近のこの件には関わってはいないと断言出来るからな。

 ベルモットの進めている計画もあって、やはり俺が東都を離れるのは難しい。だから、こちらも少し待ちが欲しいところだ」

 

 ほな長野旅行はまたちょっと先か。

 

「で、合気道習ってみるって話はどうなったんだ」

「あ〜……怪我がまだ治ってなくて」

 

 そんな話もあったねぇ。

 新一くんの怪我はかなり良くなってる一方で、私は腕の経過があまり良くはない。

 怪我の見た目と思ってた具合より、意外と深かったのである。あの時は焦ってたから、違和感と熱いばかりで、痛いとかそこまで感じてなかったのだけど。

 

 治りが遅くて参った、まいった。

 

「……医者としっかり相談して、なるべく早く適切なリハビリ始めるべきだな」

「お、智ちゃんに言われた事、そのままですよ。このままだと腕上がらなくなるとか」

 

 腕は私の生命線のひとつだ。真剣にやってかなければならない。

 

「治るんだな?」

「ええ。治りが遅いだけです。ちゃんと治療を進めていけば何も問題ありませんよ」

 

 安室さんから圧と一緒に心配の気配。腕使えなくなったら、ノアズ・アークに頼むしかなくなっちゃうからね。

 ゲームもやれなくなるのは私も困る。

 

「……そうか、彼が主治医か……他の、腕の怪我について詳しい医師に相談してみないか?」

 

 ああ、そのうちクリスさんに変わっちゃうから医者も変えとくべきって話?

 クリスさんが医者としてなりすませるだけの知識があるのか興味があるから、そのままで全くもって構わないのだけど。

 

「話を聞きに行くのは良いですね。……主治医は変えませんよ?」

「わかっている。……お前に教えられるような初歩的な動作を齧っておくから、しっかり治して万全な体調にしてこいよ」

「はい……」

 

 まぁ。教えてくれる気満々じゃんこの人。

 柴犬のお散歩のおじさんとすれ違うので会釈。おはようございます〜。

 

「で、工藤先生は他には何と?」

「私は自己評価が低いそうです」

「ああ…そうだな。お前は、お前が思ってるよりやれてるから自信を持て。

 聞いていた限り、あの洞窟での一件は難しいものだったはずだ。銃撃から子供たちを守って逃げきれたのは、よくやったよ」

 

 サラッとどストレートに素直な言葉もらっちゃった。

 でも新一くんのことは守れなかったし、もっと良い方法は沢山あった。

 

「でも、じゃない。失敗から学ぶことも大事だろう」

 

 それはそう。

 安室さん……いいや。零くんがペースを上げて、走る。頑張ってついていく。早くない?

 

「他には?」

「もう、そっちは、いいじゃないですか。クリスさんのこと…まとめましょうよ」

「そっちは大体まとめただろ」

 

 後は個人で何とかしなければいけないものばかり。保留したことなんてごまんとあるんだってば。

 

 ■

 

 安室さんと別れた後。

 工藤邸にて、ちゃんとまだ大きいのか小さいのか確認しに寄ると、ちゃんとまだ大きい新一くんがいそいそと制服のシャツとパンツに着替えておられた。

 学園祭のお片付けなんてかったるいもの、これまでの新一くんなら早起きなんてしないだろうに…学校がよっぽど楽しみなんだろう。

 

 トースターくらいは使える?ジャムは?要らないだと?バターは……要らないだと?!

 

 ひとりでできるもん形式で食パンをトースターに入れ、牛乳だけ出して、焼き上がるのを眠そうにしながら新聞読みつつ待ってる新一くん。

 栄養バランス……

 

 恨みがましく見ていると、ピンポンチャイムが鳴り、チャイムが鳴り、新一くんがインターホンに返事しても鳴り、何度でも鳴り……うるさっ。

 

 新一くんが怒り心頭で飛び出して行ったが、案の定連ピンの正体は蘭ちゃんと、江戸川コナンくん。

 トースト齧りながら玄関まで行くんじゃないよ。パンくず落ちるだろ。

 

 新一くんの存在を夢のように見つめる蘭ちゃんには悪いが、私も江戸川コナンくん(灰原さん)も気分は急降下中なのだ。

 

 

 なーーに楽しそうに謎の鼻歌鳴らしながら支度しとるんだ君は。

 

 

「調子乗ってんじゃないわよ……」

 

 わざわざ江戸川コナンくんの声で発せられた言葉に、新一くんが慄くが、そこから灰原さんの正論口撃にもご機嫌ウキウキ新一くんは調子の良いお返事ばかり。

 

「やっぱマズかったかなぁ…」

 

 マズいに決まっとろーが。

 

 服部くんにマジで感謝しなさいよ全く。

 灰原さんがなんでここまでしてるかって、当たり前な事を……この浮かれポンチ!ウキウキフワフワし過ぎとちゃいますか!

 コナンくんが、やれやれバカ…ねと首を横に振っている。

 

「あなたの正体がバレたら私にも火の粉が飛んでくるかもしれないから、協力してあげてるんじゃない!

 それに、あなたが飲んだのはまだ試作品…私が使うかどうかは、今後のあなたの体調をじっくり観察しながら決めさせてもらうつもりよ」

「……」

 

 灰原さんの注意も話半分で女言葉の指摘などどうでもいい返事しながら、いそいそと出発準備してるが、新一くんや。このコップとか洗うのもしかして私の仕事か?

 

「あっ!わりーわりー。蘭に、流しまで持ってったら洗って貰ってたから…」

 

 適当に水で流して、チャパチャパとこれまたまぁ適当にスポンジで擦って流して置いていった。

 牛乳……タンパク質ってさぁ……ちゃんと洗剤で洗い直しておいてやるか。

 

 さて、お見送りしたわけだが。左耳にて順調に彼らの会話が届いている。

 小林くんがどのタイミングでかは不明だが、盗聴器を仕込んでおいてくれたらしい。いつどこで?

 バレてるかバレてないかだと……バレてない。

 

 でも新一くんたら、少年探偵団や蘭ちゃんに口滑らせすぎて……聴いてる小林くんと一緒にモヤモヤと……

 

 絶対、このまま大きいままで過ごせるわけないので、そのうち小さくなるのはわかってるんだが、そのタイミングはわからない。

 そのことわかってんのかわかってないのか、蘭ちゃんを米花センタービル展望レストランなんぞに呼び出したりしておられるこの男。

 

 灰原さんじゃないが……

 

 調子乗ってんじゃないわよ〜っ!

 

 

 

 ちなみにここまで必要な忠告は灰原さんに任せていたのは、今の私が口開くと絶対に八つ当たり煽りが始まる自信があったからでして。

 この後どうせ新一くんは痛い目(蘭ちゃんの前で小さくなりそうになる)見るだろうから、そうなって改めてこの状況を彼自身に考え直して頂いてから、実感湧かせるべく私が煽り倒すという……

 そのために、第1弾の灰原さんとこうして分業制にて対応中ってワケ。

 

 最終的には小林くんがスーパード正論零くんスタイル説教でフィニッシュ予定である。私で上げた彼の怒りのボルテージを、反省の気持ちにさせる超魔術……

 発揮されるかは、この後の新一くんの調子乗りっぷりによるんだが……

 

 既に彼、やらかし箇所が片手で足りないレベルなんだけどマジでどこで緊急停止してやろうかしら。

 

 ︎︎これがラブコメの波動ってやつなんです?

 

 万が一、2日目突入したら殴ってでも止めるか……

 

 

 





今週、来週がかなり忙しくなりまして、更新速度がだだ落ちします。最悪更新無いかもしれません。
何卒ご容赦ください。

読んでいただきありがとうございました!
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