昴くんはなにもしない 作:あまも
長いです
4000×2でも良かったかもしれません
誤字報告、感想、評価、ここすきありがとうございます!
閲覧ありがとうございます!
実はここ最近、ノアズ・アークとギクシャクしている。
正確には、ノアズ・アークが不満を主張しているんだが、その原因は私が納得いかないことについてなので、改善する事ができない。
……という状況をお互いに理解していて尚、妥協や飲み込むことができないからこそ、ギクシャクしてしまっている。
まさにヒロキくんと樫村さんのよう!
「で、どうしましょう」
「お兄さんが認めればいいんじゃないの?」
『そうだよ。お兄ちゃんがボクを信じてくれれば良いだけだよ』
「くっ!同じ人に聞いたのが間違いだった!」
ヒロキくんはヒロキくんで、当然ノアズ・アークの肩を持つ。
ヒロキくんの家、つまりはシャトー米花の最上階フロアの一室にて。
ヒロキくんから、『ノアズ・アークが、お兄ちゃんが最近冷たいんだ…って泣いてるよ。……何したの?』と、劇場版で聞いたことある気がするマジトーンの声で説明キボンヌされてしまったので、まるで家族会議みたいな状態でお部屋に上がらせていただいています。
「……だって、お兄さんもノアズ・アークを創った人のひとりなのは間違いないんだよ。僕はノアズ・アークを生み出したけれど、ここまで彼を育てたのはお兄さんだ」
『お兄ちゃんはずっとボクのお兄ちゃんだよ。何がそんなに嫌なんだい?』
天才の弟ってことに何ひとつたりとも不満はありませんがね。
嫌というか……不安というか。
始めから、やけに人格…感情というか、魂的な意思を感じるとは思っていた。
けれど、天才の生み出した完璧な頭脳の模倣。ノアに人格があるのは、そういうこともあるかと……は、考えてはいた。
こちらから聞かずとも、状況だけを見て、欲しいであろう情報をくれる。そういうものがあればいいと、望んだのは私だ。そうなってくれてとても嬉しい。
拗ねたり、悲しんだり、心配したり喜んだり。喜怒哀楽や、もっと複雑な感情を乗せて会話が成立できている。人間味を感じて素晴らしい。
赤ん坊を見ているつもりだった。幼稚園児を預かっているつもりだった。
最近、現実の、正しく年相応の小学1年生の子供と接してわかってしまった。
――いや待て。成長速度、制限かけてもらったよな?
明らかに成長している。しすぎている。話し方は子供のそれでも、高校生なんて目ではない。
彼が作られたのは、2年前だというのに。
…………まさか、これもサザエさん時空の影響か?
ここまで成長していたとは、見誤っていたのか、見逃していたのか、見なかったことにしていたのか。
自分で言うのもなんだけど、“ノアズ・アーク”なんてファンタジーなスーパー人工知能だし、と簡単に流してしまっていたのは確かだ。
学ぶな、と言うつもりは無い。元より成長を望まれたプログラム。
それでも、想定外は想定外だった。
「何が嫌、ですか…
……ねぇノアズ・アーク。あの時も聞きましたけど、改めて聞きますよ。
私から、何を学んだのですか?」
ノアズ・アークには人間を学んで欲しかった。特に、阿笠さんや景光くんや蘭ちゃんたちみたいに無償の愛で動ける人達。見返りなく、人に施せる人間。
零くんや工藤氏、毛利さん、警察の方々のような、何かへの愛を原動力にして、正しい道を突き進む人達。
見返りがないと動けない、私みたいな人間が、ノアズ・アークに教えていいせめてもの最低ラインのつもりだった。
それが知らない間に、色々な事件の身勝手な犯人達のよくわからない言い分を聞いてしまったり、組織の悪い人が灰原さんや景光くんや、広田さんに何したかを知ってしまった。
『人間について、より詳しくなれたよ』
「――人は愚かだと、思えてしまっていませんか」
良い人ばかりじゃない。むしろ、悪くなれてしまう人間の方が多い。
古今東西、優れた機械が人間に反旗を翻し、機械が人間を支配するようになった…なんて物語はごまんとある。
なんなら一時期、工藤氏がとても愉快そうに目を煌めかせながら開発中の人工知能について熱心に取材してきたこともあるから、あわよくばそういった物語を書くつもりがあったのかもしれない。
原作で、そうなってしまったノアズ・アークがいるし、その最後を知っている。
あれは、ヒロキくんがあのファッキン・ジャック・ザ・リッパーによって世界に絶望し、JTRおじさんの罪を告発するべく自死した仇を取るために、真実を明るみにさせるべく取った行動だけれど……あのノアズ・アークは人間の可能性を疑っていた。
子供たちに可能性を見出し、自ら消えることを選んだ、最期が事実としてある。そうなることを知っている。
そうなってほしくなくて、人間は捨てたものじゃない事を教えたかったのに。
『……確かに、とても複雑で難しく、そして時にとても短絡的で、暴力的だよね』
「……シンドラー氏や、准教授が何故亡くなったか、だね」
「……」
ノアズ・アークとヒロキくんの言葉に、つい顔を顰めてしまった。
私が後からどれだけ悪い人から彼らを遠ざけようとも、JTR親父のせいで根本的に、“悪いこと考えて権力で好き勝手する自己中心的な人間”のデータはとっくに入ってしまってるんだよなぁ。
工藤氏による対抗策や、新一くんや警察による犯人捜索だってできる、自浄作用もある、のはわかってくれているだろうけれど、間に合わない事件も多々起きてるし。
『でも、お兄ちゃんみたいに、優しい良い人であろうと頑張ってる人もいるでしょう?』
「……いわゆる“偽善的な人”ですね。ええ、確かに頑張って良い人ぶってます」
そりゃ、常日頃から私を見て学んでたなら気付くよなぁ。
私は決して、善良な人間じゃない。悪いことすればすぐに見抜いてくる天才に囲まれて、悪いことしてもすぐに罰が下ることを知っているからやらないだけの、本質的には愚かな人間の代表みたいな存在だ。
だからせめて、良い人であろうとしてきたのに、最近の子供たちのせいで良い人の皮が吹っ飛んでしまった。
ノアズ・アークに、“子供を守れない大人”を見せてしまった。
「……失望、しました?」
怖いのである。
ここまで、ノアズ・アークはいい感じに育って来たとは思う。
でもそれが私のせいで、あの劇場版のようになってしまうのが、恐ろしい。
目の前で、ヒロキくんが。画面の中の光の輪が明滅して、同時にため息を吐いた。ノアズ・アークは息してないくせに、そんな音声用意してたのかと。
「お兄さん。僕は工藤先生に救われたけどね。
何より、1番最初に僕に気付いて、手を差し伸べてくれたのはお兄さんだよ。僕があの状況だったのを、救い出してくれようと考えて、努力してくれたのはお兄さんだよ。
お兄さん風に言うなら、『あの時大きな恩を受けた』のは僕なんだ。誰よりも、お兄さんの良い人としての優しさを身に染みて知っている自信があるよ」
『お兄ちゃんが、たくさんの人を助けようと頑張ってたのをボクは見ていたよ。大事な人のためだったから、なんて関係ない。お兄ちゃんのためではあるけれど、それはそもそも彼らのためでもあったでしょう。
成功したとか失敗だったとか、そもそも偽善的だったなんて、どれも関係ないよ。
間違いなく、お兄ちゃんが行ったことは良い事だったんだから。
お兄ちゃんは、ボクに『人間にとっての悪いこと』をしてほしくないんでしょう?
……ボクも、人間であるヒロキや、樫村さん、秀吉さんや、工藤先生達……景光さんや零さん……そしてお兄ちゃんに、『悪いこと』なんてしたくないよ』
機械音声なのに、しっかりと人間味を感じる心の底からの心配が感じられる声音で、同じ声で2人からそんなことを伝えられてしまった。
けれども、今はそうでも、未来にそうかはわからない。
だって、ノアズ・アークは優れたAIで、人の何倍も早く成長して……
だったら、と。声がした。
「天才少年と呼ばれたこの僕が、未来の人々のためになる事を望んで作った人工知能だよ」
いつの間にか、自分がテーブルの天板しか見てなかったことに気付いた。顔を上げると、目の前でかわいらしく、けれど大人になりかけた中学生の立派な顔が、胸を張って自信満々に……得意げな様子を見せていた。
「未来の人々にだって、『こんな人工知能、要らない』なんて……口が裂けても言わせるものか。いずれ必需品だと言わせるくらいになるまで、調整を…開発を続けてみせるよ」
天才と呼ばれた少年が、そう宣言してみせた。作った以上、それが暴走しないようにさいごまで面倒を見るのだと。
「もちろん手伝ってくれるよね?お兄さん」
……なるほど。
制作に、途中参加とはいえ加担してきた私にも、そうする責任があると。
なるほど、それはそう。
『お兄ちゃんは、してもらったことはし返す人だもんね。
じゃあ……ボクも、お兄ちゃんがもし『悪いこと』したら、『悪いこと』しちゃってもいい?』
「それはダメだ」
ノアズ・アークの提案した、その約束は通せない。それだけは認めてはならない。
「……『悪いこと』する予定があるの?」
「それは……」
まだわからないが、何もかもが無事に済んだその時に、私が『悪いこと』とされるような犯罪を、許されない状況で犯してしまっていない保証がない。
何より、ハッキングは悪いことだし、情報詐称も盗聴も盗撮も違法だし、スタンガンの常時所持も、あれもこれも……全部世間的には『悪いこと』だ。
あと最近の新一くんや阿笠さんの所業を見て見ぬふりしてるし。
えーん、悪いことって何〜?
「…ああ。じゃあこうしようか。お兄さん」
『…ああ。なるほどね、ヒロキ。お兄ちゃん』
悩んでる私に、双子みたいに声を揃えて、2人が何か思いついたようにして提案してきた。
「ノアズ・アークにさせたくない事を、お兄さんもしなければいいんだよ」
『そうだよ。お兄ちゃんは、ボクに…人に対して『悪いこと』、させたくないんだもんね。お兄ちゃんが思ってる、ボクのやりそうな『悪いこと』をお兄ちゃんもやらない。
これならどう? いいでしょう?』
…………ははぁ?
確かに、調査や捜索の名目で、監視カメラや機器類の確認させてる以上、それは今後もさせたいことだし、きっとさせるし、してしまうだろう事だ。
物理的に人間を害することは、ノアズ・アークは特殊な……それこそコクーンのような物を使わなければ出来ないから、私は自衛のために多少相手を害してしまっても仕方ない。
……色々あるが、1番には、劇場版のオチのような事にさせたくない、が根本にある。
2人に、自死を選ばせない道がある?
「……それは、ヒロくんにも適用されますか?」
「うん。そうだね、それはもちろん!僕もノアズ・アークや、お兄さんにさせたくないことはしないよ」
「ノアズ・アークも?」
『うん! お兄ちゃんやヒロキにさせたくない事を、しないように、だね!』
……それは……
…………それなら、良いのだろうか?
なんだか穴がありそうな気はするが、ひとまずその約束は取り付けてしまっても良いものだと思える。
彼らがなんとか捻り出してくれた妥協案だ。
こちらだって納得しなければ、解決なんて見込めないか。
誰だって喧嘩はしたくない。
「わかりました。その約束で行きましょう」
私が頷いた途端、2人からワッと歓声があがる。
なんか無性に嬉しそうで私も嬉しいが、そんなに諸手を挙げて涙まで滲ませて喜ぶことかね?ヒロキくんたら。
「……追々、穴は詰めていくってことで良いんですよね?」
「そうなるけど……約束の抜け道、わざわざ探そうとしないでね?」
『お兄ちゃんたら心配症なんだから』
そら心配するだろうって。大人の食いものにされた子たちだぞ。
何かしていくうちに、自ずと「これは2人にやらせたくないな」、なんてことは出てくるだろうし。
……あ。
「大人の義務として、子供を庇うのは当たり前の行動なので、この約束から除外とします。子供が大人を庇うのはいけませんよ」
もしもの時、ヒロキくんだけでなく、新一くんや灰原さんに危険が迫り、間に入ればなんとかなりそうなら、それは仕方ないものだと思うんだ。
それをヒロキくんや新一くんにされたら、大人として立つ瀬が無い。
「ああ…それは……うん。……え、早速?」
『状況が状況ならそれは仕方ないけど…お兄ちゃん、なんでそう……ハァ』
「そのため息機能いつからついたんです?」
させたくない事か。
なんだろうな、何があるだろうか。
■
阿笠さんちで、みんなでミーティングを執り行いまして。
ジョディ先生……もとい、FBIから来たアメリカの捜査官の方についてでございござい。
「彼女の目的が、イマイチわかってないんです。組織についての捜査、なのは間違いないんですが……」
「公式には捜査協力の話は来てないし、日本でFBIが、組織についての捜査をする…なんて許可は出されてない。あの人は許可も取らずに来てるんだ」
小林くんが、腕組みしてむむと悩みながら。
シレッと話してるが、警察と繋がりがまだある…みたいな匂わせして良いの?
「そっか。ちゃんとした捜査なら、警察に正式な手続き取ってから来るもんね」
銃とか撃ったら大問題だもんね。
……え?銃がそこらにばら撒かれてる?ハハ、そんなわけ……
「内密な…ってやつなのかと。
その彼女が高校の教師としてやって来た理由ですが……色々可能性があって、どれがどれやら判断がつかないんです。
だって彼女、ゲーセンでこの私にすら接触して来ているんですよ?」
安室さんから情報をもらっているのでこちらは知っているが、FBIの1番の目的は新出智明に変装して成り代わっているクリスさんだろう。
ただし、組織構成員として潜入中の彼からの情報を流したら、出処は?と聞かれてしまうので、開示する範囲が難しい。
だから安室さんの事も話しといたほうがいいってあれほど…
「スバルさんはあれだろ、アメリカから日本に帰ってきた天才少年、サワダヒロキくんの“友人”が悪い人じゃないかの確認されてるんじゃねーの?」
「むむ…それもありえるのが…困りどころでして…」
新一くんだけでなく、灰原さんや阿笠さん、小林くんまで頷いている。
みんなしてそれ思いつくのか。
私がいたいけな少年を巧みに拐かして連れてきたみたいに見えてるのか。
彼らは対等な友人だぞ!
……アメリカで、ジョディさんに会った後にクリスさんと食事してるし、もしかしたらアメリカでクリスさんを監視してた人に見られていたかもしれない…なんて。
そういう目は、クリスさんも考えてくれてたはずだからあまり気にしてないが…私がジョディさんに目をつけられる理由なんてそれしか思い当たらない。
ま、クリスさん関係だから新一くんたちに今言えることじゃないが。
“調べた”後なら教えられるからね。
「こちらでいくつか可能性を考えた中に……最近、何かの事件を追っているとかで姿を消した名探偵、“工藤新一”についての調査で、帝丹高校に潜入したのか、とか」
「件の製薬会社の炎上騒ぎと、何かを探すような構成員の動き、ピスコの一件から、組織を抜けた者がいる事を察して探りを入れている、とかな」
私と小林くんの案に、新一くんも灰原さんも肩を揺らす。
流石にあの事件周りから灰原さんに辿り着くのは難しいだろうが、工藤新一については怪しいよね。
こないだ、蘭ちゃんと江戸川コナンくんと出会ってしまったわけだし。
「あとは俺も…実は、組織抜ける時にFBIの人間の手を借りててさ。色々あって、よくわからないまま俺が見付かるのはマズイんだよな」
色々って?という3人からの視線は感じるが、ここ詳しく話そうとするとバーボンが絡むからな。
「その手助けしてくれた彼と協力出来たら1番良いんでしょうが…安全のため、2年前からやり取りはしていなくって。その人が、小林くんについてFBIに話しているかわからないんです。
彼らの目的が組織の手がかりを探すことだとしたら、灰原さんや小林くんが元メンバーだとバレると困ったことになります」
連れ去られて調べられてしまったら…2人とも、身分が詐称まみれだもんで。
赤井さんが気を利かせてくれたりしない?
スコッチに優しくしてくれたりしません?
それだけで話早くて助かるんだが。
さて。
小林くんに目を向けると、ばちりと目が合った。言っちゃっていいってこと?言っちゃうよ?
「あと…どうも新出医院の新出智明先生の事を調べているようなんです」
「ああ、学園祭とか、この間の身体測定の時にも小学校に来てたっけ。たしか、おっちゃんのかかりつけの病院の」
「新一くんが蘭ちゃんからプレゼントされたセーターの「うっせ!」わはは」
少し前、それこそ学園祭の前だが、なんでか新一くんが智明くんのことを睨んでいたので聞いてみたところ、蘭ちゃんが智明くんのことめっちゃ見てて、ヤキモチ妬いてたそうな。
彼の着ていたセーターの編み目を、クリスマスプレゼントの手編みのセーターに使いたかっただけだったと知ってホッと安堵していた。
そんな話をからかったら、またたたかれてしまった。
そんぐらいの青春は楽しみたまへよ。
「そうか、小学校での身体測定の日、灰原は居なかったから見てないんだっけな」
「……そうね…彼に怪しい点でもあったのかしら?」
灰原さんの言葉に、小林くんが答える。
「実は、本当なら新出先生は青森の病院に出向していて東都にはいないはずなんだよ」
「えっ?」
「東都で担当していた患者さんが心配で、彼らを他の病院へ紹介するために先延ばしにしてもらったそうなんですが、ご家族はみんな既に青森に行ってて……彼、今ひとりで残っているんです」
「……なんであなた、そこまで知ってるわけ?」
灰原さんがじわりと身を引いた。この間の新一くんへの脅し文句、こっそりマイク越しに灰原さんや阿笠さんにも聞いてもらってたから、本気でそうとは思わないけど、ちょっと警戒…と控えめな態度になってしまった。
ある意味、このくらいが丁度いいかもしれない。小林くんや、安室さん的にはね。
「小五郎さんのかかりつけ医ですが、その前に私の主治医で友人なんですよ。智明くん」
そうじゃったのお、と阿笠さんだけ頷いている。2人とも、詳しく聞こうと前のめり。
はっはっは。安室さんと小林くんに事前に相談してある範囲までなら教えてさしあげよう。
それ以上はきかれても困るからやめてね。
「彼から、最近外国人の患者さんが急に増えた話を聞いてましたからね。それでジョディ先生にも行き着いたんですけど、調べてみたらただの先生じゃなかったので」
「それじゃFBIの動向探ろうって。ほら、俺が北斗星で有希子さんに変装教わりに行ってただろ?
「そんな前から…」
新一くんたち3人が感心してくれている。
それはもちろん、警戒はしていたけど、クリスさんや組織の影がチラホラ見え隠れしてきたからであって、FBIについては丁度いいからこじつけただけだ。
「……そう…。組織の者だけでなく、謎の目的を持つ第三者もいる中であんなことになったから、あなたがあれほど焦って、怒っていたのね…納得したわ。仕方ないわね」
「うむ…新一に甘い昴くんが、あんなに焦っとるのは久しぶりじゃったわい」
ありゃ。意外に思われるほど焦ってたらしい。怒られた事を思い出して、少しだけ眉根を寄せて反省の顔色をしている新一くんである。
阿笠さんのほうがよほど甘やかしてると思います。
「智明くんについての調査は私が任されます。普段の彼を知ってるのでね。
それで、一応無許可で目的不明な外国の、とはいえ正義の捜査官であるジョディ先生についての調査を、新一くんに頼んでもいいですか?小林くんもつけるので」
「良いのか?」
その上目遣いをやめなされ。怪しい相手に、探偵ムーブカマして良いのかってこと?
かわいいなもう。カマしたれカマしたれCOOL GUY
……クールガイって直訳すると冷奴ってこと?
「小さい子供に悪いことする警察はいませんからね。それに組織関係のFBIが来てるのなら、小林くんの組織脱走を手助けしてくれた人との繋がりを辿れるかもしれません」
そこは小林くんがもう見つけてるんだけどね。
“赤井秀一”は既に日本、それも東都にいるらしい。
流石は作中の代表的な天才の1人だけあって、小林くんですら現在の居場所までは突き止められず、お礼や相談も出来ずに目撃した、という情報のみに留まってはいるが、それだけは確かであると。
ちなみにその話がメッセージにて共有された瞬間から、零くんの機嫌はフルスロットルで下降の一途を辿っているので、今回の彼はクリスさん専任となっている。
いつもの冷静さが無くなって、とりあえずFBIを日本から追い出す事を第1目標に設定してしまいがちになっちゃったので。
マジで何がそんなに嫌なのさ?
「逆に私は……ヒロキくんの件で怪しまれてる可能性がありますから……そちらにはあまり関わらない方が良いでしょう。
小林くんとよく相談して、しっかり警戒して事にあたってください。
灰原さんと阿笠さんは、2人の援護をお願いします」
こっちには冷静ではないけどまだ理性は残してる安室さんがいるからね。
全然違いは分からないけど、安室さん曰くベルモットの変装である、今の智明くんが、何を目的としてこの東都に残ったのか……
調査開始ですわよ!
安室さんさえ妥協してくれたら話が早いんですが
…いや、どうかな…あの頃の彼、怖いもんな…
読んでいただきありがとうございました!