昴くんはなにもしない   作:あまも

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クリスマスシーズン(梅雨投稿)

改めて確認のため1巻から見てますが、明確にここでクリスマス来てた事にちょっと驚きました。せっかくだからクリスマスやっときます。


見ていただきありがとうございます


3-1:見知った来訪者

 

 

 

 

 

 昨日はやる気を出して、工藤邸の大掃除などしていた。

 

 

 クリスマスシーズンのこの最中に、である。

 

 

 知り合いのお子様達にはクリスマスプレゼントと称してきよしこの夜が流れるクリスマスカード贈ったし、コナンくんは実質新一くんだからクリスマスプレゼントとか言う歳じゃないって恥ずかしがってるし。

 一緒に過ごす懇意の女性も、寂しき男達の饗宴する寂しんボーイもいないし。

 

 ロンリー寂しんボーイは街にも居場所が無くなって、ついに人んちの大掃除なぞする事になったってワケである。

 

 厳密には人んちじゃないし。

 

 いいもんいいもん。いい子点数稼いでおくんだい。

 

 とはいえ、しばらく人が入らないと、家が悪くなるのでね。やらなきゃならないのは確かですよ。

 主に私がこまめに、阿笠さんや蘭ちゃんがたまに工藤邸に行っては換気や軽い掃除をしていたのだけれど、流石に書斎の本が埃積もって来たので、空気が乾燥してきたこの隙に。

 

 かなり張り切って隅々まで叩きまくって埃出して来た。

 

 

 

 おかげで本日の私は疲労困憊。なんなら少しグロッキー。

 

 

 私が綺麗にした屋敷で、夜の内に何やら鬼ごっこが開催されていたらしいけども。どうせ工藤新一の気配を感じた蘭ちゃんが工藤邸捜索でもしたんだろう。

 雪も降ってきて帰るのも億劫で、昨夜は阿笠さんちで一泊したのだ。そのまま疲れでぐでんぐでんになっているなう。

 阿笠さんの家での私の定位置、2階ギャラリーの一角に作らせてもらった個人スペースで脱力タイムズですよ。

 

 掃除の他にも一昨日から昨日今日と色々あったので、もう私はここから動く気が出ない。完全にオフだ。平日だけど。

 

 裏口側のギャラリーの端に設置している、ベッドテントとクッションソファー、い草マットにミニテーブル。あと、持ち歩けない大事なもの。

 家を出てからも、ここは私が居心地よく好き勝手させてもらった時のまま置いてある。

 阿笠さんのこだわりの一軒家、特徴的なギャラリーとなれば、このスッキリした開放的な所を大事にしてるんだろうに、こんな荷物置かせてくれて……あまり荷物を持たない私の、少ないながらもがさばる荷物がここにある。なんなら車内とここの荷物より今の部屋の方が物が少ないかもしれない。

 私が落ち着ける場所が出来るなんて……ホント、ありがたいかぎりだ。

 

 

 ……ただね……ふと、本の中のカッコイイ主人公の描写を読んで今しがた考えてしまったんだけどね……

 

 沖矢昴ってこんなだらしない格好するのだろうか。

 

 い草マットに横になりながら、ソファーにうつ伏せに乗り上げて、

 床に置いたノートPCで自作のチェス対戦AIに最新のPGN食わせながら、

 昨日書斎で見付けた工藤氏の著書を読んでいる。

 傍らには読了済みと未読の積んだ本とスポーツ飲料。

 茶菓子は自作のラムネ(ブドウ糖固めただけ)。

 ボケっと画面の学習状況眺めたり、本を顔に伏せて仮眠とったり。

 

 そんな事を朝からぐーたらとやっている。

 今の自分の姿を客観的に見た所を想像してみる。

 

 ……沖矢昴、こんなだらしなく、ない気がするな。中身赤井秀一なんでしょ。

 ……詳しくは知らないけど、本棚バックにしてオシャレにPC弄ってる描写は見たことある。

 オレンジか茶色の飲み物飲んでた。

 

 じゃあ案外、今の私みたいなものなのでは?

 

 ……このソファー、昔、阿笠さんに要望出してオーダーメイドしてもらって、以来バージョンアップを重ねてきた、人を…いや、沖矢昴をダメにするソファーなんだから、今私がぐでぐでしてるのもしかたないよね。

 

 じゃあヨシ!

 

 今日の私はダメダメなので、ここでリラックスして過ごすんだ。そう決めた。

 これで日光があれば完璧なんだけど……外は生憎の天気だ。

 なんならまた雪降って来たし。最近都内のここら辺でも積もってくるから、こうなると車出す気力すらもなくなった。昨日に引き続き、今日も泊めて貰おうかなぁ…なんて。

 

「おおい、昴くん」

 

 階下から阿笠さんが声をかけてくれたので、転がって首だけ出して下を覗く。

 

「はいはいなんでしょう。腕時計型麻酔銃くれるんですか?」

「ダメじゃよ」

 

 これである。ここ数日頼んでたのに。不貞腐れちゃうのもしかたない。

 あわよくば、今朝起きたら阿笠さんが枕元にプレゼントで置いててくれないかななんて打算もあったのだけど、彼はこの2階ギャラリーに登るという些細なカロリー消費すら面倒がる人なので(※)残念だが何も無かった。

 1階で寝てたらワンチャンあっただろうか。

 

 

 阿笠さんもこの麻酔銃の危険性に気付いているのか、これを渡すことには慎重である。

 ……ホントに気付いているのか?って言われると、うーん……

 

「どうじゃ、少しは楽になったかのう?そろそろお昼じゃし、何か食べんか?キミは朝から食べとらんじゃろう」

「おや、そんな時間でしたか。ちょっと待ってくださいね」

 

 おっと、阿笠さんから心配の言葉だったか。これはまずい。

 跳ね起きてとっとこ、階下に向かい、キッチンに駆け付け、お湯を沸かしてくれている阿笠さんをキッチンカウンター席へ追いやる。

 

 私が家に居るときには料理は私の仕事だからね。体調悪かろうがそこは譲らないのさ。

 

 今朝もちゃんとパン焼いて卵焼いて阿笠さんに預け、プレゼントの催促したもの。

 

 一方私は朝からスープで済ませて、今も何か食べる気は起きない。お湯もあるし簡単に温麺(うーめん)茹でてにゅうめんかな。阿笠さんも今日はあまり動かないだろう。

 

 料理に関しては、私の点数稼ぎではなく普段からそのようにしていることなので。媚び作戦は、どうやら失敗したらしいし。

 

 私が新一くんの腕時計型麻酔銃を羨ましそうに見て、阿笠さんに愛想と媚びを売って売って売りまくった末。昨日の大奮闘を見て何か心境の変化があったらしく、今朝の催促でついに「仕方ないのう」と言って、

 麻酔針だけくれた。

 

 ──?

 

 思わず別作品の如しクエスチョンマークを中空に出してしまったのも仕方ない。

 

 たしかにこの細さと非視認性、そして謎の即効性の麻酔薬。かなり凄いけども。

 私は本体の方を見たかったんだけど!

 

 ……あれかな、少し前に全自動ポテチ食べ器とかいう奇妙な物作ってるの見て「わぁ、メタボまっしぐらですね」とか言って後ろを通りながら脇腹ぺちったのが心象良くなかったかな。

 あれ開発の為と銘打ってポテチ食べたかっただけだろ。

 

 だから私は悪くない。

 

 でもなんで麻酔銃だけ許してくれないんだろう。

 

 ちゃんと威力試験して武器等製造法違反してないか検証しようとしてるだけなんだけど。

 

 前にキック力増強シューズを威力試験しようとしたけどどう試験検証すればいいか分からない話したから警戒されてるのか……?

 

 ……いや別に友人に話をするのはチクリでは無い……無いよね……?

 

 

 

 ■

 

 

 工藤氏の襲来である。

 

 や、ちゃんと事前に

「新一をこっちに移せる用意が出来たから、そろそろ日本に向かうよ」と連絡は来てるので、そろそろ来るのは知ってたけどね。

 阿笠さんと、サンタさんの良い子へのプレゼントとはの問答で一進一退の攻防戦やってる時にチャイムが鳴ったのでびっくりしてしまった。

 

 お出迎えすると、満面の笑顔の工藤夫妻(ふゆのすがた)。ところが即座に有希子さんの顔がショックを受けた表情に。視線は私を見ている。小さく悲鳴まであげているし。

 

「昴ちゃん、なんて格好をしてるの!!」

 

 格好。

 まるで変態でも見たかのような反応は、ちょっと傷付いた。

 

 まぁ確かに今日は外出する気ゼロで、ぶっちゃけ寝間着の上を着替えて更に上に1枚羽織っただけなんだけど……確かに人を迎える格好じゃないかも。くっそ〜油断した。そのうち来るのはわかっていたのに……

 

 ……いやだがしかし。今日の私はダメダメオフの日なので。

 のほのほ朗らか阿笠さんは何事も無かったかのようにのっちのっちとやって来たので、私も乗っかるか。

 

「おお、おお。工藤君。有希子君。帰ったのかね。ほら、さぁさぁ中へ入りなさい」

「……おかえりなさい、優作先生、有希子さん。丁度にゅうめん作ってたんです。食べていきませんか?」

「ああ、ただいま、昴。阿笠博士は元気そうですね。しかし、にゅうめんか……良いね。急に降り出して、身体が冷えていたから助かるよ。ホラ、有希子」

「──────信じられない!!昴ちゃん!ダメよそんな格好!!!」

「わかったわかった。開けっ放しにさせては悪いだろう有希子。ひとまず家に入ろうじゃないか」

 

 うーん賑やか。

 ちょっと頭にガツンと痛みが来ている。

 

 どうやら目敏い工藤氏はいち早く、私の体調が良くはなさそうなのを勘づいてくれているようだけど、有希子さんはそんなことより私の格好がどうにも許せないらしい。ずっとぷんぷんしておられる。

 

 そんなに酷いかな……高校時代のジャージに半纏。中学以来の付き合いやってる友人とか、会いに行く度コレで出て来るけど。アイツも有希子さんに悲鳴上げられるんだろうか。

 

 阿笠さんがハンガーラックを持ってきて、工藤氏たちのコートを預かり、干しながら談笑しつつ有希子さんを宥めている。この隙に、追加の束を茹でておくか……

 

 ■

 

 

 有希子さんは、沖矢 昴の顔がタイプらしい。

 

 

 小さい頃からずっと可愛い可愛い言われてきたが、この人は息子にも可愛い可愛い言っているし旦那にも言ってるんだ。

 

 とはいえ美人にそう言われて悪い気のする男はいない。ただ、旦那さんがいる人に言われてその旦那さんに恩がある男としてはとても悪い気がしてしまう。

「モチロン、優ちゃんが1番よ♡」とは言うものの、私の学生時代は女性の扱いと身だしなみ、そして言葉遣いをアレコレ指導を受けて……当時は立派な、工藤有希子さん好みの沖矢昴やってたのだけど……

 

 残念ながら、本来の私は一般人の中でも特にズボラな方の人間だった。

 

 ちゃんとした仕立ての服なんて片手で足りる数しかないし、普段着も季節毎に4着5着、夏服だけちょっと多いか?程度。

 女の子の気持ちもわからないし。

 有希子さんが海外に行き、気を使わなくて済むようになって以来、散髪も面倒で、知り合いの所でカットモデルなどして格安で済ませているし切ったら切ったでそのまま放置。

 言葉遣いはついぞ直らなかったし。

 あとなんだろうな。メガネはケースに入れないし自宅は物を置くと散らかるしPC内のファイル名はクッソ適当だし水道水もガブガブ飲む。

 

 ……これは沖矢 昴か…?

 

 ちゃんとした沖矢 昴の性格の記憶が、劇場版で長高難易度狙撃キメて上司に『了解』してる所と、「ジャンジャンバリバリ」しか無いんだよなぁ…

 

 いかんな、頭が痛くなってきた。私ってばホント、外見に無頓着ですこと。

 

「お買い物よ!!ソーメンいただいたら、すぐみんなでお買い物!!」

「有希子、これは温麺だよ。蔵王の特産だったかな」

「おや、流石優作先生。この間いただいたもので、阿笠さんのPC仲間さんからのお礼の品でして。あちらの地元の特産を箱で送って下さったんです。食べやすいので重宝してますよ」

「そうか。では宮城と奈良のコラボレーションだね」

「お買い物行くのよ!!」

 

 有希子さんは大暴走中である。そんなに荒ぶられて……余程、今の私のクソダサスタイルが腹に据えかねるようだ。つるつると温かい麺をすすり、汁を豪快に飲み干して、皆をまだかまだかと待っておられる。

 

 うむむ、車出すのか……その前にせめて外に出られる格好になる必要がある。しかもまともな格好。置かせてもらってるやつの中に、有希子さんのお眼鏡にかなう服あったかな……いや、車にジャケット載せてた気がする。

 工藤氏が私の肩に手をやり、そっと背に手を当てて、内緒話スタイルを取るので顔を寄せる。

 ウワッこっちも顔が良い。久しぶりに見ると慣れが薄れて余計に破壊力があるな。

 

「昴、体調が悪いなら無理はしなくていいよ」

「いえいえ。2人が帰ってきて、お出かけするというのに私が休んでるわけにはいきません。運転手はお任せを。

 何か、買うものがあるんですね?」

「ああ。新一の探偵力のテストでもしてやろうかと思ってね。その舞台衣装と、スタジオを、ね」

 

 パチリと、工藤本家のお茶目ウインク。普段から開いてるか閉じてるかわからない私の目では出来ないあれである。似合う〜

 

「落第点なら、海外に連れて行こうかと」

「ワァ」

 

 パスポート類も出入国審査もどうにかする宣言だぁ。

 

 この人達、結構好き勝手やってるよな。作品内最強キャラが道楽ムーブ多くなるのはしかたないんだと思うんだけど……この人、遊んでないでさっさと本気出して黒の組織解体してくれたら、和製ロアナプラの呪い無くなるんじゃないの?それだけ凄い人なんじゃないの?映画出禁って聞いたよ?

 

「そちらはやめておくかい?」

「うっ、うーん……今日中ですか」

「明日に回す?」

「うーん……いや、優作先生。飛行機の予約は?」

「そこは心配要らないさ。席の取れるものに乗るからね」

「え……優作先生、それは────……工藤先生?次の締切は、どこのどれがいつで「ハッハッハさ〜て有希子、昴が着替えるのを待とうじゃないか」

 

 おおっと、作家大先生が逃げたぞ。

 後で各地の工藤氏担当の雑誌編集の皆さんに確認取らないと。

 日本を出た後の国が決まってないなら、担当の方が彼がどこに行ったかわからないし、予定を合わせられなくなる。つまり、これは逃亡だ。この人が逃亡する時は、だいたい締切がカツカツな時だろう。

 

 んも〜仕事して〜?

 

 どうせ面白半分心配半分の新一くんの探偵試験で、遊びと確認とサボりだけの為に日本に来たんだろう。さっさと終わらせて、早くこの人を仕事に戻さないと。

 

 

 ■

 

 

「アラァ〜! そうそう、そうよ昴ちゃん!なんだ、ちゃんと出来るじゃない!」

 

 ずっとぷりぷりと頬を膨らませていた有希子さんに、頭梳かしてなるべくちゃんとした服に着替え、愛車の横で後部座席のドアを開けてお迎えの執事然とした背筋の伸びた好青年パーフェクト沖矢昴姿を見せたら、拍手して途端に上機嫌になってくださった。

 よかったよかった。

 危うく、着せ替え人形にされる所だった。

 

 

 結局お出かけ先で有希子さん自身の変装のための服選びで、男性陣全員結構な時間拘束されるんだけどね。たまに意味もなく工藤氏と交互に呼び出され、隣に立たされ着替えさせられ意見言わされのサービスタイムも挟む。

 

 個人店での有希子さんファッションショーのため、野郎共は端の方でお茶渡されて座っている。

 待ち時間の間、3人で作戦内容を話せるのである意味、正解だったか。……それくらい工藤氏なら考えるよね。

 

 そんなわけで、作戦をひと通り聞いた。

 

 

 毛利探偵事務所から連れてって、『お前の正体知った組織の人間やで〜』って怖がらせて、監禁してみて……、逃げるはずなので、どこまで逃げつつ、こちらの正体を探りに来るか来ないか、その他、反応を逐一見ていこうとしている。

 結構アドリブというか、臨機応変に対応しましょうって感じだ。

 相手が知性ある生き物だしね。泳いでもらうしかないよね。

 

「大体の予定していた流れは今伝えた通りだよ。昴は何か心配なポイントはあるか?」

「初めに親を名乗り、闇の男爵(ナイトバロン)を出すのは、バレバレなのでは?」

 

 親を名乗る不審者が迎えに来て、お前は工藤新一だと宣言してくる。男女であり、男は仮装…闇の男爵の格好。そこだけ抜き取ると、新一くんなら気付きそうなもんだが。

 工藤氏はどこか嬉しそうに頷く。

 

「確かに冷静に考えれば、アイツはすぐに気付くだろう。だが身の危険を感じている時……そして焦っている時、その事に考え付くか、というポイントを見るのさ」

「なるほど……彼の身柄の輸送は、拘束無しで有希子さん1人に任せるんですか?……逃げますよ?それで変な怪我でもしてしまっては、ドッキリではすまなくなります」

「ああ。本当はその運転手を任せたかったのだが、君は今日あまり体調が良くないだろう。……すまないね、有希子に付き合わせて」

 

 工藤氏が頭を下げてくる。いえいえ。お手伝いのためならなんのそのですよ。

 ただ、それだと拘束時間が…長いな。

 

 

「有希子に任せようかと思ってね。悪の女幹部役でアイツを怖がらせてもらおうかと。

 そういうの、彼女は大好きだからな」

 

 あと変装バラしてみんなが驚くところと、とにかく目立ってちやほやされること。

 

「──有希子さんに任せて、一度逃がすつもりですか?」

「お。気付いたかい?」

「敢えて隙を作って、どう逃げるか……いや、元々隙が多めな彼女から、どのタイミングで逃げるかを見たいんですね」

「ああ。逃げたところで、今の彼が頼る相手なんて博士か、昴の所だろう。そして道中に逃げたなら、昴の所には行かない。

 ──自分の意思で逃げたようだが、実質、場所は決まっているのさ」

 

 毛利探偵事務所から出て来たのだ。そこに頼りに戻る訳にもいくまい。そして、私の家……部屋には、ルート的には遠いし、何より私が家にいるかは運要素が絡む程度に普段から留守が多い。

 

「……となると、そこで阿笠さんか私が助けに?」

「そうだね。そこで油断したところで再度確保。……いや、助けになると見せかけて、別の人物によってそれを遮られる方が良いか?」

「目の前で阿笠さんや私が、組織の者に襲われた方がよりショックが大きいのでは?」

「工藤新一の知り合いが襲われる状況か……アリだが、攫うために毛利さんたちに攻撃せず、騙す形で穏便に済ませた以上、その時点で手を出す可能性は低いな」

「……では“組織の者に連れ去られかけて”、と事情の説明が入った場合は」

「それでもキミたちに、演技をしてもらうプロセスが増えてしまうだろう?そこをリアルに出来なければ、アイツには余計な疑念を抱かせる事になる。そこは有希子ならばフリーで任せられるが、キミたちは…………フム…逆にその違和感に気付くか、試すのもアリか……?」

 

 阿笠さんが困った顔で見てくる。そうかそうか、あなたは演技は苦手だよね。わかりやすいもんね。

 

「OK、もし何か言いたそうに駆けてきたら私が出ましょう」

「ああ。そうしようか。その方がお前も家で待機できる。もしアイツが逃げ込んだら頼んだよ」

 

 ここで工藤氏、ひと呼吸して目を伏せた。

 

「──何かあったか?考えたくない事があって、ひとりで我が家の掃除なんてしてくれたんだろう。一日で家中なんて、無理をしたな」

「……いえいえ……」

 

 

 うーん、降参。プヘと変な息の漏れ方してしまった。お手上げお手上げ、もう追い付けません。

 

 マジでなんで解るんだよこの人……いや来た時に荷物は無かったし、来る前に家に行ったんだろうけど。そこからなぜそんな大掃除を私が始めたか、なんて理由まで考えることないじゃない。

 こっちが頑張って理解しようとして、相手も説明多目にしてくれて、それでもこれだからね。

 ポンポン会話飛びまくるし。

 

 なるほどコレだな、じゃあアレは……そうか!じゃないのよ。何も頑張らずに宇宙人会話繰り広げる工藤親子は何なのかしらホント。

︎︎あらヤダ脳内がオネェになっちゃうわよホント。

 

 ──そろそろ頭バグって来た。知恵熱出そう。

 

 も〜〜〜 夫婦揃って面白がってんじゃないわよ〜〜

 

 ︎︎考えたくないこと。気にしないと決めたが、それでもどうにかできたのではないかと、悶々と悩んでしまっていたこと。

 

「……少しばかり、間に合わない件があっただけですよ」

「なるほど」

 

 ︎︎したり顔新一くんにそっくりだわ、まったく。

 

 




(※):そんなことは無い。

ここは5巻の内容でした。
作中初めての冬ですね

閲覧ありがとうございました!
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