昴くんはなにもしない   作:あまも

75 / 154

この事件、一晩の話なんですね……

長くなってしまいました。

閲覧ありがとうございます!


34-1:先憂後楽

 

 

 

 

 本部で本当に美味しいたこ焼きと昆布茶を頂いて、マジで特に言及はされてはいないし、やったのはお前だろうとは言われていないけど、あんまりこういう、公的な所、特に警察のデータベースとかに潜ったりしようとするのはやめた方が良いよね、などと諭されるなどしつつ……

 

 普通にパソコン詳しいお兄ちゃんによる、機械よわよわおじちゃんたちへの講習会してたりなんなり。

 

 ノアズ・アークがネットワーク経由で途中から参加しようとしてきたので、私は元気で無事だから東都で帰りを待っていたまへと帰宅させたり。

 零くんが暴れかけてたから、小五郎さんの名前で心配ないことを新一くん経由で伝えといたよ、などと怖い捨て台詞置いて帰っていった。

 零くんの暴れ方もその理由も、どういう経由地して伝えたのかも全部まとめて怖い。最終手前が景光くんなのではあろうが。

 

 なんというか、サザエさん時空とかこの文明逆行とか関係なしに、一部のおじちゃんたちが携帯すらも満足に扱えていないの見ていたら、間もなくそのうち警察さんの支給機器もスマホになるけど本当に大丈夫か?と心配になったりしていた。

 

 そしてしれっとおじちゃんたちに混じって参加していた小五郎さん。

 大丈夫?おっちゃん、パソコン使える?

 

「最悪、オメーに頼むから俺が使う必要ないだろ。このパソコン小僧め。そのスキル、くだらんことに使ってんじゃねーぞ」

「ふふ。高評価頂きありがとうございます」

「ケッ」

 

 チャンネル登録よろしくニキ。なんてね。

 悪態ついているが、小五郎さんは今回、面倒くささを微塵も隠していないものの、犯人の疑いありとして連れてこられた私を1人にしないようついてきてくれている。

 蘭ちゃんたちのほうには警察の皆様がついているし、そちらの心配が無くて、かつ警察本部にいたほうが、事件がどうなったかをいち早く知れるから、だと本人は言うが。

 その理論なら、私こそ警察のおじちゃんたちにやんややんやと構われて安全だし、事件の行く末が気になるのなら、事情を知った上で新一くんたちについて行くことだってできたはずなのだ。

 小五郎のおっちゃんは、とても不器用だが、いいおっちゃんなのである。

 ……こういうところがあるから、普段ダメ親父してても憎めないし、好きなのだ。

 普段ダメ親父だが。そこは譲らないが。

 

「……ですが小五郎さん。私、他の探偵事務所でバイトしてますけど大丈夫ですか?」

「あぁ〜? なんだそれ。初耳だぞ」

 

 あれ?言ってなかったっけ。

 

「友人が米花町で探偵事務所を始めたんですが、そのお手伝いしてお小遣い稼ぎしてたんです」

「米花町でだと? バッカ、オメー、そーゆーのはまず先達に挨拶すんのが筋ってもんだろーが!」

 

 ええ?

 

 広田さんじゃなかった広田さんの時の、お目めのかわいい探偵さんとかも探偵だったけど、小五郎さん知らなかったじゃないか。

 

「お前が世話になってるところで、始めたてのぺーぺーの探偵(同業)ってんだろ?んなもん、お前、ノウハウだってわかってねーだろ。ちゃんと食えてんのか、ソイツ」

 

 稼ぎ……まぁ、本職のほうだけでも稼ぎは十二分、使いどころが無いくらいには稼いでいるんじゃないですかね……セロリもりもり食ってるよ。

 

 ご挨拶……そういうものか…そういうものか?

 

 まぁ、小五郎さんが真面目な顔で言う時はそういうものなんだろう。

 そういう、義理とか、業界の作法とかは本筋の人の言うことは聞いた方がいい。

 

「わかりました。今度、ご挨拶に伺うよう言ってみますね」

「おう」

 

 むふんと腕を組み、ふんぞり返っておられる小五郎さん。

 己が名探偵だという自覚がすんごい。

 

 新一くんや蘭ちゃんのいない、平日の昼間とかを狙って行ってみるよう言っておこう。安室さんは、まだ新一くんに会う気はないようだし。

 あ、定期連絡……

 ……ノアズ・アークが連絡したって言ってたし、何とかしてくれてるだろ。

 

 大阪府警本部のおじちゃんやおばちゃんたちにチヤホヤされながら、のんびりと茶をシバいていたら、どやどやと本部長殿が凱旋行進しながらお帰りになられた。

 無事、糟屋さんの一味は一網打尽となって、脇坂さんも逮捕となり。

 本部長直々に出向いての大捕物は、翌日の朝刊の一面を飾ることとなったようだ。

 

 新一くんも服部くんも、怪我は無いらしい。

 

 いやー、一件落着。これで晴れ晴れとした気持ちで東都に帰れるってもんよ。

 

 

 

 

 …………それで、あの、私の解放……いつになりますかねぇ?

 

 えっ、銀司郎さんと平蔵さんからありがたいお話が?

 いやいやいや、お忙しい中のお2人をそんな、私ごときにそんな、私しがないただの一般大学院生であります故。難しき事理解能わずにして候。

 ああっ、圧力止めてください困ります困ります!小心者ですことよ!

 

 ハッキングなんて、“私は”しておりませんことよ!

 

 ……今回は。

 

 

 ■

 

 

 東都帰還しましたですやで〜!

 

 炎上やら死体損壊やら恫喝やら冤罪やら圧迫面接やら、色々あったけど私は元気なのでOKです!

 

 帰りの駅で、服部くんは私と口きいてくれなかったがね!

 

 まったく。私は新一くんとほぼ一緒で、途中から大阪府警の人達に黙ってろって止められてた側だというのに。

 その点、静華さんに(・・・・・)、ちゃんと平蔵さんが平次くん殴って虐めたり囮にした捜査したり私のこと冤罪(偽)かけたりした事は全部まるっとチクッといたっていうのにさ。

 私、おしゃべりチクリ魔な白い鳥ちゃんでございますれば。

 あることないこと喋っといたので、今頃静華さんから旦那いびりされているに違いない。

 

 銀司郎さんは優しくしてくれたので、櫻さんに(・・・・)あることないことチクるのは止めておいてあげた。

 もし言ってても、彼女の場合は『ないこと』はバレてしまうだろうし。

 

 大阪府警本部で、服部くんと和葉さんのお友達だと聞いて世話を焼きに来てくれた若い女性。

 若い…と思ったのに、なんとびっくり銀司郎さんの妻…つまり和葉さんのお母様、遠山櫻さんだった。

 銃器対策部隊所属で、しかも精鋭だと聞いた時はその力強さと迸る生命力(オカンパワー)に、なるほどと頷いてしまった。

 女性だというのに、流石は大阪の女性(オカン)。強烈、というべきかなんというか。

 大阪に限らず女性は強いものだが、どうにもこうにもやはり大阪、生態として他地方とはひと味違う。

 本当に飴ちゃんは出てきたし、豹柄が大変お似合いでした。

 

 そんなオカンな櫻さんと、娘さんと服部くんの恋路の話題で盛り上がって、盛り上がりついでに連絡先を教えていただいたのである。

 

 銃火器対応のエキスパートの知り合い、この世界においてデカすぎる。

 一般人がそのコネの使いどころがあってはならないはずだが、それはさておき。

 お歳暮贈ろうね。

 

 

「ってことがありました」

「うん……人命救助しようって心意気はとっても良いんだけどな」

「でもみっちゃんだって、そうなってたら、そうしていたでしょう?」

「うん…それはそう」

 

 ポキ、と軽い音。揚げられたパスタをポリつく。固い。チリトマト味を頼んだが、ちゃんとピリ辛トマト味の美味しい粉がついている。うま。どうやって作んのこれ。へぇ、揚げるだけ?

 簡単〜

 

「お前らな…」

「あ、ゴリラは黙っててください」

「いや、ゼロでもその状況なら水に落とす選択はするはずだ」

「……確かに」

「お前らな!」

 

 

 はい、やってきました毎度おなじみ報告会。

 本日の会場は、ブルーパロットにて。

 今日は、福井さんは非番で寺井さんは古い友人との仲を温めにいって、店は閉めといて構わない、と指示されている。

 なので表にはCLOSEの札がかかっているが、こうしてバーカウンターでおつまみつまみつつお話中である。酒は飲んでません。

 

 零くんのほうは、少し組織での行動があったが、これはベルモットや東都は関係ないため、黙秘。

 ただ、報道の連中に警戒を、と忠告だけ。報道ねぇ。

 

 景光くんは、この店に新たに飾られた、『伝説のキュー』なるものを巡る戦いに巻き込まれたらしい。とても面白かったそうだが、詳しいことはハルの話の後な、とのことで。

 

 私の話。すなわち、大阪での事件を、新聞の一面と当時の記事を交えながら景光くんと零くんに説明していた。

 

 私が携帯水没させて連絡取れなくなった後、ノアズ・アークがメッセージを2人に送ってくれたらしい。

 『私の安否については小林くんから新一くんに聞け』、とだけ。

 その結果、私が自殺幇助の容疑をかけられて警察に連れてかれた、なんて聞いた零くんが公安に“指示”出しに行こうとしていたり。

 しかしそのすぐ後に、小五郎さんから蘭ちゃんへ、『話を聞きたいだけらしいから、心配はない』と伝えてくれていたことを言伝に聞いたそうで。

 ノアズ・アークが名義を偽って伝えたんだろう。小五郎さんがそんなことするわけない。

 

 服部くんちに置いてあった荷物に入れといたスマホには、しっかり事情の説明をしろと通知がズラッと並んでいて、いくら阿笠さんのスーパーメカで時代のおかしな機器類にも耐性のある新一くん達の前だといっても、目の前で連絡する訳にも行かず。

 ここまで、2人にはずっとやきもきさせてしまった。

 

 ま、景光くんは私と同じ選択するだろうし。

 

 零くんも同じことはするだろうが、私以上に上手いことやっていただろうし。

 2人とも、もしあの場に居たのならきっとあの時点で脇坂さんを捕まえてしまっていたかもしれない。

 

 ああ、でもどうだろう。大阪府警が糟屋さんを誘き出そうとしていることまで読んで、泳がせたりしていたのかも。

 天才の考えることはわからないからな。

 

 

「それで、小五郎さんが安室さんに挨拶に来いって言ってました」

「……今頃か。ハル、お前バイトの話、してなかったのか?」

「ええ。私もすっかり話したつもりだったんですけど」

「ハルってそういうの多いよな。話したつもりだったり、話してなかったつもりだったり」

 

 へへ。発言に責任感が無いもので。

 いつもあることないこと、ありそうでなかったりなさそうな真実言ったりしているが、この2人も新一くんたちも、みんな私の話は話半分に聞いてくれてるからな。

 正しいかどうかの取捨選択は、それぞれに任せている。

 その結果、よく私がカマかけられているんだが。

 

「挨拶な…ベルモットの件とFBIを日本から追い出すまでは、あまり自由が利かないんだが…

 わかった。折を見て行ってみるよ」

「お願いします」

 

 それこそ、安室さんは安室さんで小五郎さんに顔見せくらいはしてると思っていた。

 

「でもアレだな。ゼロも『警察辞めて探偵始めました〜』なんて言ったら、小五郎さん、俺の時みたいにまた難しい顔しそうだ」

「…………ん?」

「難しい顔?」

 

 ケラケラと笑いながら、カツオのたたきに玉ねぎを乗せていた景光くんの言葉で、私たちの思考が一瞬停止した。

 立ち直りはもちろん、零くんのほうが早い。

 

「ヒロ、なんで元警察だなんて毛利探偵に言ったんだ。だいたい、小林として会ったんだろ?」

「? だって小五郎さん、俺やゼロが昔、阿笠博士や工藤先生んちに、ハルに会いに来てたの覚えてるぞ。警察目指してるって言ってたのも。

 江戸川くんに呼ばせてた名前が違う事も、ひと通りちゃんと説明したら事情も察して黙っててくれているし、警察に顔合わせにくいだろって、俺から話題、逸らしてくれたりもするよ」

「何でそれを言わないんだお前!!」

 

 ……小五郎さん!?

 

 零くんが、さっきの私の話の時よりよほど焦った顔で席から立ち上がった。つい大きな声が出てしまって、自分でも驚いた顔をしている。

 自分で言っていて、そういえば昔会った事が何度かある、という事に気付いたんだろう。

 

 言うてあまり面識は無いだろうに、よくこの景光くんの顔覚えて…いや、てかそうだ、あの人意外と、異様に目敏い時がある……!

 

「……毛利さん、ちゃんと“そういう部署”があることも解ってくれてたよ。だから深いことは聞いてこなかったし、俺も組織の話とか、何もしてない。ただ、警察官の『諸伏景光』でいられなくなったって話だけしたら、そうかって。缶ビールくれた」

 

 景光くんが、カツオのたたきの仕上げしながらポツポツと話す声に、落ち着いたのか零くんがゆるゆると着席。

 “そういう部署”ってのは、まぁ、“そういう部署”なんだろう。

 

「……てか、ゼロはお前、その見た目なんだからどう足掻いてもあの人絶対覚えてると思うぞ」

「確かに」

「……」

 

 はは、苦い顔してら。

 零くんも己の外見は理解している。日本人であろうとしているが、間違いなく日本人離れしているのはどうしようもない事実だ。

 

「…大人しく、小細工無しで表向きの説明通り、『沖矢昴(わたし)の友人で、その繋がりで探偵始めた』ってことで良くないですか?」

「うん。それが1番、あの人も理解してくれると思うぞ」

「………………」

 

 今頃、彼の頭の中では様々な想定と予定が組み立て直されていることだろう。

 私とかは軽すぎるので『そっか〜』くらいで流せてしまうんだが、思惑が色々ある人は大変だね。

 たたき美味しい〜。ポン酢これ、もしかして景光くんの自家製?

 

「美國島の漁港で食べたのが美味かったから作ってみたんだ。気に入ったか?」

 

 良いね。美味しいポン酢は、しゃぶしゃぶとか食べたくなる。

 

「……やはりプランを変えるしかないか」

「お、決まりました?」

「どうするんだ?ゼロ」

 

 ゲンドウポーズでキメ顔した零くん。その目は間違いなく降谷零のものだ。

 

「なんでお前らはそう、他人事みたいに…クソっ。……とりあえずハル、お前、安室透に金を貸したことにしろ」

「ええっ!」

 

 プライドエベレスト男がなんかとんでもねぇこと言い出したぞ!?

 

「お前、最近株で稼いでるだろ」

「あっちょっ、なんで知ってるんですか」

「なんで知らないと思ったんだ」

 

 ……ぐぬぬ。

 

 ノアズ・アークに社会勉強〜なんて言って株をやらせていたのだが、任せて預けた証券口座を覗いたらとんでもないことになってたのは数ヶ月前の話。

 それ以来、見なかったことに…見ないようにしていたら、鈴木さんちにお呼ばれした時に物陰に引きずり込まれて、引きずり込んだ朋子さんから『貴方、投機家始めたのね?』なんて皮肉げに言われたのはつい最近。

 その業界では噂になる程度に、かなり特徴的で、独特な動きを見せていたのが私の口座のアカウントらしい。

 

 私、株知らないのに……!

 

 野生動物や環境保護活動、未来のための研究開発に利用させていただきます……!

 

 でもたまに自分で使っても全然残ってるんだよな。というか現在進行形で増えてる。

 あぁ〜ジャンバリ〜!

 

「…………ええ、まぁ……お金は……良いんですがあ……なんでわざわざ?」

「お前、最近の自分の金遣いの荒さ、気付いてるか?」

「……え?」

「俺にもお小遣いとか言って万札振り込んでくるしさ」

「え?」

 

 ……ええ?

 金遣いが荒い?

 

 私が首を傾げていると、2人が交互に、私の金遣いの荒い所をあげていく。

 高校生たちに平然と小遣い渡すだろとか。

 飯代も交通費も、先に払ってるだろとか。

 そもそも車のガソリン代、自腹だろとか。

 部屋代、各種税金、国民年金全部、自分のもだけど景光くんのも灰原さんのも払ってたりだとか。

 阿笠博士が食費代を受け取ってくれないと言っていたとか。

 

 …………秀吉とヒロキくんにも奢ったりしてるな。

 あと、樫村さんと提携した三船くんに、これからの期待も込めて新品の他社の最新ゲーム機3台くらい送り付けたりしたな。

 

 …………

 

「よし、自覚したな。それだ。そんな金払いの良いお前が、金に困ってるでもないのにバイトなんてする理由ないだろ」

「でもお金はあった方が良いですよ?」

「意外とがめついよね、ハル」

 

 ジャンバリ?

 

「だとしても。……探偵は遊びでやるバイトじゃないだろ。特に、安室透の下で、情報収集なんて」

 

 元警察官の駆け出し探偵さんの?お手伝い?

 いくらでもやるけどなぁ。

 

「毛利探偵が心配する点は、恐らくそこなんだ」

「そもそもハルは、友達の手伝いなら無償でやっちゃうでしょ?だから、毛利さんが心配しないように、友達だけどそこら辺の金銭のやり取りは契約で、キッチリしてるってのをしっかりさせたいんだろ」

「ああ!」

 

 小五郎さんが心配するかも、と言われて合点がいった。

 確かに私は、零くんが探偵やるから情報探して欲しいとか言われたら、普通に出してしまうだろう。それはバイトでもなんでもない。お手伝いだ。

 そこを、従業員として雇っている、として。

 では私は金が欲しいのかと言われると、友人からもらうお金は別に……あ、三船くんは別ね。

 あれでも結構良心的な価格なんだからな。阿笠博士の発明品。

 そう、友人から金出すよと言われても、別にいいよと断りそうと言われたら、確かに断るだろう。

 だから、最初から断りにくい形……お金を最初に借りたから、その返済と、合わせて給料として私に金を入れる、と。

 

 えー?めんどくさいことするねぇ。

 

「お前が面倒臭いからこうしてるんだろうが!」

「あ〜ゼロ。ゼロ。落ち着いて。ほら、これでも食べて。白米もあるから。」

 

 ごめんて。

 私のぽそりと呟いたひと言で激昂した零くんは、景光くんの差し出した白米を口にかっ込んで、カツオのたたきを3切れ放り込み、しっかり咀嚼して飲み込んだ。

 

「…美味いなこれ」

「だろ〜?」

 

 料理上手な景光くんでござい。

 美味い飯でちょっと落ち着いた零くんが、もつもつ食べながら続きの計画を教えてくれる。

 

「毛利探偵が俺たちの事情に理解があるのなら、理解者として利用しない手はない。

 協力者ではなく、理解者として。

 彼の立場は江戸川少年も利用しているが、その江戸川少年の隠れ蓑である彼が、いつなんどき組織に狙われるかわからない。“小林唯景”も“安室透”も、警察を辞め、“何か”についての調査を続けるために一般人に、探偵になった、と知れば、その“何か”への接触には極力注意を強めるはずだ。

 “何か”が何なのかを調べることは、刑事だったあの人が一般人である今、毛利蘭や、江戸川コナンを抱えている以上深入りしてくることはない。ないというか、“出来ない”。

 むしろ、その周辺への注意を強めてくれるだろう。それに期待する。

 ヒロは、諸伏景光について教えたそうだが、俺はそこまでは言うことはできない。あくまで“安室透”で通す。そのように話を合わせてくれ」

「「了解」」

 

 顔バレはなぁ。どうしようもない。

 どこの所属になりました、とかも言っちゃいけないものだそうだが、“そんな感じ”の事してたら小五郎さんだって気付いてしまうだろうし。

 なら、調べられるより前に、ってことだね。

 

「……東都は、中々危険だからな。“小林唯景”もそうだが、たまたま事件現場で出会ってしまうこともあるだろう。その流れで、顔見知りから知り合い、友人になってしまった小林がいる以上、“安室透”も覚悟しておく必要がある。

 ……ああ、仕方ない。

 だからこれは先手だ。先に、毛利探偵に話を通しておく」

 

 うむうむ。了解だ。

 米花町は和製ロアナプラなのである。

 

 小五郎さんは、理解と納得さえしてくれたらあれほど頼りになる人はいない。

 

 ……でもあの人、抜けてる時は私以上に抜けてるけど大丈夫そ?

 

 

 




おっちゃんも好きなんです
読んでいただきありがとうございました!





せやなあ。状況だけならな、にーちゃん、かなり怪しいんや。せやけど、にーちゃんはあん時本部長ん家におったやん?にーちゃんは別に、パソコンもなーんも持ってきてへんから、にーちゃんがやったとはな?あのおっちゃんらも思ってへんねん。やけど、せやけどな?
にーちゃん、モロモロの情報の調べつけるの……大層早かったやんなぁ。早すぎんねん。おかしいやん。警察より、名探偵より早いってなんなん?
ほんでなぁ、これな、ど〜にも、にーちゃんがひとりで調べたとも思えへんねん。誰かからな?にーちゃんが、情報もらったんやないかって。それを、こっちにも回してくれたんとちゃうかって。
にーちゃんが、悪い人やないんはみんなわかっとる。やから、おばちゃんも詳しくはきかへんで。今回のことは感謝しとるし、申し訳ないっちゅー気持ちもあんねん。
やから、今回はおはなしはここまでや。なんもする気はないで。にーちゃんには、あのアホなオッサン共の企みに協力してもろてるし。
にーちゃんの講習聞いててわかるわ。にーちゃん、ホンマに機械強いんやろなぁ。
あんまし、警察舐めとったらアカンで。
いずれ、シッポ掴んで、ほんで巣穴から引っこ抜いたるさかい。
にーちゃん、男前なんやから。次も面と向かって会わせたってぇな。たのむでホンマ。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。