昴くんはなにもしない   作:あまも

84 / 154

実際計算しようとしたらおっそろしい金額だったので計算機を閉じました。
20年前に金買っとけばよかったなぁ…(詐欺)

閲覧ありがとうございます!


37-3:黄金の朝日と白い羽

 

 

 

 

 ■

 

 

 小五郎さんを回収した。

 

 一緒に簀巻きにされていた店員さんの体調を確認しながら、状況の話を2人から聞いている。

 

 小五郎さんはすっかりぶっすりむくれていた。

 

 彼の話によると、「店員に道を聞いてくる」と言って店に入っていった小林くんがなかなか戻って来なくて、心配になった頃に店員が出てきて「彼に道の説明してるんですが上手く話が伝わらなくて…」なんて抜かしやがるので、最近の若いモンは地図も見れねぇのかと憤慨しつつ見に行ってやった。

 そうしたら、店の中に倒れた小林くんと店員さんを見つけて、一体何が……というところで気絶させられたらしい。

 

 一方、店員さんのお話。

 この道はこの先で少し分かりにくい分岐がいくつかあって、近くのダムや林業用道路、行き止まりなどに繋がっているそちらに迷い込む人が多くて良く道を聞かれるらしい。

 それで今日は、ロードバイクで登坂練習していたら、道に迷ってしまった、などと言っていた、色黒で金髪のキラキラした顔の青年に道の説明をしていたら、突然サングラスの青年がやってきて金髪の青年を奥に連れ込み、慌てて追いかけたらそこから記憶が無いとのこと。

 

 この……物騒なハムちゃんズ!!

 

 …………この場合現役ハムちゃんのバボちゃんが偽物なので実質誰もハムちゃんではないんだが。

 

 小五郎さんも、色黒でキラキラした金髪イケメンで小林が慌てる相手と聞いてピンと来たのか、指をパチンと鳴らした直後に、しかしなんでこんな山奥に?とその鳴らした指で自分の顎を傾けている。

 

「あぁ!……あぁ?なんで安室がこんなとこに?」

「今回、どうやら小五郎さんの他にも探偵をやってる方が何人か招待されたそうです。それで、そこに透くんも呼ばれてて」

「ホー…?あんなペーペーまで呼んでたのか?ケッ」

 

 最近、米花町で若くてカッコよくて優しい上に仕事も早くて信頼できる探偵、『安室透』が若い女性の間でちょっぴり噂になってきた(個人の感想)ので、彼がこういう所にまで顔を出してきたのが小五郎さんは面白くないようだ。

 安室透の人気は、こんなのまだまだ序の口だぞ。

 

「それで透くんから、小五郎さんがここに置き去りにされてるらしいから助けに行ってやれと言われましたので私がここに」

 

「……あいつ、俺がここに置き去りにされたってわかってたのか?」

 

 小五郎さんから、剣呑な目つきで睨み付けられてしまった。

『知ってて放置して自分だけ向かったのか?』って?

 いやぁ…その安室さんとここの安室さん、違う人なんで。

 

「透くんは今も東都でお仕事中です」

「あぁ?小林が後を追うような、色黒で金髪のムカつくイケメンなんてアイツくらいだろ」

「ムカつくかどうかはともかく、あんなカラーリングしたイケメン滅多にいないのは確かですけど。

 それより小五郎さん。あなたがここで気絶させられた時、視界に妙なものが映ったのでは?」

「…………」

 

 まだ少しだけめまいというか眠気のようなものが残っている様子で目を擦っている店員さんの顔辺りをまぁるく囲うように手で示して見せながら。

 表情豊かな小五郎さんが、あぁん?とガラ悪く、その時の状況を思い出そうとしている横で、ガソスタの店員さんの体調や様子が眠気以上には大事無い事を確認し終えた。

 夜も夜だし、今日はこのまま店じまいして帰宅してから、明日の業務もちゃんとやるつもり、だなんて笑う。

 こんなド田舎なお客さんも少なそうな立地ではこういう時でも働かなきゃ稼げないのはわかるがね。

 いいから警察呼んで、襲われた話をちゃんとして、今日明日と休むべきだと思う。

 てか真面目に警察呼んで欲しい。

 あと眠い状態で車の運転するな。事故るぞ。

 家の場所を聞いたらもう少し下がった所の郊外のアパートだと言うので、それくらいならぷんと走ればすぐだろう。

 警察呼んで説明してくれたら、警察に送ってもらって……運転はやめなされと。

 

「そうか…!店員(コイツ)と奴は同じ顔をしていた!つまり変装……ありゃァ……怪盗キッドだった!」

「おぉ〜」

「バカにすんじゃねーよ」

 

 自力で答えに辿り着いた小五郎さんに拍手を送ったら後頭部をスパンと引っぱたかれた。

 バカにはしてないですって。素直に感心してたんですって。

 

「おめーの話によると、黄昏の館ってのは大富豪が建てた財宝の隠された屋敷なんだろ?

 ってコトはだ!奴はその財宝を狙って、この名探偵に謎解きさせようとして呼んだ!」

「じゃあなんでその名探偵の小五郎さんをここに置いていったんですかね」

「あ?あぁ…」

 

 ぽり、と頭を掻いて、うん?なんて唸りながら頭を捻っている。

 

 私がクリスさんから聞いて小林くんに教えた屋敷の都市伝説は、眠気覚ましついでに店員さん起こす片手間で語ってみたのだが、ちゃんと聞いてくれていたらしい。

 やっぱりなんか小五郎さん……眠剤の効き、悪くない?

 ……まぁ聞いてても効いてなくても、あんまりピンチじゃないと感じてるのかそれほどシャッキリしてない様子。

 しかしこのままひとりでうんうん悩ませていたのでは「つまりおめーが怪盗キッドか!」とかトンチキ捻り出して殴りかかって来かねない。

 その可能性もなくはないけど、私がキッドだったなら今ここにいる意味はないから、無いな。

 やっぱりトンチキだ。それ出てきたらまだ寝ぼけてることにしよう。うん。

 ちゃんと一から説明した方が良さそうだけど、しかし……私もあまり詳しいことはわからないからな。

 

 ガソスタの店員さんにフロントガラスにこびりついた虫共をなんとかしてもらいながらこの先の道について聴く横で、小五郎さんがうんうんと腕を組んで唸っている。

 もうちょっと考えててね。今、この店員さんの方の処理進めるからね。

 警察を呼ぶほどの事では…と渋る店員さんをなんとか説得して、呼ばせる事に成功した。

 怪我がなくても物はないかもしれない。あと眠いことはしっかり伝えてね。

 なんでも彼、怪盗キッドのファンらしく、襲われたとはいえ乱暴にされたわけじゃないから……と渋ってたらしい。

 キッドファン、そういう人多いよねぇ。

 

 ■

 

 夜も0時を回って更に数刻。めっきりド深夜。

 パトカーもやって来た事だし、小五郎さんも自分が遭った憂き目は説明して、連絡先も渡した。

 警察さんも、深夜の勤務、ご苦労様なことで。

 我々は急いで行かないといけないところがあるが、そう時間も掛からず降りてくるからその時また寄りますからと説得して、夜のガソスタを離れた。

 

 助手席には文句と不満と愚痴の止まらない小五郎さん。

 ぷんぷんというかフンフンと若干のため息感もある鼻息荒く、しきりにやれ安室も小林もペーペーのくせに顔がいいってだけで名前売れやがってだの、ちゃんと家に帰って寝る時間あんのかだのおめーもだこのスットコドッコイ太郎と私に飛び火してきたり。

 やっかみなのか心配なのかはっきりしてもろて。

 

「まぁまぁ。なにはともあれ、今は蘭さんと江戸川くんの無事を祈りましょう。小林くんと一緒だとはいえ、怪盗キッドとも一緒にいるのでしょうし」

「ゆーてあの怪盗、人に怪我させたりは基本しねーだろ。ましてや女子どもに」

「そこはほら、江戸川くんが張り切ってしまうやも」

「フン」

 

 納得してしまったらしい。新一くんもとい小さな名探偵、江戸川コナンくんは、新一くんみたいに犯人の目の前とか平気でうろちょろして危ないガキンチョであるという認識は間違いないからね。

 

「そも、怪盗キッドはなんでこの名探偵、毛利小五郎に化けたんだ」

「名探偵毛利小五郎だからじゃないですか? 探偵が集められているそうですが、今1番、名実共に売れて波に乗ってるあなただからこそ、集められた探偵の中でも主導権を握りやすいと考えたのかも」

「……ホー。まぁそういうこともあるかもしんねーな」

 

 今1番売れてる名探偵と言われて、満更でも無さそうにしている。嘘ではないし。注目の的なのも間違いないし。

 

「しかし、小林の奴が怪盗キッドに気付かねーとはな。なかなか見所はあるが――アイツもまだまだだな!」

「はは」

 

 気付いてるってかたぶん変装を小五郎さんに変えさせたの小林くんだと思う。

 ……とは言わない。

 

 ……あわよくば仲良くなれ、とは言ったけれど、まさかゴリゴリの犯罪者と仲良くやれてしまうとは。

 景光くんの正義感、どうやら私の知らない間にちょっぴりスレてしまったようで、昔から変わらないと思っていた私の認識と変わってしまった。修正しないと。

 零くんの正義感はあれ、全ては国のため、皆の安全と平和のためなら多少の悪は必要経費、とかなんとか割り切りながらもちゃんと悩むし結局1番身近な人が1番大事でその為なら大義名分屁理屈上等こじつけてでも何とかしようとする、身内に甘々な男なので案外わかりやすい。

 基本は良心的に大きな善が基準だし。やらなきゃいけないときに冷酷になれるだけだ。

 慣れたような顔して慣れてはいなさそうだけど。

 ……今後とも、慣れないでほしいね。

 

 一方新一くんや蘭ちゃんは、性善説でも大事にしてるのか、兎にも角にもひとまずみんなが助かる道はと探して駆け回ってそれで自分がボロ雑巾になっても必要経費みたいなところあるからな。

 ダメだよそんなの。

 悪い奴なんかほっとけっての。神にでもなるのか。……そいや日本警察の救世主だったっけ。

 そんなら神でありそれを支える天使か……しゃーないか。しゃーなくねーよ。2人とも人間だろうが。

 …………どうかな。どうだろう。わからんな。

 

 そんで景光くん、神や仏や天使と同じ、正義のヒーロー…だと思ってたんだがなぁ。

 

 もしかして、悪い人たちにいじめられて、スレて小五郎さんタイプに移行してたのか?

 ……今なら、横にちょっとだけスレて警察辞めた人がいるし。

 

 本人に聞いてみる?

 

 いざ口を開こうとしたら、前方のカーブに光が見えた。線を引くみたいにうねうねと動く強い光。車のハイビームライトだと思う。

 街灯も何も無いと、結構目立つものだ。山とか麓から見てても案外見える。

 

「対向車がいますね」

「そうか」

「先程の店員さんに聞きましたが、この道は観光地でもないから、一般の方の使用者はほぼいないらしいですよ」

「……」

 

 つまりは、ってこと。

 車を停車させて、私は道路に降りた。

 なるべく長い緩やかなカーブに停めたから、あちらもこっちのライトを見て速度を緩めていれば車を停めるのには十分……なはず。

 急いでないといいな。

 

 

 数分と経たず、車がやって来た。

 車を停めて、何か情報を落としていってくれたら助かるのだけど。

 

 

 ■

 

 停まってくれた車から、情報は入手できた。

 できたんだがね。

 

 

 警視総監殿の息子さんが孤立無援で陸の孤島にクローズド!?

 

 

 ちなみにそこに昔警視庁の秘密で内緒の所から裏切りに近い形で殺されかけて死んだことにして逃げた男も居るよって!?

 

 

 待って待って待って、警視庁のヘリ呼ぶの待って!!

 

 どうしよう小五郎さん!!ノアズ・アーク!!

 

「あー……別にヘリの救援呼ぶのはいいだろ。あいつ1人なら崖くらい渡れんじゃねーの」

 

 救いと助言を求めた小五郎さんから、ビックリするほど投げやりな回答が返ってきた。

 耳の裏を掻くとかいうどうでも良いなと思ってる時のオッサン臭い仕草までつけて。

 

 …………ま、言われてみれば確かにやれそうな…気はする……ヒィイズニンジャオウイェァ。

 

 ノアズ・アークも、『事前に集めていた衛星写真と地形データ、その他周辺情報を考慮すると、景光くんなら無一文で放っておいても明日には東都に着くよ』だそうだ。その計算どっから出たの?

 

 ……まぁふたりの言いたいこともわかる。

 

 小林くん、兼ねてより移動用の何か便利なアイテムが欲しいなと言っていた。

 それで『怪盗キッドから着想を得た』とか言いながら阿笠さんが制作した、いくつかの“不思議なアイテム”達を、阿笠さんは使用感のレビューを頼もうと景光くんに渡したらしい。

 その中に、巻き取り式のワイヤーにフックを付けた、袖の中に隠しておけるような妙な装置があったのだけどね。

 

 それというのがちょっと無骨なリストバンド程度のサイズで、それで伸縮サスペンダーと同じ伸縮機構も含めた阿笠さん特製の、耐久性を備えたワイヤーが仕込んであって、長さは最大で100メートルまで伸ばせるとか言ってたがなんかもう……

 案の定、新しい移動手段(おもちゃ)を貰った景光くんはそれを『試しに使ってくる!』とか言って嬉々として飛び出してって、満足そうに使用感をレビューしてたんだが……その後、ビルの合間を飛び交う謎の怪人グレイマンが米花七不思議に追加されてたんだよな。

 そして小林くん及び景光くんの普段の服装は基本灰色パーカーである。

 

 アイツ、今度はスパイダーマンか調査兵団でも目指してんのか?

 

 

 何が怖いって、どう考えてもどこかに登りたい時、もしくは安全に降りたい時に、とかの事しか阿笠さんは考えてなかったと思うんだが、景光くんと『俺も欲しい』とか言って貰ってた零くんでキャッキャ騒いではしゃいで、私の別荘で習熟度上げしててね……

 最近じゃフックに引っ掛けた、離れた場所に置いたペットボトルを手元に持ってくるとか、ワイヤー引っ掛けた大根を“キュッ”として大/根の2本に増やすとかしてて、それもう必殺仕事人のアレなのよ。

 

 ちなみに私には、「扱いが難しいらしいからのお」でお預けにされたまま流されている。

 私もそのおもちゃ欲しいんだが!!!

 …………手首に装着する関係で、腕にめちゃくちゃ負担がかかるから、たぶん私使えないんだけどさ。

 

 

 それはさておき。

 

 白馬(さぐる)探偵、という主に海外での活動が多い白馬警視総監の息子さんというスーパーボンボンのお付の方が、探くんから鷹の足に括り付けた手紙とかいうそれもしかしてファンタジー系の動物じゃないかと訝しむような方法でもって知らされた屋敷での出来事曰く。

 大上探偵が毒殺され、屋敷の謎解きができなければ出れないなどと言われ、帰り道の橋も爆破されたそうな。

 

 だからこそ小林くんなら帰ってこれるんじゃね?だったんだが、どうやらその橋が爆破される前に、怪しい男がレンタカーをこちら側に置いていったらしい。長めの黒髪に、周りは暗いのにスポーツサングラスをかけたままの、軽薄そうな男だったという。

 彼女は、その男こそがキッドだったと推測して、そこも含めて警察に知らせるつもりだと言う。

 麓のガソスタに警察はいるので、そこでお話してくるといいと送り出した。

 

 よく考えたら、小林くんがそんな怪しい状況で自分が逃げる手段用意してないはずないよな。なんなら怪盗キッドと一緒に逃げる説まである。変に仲良いし。

 

 なんか……大上探偵の死因も犯人の予想も大体手紙に書かれてたそうでさ。事件自体は既にほぼ解決してて、後は帰還手段と怪盗キッドどうするか問題だけらしい。

 

 だからここでヘリを呼んでおく必要があったんですね。効率厨かな。

 

 とりあえず犯人は他の皆と一緒に罠にはめてみる、とかまであったそうなので、現場に頭良い人が集まってるとこうなるのかと……空恐ろしくなった。

 これ、焦らなくていいやつなんじゃないかとも思えてきた。

 小五郎さんはきっと、その事にいち早く気付いていたに違いない。

 だからそれほど焦る事なく、どうでもよさげになっちゃってたんですね。

 …………たぶん、自分の出番が無さそうでいじけてるだけだぞ。

 

 ■

 

 ぷすぷすと燻る、燃えさしの残る橋の前にて双眼鏡で屋敷の様子を眺めている小五郎さんを眺めている私である。

 

 ヘリが飛んでったなぁ、なんて思いながら見てたら、屋敷の方からバリバリと、物が崩れる音がし始めて、これはもしや『事件のあった屋敷は燃えるか崩れるかして証拠隠滅される恐れがある』の注意が現実となってしまったのかと。

 ヘリはさっき飛んでったから、新一くんたちの回収さえ手早く済まされれば全員無事で済むだろうし、良いのだけど……と固唾を飲んで見つめていたんだよ。

 

 屋敷が、日の出の反射光でものすんごい黄金色にきらめきはじめて、小五郎さんのテンションが爆上がりとなった。

 

 私は眩し過ぎて目がやられそうになって、即座にサングラスに取り替えた。

 

 オイオイオイ冗談じゃねぇぞ。

 

 それは、屋敷の崩れる音ではなかった。

 崩れたのは外壁、それも塗装か漆喰……外側に厚く塗られた仮染めの壁。剥がれ落ちるそれらの欠片の下から、徐々に顔を覗かせ、次第に屋敷全体が、本来の姿をさらけ出していく音だった。

 ただの反射光ではない。

 それは黄金色に間違いない。

 

 まさか隠した財宝って、あれ全部モノホンの金……だったりするの?

 

 

 ――――うーん、固定資産税……!

 

 

 頭の中で現在の金の相場と鑑定額、見た感じだけでもとんでもない量で所有するよりも難しそうな飛んでいきそうな管理費と維持費が数字になって駆け巡る。パンクしそう。てか、した。私の脳内コンピューターくんは計算を放棄した。

 

 調べた結果、どうも大上探偵、あの屋敷の購入に多額の借金しててね。

 それを取り返すのに必死だったっぽいんだけど……彼が死んだら借金がチャラになるわけじゃないし、それ全部保証人にされてる何某に行くだろうけど……たぶんそれって親族遺族だろうし…

 その上にさらにこんな、成金屋敷……!?

 

 遺族の人の心労と負担を考えたら、喉を込み上げてくる何かがある。

 

 

 

 ……本気で、冗談じゃねぇぞ。

 あの金の量…産出された金よりも下手したら多いとか無い?あれ全部金メッキか金箔だったりしない?

 建てられた時点がいつかは未だにわからないけど、当時の日本にあんな量の、個人が自由に扱えるような金があった……?

 

 どこにそんな金があったんだ?

 

 なんでわざわざ屋敷なんて形で、それもあんな隠すみたいにして子孫に継がせて……

 それすらも実物から考えたら二束三文みたいな値段で売るなんて……

 

 烏丸って家、何考えてたんだ?

 

 

 

 ……ふふ。案外、江戸の徳川から続いてる一族だったりしてね。

 徳川埋蔵金じゃないけど、隠しとけって言われて隠しておいた金だったりして。

 …………あれ?隠してた金だったとしたら、それ埋蔵金じゃね?

 

 

 烏丸埋蔵金ってか!タハー

 

 

 ばかおっしゃいな。ばかじゃねぇの。

 なーんか、悪いことして稼いだ感あるなぁ。あんな趣味悪い気色悪い屋敷。

 私は阿笠さんちの別荘のが好きだ。

 

 

 ヘリが飛んでいく。

 老婆が飛び出したり、それを追って毛利小五郎が飛び出したり――ここで双眼鏡で観測してた本人が「俺ェ!?」と絶叫していたが、自分が高所から飛び降りる恐怖を外から見て共感してしまったのか真っ青でふらついていた――、その毛利小五郎は怪盗キッドで、老婆を助けるとそのまま朝日に消えていったりなど。

 アイツいつも朝日に向かって消えてんな。

 

 遠目でヘリの中を見てたが、怪盗キッドを見送る面々に小林くんの姿は見えなかった。

 奥に居たらわからないけど、あんなバチバチに警視庁と書かれたヘリに乗るわけない。

 

 

「小林くん、無事ですか?」

「おー。平気平気」

 

 

 試しに声掛けしてみたら、がさりと脇の森からスポーツサングラスにスーツの男が出てきた。

 野生の忍者かお前。

 

「この……アホスカポン!!!」

「いっ!?で!?えっ!?」

 

 即座に怒気を滾らせた小五郎さんが駆け付けて、へらりと笑った小林くんを硬いげんこつで殴り付けた。

 避けられたろうに小林くんはちゃんと受けて、頭にでっかいタンコブ作って星をキラキラさせながら、サングラスをズラすだけに留めた威力に目を白黒させている。

 強い威力なのかそうでもないのかわからない。

 

 すごい、ギャグ時空だ……

 

「お前!!怪盗キッドに気付けよ!!俺じゃねーのなんか、お前にゃすぐわかったろーが!!」

「えぇえご、ごごめんなさぁーい!」

「あのガキみてーな平謝りしてんじゃねーー!!!!!」

 

 わざとらしい、まさに小五郎さんの言う通り、あの小さな新一くんがするみたいな作ったぶりっ子ボイス平謝りに、小五郎さんは羽交い締めからのこめかみドリル。

 

 うんうん。ギャグ時空なら何されても何しても問題ないな。

 

 

 よし、帰るか。

 

 

 は?屋敷?

 私のじゃねーもん、知ったこっちゃねーー!!

 頑張れ行政!

 

 ……一応鈴木さんと長門さんに聞いてみるか。

 

 

 





この後たぶんレンタカーの運転小林くんにさせてガソスタで改めて事情聴取されてから帰りました。

怪しいグラサン2匹横にはベらせた毛利小五郎はたぶんハードボイルド

読んでいただきありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。