昴くんはなにもしない 作:あまも
寝て起きたら書いてたはずのメモページが無くなってて泣きました。思い出しながら書いていたらめっちゃ長くなったので切りました。
これはどういうことなのか……
それはさておき、日付間違いがありましたので修正しました(2025/11/7)
閲覧ありがとうございます!
はい。
私が今、どこにいるかと言いますと…
ここここ!ここでございます!
国1つが主要都市、この都市こそが国そのもの。東南アジアのリトル・ドット・レッド!
ライオンの町、シンガポール〜!
ガッカリ名所のマーライオンの前で、今回の案内を引き受けてくれた方を待っているんだが、その間に間違いなくシンガポールに到着している証拠写真撮ってメッセージに上げとこ。
自撮りいぇ〜い。
ちゃんと腕時計も写して、この時間にここにいる証拠をね。
自分のアリバイ作りも随分上手くなってきた。疑わしいほどわざとらしかろうが、『疑われることよくあるので』が理由として使える回数疑われてきたし。
「わざわざ自撮りじゃなくても良いだろ」
「こういうのはこう、画角による映え効果で可愛さが作れるんですよ。ポイントを定めて三角の意識と、余白の使い方をですね……あ、あと江戸川くんにはひとりで来たことにしてます」
「フゥン…なるほどね。写真、見せてみろ。……案外上手いじゃないか」
「へへぇ」
横には
もちろんこの透くんは
クリスさんの目の前ではこの“安室透”、監視を任された手前仕方なく、ぶっきらぼうに面倒くさげに、でも建前上友人として接してるうちにほんの僅かに情のようなものが湧いていなくもないかのような態度で私の世話焼いてくれてるという設定で構ってくれてたんだっけなと、日本の羽田空港で合流した時に開幕睨まれて思い出したのだった。
本人かと思って、飛行機飛び立つ前に本人にメッセージで確認しちゃったよね。もちろん違ったので一安心。
今頃、国賓の方お迎えしてピリピリしてる頃かな。メッセージ見る余裕あるかしら。
お忍びの休暇中の人ことクリスさんも、本人は青森で勤務中の智明くんも国から出た記録を作るわけには行かないので、ここでなんでもござれな零くんが安室透名義のパスポートを持ってきてくれたらしい。
やだ、至れり尽くせり〜!
……と思ったんだが、今回私と、新出邸から合流ではなく羽田空港のラウンジで午後に合流な辺りからして、色々な目を誤魔化して来たであろう事が容易に想像ついた。
十中八九、FBIの捜査官たちの目をすり抜けてきたんだろうなぁ。
小林くんから聞いたが、どうもこの間からハムちゃんズがかなり的確な動きでもって海外から休暇の名目で来ている
だからすごく動きにくくて、連絡が取りにくい状態なのだとさ。
別に私に何かされたからってわけでもなくて、どうも零くん、バーボンとして、組織の為の何かの準備があるようで、その邪魔されないための処理みたいだが。
忙しい最中、ご苦労な事で。
え?海外行くとか言わなければ、零くんが奔走する羽目にはなってない?
HAHAHA …警察官としての顔全開に出そうな、派手にやらかしそうな事件の中、いきなり呼び出し食らうことが無いだけでも感謝したまへ。
……海外である必要がない?
うるせぇ!こっちの都合だい!
というか、先方がかなり忙しい人だから、事前に分かる予定が空いた事自体がかなりの奇跡なのでね。
念の為、取り付けた約束自体は今日顔合わせと会食、そして明日に工藤氏から頼まれた取材。明後日が予備日と帰国用意。
ここから予定通り行くかは、五分五分どころか3:7で今日とか後回しにされそうだと思っている。
そんだけ忙しい方ってこと。大人気らしいからな。
マーライオンの口から流れ出る滝を眺めて、手持ち無沙汰にパシャパシャと写メを撮る。ガッカリとか言われるけど意外とちゃんと……いやでも人は多いか……
さて、昨日の夜に私たちはここに到着して、今朝は時差ボケと言い張ってクリスさんと一緒にホテルでのんびりと、新蘭激アツ劇場の応援上映会して過ごし、昼にこうして案内役の方との合流の為に出てきた。
日本の方は昼過ぎくらいのはず。パレードが始まった頃かな?
景光くんから近況メッセージ。
阿笠さんの家のモニターで実況を見るつもりだった新一くんは、しかし来訪した少年探偵団によって実際見に行こうぜ!と誘われ、みんなで見に行くことになったらしい。
まぁ……家、出るか、そりゃ。
本人は「どうせ人混みだし、俺たちの身長じゃ見えるもんも見えねーよ」とぶすくれているそうだ。
でも円谷くんが自分のビデオカメラで撮影して、この歴史的瞬間をいつでも見返せるようにしたいと……歴史的瞬間……?
なんと
『本庁にFAXで爆破予告と見られる怪文書が届いた。パレードの方だと思われる。要警戒』
『了解』
うわぁ……
…………あれ?まだ7日じゃないよな?Xデーは明日だよな?
これは……なんだ?前哨戦?それとも予定を早めた?2日間に渡るものか?それとも…模倣犯?
模倣犯かな……模倣犯の後に本物が来て一気に緊張が走る――!みたいな展開の可能性が、1番嫌だ。
「さっきから、携帯をよく見てるが何かあったのか?」
「何かありそう、ということで調査中ですね……東都で爆弾騒ぎみたいです。蘭ちゃんは今日は園子さんと一緒に東都から離れてるので、彼らは巻き込まれないと思います」
今日の蘭ちゃんは新しい冬服を買いに原宿に出ている。東京の方かつ新一くんと一緒じゃないなら安全なはず。
明日も確か、園子さんとお出かけするとは言ってたけど東都では無く東京方面だそうだし彼女が7日に巻き込まれることは無いはず。明後日は、模擬試験だか全国模試だかのテストがあるから休日だけど登校するんだっけかな。
面倒な、潰れる一日の代わりに、めいっぱい楽しんでくるつもりだと園子さんが張り切っていた。
透くんは満足そうに頷いた。
「そうか。彼は?」
「江戸川くんが、その爆破予告された現場にいるみたいで。知り合いの警察の人が合流してくれるようなので保護を頼みました」
この報告には、透くんは少しだけ不服らしい。眉根を寄せるが、しかし目を伏せた後はニヤリと笑う。
「そうか。保護で止まれば良いが……止まるような彼じゃないだろうな」
「でしょうねぇ…」
「良いだろう。連絡をしっかりと密に取るように」
「了解しました」
これは“実況よろしく”って意味。
その間は、携帯を見てクリスさんのお世話を蔑ろにしても、少しだけなら許してやろうという意味でもある。サポートできるなら集中してやれってこと?助かる〜。
小林くんたちは警察官……佐藤さんたち、刑事部捜査一課強行犯捜査三係の面々と出会ったそうだが、皆、件の爆弾犯の方を警戒して変装しているそうな。
それで、それだけで3年前のその時、目の前で爆散する彼の乗ったゴンドラを見ていた、最後の7日間を彼と過ごした人達が彼らだと気付いたのだろう。景光くんからのメッセージがやや詰まった。
…ああ、なるほど。今更だが理解した。
どうせ人手は必ず必要になる。そのための人員として、彼らを選んだ理由。
零くんは彼らにも
すごいな……精神ダメージの蓄積が当日に向かうにつれて、こう……フラグを感じる。
2人とも大丈夫か?あと佐藤さん。
佐藤さん……あのシミュレーションゲームに名前出してもいいか聞いたら、他の人は「殺す気だろ」(By由美さん)とか「恥ずかしい」(By目暮警部)と断って来たけど、彼女は「活躍させてくれるならいいよ」と快諾してくれてね。
大トリ役をお願いしたが、零くんが己が手足の如く危険走行させていた。かわいそうだろ!
使い勝手の良い千葉くんは「いいけど」「……何のゲーム?」とこちらも快諾してくれたから、最初に爆弾仕掛けられて予告状を発見するも爆発被害に会う初日先生…警察官役を任せた。
いつだって実に広い背中である。
たよりがいがあるなぁ。
高木くんも出したかったけど、未だに連絡先をもらってない。常にタイミングが悪い。新一くんに頼むのも、毎回忘れたり別のことが起きたりで……
何?呪い?
隣の楽しそうな透くんに現場の状況の説明をしながら続きを待つが、中々続報が来ない。
話でもしてるのか?
うーん、この後、私も予定あるわけだし……
携帯への打ち込みで、ノアズ・アークに指示。
景光くんのサポートに回ってほしい。その上で、場の状況をこちらへ教えて。
『わかったよ。リソースをあっちに増やすから、こちらの反応が遅くなるけどごめんね』
はるばる飛んできた約5300kmのこの距離だが、電子の海では関係ない。
ちょっと回線が不安か?
……しゃーない、使えていることが怖くて使うのが怖い、スマホのテザリングつけるか……
ここで、多分景光くん本人からようやくのメッセージ。
が、来たんだが……
……………………『死人が蘇った』?
何を言っとるんだね 彼は。
次いで写メが上がった。
画角的に、景光くんが意図して撮ったものではないので、ノアズ・アークから指示を出されて、隙を見た軽量型が勝手に撮ったのだろう。
癖のある黒髪。軽薄そうなサングラス。イケメンにしか許されない首痛めたポーズの、ニヤリと笑う、スーツの男――
――えっ、松田さん?
『ま』
零くんからそれだけのメッセージが届くが、続かない。
景光くんも詳しい続報をくれない。
う、わー……
コレまずいよ……絶対まずいよ!
死人が蘇った……いいや、『実は生きていた』はもう景光くんが見せてしまった。
だが本来、死人は蘇らない。(赤井さんは除く。)
間違いなく松田さんは3年前に亡くなった。
さっき、あの爆弾犯を警戒して、変装してこの事件に当たっていると教えてくれただろう。
つまりは、“そう”いうこと。
……“そう”だと、当事者でもなんでもないから私は判断つくが……
では、その “もしも” を、心のどこかで願っている人達は?
希望を与えられ、それを奪われる……
おまこれ、“ファンサービス”やないかい!!!
私が百面相しているのを引いた目で見ていた透くんが口を開いた。
「……何かあった?」
「……悔しいでしょうねぇ…ってこと………あ、これ、いえ……いや、本人に悪気はないんでしょうが……
どうやら死人に変装して、その死人のかつての仲間たちの前に現れた人がいるみたいです」
「ホー……」
それを聞いた透くんが、ゆるゆると口の端を上げて、にひゃりと、意地悪く笑った。これは“バーボン”って感じ。
「それは中々、悪趣味だな」
ほんとにね?
『ですが、笑えますねぇ』ってか?
だがしかし、これが全然、全く、笑えないんだよねぇ〜!!
……悪気は、無かったんだろうけどさ…
■
続報が無いまま、メッセージ欄は零くんがバグり散らかして『ま』とか『いや』とか『そんな』とかの3文字しか送れなくなってしまったので一旦閉じた。
そのつもり無く、その人に変装してしまったならその人を知らない人しか出来ない。
それは3年前に居なかった人物で、且つ若作りしなくても若々しかった“彼”に似ているのなら若い人。
そして体型的に千葉くんは有り得ない。
つまり……高木くんがやらかしたな。
まったく、これだから高木くんは。
激おこ逆ギレライダーキックで殺されてないか心配である。
殴るで止めててくれたらいいけど。
隣の零くんが爆速突沸湯沸かしキングだから目立たないけど、意外と咄嗟の手の出る早さ、景光くん…早いからな。……足かな。足の方が早い。
キリは悪いしヤキモキもするが、私よりヤキモキしてるだろう零くんもいるのでね。
こっちはこっちといきましょう。
待ち合わせのお相手さんと合流!
……したんだが……なんだこのジェネリック安室透……
顔も声も体格も全然違うんだけど、性格が人懐っこい後輩感があって、可愛い感じで、これを安室透でされたら確かに女の子たちは黄色い歓声あげちゃうな。
なんだいきみ。かわいいねぇ、リシくん?よろしくね。
今回シンガポールの案内をつとめてくれる、リシ・ラマナサン。
シンガポール独特の組織、予備警察官という、日本で言うところの探偵さんらしい。
彼自身でもこの、カラーリングから何から何までソックリな日本の探偵、安室透(なお、ここにいるのはクリスさん)に驚いて、探偵として活躍していると聞いて尊敬の眼差しを彼に向けているところも、かわいいねぇきみ。
リシくんの師匠というか先生である、私の約束相手が担当している先約の相談が、長引いているとのことで。でしょうね。
時間があるから、とシンガポールの伝統菓子でオヤツタイムしていたところ。
私はテーブルに突っ伏した。
「ど、どうしたんですか?オキヤさん」
「ああいえ………なんでも……ないです…」
「なんでもなくないじゃないですか。ついさっきまで、クエ・ブランダを美味しい美味しいって食べてたのに…」
「パリパリがクセになりますね……」
「それは良かった…んですけど、どうしたんですか本当に」
どうしたもこうしたもあんめぇよ。
彼らからのメッセージの続きがきたんだが。
『違かった』
『別人だった』
『すまん』
『いい。わかっていたさ』
『すまない』
『いいから。状況は?』
『松田似の彼の車が爆破された。狙いが絞れない。』
『把握。彼は無事か?』
『無事』
『 彼は 、無事だよ』
『そうか』
もーーー……
怖いんだけど〜!!!
文字だけ淡々と、すごい静かな業務連絡が流れてて、怖いんだけど〜!!!
これを淡々と、低リソース読み上げくんこと棒読みノアくんに読み上げられてるの、すごい怖い〜!!
んも〜!仕方ないわね〜!
「すいません、ちょっと業務連絡していいですか?」
「え?あ、はい」
リシくんと透くんに断りを入れて、ノートPCを取り出す。
透くんがテーブルの上にスペースを空けて、ハンカチを1枚敷いてくれた。ありがとナス。
携帯片手にポチポチカタカタよ。
メッセージのやり取りは携帯で。そして、サポートをPCで。
バッテリー、もつかな……
『ちなみにそれって高木くんです?』
『うん』
『今、目暮警部たちも集まってきた。捜査開始するよ』
『携帯電話を私と通話状態のまま、カメラを外に向けておいてください。通話内容と音声と、こちらで取得した追加情報を合わせてここにまとめます』
『助かる。頼んだ』
『みっちゃんは新一くんと犯人に集中してください。ご希望の情報がありましたら随時調べます』
『了解。ありがとう。そしたらパレードの道順の道沿いに、不審物が無いかの確認って、できたりする?』
『了解。防犯カメラや報道カメラの撮影範囲にはなりますが可能です。確認します』
『爆発物処理班の手配済みだ。いつでも急行可能。人員が欲しい時も直ぐに回せる。爆発物捜索でもなんにでも使え』
『了解。目暮警部が捜索に人員配置し始めたから、穴がありそうなら頼むかもしれない』
『かなりの人数用意してくれてたみたいだ。捜索は今のところ大丈夫そう』
『了解』
捜索の方はノアズ・アークが……いや、こちらも私がやろう。
色黒金髪ダブルスがしげしげと、東都マップの表示されたPCの画面を見てくる。
これではノアズ・アークは迂闊に動かせない。
……SNSとか既にあったら手っ取り早かったんだがなぁ。
爆弾なんてのが「爆弾です」と書かれてわかりやすく置いてあるわけないので、忘れ物や落し物みたいな顔で置いてあるだろう。
そういうのが置かれやすいベンチや店、公衆電話、バス停、駅……人は一旦全部気にしなくていいや。画像解析は低リソノアくんでハッシュ揃えて弾かせて、あとは目視で……うん、たぶん出来る。頑張れ沖矢昴の動体視力。
それより、ノアズ・アークには無線式の爆弾にどこから信号を飛ばしてるかの探知を現地で……
視線を感じて顔を上げると、ニコニコとした透くんと三白眼をかっぴらいたリシくんが私を凝視していた。
「業務、連絡…?」
「あぁ……すいません急ぎの仕事が……いえ」
面倒だな。途中で手を止めるのも億劫だ。
今あっちにノアズ・アークのサポートを送ってしまって、手動での作業が増えた上にこちとら国外。しかもネットワークはまだまだ未発達。1箇所回るのも、毎回工程が増えてて手間がかかるので、会話している暇がない。
「今、日本で爆弾騒ぎが起きているんですが、知り合いが巻き込まれていまして。ちょっと連絡でごたごたしています」
「えっ?!ば、爆弾ですか!?今!?」
日本は安全って聞いてるはずだろうにねぇ。
そりゃリシくんもびっくりだよ。私もびっくりだからね。
「今。なう。それで、レオンさんのご相談の方ってどうなってますか?」
「あっ、えっと、確認します!」
携帯片手に席を離れたリシくん。
一方の透くんはニコニコと、安室透フェイスのままだ。リシくんと合流してから、このにこやかあむぴを崩していない。
「すいません、放っておくことになってしまって」
「良いさ。頑張って彼をサポートしてやってくれよ」
ニコと、笑顔が眩しい。くっ、変装のくせに…!
「かわりに後で埋め合わせしてもらうから」
ん?
なんか今、怖いこと言ってなかった?
……ま、まぁまぁまぁ。
今はニコニコとして楽しそうに、店員さんに“コピ”とかいう飲み物注文してるし、大丈夫大丈夫。
えーとね。……弾かれたの出たね。
『杯戸町公園前電話ボックスにて不審物発見。要確認。注意されたし』
『了解。伝えるよ』
『爆発物処理班を向かわせる。間に合いそうか?』
『出発は……そこですか。難しいですね。急ぎでお願いします。装備のない警察官は近寄らず、付近の警察官の方々には避難誘導を優先させた方が良いかと』
『了解。目暮警部に伝えるよ』
『了解。急行させる』
『さっき盗まれた光彦くんのビデオカメラに、車に爆弾を仕掛けた犯人が映っているかもしれないそうだからこれから確認してくる』
『了解』
時限式ではないから、爆弾に警察官が近寄るのを確認してから爆発させている可能性もある。
この爆弾はあえて爆発させて、その時の信号をノアズ・アークに辿ってもらうのが手っ取り早そうだ。
……電話ボックスは……尊い犠牲ということで。
さて、他に無いかな。仕掛けてるバカとかまでいたら大当たりなんだが。
ぶつ切りなのはぶった切ったからです。
長すぎて……
でも変装高木くんは入れたかってん……
そんな、まさか警察官を私情だけで蹴り飛ばした男がいるわけがそんなまさかそんなこと……
読んでいただきありがとうございました!