昴くんはなにもしない   作:あまも

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びっくりするほど話が進んでいないです

前話、ほんの少し、蘭ちゃんのことだけ追記しています。


でもあの船、結構出来の良い仮装が多くて、あの世界の仮装って一般人ですらあのレベルが基本なのだとしたらそりゃあんな変装術発達するかとも思わなくも……

閲覧ありがとうございます!


41-2:ゾンビのおじちゃん

 

 

 

 乗船の際に渡されたカードは、『宴』とかいうゲームのためのチーム分けの目印で、つまりこの“塔”を持つ仲間を集めるといい事あるよって話?里見八犬伝とか龍の玉とか集めるやつ?

 7人ね……

 

 1人はこの我が友、カラスちゃんだとして。

 

 同伴者は基本、同じカードを渡されるらしい。そして受付列をしばらく眺めていた私たちには、受付で受け取った時点の手元のカードが見えた人なら判別できる。

 それも利用しながら適当に目星つけて探すと、数分程で脳直一つ目瓶詰めさんとキョンシーさん、猫男さんを見つけることができた。

 

 これにて5人。

 

 あと、どうやら見た感じ各チームに1人は包帯ゆる巻勢がいるシステムらしいので、フリーな包帯ゆる巻男に声掛けまくったら3人目でヒット。赤いモヒカンが鶏冠っぽい。うん。

 

 最後に、中々見つからないってことは私たちより後に受付した人、かつ足りないのはひとりなので、ソロ参加の人だろうとアタリを付ける。

 さっそく後ろに並んでいた、あのおひとり様のゾンビさんを探し……すみっコぐらししてた彼にアタック。

 

「あなた、“塔”の人ですね?」

「あ?……なんでわかっ」

 

 あっ

 

 あわてて口を押さえる、脳天ぶち抜かれゾンビさんのちょっと渋めな嗄れた、酒かタバコやけを感じる声。

 バッチリ聞いちゃったぞ!

 

 喋っちゃったね、ゾンビのおじちゃん!!

 

 

 オーディション会場でもあるこのパーティー、どうやらロールプレイするのがみんなの基本らしく、どこもかしこもバケモン共が奇妙な鳴き声や呻き声や奇声を上げたり、身振り手振り、なんなら無作為に動くだけのものもいる。

 

 実は困ってたんだ。

 

 この“塔”のチーム、私たち以外誰も人間の言葉喋らないんだもん。

 

 

「あなたが最後の仲間です!ささ、皆集まっておりますあちらへどうぞ!」

「……」

「今更喋りませんとかナシですよ。あなた、別にオーディションの為の参加ってわけでも無さそうだ」

「……何故?」

 

 おっ、喋った。観念したか?

 

「せっかく主催という名のオーディション審査員の提示した条件(ルール)を無視して、チームの仲間も探さず、あんな隅っこで静かにしてるなんて。アピールタイムがもったいないです!」

 

 これだって簡単なゲームみたいなもの。

 

 行われる『宴』は犯人さがしゲームみたいなもの、なんて、あの“亡霊船長”は言ってたが……“みたいなもの”、となると。

 形式的にはリアル脱出ゲームか、宝探しゲームみたいな体感型のゲームじゃないかな。

 そして化け物の巣窟からお送りするものだし、宝があるとしても、『奪い取れ!』か、もしくは『持ったまま時間まで守れ!』とか……脱出ゲームなら、海に出てしまってはどこにもいけないし……宝探し系かな?

 そんでバケモノ共にとっての“犯人”、すなわち罪を犯した、“裏切り者”、だろ?

『あなた、仮装してる、化け物のフリした人間ですね!』みたいな。

 マスク剥がされたら終わりゲームみたいな……

 

 ああ、『紛れ込んだ人間を探せ!』なゲームとかもありそう。

 

 

 ……ありそうってか、これか?

 こっちのがだいぶありそうだ。スタッフらしきひとも結構紛れてるのも見えてきたし……どいつもこいつも形状は人間そのまま。

 これは、ありえるな。

 

「………………」

 

 おっとっと。おじちゃんが動こうとしてくれないや。

 

「いやねー? 私たちもそんなにオーディション興味なくって。だからこんな、RPもなしにペラペラくっちゃべっているんですけどね。

 それより、この“ゲーム”がどうなるのかってほうが興味あります!」

「……ゲーム?」

「ゲームでしょう?」

 

 ゾンビのおじちゃんの手を引いて、“塔”のみんなが集まっているテーブルへ移動を促す。

 しばらく渋るみたいにキョロキョロと、頭を動かしていたが、やがてぽてぽてと歩き出してくれた。

 歩みにも動作にも、重量を感じる。

 太いというより、これは、……筋肉だな。

 

 みっちり。お肉詰まってそう。

 

 鍛えまくってる……実用的な筋肉?自衛隊とか、なんなら警察みたいな?

 

 おじちゃん、いい身体してんねぇ!

 

 

「ゲームですよ、こんなの」

 

 

 向こうの畑で何が起きてるか。

 わからないようにされてしまっても、わかる手段は私にはある。

 でも、せっかくみんなが頑張ってるのを台無しにしてはいけないだろう。

 

 大人しく、こちらの“ゲーム”でも楽しもうかなと。

 

 ■

 

「お、最後のひとりはあなたですか」

「これにて“塔”が、7人。早めに集まれましたね」

 

 テーブルに辿りつくと、ぴいぴいにゃごにゃごううううと怪物達が唸りをあげて喜んでいる。

 ははは。キョンシーは腕を伸ばしたまま回ってはしゃぐな。猫男は逃げるな。作戦会議すんだよ。赤モヒ包帯は携帯弄るな。そういうのがよくないんだよ。

 脳直一つ目瓶詰めさんに至っては、何処を見れば良いのかわからん。目がデカすぎてどこ見ても目が合う。怖……

 

 

 ね?とゾンビのおじちゃんを見ると、分厚いマスクで表情はわからないが、こころなしか「なるほど」と納得しているような気配。

 

 これらと“ゲーム”すんのは、骨が折れるでしょう。

 

 

「早めに集まることができましたし、周りのチームの状況とか見ておきますか」

「そうだね。メンバーの合流に苦戦してるチームもあるみたいだ」

 

 カードを掲げて呼びかけている人達もいるし、ある程度集まったのか、ゾロゾロと集まって動いている集団もいる。

 

「たぶんこの後『宴』の時間になったら、あの“亡霊船長”が艦内に号令をかけるでしょうから。それまで皆さん、好きに偵察してきて下さい」

 

 “塔”のメンバーの仮装()は確認したし、自由にアピールしてきて良いですよ〜と放流すると、早速とばかりにキョンシーはあの独特な、腕を前ならえに伸ばして手のひらプラプラさせるポーズで直立……いや、直角のままぴこぴこと、どこかに跳ねて行った。

 猫男もにゃごにゃごと顔を洗いながら去り、脳直一つ目瓶詰めさんは眼球をこちら…に向けたまま去っていっ……怖いって。

 赤モヒ包帯ゆる巻さんは、少し考えた後、我々を一瞥。

 

「あ、僕たち映画は興味ないので他の方を見てあげて」

「衣装も借り物ですしね。私はあの脳直一つ目瓶詰めさんとか怖くて好みです」

「僕も。あれ結構凝ってて凄いなって思う」

「?!」

 

 私たちの鳥のつぶやきにギョッと目を見開いて仰け反った赤モヒさんは、そそくさと、携帯ポチポチぺぽぺぽしながら去っていった。

 今どきキー入力音ONにしてる人いるんだ。…………クリスさんもしてたっけな。

 

 

 …………スタッフ、わかり易っ!

 

 

「言った通りだったね」

「言った通りだったでしょう」

「お見事〜」

「それほどでも〜」

 

 ケラケラと私たちが笑い合うのを、横でじっと見つめてくる脳天ぶち抜かれゾンビのおじちゃん。

 

「ゾンビのおじちゃんはどうします?」

「おじっ…!?」

 

 ︎︎おや、おじさんって歳ではない? でも嫌そうにはしているが、特に文句を言うつもりはないのか首を振るだけだ。

 

「……自由行動していいなら俺は行くぜ。ゲームなんて下らねぇ…」

「『工藤新一』を探してます?」

「………………」

 

 さっさと背を向けたおじちゃんに声をかけると、これまたヒットしたのか、表情の変わらないマスクだけ振り返った。

 

 ……おっ、視線強いねぇ。

 

 

 ばさりと、マントの裾を広げて耳打ちスタイルを取ろうとしただけで1歩引いて逃げられてしまった。

 んもー。警戒しなくても良いのに。

 

 

「おじちゃんも……『工藤新一』の――

 ――ファン(・・・)、なんでしょう?」

 

「……あ?」

 

 表情の変わらないゾンビマスクが、眉と下顎がビョンと妙な動きをしたので、多分中身の眉を顰めて唖然と口を開けた、みたいな動きをしたのだろう。目もひん剥いたか?

 

「わかりますわかります。彼は若くて、かっこいいですからね」

「噂の高校生探偵だっけ?好きだねおまえも。でも彼、最近話聞かないよな。どうしたんだろ」

 

 横からカラスちゃんがのしんと私の肩にのしかかってくる。どうやらよくわからないでも遊びの流れのまま、話に乗ってくれるらしい。

 ちゃんと新一くんのことを知らないフリまでしてくれて、さすが。……あれっ、知らな……知らない?話してないっけ?

 

 んんん……まぁ、いっか。

 

 カラスちゃんは昔から私に付き合ってくれたおかげで、こういう悪ノリが上手。

 

 

「それが…、ホントにパタリと活躍話を聞かなくなってしまったんですよね」

「何かあったのかな?」

「身体を悪くしたとか、一部のアンチ界隈では『死んだ』なんて言われてますけど、……でもほら、あの受付で私たちの前に受付した人」

「あ、受付のおねーさん、『高校生探偵の…!』とか言ってた!」

「ね!だから、きっと乗ってるんですよ!」

 

 ゾンビのおじちゃんを見ると、ちゃんと身体をこちらに向き直し、まぁまぁな熱量の籠った視線を向けてくる。

 

 情報が欲しいかい?おじちゃん。

 

「おじちゃんもその話と、『工藤新一』の名簿、見てますもんね」

「でもどうしてファンだって?」

「だって、さっきっからあの――“悪魔”チームのこと、見てるようですし」

「ああ!あの包帯さんのチームだね」

 

 『眠りの吸血鬼』さんと『鈴木の魔女っ子』ちゃん、『メデューサのおねいさん』、そして『包帯ぐるぐる男』さんが同じチームになっていた。

 他の面子は、人造人間フランケンと、狼男、そして包帯ゆる巻男(黒髪)。

 

「実は私も興味あって、彼らのこと見てたんです」

「おまえも、『工藤新一』のファン(・・・)だもんね」

 

 おいおい、カラスちゃんたら。

 それはちょっとわざとらしいアシストだぞ。

 でも、ゾンビのおじちゃんは興味を持ってくれたらしい。

 

「……そ、うだ。そうなんだよ。俺も工藤新一は死んだって噂聞いていたからな。なら、あの名前書いた奴はなんだと、思って」

「ワ!やっぱり〜?」

 

 ここで面倒がって否定して、それであのチームの様子を見れなくなるより、こっちの話に乗っかる事を選んだらしい。

 おじちゃんが急にノリ良くなった。

 

 …………どうやら、私の予想は当たっていそうだ。

 

 なるほど、確かにこいつは厄介。

 

 

 このゾンビのおじちゃんのフィジカル、私とカラスちゃん2人を腕に乗っけて人間メリーゴーランドで遊んでもらえそうな筋肉してるもん。

 暴れだしたらまず不味(マズ)のマズ。ヤバいでしょ。

 

 ……でも一般人に擬態してる限りは良い人の皮を被ることにしてくれたみたいなので、このままこの皮維持させて様子を見たいね。

 

 

 まっ、彼の被ってる皮、死んでるんだけど!!(脳天ぶち抜き)

 

 

 “悪魔”チームを指さしてこそりと内緒話を持ちかけると、今度は逃げずにちゃんとそこにいてくれた。カラスちゃんも寄ってくる。

 

「あのチーム、見てたらきっと何かあるかも?」

「他にもいろいろ見どころあるのに?」

「ふふん。実はあのチーム、今回の“ゲーム”的にも鍵になってきそうなんですよ」

「えー?そうなの?なんで?」

 

 カラスちゃんたら。

 

 まぁまぁ。

 見てろよ……

 絶対あのチームの周りで、事件が起こるぞ。

 

「本物なら、彼が“ゲーム”で“名探偵”し始めるのでそれで判断しません?」

「なんでゲームで探偵が必要になるんだ?」

 

 そりゃ犯人さがしゲーム“のようなもの”らしいし。

 

「大体どんな“ゲーム”が行われるかは、アタリはつけたんです。きっと謎解きでしょうから」

「またぁ?おまえはいっつもメタ読みばっかしてさぁ」

 

 いやいやいっつもっていうほどいっつもではないしメタ読みでは……ないことも……ない……

 

 

 ■

 

 

 バーカウンターでお酒を頼んだゾンビのおじちゃんと、お茶とサイダー(ノンアル)を頼んだ私たち。

 

「……おめーら、もしかして未成年(ガキ)なのか?」

「…ご想像にー」

「お任せします」

 

 

 話を揃えた私たちを見て、ケッ、とゾンビのおじちゃんは持ってるお酒をグイッと飲んだ。

 

 ウォッカって、確か度数がなかなかだって聞いたけど、お酒強いんだねおじちゃん。

 

 こうしてカラスちゃんも付き合わせて遊び続けてるのは、決してばかにしてるわけじゃない。

 

 

「それで、お前が『工藤新一』についての噂を最後に聞いたのは?」

「トロピカルランドのジェットコースターで起こった殺人事件を、居合わせたその場で解いたんですってね?それ以降さっぱり」

「ジェットコースター?」

「引っ掛けた首が飛んだんですって」

 

 首のあたりで手刀の形にした手をスイと横に振り、動かして見せる。

 想像してしまったのか、カラスちゃんがプルプルと震え出した。

 

「え〜……え〜?怖くない?」

「怖〜い」

 

 

 高速道路で走行中に窓から手や首を出してると、気づいた時には枝とかに引っかかって頭ナイナイなるぞ!気を付けなはれや!

 

 

 ジェットコースター首チョンパ事件で新一くんは初めて、組織の黒ずくめさんと出会ったらしいが、あの時はジェットコースターに組織の男が乗ってるって話だけで景光くんが笑い転げてたっけな。

 

 不謹慎だとわかっていながらも笑いが止まらなかったのは、きっと乗ってた人選がツボだったんだろう。

 聞くところによると、それこそがジンニキだったそうだし。

 

 やはりネタキャラなのでは?

 

 後から零くんにも言ったら、しばらく顔を伏せて耐えてたのに横の大爆笑に釣られたのか最後吹き出してたっけな。

 

 ︎︎やはりネタキャラなのでは?

 

 

 ゾンビのおじちゃんが頷いた。

 

「ああ、噂じゃそこまでなのか」

「その後、消息不明……なんだとか。あちこちで色々言われてますが、賛否両論、議論はされてますねぇ」

「どういう賛否なんだい?」

「そりゃ『ヤバいヤマに突っ込んで死んだ』とか、『誘拐されて監禁されてる』とか……あ、あと面白いのは『どっかの組に連れてかれて売られた』なんてのもありましたね」

 

 ︎︎顔もいいからな、新一くん。……噂がアンダーなグラウンド!

 

「ええ〜!高校生だろ?大丈夫なのか?ご両親とか、心配してないの?」

「親御さん、放任主義であんまり関心なかったみたいですねぇ。彼も一人暮らししてたらしいし……居なくなったことにも気付いてないのかねぇ」

「…………」

「世知辛いねぇ」

「世知辛い世の中ですねぇ」

 

 ゾンビのおじちゃんは、黙って真剣に耳をすませている。

 

 生きてるというか、彼にファンは一定数いるけど、誰もトロピカルランドからのその後を知らない、という状態であると強く印象付けたい。

 

 

 

「……面白くねぇ話だぜ」

 

 

 ゾンビのおじちゃんが、ぽつりとそんなことを言った。

 

 ︎︎んん、あれ?おやおや?

 

 

 見るに、表情は変わらないけど、声や肩と背中の力の抜け具合からは、どこかやるせないというか……哀れみ?

 カラスちゃんの方を見ると、彼も共感したのか深く頷いている。

 

 

 ……へぇ、おじちゃん、そういう感情あるんだ?

 

 

 ︎︎つくづくわからんな、この人達(組織の人)

 

「まったくねー!こんなつまんない話は置いといて。今この船に、彼が生きて乗ってたって話ですよ!」

「あ!そっか!生きてたし無事なんだっけ!え〜!ちょっと、ガセネタやめてよ〜!」

 

 切り替えて、カラスちゃんがやんややんやとつついてきたのでつき返す。

 

 横で私たちがわちゃわちゃやりだしたのを、ゾンビのおじちゃんは別に嫌がる様子もなく鼻だけ鳴らしている。

 チラリと見るだけで、特に怒る様子もない。

 

 ……えっ、ガキ認定で確定しちゃった?

 …………いいけど。その方が助かる。

 

「えへへ……いや、噂ではそうだったんですよ。

 ……ね、おじちゃんもそう聞いてたのに、彼が乗ってたから、びっくりして確かめたくなったんですもんね?」

「お、おお……そうだな…」

 

 いきなり話を振られて用意してなかったのか、おじちゃんはからんとグラスの中の氷を揺らして頷いた。コロリと転がる大きな氷を見つめてから、おじちゃんのいかつい顔がこっちを向く。

 

「……お前、『工藤新一』について詳しい方なのか?」

「こいつはかなり詳しいんじゃないかな!」

「私は結構詳しいんじゃないかな?」

「……そうか…」

 

 ふたりで頷いて見せると、おじちゃんは深く頷いて、またグラスの中の氷をかろんと回した。

 

 詳しいからって、正しい情報を喋ってるとは限らないけどね。

 ただ、さきほどの私の話は今のところ、ファンの間で囁かれてる噂で間違いは無い。ちゃんとこまめな印象操作は掲示板で行っているからね。話題に出る度他の話題で流すべく、小五郎さんやあむぴ、そして服部くんの活躍話をいっぱい流している。

 

 服部くんの株、最近急上昇してるぞ!()

 

 

「おじちゃん、あの名前書いた『工藤新一』が本物かどうか疑ってます?」

「…………お前らはどう思ってんだ?」

「ぼくたち?」

「私たち?」

 

 トイレの方から駆けてきた狼男が、少し離れた席に座り、「シルバー・ブレット」を注文した。

 ……わお。なんのヒント?

 

「……そうですね」

「そうだねぇ」

 

 横のカラスちゃんを見ると、どう答えるのかは私に任せるつもりらしい。オウム返しで追従してくれるようだ。

 

「たぶん偽物じゃないですかね」

「きっと偽物じゃないかな」

 

「それは何故?」

 

 ゾンビのおじちゃんが更に訊ねてくれるが、どうやらここまでだ。

 

 『眠りの吸血鬼』さんが、狼男さんを追ってこちらに来てしまった。

 どうやら何か起きている様子で、気さくな様子で『眠りの吸血鬼』さんが狼男に話しかけてあげてるのに無視され、一緒の席も嫌なのか逃げられている。かわいそうに。

 ゾロゾロと、後ろを“悪魔”チームの面々がついてきた。

 周りに当事者がいては、話がしにくい。そも人が増えてきてしまい、ゾンビのおじちゃんも居心地が悪そうだ。

 離れよっか?

 

 メデューサのおねいさんが、時計を確認している。

 

 ……そういえばそろそろ『宴』ってやつの時間か。

 結局“塔”のみんな、時間までフルスロットルで各スタッフにアピールしまくってたようだし、スタッフたちはこそこそとメールでやり取りしていた。

 横のおじちゃんも携帯をポチポチしていた。結構みんなポチポチしがち。私もマントの中でポチポチしてるしね。

 カラスちゃんだけだよ、イヤホンで聴くだけしかしてないの。

 

 みんな何かしら考えがあるようで、大変なこった。

 

 こちらがそろそろ時間、という事で、あちらもどうやら“事件”が始まるらしく。

 

 様子を聞くに……何やら阿笠さんちにジョディさんが来たらしいが……車でどこかに行くらしい。

 ……ノアズ・アークにどう追ってもらうかな、これ。このままだと現在地しかわからん。

 新一くんに何か言われでもしたのかね。

 

 …………うーん、よく分からん。

 ノアズ・アークもあまり把握できてないのか、急いでコンテナ埠頭までのルートのカメラを割り出し中。

 

 この際、コンテナ埠頭での出来事まで追うべきなのか……判断が……

 

 

 とりあえず、蘭ちゃんと灰原さんが移動し始めた事、2人に伝えるか。

 なんか『宴』も始まりそうだし。

 

 





あの時点で工藤新一の顔を見るより前から彼の名前を確認する度ドアップになっていたおじちゃんが、ちゃんと工藤新一ってのこそアニキがバラしたあの若造である……はず、として探っていたのか、それとも顔を見て思い出したから急いで連絡したのか、いまいち判断つきませんで、とりあえず知ってて探らせてるていでいきます。

それぞれの陣営、どこも誰も正体とか知ってる状態ですので病院行くよ〜みたいなのもないです。各々で動いてそう
逆に言えばバーボンさんとか一部の人だけかなり自由に動いてそうですね

読んでいただきありがとうございました!
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