昴くんはなにもしない   作:あまも

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42だと思ってたら41だったので直しました。
あとこの頃の人たち人を疑い過ぎだと思いますが結構裏切られたり傷心してるので許してあげて欲しいです


閲覧ありがとうございます!


41-3:正直な嘘つきたち

 

 

 ボーガンって人殺せるんだなぁ。

 

 たぶん、私の中では“おもちゃみたいなもの”、というイメージが強く、銃よりマシだと思ってたんだろう。

 普通に考えて、仕掛けで弦を引き絞った弓、って、そりゃ人殺せるよね……

 

 

 というわけで死人が出てしまったぞい。

 

 

 被害者はこのパーティーの“亡霊船長”役をしていた、映画プロデューサーの福浦千造。

 

 客へのアナウンス中に苦しみ出したかと思えば、アナウンスに呼び出されて甲板に集まった怪物達の目の前にて宙吊りになっていた。

 死因は心臓をボーガンで射抜かれたため、らしいが……

 

 

 

 ゲーム感覚で人が死ぬじゃん……怖……

 

 

 

 

 …………クリスさん、やっぱり悪い組織の人なんだなぁなんてしみじみ。

 

 そしてそんな遺体を見ても表情を変えないメデューサのおねいさんや、包帯やマスクで分からないけど慌ててもいない包帯ぐるぐる男とゾンビのおじちゃん。

 

 …………みんな死体慣れし過ぎ!

 

 

「えっ、えっ、本当に死んでしまってるのか?」

「そうみたいですね……」

「そうみたいって、お前、“ゲーム”ってまさか」

「いやいやいや、まさかこんなことになるなんて夢にも」

 

 カラスちゃんが私を揺さぶり、何やら勘違いもしていそうなので否定しておく。

 夢にも思わなかった…いや、ワンチャンあるなとは思ったよ。

 

 死体や死人に心を痛める、蘭ちゃんが来れないようにしてたあたり、ね。

 

 …………クリスさんはもちろんだけど……零くんもこれ、わかっててやってるのか…?

 ……こっちに関与は、してないと、思いたいけど……

 

 とりあえず、『工藤新一』に心置きなく検証させるか。

 カラスちゃんの慌てっぷりを真似して、モノホンの死体が出たことにビビって慌てているガキ2匹、という重荷をゾンビのおじちゃんに乗っけとこうね。

 

 めんどくさいとは思いながらも、仕方なさそうに、船内に戻された怪物共の群れから少し離れたところで一緒にいてくれている。

 

『工藤新一』があちこちの状況と物的証拠の確認しているのはわかっているが、そちらよりこの後この船やパーティーと、事件そのものがどうなるのかの様子見を選んでくれたらしい。

 予定としては早めに寄港せざるを得ない状況であることを考えると、彼も離脱のタイミングもあるだろうし、そっちの方が確かに妥当。

 でも、張り付いてくる私たちを邪険にしない程度には、気にしてくれている。

 

 さては……良い人なのか?

 

 なんにせよ、移動がないのは助かる。こちらも集中できるから。

 

 マントの中でポチポチと。

 隣のカラスちゃんに、暫くこちらの様子見と場持ちを依頼。

 読み上げられたそれをイヤホンで聴いた彼に実際目を向けると、ウインクで返してくれた。

 

 さっそくオーバー気味に怖がって、警察に事情聴取とかされちゃうのかな?などと不安がってる様をおじちゃんに見せるカラスちゃんに私も追従。

 考えるのはカラスちゃんがやってくれるから……さて。

 

 あっちはあっちで何やら首都高や都内各地を利用したカーチェイス(GPファイナル)レースのごとき大騒ぎが行われているとのノアズ・アークのタレコミがあってさ。

 

 マジであっち、何が起きてるの?

 

 

 ■

 

 どうも、外国人女性が外車で検問突っ切って、それを複数の外国人が追いかけている所らしいんだが。

 

 ……

 ノアズ・アーク曰く、『カースタント映画みたいな事して外人さんたちの車をパンクさせながらあちこち駆け回ってて、しかも銃とかも使ってるから、警察さんも交通機動隊とかみんなてんてこ舞いで大変そうにしてる』らしいので八割方零くんが変装させられて危険運転して、クリスさんの作戦のための陽動撹乱役、やってるんじゃないかなと。

 

 ……これ、その“外人さん”を交通機動隊の人達に捕まえさせようとしてるとかじゃないよね、零くん?

 零くん??

 運転に忙しいのか、ほとんど返事がないんだけど、零くん???

「俺たちはFBIに協力してはやるけど交通機動隊は交通違反を取り締まっただけだ」とか言い出しそうだけど、零くんや??

 

 …………これ、そのクリスさんの計画を不審がってる、組織の厄介な人、ってのの目を散らす目的もあるのかな?それとも、これをしている間は“バーボン”は運転していた、っていう確かな証明?

 うーん、どれだ……?

 

 

 

 

 さて、こっちに『工藤新一』はいても“江戸川コナン”や小さいのがいない。だから、新一くんが予定通りに灰原さんに変装して、ジョディさんと一緒に智明くん(クリスさん)を誘い出してる……のはわかるんだけどな。

 

 そもそも新一くんの計画では、灰原哀としてジョディさんに連れ出されたようなそぶりでコンテナ埠頭に智明くんを誘き出した後、ジョディさんとFBIの捜査官で取り押さえるつもりだった。その際、もし戦闘が発生してしまった時にのみ応戦。

 FBI情報でクリスさんが連れている“バーボン”という幹部と、新たに呼んだという実行部隊の人を監視、手を出すようなら応戦することになったのは、FBIでも実力派で組織の連中と“バーボン”を良く知る赤井さん…と、そこにお助け小林くんで。

 予定ではそちらのベルモット以外の2名の捕縛も入ってるのだっけ?

 

 こっちの2名は、捕縛できた場合は小林くん経由で日本警察に渡す約束したそうな。バーボン辺りどうするつもりなんだか。

 

 なにはともあれそのためのくたびれメガネのおにいさん。

 

 

 

 ちなみに小林くんと“バーボン”がワンチャン闘わされるかもしれないと聞いた零くんは当然だけど1から10までオールアウトで激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームだった。

 

 

 

 さて、そんな感じで私が新一くんから聞いた、ざっくりした計画。

 こんなザックリの説明、共有でいいのかと確認したら、新一くんが「小林さんには詳しく伝えてあるよ」と言うので、計画通りらしいよとは伝えたが。もう少し細かいこと、知りたかったなぁ。

 

 どうやって誘い出すのか、取り押さえるのはどうするのか、などの細かいところを教えてもらっていない。

 

 灰原さん本人を寝かせて閉じ込め、代わりに彼女に変装したあたり、彼女のフリして体調不良か何か理由つけて、医者である智明くんを呼び出したんだろうか。

 灰原さん、この間のフサエさんと会った頃、寒いのに早起きしてはウサギの様子を見に行く、なんて繰り返していて、ちょっと風邪気味ではあった様子。

 季節の変わり目と寝不足のダブルパンチかな。私もよくそれに殺されてるからわかる。

 

 

 ……考えれば考えるほど、誰が何でどこに誰が?わ、わからん……

 うーん、複雑怪奇。

 

 

 

 新一くんの計画、灰原さんは危ないけど自分なら大丈夫、みたいなこと考えてそうな感じで、聞いた時には心がもにゃったが、そりゃクリスさんがクールガイに手を出すこたぁ無かろうがね。でも実行部隊なる妙なヤバそうなのとかジンニキとか、あと“バーボン”とかもいるのに。相も変わらず不用心なこと。

 

 

 ……そんな計画で眠らされて、灰原さんは黙ってないだろうと思ったら案の定。現在移動中なわけだが。

 

 

 ところで、灰原さん本人のことは、新一くんが麻酔銃で眠らせて閉じ込めたからか、たぶん3人とも考慮していないし、新一くんはそも彼女を立ち入らせないように“彼女に変装する”なんて予定を立てていたのだと思う。

 

 でもノアズ・アーク曰く、普通に彼女、タクシーで移動してるっぽいんだが。

 

 しかも私が「彼女が移動を始めた」という報告をしたのに零くんも景光くんも『了解』くらいしか返事がない。

 ノアズ・アークには、タクシー無線を追ってもらっているが、かなり離れてはいるけれどちゃんとジョディさんや智明くんの後を追っているらしい。道は違うのに追えてる辺り、追跡メガネだろうな。

 

 ……これ、大丈夫なんだろうか。

 

 ……景光くんメッセージ見てる?景光くんから赤井さんや新一くんに知らせてくれないと伝わらないのに。

 

 それとも、情報伝達に手こずっているのか?

 零くん1人がそんなカーチェイスで修羅場ってるだけってことはないだろうし……既に事態は動いているんだろう。

 

 ……クリスさんもクリスさんで、バーボンの手で人員は減ったとはいえ自ら罠に……?

 

 

 ………………景光くんに何かあったなら、傍にいるくたびれお兄さんにも何か起きただろう。

 …かわいそうに、くたびれお兄さんはこれが“重要な任務”であり、“都度指令が下る”ことしか聞いていないらしい。

 そしてその指令が、“現在起きている事を全て記録しろ”。

 その最中、もちろん“問題が起きたなら通報していい”だそうで。

 

 日本国内における外国人たちの無許可ドンパチを、取引だろうがなんだろうが、そもそも暴れる外国人の存在を赦すなんて約束……零くんがスルーできるわけない。

 

 ……約束とはいえ“口”約束。ハムちゃんが手を出さなければいいのだろうという言い分。

 普通に目撃してしまったていでくたびれお兄さんに警察へ通報させ、自分たち以外の“熱心で優秀な日本警察さん”に調べさせて、丸ごと全員しょっぴいて難癖つけて国に送り返すつもりなのでは?という……

 

 零くんのやり口が汚い……これが組織の裏事情を探りまくっては汚い手を使うと評判の“バーボン”か……

 

 もしやカーチェイスの面々引連れてコンテナ埠頭に雪崩込む気じゃないか?

 

 

 喧嘩両成敗!(飛び出すモササウルス)

 ……いやあれ片側に加担してない?

 

 

 灰原さんをクリスさんから救い、クリスさんを新一くんと手を組んだFBIから逃がすって、一体どうするつもりだろう。

 

 

 気になるよ〜!

 

 

 

 

 一方こっちはこっちで事件ではあれど、どうやら被害者の胸に矢で縫い付けられた複製不可の“悪魔”のカードは、あの“悪魔”チームの7人しか持ってないものだったようだ。

 

 で、あのチームのメンバーのうち4人は私の知り合いで、探偵探偵令嬢おねいさん。みんなそんなことする人じゃない。

 残りの3人だが、狼男とフランケンさんは放送があった時にはチームの人達と一緒にいた。

 

 …………じゃあ犯人は一緒にいなかった、アリバイのない包帯ゆる巻(黒髪)さん!

 だけど、そんな簡単な話ではないだろうから…どうせ何らかのトリックつかってんでしょ。

 

 仮装で、マスクでしょ?

 

 ……素顔で移動してたか、包帯巻いてお手軽ミイラしてたか?他人に被せるなんてのもあるな。

 うーんとねぇ。

 横のカラスちゃんに聞いてみるか。

 

「ね、あの中の誰が犯人だと思います?」

「えー、僕そういうの苦手だよ。むしろあの中って決まってるのか?」

「えー、たぶんそうなんじゃないですかね?」

 

 盗めば可能!なんて言われたらおしまいだもの。そんなん言ったら誰にでもできらぁ!

 反対横で1歩引いて眺めていたゾンビのおじちゃんを見る。

 

「じゃあ、おじちゃんはどう思います?」

「あぁ? 俺に聞くなよ。それこそ『工藤新一』が解くんじゃねえのか」

「でも偽物かもしれないですし」

「偽物じゃないかもしれないじゃない?」

「じゃないかもしれないじゃない!」

「じゃあなくもないかぁ」

「なくなくもないですねぇ」

 

「……お前らが喋ってると、頭がおかしくなりそうだぜ」

 

 そういう意見もなくなくもない。

 

 

 事件解決は、それこそ『工藤新一』がやってくれるだろうから、私は……あえてやることを上げるなら、このゾンビのおじちゃんが何するか、何を、誰に、どう伝えるかを見てるくらいかな。

 

 …………どこもかしこもしっちゃかめっちゃか。これもうわかんねぇな。

 

 いっこずつ、はっきりさせていきましょうね!

 

 

 ■

 

 

 マストの上で、白い顔の下から黒い顔が現れ、星空と同化した姿はこれぞまさに透明人間。

 ……なんて。月明かりに逆光で、ちゃんと見えているとも。

 

 服部くんってイケメンだよね。眉太めで。

 

 静華さんが美人だから、男子は母親に似るとはよく言ったもの。眉やキッと睨んだ感じはお父様かな。

 

 

「おじちゃん、残念でしたね」

「あ?」

「ゾンビさん、『工藤新一』探してたんだもんね」

 

 服部くんっていっつもドヤ顔してるなぁなんて思いながらゾンビのおじちゃんの左右をカラスちゃんと一緒に挟む。

 

 

 さっき『工藤新一』が実は別人でした!のネタばらししていた時に誰かに連絡取っていたが、いくら怪物共がひしめき合って騒がしいとはいえウカッツですわよ、おじちゃん。

 

 カラスちゃんと一緒に、私たちが工藤新一……いや、服部くんの推理ショーを聞いて、その後犯人の自白というか『ベルモット』とかいう怪しげな黒幕の名前に周囲がざわめいて驚いてる隙に離れたようだけど。

 

 この船降りるまでは離さねぇからよ!!

 

 せいぜい『ベルモット』さんとジンニキに、良い感じの報告してくれや、組織の意外と良い人っぽいゾンビのおじちゃん!!

 

 

 

 ……ま、何だかんだあったがこっちは狼男さんが犯人ということはわかり、ひとまずそっちは一安心。

 船の方は解決した旨を零くんと景光くんに送る。返事は無い。

 まだ忙しいんかねぇ。

 

 

 服部くんが小五郎…、違った。

 『眠りの吸血鬼』さんから文句を言われ、親友の『工藤新一』と連絡が取れないからこんなことをしてしまった、と苦笑している。

 

「……結局、あれはどういう事なんだ?」

「彼は『工藤新一』のお友達だねぇ」

「親友の彼でも連絡取れてないんですねぇ」

「親友なんだ?」

「親友なんじゃないですか?」

「どこいっちゃったんだろうね?」

「噂は本当なんですかね?」

 

 

 ゾンビのおじちゃんが困惑している様子なので、カラスちゃんに適当に誤魔化してもらいながらあっちの様子を確認する。

 

 そりゃあなぁ。

 クリスさんの計画を調べてこ〜いって送り出されて、かと思えばジンニキ(上司)に殺された『工藤新一』が招待され、それが活躍したかと思ったらめっちゃ上手い変装をそいつの親友がやってて……って、そりゃおじちゃんもよくわからんよな。

 服部くん、フッ軽すぎない?

 

 ……クリスさんの変装技術に匹敵するような変装技術、って点に目を向けさせないようにしないとか?これ。

 それとも、こっちに『眠りの吸血鬼』が招待された事を印象的に……いやでもあんまり活躍してないやおっちゃん。

 

 うーん……クリスさんに招待された高校生探偵『工藤新一』の名前はおじちゃんの頭に残っちゃってるよな、これ。

 

 ……うーん、うーん……

 これも報告しておこうか。

 

 

 ……中々返事が来ないのを見ると、どうも、あっちも忙しいらしい。

 

 

 

 ………………絶対みんなに怒られるなぁ、これ。

 

 

 

 *

 

 

 

 スコープの向こうで、ジョディ・スターリング捜査官がクリス・ヴィンヤードに銃を向けられている。

 

 ……ここから、今ならあの女を撃つことは簡単。だがバーボンからそれは厳禁と言われている。

 

 あの現場からFBIの捜査官の大半を引き離すため、ベルモットの顔にされて都内を危険運転で派手に回っているバーボンに代わり、彼から俺が任されたのは、クリス・ヴィンヤードの逃走補助。

 

 あの女自身が、バーボンへ頼んだのはこの撹乱と迎えだけだった。

 計画への自信と、シェリーの処理に関与させて、余計な情報を掴ませないつもりだろう。

 

 ……どんな怪我だろうが、ここなら死ななきゃ最悪逃げ場()がある。

 最終手段の拡散麻酔弾は最終手段であって、あの女の意識を奪うこと、移動手段を奪うことは許されていない。

 

 

 ライには悪いが、バーボンがこの先も組織で活動をするのにあの女の協力は必要だ。

 

 だから、俺はここではあの女を助ける。

 

 

 …………なんでかは知らんが、異様に昴があの女の事を信頼しているのが不可解で、不快感はあるんだが……それは一旦置いておこう。

 あれはまだ矯正は出来る。大丈夫だ。

 

 

 ベルモットとの戦闘がジョディ・スターリングの命に関わる様であれば、あの女の銃を狙うこともできるが……そも、あそこにはライがいる。

 現状でライが手出ししていない……となると、彼にはここから立ち直せる手段があるわけで……

 

 

 何も見逃す事ないよう、現場をしっかりと見つめていた。

 

 

「え?」

 

 

 その見つめるスコープ越しに、突然現れたサッカーボール。

 

 それは車のガラスを突き破り、ベルモットの手から拳銃を弾き飛ばして、ぽんぽんとコンテナやモルタルを数回跳ね場を凍らせた後、ぷすりと萎む。

 

 

 あれは……ボール射出ベルト?なんで?

 

 だって、あれは江戸川くんの装備のはず。

 

 見てる間に答え合わせのように、車からスニーカーのような大きな靴を光らせながら降りてきた“灰原 哀”が顎に手を当て、顔からマスクを剥がし……

 ︎︎そこに“江戸川コナン”が現れた。

 

 

 ……なんで。だって、工藤新一は船に――

 

 

「――ライのやつ……!」

 

 

 

 ライが俺に伝えてくれた計画では、『“灰原 哀”を研究所から連れ出し、ベルモットとその一味を誘き出す』だった。

 

 

 ……あいつ、俺が“バーボン”と“沖矢 昴”に接触してるのを見て、情報渋りやがったな……!

 ︎︎やられた!工藤新一について、協力を依頼しただけだと思ってたのに、サポートもかよ!

 

 あいつもあいつで、こっちが情報を出し渋っている事には気付いていたんだろう。

 そりゃ信用はされないはずだ。

 

 最近仕方ないとはいえ、公安から全国の警察へ外国人観光客連中の持ち物検査の徹底を呼びかけていたの、麻薬や銃器の密売密輸捜査関連だという名分引っ提げてたが、唐突ではあったか…。

 

 だからって、とはいえ……

 

 

「こんな鉄火場に子供を使うなよ、ライ……!」

 

 

 江戸川くんが、腕時計型麻酔銃をベルモットへ向けている。

 

 まずいな。

 あれを使われたら、あの女が逃走するしないの騒ぎじゃない。

 ︎︎阿笠博士の作ったあれの威力は、安全性の確認を念の為、と体験したから良く知ってる。

 とてもじゃないが抗えたもんじゃない。

 

 ジンのやつは何をどうしたのか、あの麻酔から覚醒してシェリーや江戸川くんを追ってきたらしいが、いくら魔女じみていようがベルモットは平均的な成人女性の域を出ないはず。

 

 

 となると、俺が撃たなきゃならないのは…

 

 構えた狙いをズラした。

 しかしそこに新たな乱入者。

 止まったタクシーは、米花自動車交通。

 ……バーボンの、迎えはまだ早いはず……

 

「は?」

 

 降りて駆け出した小さな姿は、間違いなく灰原さん。

 頭の中で、ハルが『あーもう滅茶苦茶だよ!!』と叫ぶ顔が浮かんだ。ほんとだよ。

 

 

 来るとして、来たとして、今じゃないだろ!

 ……ある意味今か?

 江戸川くんが灰原さんの姿に驚いた隙を突かれ、ベルモットの手で麻酔銃を自らに向けさせられてダウンしている。

 ベルモットに麻酔銃が使われなかったのは良いけど、ダウンした工藤新一と武器も対策も考えもなさそうな灰原哀が組織の濃密な気配に固まって、両方ともベルモットの前に。

 あといるのは怪我したジョディ捜査官。

 どこかから狙いつけてるライと、カルバドス。

 

 ベルモットを守らなきゃいけないのに、ライは健在で…カルバドスと交戦中か?

 やるなら今のうちか?やるならって、何やればいい?

 

 

 ハルの『これもうわかんねぇな』と言いながら腕組んで諦めた涅槃顔が浮かぶ。

 

 

 俺、ここからあの3人ともを全員無事で解散させなきゃいけないわけ!?

 

 





後はだいたい変わらないのでさらっと流しますね

お迎えにバーボン呼ぼうとしたらカモフラージュの車は大破したから代車とか言われたとかなんとか



読んでいただきありがとうございました!
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