昴くんはなにもしない   作:あまも

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基本ドラマはあまり見ないんですがおいしい給食は楽しくてみています

閲覧ありがとうございます!


42-1:宴の終わりの中の人たち

 

 

 ■

 

 港に戻ってきた船から降り、カラスちゃんとふたりで揺れない地面の感触にケラケラとひとしきり楽しんだ。

 船に乗る機会ってあんまりないよね。

 

「あ!おじちゃん!」

「あ?おじさん!」

 

 コソコソと離れようとするゾンビのおじちゃんにしがみつこうとしたらひらりと身を躱された。カラスちゃんも追いかけてくる。

 

「だァ、もう良いだろーが!なんなんだお前ら」

「えへ。…いやぁ、これでお別れかぁって思いまして」

「残念な気持ち?」

「残念無念って気持ちです?」

「ハー、ガキに構ってられるほど暇じゃねぇんだよ。オラ、お前らもとっとと帰れ」

 

 残念がって見せたが、未練も何も無い様子でゾンビのおじちゃんは立ち去りたそうにしている。

 遠くに見える黒くて古い車がお迎えなんだろう。

 

「……では最後くらいきちんとさせてください」

「あ?」

「あれ、終わり?」

「はい。付き合ってくれてありがとうございました」

 

 正体や演技やらあるけれど、ここまで付き合ってくれたカラスちゃんにも、このおじちゃんにもね。

 

「おじさんのおかげで、とても楽しくこのパーティーに参加できました。ご迷惑おかけして申し訳ありません。お付き合い下さり、ありがとうございました」

「お、おお……」

「こいつに付き合ってくれてありがとうございます」

 

 保護者ヅラすんじゃないよ、同い歳のくせに!

 丁寧に頭を下げると、カラスちゃんも合わせて頭を下げてくれた。

 迷惑かけてた自覚はあるが、こいつは付き合ってくれてただけだから、申し訳なく思う。

 

「……」

 

 ゾンビのおじちゃんは面食らったのか無言で固まっていたが、はっと一呼吸入れてから顔を背けた。

 

「ま、もう会うことはねーだろうがな。せいぜい頑張って売れるこった、『天里(アマリ) 与太郎(ヨタロウ)』」

「――――あ、はい。応援ありがとうございます〜」

 

 一瞬、誰のことだかわからなかった。

 そういえばそんな名前を名簿に書いた様な気がする。あんまりにも適当につけたから、その名前で呼ばれると自分だと認識出来ない。

 確か、WebでFlashゲーム出してた頃の名前だっけか。ころころ名前変えるもんで、どれがいつの頃の名前だったかわからなくなる。

 

 売れろとのお達しだし、適当に何か、また作って公開してみるかな。……閣下監修の将棋でも出してみるか。

 

 

 去っていくおじちゃんを見送っていると、横のカラスちゃんが肘でどついてきた。

 なんだよ。

 

「で?上手くいったのか?」

「タブンネ?」

「まだ与太郎みたいだな。戻して戻して」

 

 つんつんと脇腹を突かれる。くすぐったいてぇから止めて。

 駐車場に停めていた車へ向けて歩く怪物や、既にマスクを外した人間もチラホラ見える列の中に紛れて進む。

 小五郎さんや服部くんは、事件についての説明のためまだ船のほうで警察と話をしている。私たちは見てただけだから、特に詳しい話も無しに帰されることとなった。

 

 ゾンビのおじちゃんを乗せた車が走り去るのが見える。

 ……黒い車と、黒い中身にポツンとタバコらしき赤い光があったな。

 今頃、報告会でもしてるんだろうか。

 

 

「どうも状況はごちゃついてる様ですが、山場は越えたかと」

 

 車に辿り着き、とっとと乗り込んでエンジンをかけ直し、再度暖房をつける。

 乗り込むのは私なんだから、いちいち乗り込む時にエンジン切らなくていいじゃんねぇ。

 

 とはいえ暖機運転も済み、暖房の効いた車内は暖かい。海風で冷えた身体がぽかぽかとしてきて、ようやくひと息つける気分。

 

「もうマスク外していい?」

「あ、待ってください。今駐車場を出るので」

 

 万が一にも、彼がここにいると思わせちゃいけない。呼び出した手前、ちゃんと安全を保証して無事に帰さないと。

 

 駐車場を出ていく車の列に混ざり、ゾロゾロと出ていくそれぞれの車内に目を凝らす。大体は知らない顔だ。既に隣ではケープをもそもそと取り外している。……私も運転する前に脱げば良かったな、マント。

 駐車場を出て米花町へと向けて走り出した頃に、マスク解禁の許可。てか私も外したかった。

 

「……不審者に誘拐されてるみたいだ!」

 

 隣から、仮装を脱ぐ前と変わらない笑い声。

 

「あなたホントに誘拐されてもおかしくない身分なんですから、変な事言わないでください」

「棋士を攫って何になるってのさ」

「棋士以前に羽田の跡取りでしょうに」

「あー、それもあるかぁ」

 

 それでもケラケラと笑う、隣の席の、羽田秀吉。

 同伴者として頼んだら快くOKが返ってきた、この翌日対局控えた男。

 こちとらダメ元で頼んだのに。

 

「明日の対局、大丈夫なんですか?」

「大丈夫じゃない? この後おまえが研究手伝ってくれるんだろ?」

「私というかノアがですが…だって、寝不足とか」

「大丈夫だって!これまでの積み重ねだってあるんだから」

 

 トントンと、自分の額をついているらしき音。

 そりゃ、秀吉が負けるとは夢にも思ってないけれど、かといってもしも運悪くそうなったりした時、前日にこんな遊びに誘った私のせいでは?なんてことに……

 

「大丈夫」

 

 自信に満ちた声に、が、くんと、ちょっとブレーキをミスった。滑らかに止められなかった。

 

「大丈夫、僕は絶対負けないから。

 だからなにも心配いらないよ、昴」

 

 つい、信号待ちも相まって、隣の顔をマジマジと見てしまう。

 コンタクトを外してメガネに戻した秀吉が、にひゃりと勝気に笑っている。

 いっつも私以上に頼りないへにゃへにゃした奴だというのに、勝負事における確固たる自信はいったいどこから湧いてくるのだろう。

 ……ムカつくほどかっこいいなお前。

 

「ホンット、おまえは心配性だよねぇ」

「…………そりゃ心配しますよ」

 

 ケラケラと楽しげにしてくれてる彼が、今回一通りの全てを隠して連れてきているとはいえ、あのゾンビのおじちゃんと会話してしまっているのが、心配性と言われようが気がかりは気がかり。

 

 あれであの人が、もっとどう見てもやばそうなら船内で無言ムーブして離れるつもりだったが、どうにもあれは……無関係のカタギには手出ししない、日本のヤーさんみたいな人に見えた。

 だからこそ、彼の行動を確認出来るよう近づいたわけだが…

 ヤーさんと仲良くしてるのもそれはそれで危ないと言われたらそれはそう。

 

「今夜はウチに泊まるんだろ?」

「はい、その予定です。夜食、何か買って帰りましょうか」

「いいよ〜おまえの好きなくだものとかおつまみとかも買おう」

「わかりました。今開いてるスーパーあるかな…」

 

 ひとまずのところ、灰原さんと蘭ちゃんは無事だしジョディさんも命はある。

 新一くんが何かしたようだがクリスさんはちゃんとバーボンが回収したみたいだし、新一くん自身も阿笠さんが回収したみたいだし……

 

 1個だけ、不安なところといえば……

 

 景光くん、『こちらも無事。赤井と話してから戻る』って連絡以降、音沙汰が無いことだけかな……

 

 景光くん、赤井さんのこと『ライ』って呼んでなかったっけ…?もしかして怒ってる?

 

 ……蘭ちゃんのことかな……?

 

 

 ■

 

 

 工藤邸のリビングにて4者面談なう。

 

 有希子さんがオロオロと左右を見て、合間に私に「どうしよう?」と言いたげな、子猫のようなかわいらしい顔を向けてくる。その顔はアカンて。どうにかしてあげたくなってしまう。

 でも私にもどうしようもない。

 

 だって、今まさに怪獣たちが私たちの横で、静かな戦いを始めているんだもの。

 

「さて、江戸川コナンくん。君は今回、その身と命を軽率に賭けに出したわけだが」

「小林さん、それは違うよ。ちゃんと考えがあったし、計画通りだった」

「いいや、何も違ってはいない。大事なのは、君が君の推測だけで君の身を賭けに出したことだ。何よりもそこが問題なんだよ」

「だから、推測じゃない。確かな事実だ。ベルモットも、“バーボン”も、俺や蘭へ向けた攻撃はなかった」

「それは結果論だろ。君も蘭さんも銃撃されてる」

「あれはベルモットが止めていた時点で、あの部下のカルバドスの暴走だったし、ベルモットが止められた程度の暴走だった。それらはこれまでの動きからも確信はあったよ」

「バーボンは君の手に入れた証拠を壊したが?」

「逆に言えば証拠しか壊してない。つまり、あの人たちにはターゲット以外を害す気はなかったんだ」

「だからそれは――」

 

 

 ヒィ……

 

 

 そんな感じの、堂々巡りの反省会中である。

 

 まず両方とも論点が違うんだよなぁ。

 

 新一くんは、私と小林くんの動きも含め、今回の組織側の面子から自身が害されないという自信があった。これギャグじゃない。

 だからこんなことをした……とは言うけど。

 

 そして小林くん、もとい景光くんは、今回新一くんが自分の命の保証もなしに危険な行動をした事はもちろんだが、それをする事を、意図的に小林くんには教えなかった事を問題視している。

 これすなわち、信用してなかったでイコールなんだけど、守ることを目的として動いている小林くん的にはそんなことされると守れるものも守れないわけ。

 守護対象から嘘の予定伝えられて、どうやって予定通り守るってのさ。

 

 ……いや、そも私がビックリしたのは、そこ詳しく教えてなかったんだ?

 

 

 あと、そこに赤井さんの件。

 新一くん、実はジョディさんから『応援の人』として『FBIで1番組織に詳しい人』が手助けしてくれることしか知らなかったらしい。

 話だけで、その人物がかつて小林くんが組織から抜ける時に手伝ってくれた後、自分も抜けることとなった人だと推測していたそうな。

 小林くんがその人とやり取りしてる、とまで読んでたのだと。だから、そっちはそっちで連携取ってくれるだろうと思ってたと。

 ……あっるぇ?そこ、面識無かったんだ?

 

 諸々含めて文句言いに、小林くんはコトが終わり次第先に本人に問答してきた。

 

 勝手に思ってただけだが、小林くんは赤井さんがもっと大きく動くもんだと……ジョディさんが危なくなった時点でもう動くもんだと思ったのに、中々動かないどころか新一くんを巻き込むような、今回の計画でOK出したことに腹を立てておられる。

 ぎっちょん、赤井さん曰く。

 

『こちらとしても、お前たちがどう動くのか確認したかった。

 ……おかげで良くわかった』

 

 とかニヒルな含み笑いしながら言われたのだとさ。

 

 それで、裏切られたような気分の景光くんはもうずっとピリピリしっぱなしである。

 裏切りには敏感になってしまった男の姿がこちら。

 うーん、哀しきかな。

 

 ただ、話聞く分にはどうも新一くんの言う通り確認作業でしかないようだし……裏切りでは……ない……と思うんだけど……

 私が部外者だからそんなこと思うのかね?

 

 あまり頭が回らないな。ラムネを数粒手に取り口に放り込む。あまあま。

 

 横で呑気に駄菓子食い始めた私に、有希子さんが乗ってくれて、「お茶でも淹れようかしら!」なんてキッチンに駆けていく。

 

 新一くんと小林くんが、それでようやくピリピリをたっぷりの溜息といっしょに吐き出してくれた。

 

 もぉさぁ。色々無事だしいーじゃん。今の話しようず。

 

「……ハァ。わかった、そっちの話を聞こう」

 

 小林くんとしても、あまりしたくない話になりそうだからごねてたところもあるんだろう。

 有希子さんがちょっぱやで淹れてくれた紅茶があったか苦い。またラムネをいくつか口に放り込む。

 

「……まず、隠してたのはごめんなさい。FBIの…ジョディさんたちも、俺も、あなたたちが組織相手にどう動くのか確認したかったんだ。

 でも、おかげで色々とわかった。

 ……あなたたちは間違いなく、組織の誰かの為に動いてるよな」

「……」

 

 ギギクゥ!

 

 突っ込んだラムネを喉に詰まらせるとこだった。

 新一くんたら、いきなり何を。

 

 隣から、その新一くんの突然の指摘発言にも無反応だった景光くんが生暖かい目で私を見てくる。

 てかお向かいの有希子さんや新一くんすらもそんな生暖かい目で見てくる。

 

 な、なんだよぉ!

 

「まぁ、昴ちゃんはシャロンのためよね」

「だろうな」

「そこは今更隠すことでもないから否定しない」

 

 おめーらぁ!

 なんだよ、まるで私がクリスさんに情報流してたスパイだけどポンコツドジっ子たぬきちくんだから仕方ないかみたいな反応しやがって!

 

 あながち間違いでもないけどさ。

 

「昴ちゃん、昔からシャロンに可愛がられてたし…それに、恩人からの頼みは断れないものね」

「あと美人からもな」

「懇願されたら、先約ない限り頷くもんな、ハル」

 

 数々の信頼できる証拠!

 秘密を持つに値しない男ですまん…!

 

「そうやって素直に否定しないあたり、ちゃんとシャロンがクリス・ヴィンヤードと同一人物で、かつ組織の幹部、“ベルモット”だってことは知っててやり取りを続けてたんだね?」

「ハァイ…」

「うん。でも、今回彼女は俺たちの計画の詳細を知らなかった。だから、スバルさんはベルモットに協力はしてるけど、俺たちの不利になるようなことはしていない。

 そして前に組織とやり合った時はあんなに怒ってたのに、今回は相手がベルモットとバーボンで……俺に対してなら安全だとわかってる相手だったから、素直に俺たちを送り出したんだと思ってる。

 違う?」

「ハァイ……」

 

 新一くんからの確認の言葉にしょもとした態度をしていたら、有希子さんが席を立って隣にストンと移動してきた。

 

「……ねぇ、昴ちゃん。シャロンは本当に悪い人なの?」

「……」

 

 真剣な顔だ。

 どうか否定して欲しいと願ってる顔だ。

 それはとてもよくわかる。

 私も、零くんが今回の作戦でしでかしたことを、彼本人の意思でやったのかと問うのが怖いからこそ、有希子さんがこんな顔で私に訊ねている気持ちがよくわかる。

 ……ほんとうは、訊くまでもなくちゃんとわかってる。

 そして、私もクリスさんを悪い人だと断言するのは……

 

「悪い人ですよ」

 

 隣から、とても硬い声。

 小林くんが怖い顔をしている。

 

「ハルもちゃんとわかってるだろ。有希子さん、ベルモットは悪人です」

「……」

 

 はっきりと断言してしまう小林くんに、私も有希子さんも返せる言葉がない。

 

 私だって、散々、零くんから“ベルモット”が何してきたのかは聞いてるわけで。

 

 ……景光くん、これ今回私にも怒っておられるもんでよ。

 私がへらっと軽い気持ちで新一くん送り出したもんで、ヒント与えることになっちゃった。

 

 

「……それで、小林さんは今回手伝いとは言いつつ、手を出すつもり無かったよね?」

「……何故?」

「小林さん、カルバドスの確保以外に手は出さなかった。そのカルバドスへの狙撃すら、最後の一撃だけだったでしょう」

 

 聞くところによると、カルバドス、という組織の実行部隊の男の確保に成功し、彼は山ほどの銃火器や危険物を所持していたため日本警察にそのまま引き渡されたそうな。

 その彼にトドメの麻酔弾をぶち込んだのが、小林くんだそうで。

 

「あれ、ベルモットにも撃てたんじゃないの?」

「俺の位置からじゃ、あの女は狙えなかったんだよ」

「……ベルモットが逃げてから、カルバドスを撃ったのは?」

「FBIの捜査官の1人がその男を行動不能にしてたが、甘かったんでな。だから撃った」

「……小林さんが組織から認識されないよう動いていたのはわかってるけれど、それにしたってベルモットの逃走に手を出さないのはおかしいよ。

 

 あなたが手助けしていたのは、FBIや俺たちじゃなくてベルモットのほうでしょう?」

「……」

 

 まぁそうなるよな。という表情でフンと鼻を鳴らし、小林くんはソファーの背もたれに背を預ける。話の続きを聞くらしい。

 ……良いんだ?

 

「今回、あの場にいたのは“江戸川コナン”が変装した“灰原哀”ってことを、小林さんは知らなかった。……小林さんには俺は船に行くと思っていてもらった。もうしわけないけど、試させてもらったんだ。本当にごめんなさい」

 

 もう一度ぺこりと頭を下げる。FBI側から色々聞いてたら、そりゃ仕方なかろうもん。小林くんも、そこは納得してるようで。

 ここで、新一くんがこてと頭を傾げる。

 

「ひとつだけ、わからなくって。

 ……灰原の身が危険だから、大人しくさせるため寝かせていたのを知っているはずのスバルさんが、灰原が移動した事がわかったなら、小林さんに連絡を取らないわけないのに、なんで小林さんは知らなかったのかなって」

 

 ……“発信機(セキュリティ)"ね。予備の犯人追跡メガネと阿笠さんの家の鍵に取り付けておいたやつ。

 同時に動いたらそら確定でしょ。

 あとはタクシー無線で役満よ。

 

 ……私はちゃんと伝えたよ!

 

「……あれはハルが悪いだろ。略し過ぎ」

「えぇっ!だって、灰原さんの本物が移動しない予定のはずって共有はされてると思ってたんですって!」

 

 あの時、2人からの返事が焦りも何もない『了解』だけだったのは、その移動開始したのは『元々作戦参加予定だった“灰原さん”』がジョディさんと一緒に動き出したのだと思ってたそうで。

 2人とも、連絡が遅れてるな、とは思ったそうだが、この私とノアズ・アークが緊急度の高そうな確定情報の送信が遅れるとかそんなことあるわけなかろうに。

 

 だって偽物とか本物とか、ちゃんと共有されてると思っててぇ!私は悪くなくってぇ!

 

 こっちのコントを見ていた新一くんが呆れ顔。

 

「……ハハ……、なるほど。スバルさんが言葉足らずだったのか」

 

 おうジト目やめーや。探偵ボウヤがよぉ…

 気を取り直して、新一くんがソファーに前のめりに座る。

 

「……灰原の身の安全を考えていたのは小林さんも同じはず。それでも小林さんは、後から現れた本物の灰原がベルモットに狙われても、撃たなかった。あれは?」

「FBIの方の捜査官がフリーだったからな。アイツが何とかすると思った」

 

 コントで取り戻した柔らかさが一瞬でどっかに行っちゃった。

 小林くんがむすりと眉を寄せて、少しだけトゲのある口調。

 

 せっかく零くんに対抗して赤井さん擁護派だったのに、なんだか拗ねた弟みたいになっちゃって、景光くんてば。

 薄々、裏切りとかではない、というのはわかってるんだろう。ただ、話して貰えなくて拗ねてるというか、それらの計画にこの子供が混ざってたことを平然と流した辺りを怒っているというか。

 

 赤井しゃんはさぁ。

 ……なんか知らんけど、灰原さんと顔を合わせたくないらしいよ。なんでやろな。

 

 その後、場に沈黙が満ちる。

 ……何だっけ?

 

「………………蘭が出てきたのは、まぁ、うん」

「……まぁ……うん……」

「蘭ちゃんたら、アグレッシブよねぇ」

 

 3人して、その後起きた蘭ちゃんの乱入には予想外過ぎて言葉はないらしい。

 その場にいたクリスさんも知らずに乗せてきてたジョディさんも、なんなら見ていた赤井さんも誰も、蘭ちゃんの事は考慮してなかったそうなんだが。

 

「でも私、ちゃんと彼女も移動してるよって連絡しましたよね?」

「お前――だれが、いつ、どこにまで言えよ!」

「グエー!」

 

 くびくびくび!首狙うのやめろ!

 

 詳細書かなかったのはごめんやけど!こっちもゾンビのおじちゃんと遊んでて忙しくて!

 

 首根っこ掴まれてガンガン頭振られてしまい、脳みそシェイクされてくわんくわんしている。

 返事が簡素だったからこっちも簡素に送り返してただけなんだよ〜!

 

「……結局、小林さんは――組織の人なの?」

 

 拍子抜け、もしくは「これ聞く必要あるかな?」というお顔で目をしぱしぱさせた新一くんが首を傾げたまま聞いてくる。

 

「いや。俺は……バーボンの協力者、だな」

 

 

 ……あ、言っちゃうんだそれ。

 

 

 ……え、言っちゃうの?!それ!?

 今まで隠してたのに!?

 

 




ズルズル長いな〜この話
余計な茶番なければもっと短いんですかね


読んでいただきありがとうございました!
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