昴くんはなにもしない   作:あまも

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半ば無理やりまとめたら、な、長……

鍋の季節ですね……西は割下使わないって本当?

誤字脱字報告いつもありがとうございます!
いつも間違いあってすいません!

閲覧ありがとうございます!


42-2: 推己及人

 

 

 

 なーんかもうさぁ。

 

 

 

「ハル、ハルってば。そんな拗ねないで出ておいでって」

「おい、ハル。いい加減に出てこないと飯が冷めるだろうが」

 

 知らぬ、知らーぬ!!

 

 この……根暗!ゴリラ!愛国者!

 ……えーと……犯罪者!!

 

「お前もだろうが」

「グッ」

 

 毎度必要な捜査のための作業という処理をしてくれている零くんからのド正論。

 

 でもでもだってぇ。

 

 

 2人とも実は私に対して嘘をついていた事が判明して、私はこんなにも2人を心配しているっていうのに!と籠城決め込んでいる。

 

 挙句、今回は新一くんに対して情に訴えかける手段とってさぁ。

 

 かわいそう!新一くんがかわいそう!!

 

 

「概ね事実しか言ってないんだが」

「グッ」

 

 

 1番大変でかわいそうなのはバーボンこと降谷 零だったのは間違いないんだよなぁ…

 

 

「これが一番手っ取り早く、バーボンは組織の人間だけどギリギリ話のわかる、場合によっては敵だけど一応味方、の立ち位置に出来る話だったんだってば」

「というか、嘘も何も事実しか言ってないんだが」

「グアッ」

 

 景光くんと零くんが虐めてくるよノアズ・アーク……

 

『でも、単純に零さんの所属を言わなかっただけで、状況は確かにそのまま事実だよね?』

「グゥ…」

「ついに何もなしにひとりでぐうの音出し始めたぞコイツ」

「きっとハルには心配事が沢山あるんだろうね」

 

 他人事に言いやがってよ!この悪いハムちゃんズめ!

 

「なぁおい、早く出ろよ。先に食っても良いのか、和牛だぞ。もう焼くぞ。お前の分まで焼くぞ。出てこなくて良いのか」

 

「……」

「あっ、出てきた」

 

 人の部屋にお肉の脂の良い匂いだけ付けて帰る気でしょう!!

 

 仕方ないから食べてやりつつ話だけは聞いてやりますわ!

 

 

 

 そんなこんなで私の部屋にて3者面談なう。

 牛の脂って食べてる時は良い匂いなのに時間が経つとなんか臭くなるの、なんだろうな。

 

 面と向かうことを私が放棄し、カーテンの中に退避していたのには理由がある。

 

 溶き卵の絡んだ割下と肉の脂だけでこれご飯モリモリいけますわ。水菜最高。しいたけよりえのき派。

 

 ……いや待て。すき焼きで吊られクマーしたが、私は怒っているのだよ。

 

「卵おかわりあるよ。今度は赤玉」

「わーい」

 

 景光くんの差し出してくれたパックの小ぶりの赤玉子は近所の自販機で、昼には売り切れてしまうくらい大人気のやつ。黄身が箸を突き返すんじゃないかってくらい新鮮な……

 

 いやだから私は怒ってるんだってば!

 

 

 この悪者共めが!私を含め、いたいけな工藤親子を欺いたんだ!!

 

 

「だから事実しか言ってないってのに」

「 」

「あ、ついに何も言わなくなった」

「ネタ切れか?ほら、溶ける前に食え」

 

 肉なんてとっくに無くなったすき焼きのホットプレート鍋から、ひょいひょいとくたくたになった葉物野菜が零くんの手によって各お椀に分配される。

 てろんてろんのネギが箸からするりと抜けた。

 

 だってさぁ……

 

 

 ■

 

 

「バーボンは俺の協力者だったんだ」

 から始まった、『景光くん協力者のバーボンさん』の話。

 出会いあり別れあり、壮大でスペクタクルなストーリー……

 なんて冒険活劇ではなく、ただ淡々と。

 

 

 バーボンは情報屋として組織に所属していたが、それはやむを得ない事情からで、バーボンは本当は悪事なんかやりたくない、けれど抜けることも出来ないからと、葛藤を抱えたまま、組織で苦しんでいた。

 それで、バーボンは組織を安全に抜けるための手段として、公安だった小林くんと接触を図り、組織を抜けた後の保護を依頼。一方では組織への潜入を目的としていた小林くんはまんまと、バーボンの部下として雇われる事で無事潜入に成功した。

 こうして2人は協力関係となる。

 

 主にバーボンの護衛や雑務をこなしているうちに、それ以外にも実行部隊として順調に実績を積み上げ、小林くんは『スコッチ』の名前を手に入れた。

 そこにさらに『ライ』という、ほぼ実力だけでしたっぱからのし上がってきた叩き上げの名持ちの幹部を入れた3人組での活動が増えていく。

 

 この『ライ』というのも、気難しいが実直な奴で、慎重派な(?)バーボンとの反りはあまり合わなかったがそれなりに仲良くやっていた。

 

 が、しかし。

 

 小林くんが、警察とやり取りをしている情報が漏れ、NOCであることが組織にバレてしまった。

 

 そこを、実は同じくNOCで、FBIから潜入していた『ライ』の手を借りて、なんとか死んだフリでもって小林くんは切り抜けたのだが……

 

 

 ここで、ひとり残されてしまったバーボンである。

 

 

 情報を取り扱っている者としては、NOCを招き入れた挙句、そのまま起用し、あまつさえ共に行動していたわけで。

 

 

 当然、放っておくジンニキではない。

 

 嬉々として狩りに来た。

 それはもう愉しそうにしてたらしい。

 

 

 どっこい、そこで新たな一報。

 

『ライ』が、NOCだという報告。それは組織の中に激震が走ったそうな。

 

 

 このライという男、元々組織内でも随一の戦闘力と頭脳とでかなりの脅威度を誇り、このままこの男が敵になっては厄介なんてもんではない。

 

 こいつを巣に返すわけにはいかないと、組織の全力でもって排除に向かうことになったが……

 これがどういうわけだか、あの男。まんまと逃げおおせた。

 しかも組織側にも大損害を出しながら。

 

 …もうあいつひとりで良いんじゃないかな。

 

 

 

 さてはて、そうなるといよいよもって不味いのはバーボンである。

 

 

 そんな絶対的脅威となってしまった『ライ』ともかつて一緒に行動していた上、彼のNOCバレのタイミングがあまりにも、バーボンを一時的にでもジンの手から離そうという意志が見えるなんて難癖まで付いた。

 

 これはいよいよもって処刑かと。

 ジンニキによるなぶり殺しでも始めましょうかと。

 

 万事休すか……のその時、バーボンを拾ったのが……ベルモットだった――――ってね。

 

 

 

 こんな話を聞かされて、灰原さんや広田雅美、そして小林くんの事を知っている新一くんが黙ってられるわけはなく。

 彼と、あと涙滲ませた有希子さんは深く何度も頷いた。

 

「つまり、小林さんの協力してくれたバーボンって人は……」

「ああ。バーボンはまだ組織にいる。しかも、ベルモットが保護したとはいえ、ジンや他の組織の連中からは疑われたままだ」

 

 ……真剣な顔で話を進める2人に、バーボン(零くん)が囚われのお姫様みたいな説明になってることと、おそらくは真実そうだったのであろう当時の零くんの状況とを考えるに、どんな顔すればいいかわからなくなってしまって、私は無表情貫いてたんだが。

 

 

 

 …………色々な人達の話混ぜて合わせて切り分けて冷蔵庫に入れたあと小分けにして出したわかめの酢の物みたいな説明だったな。

 

 

 

 しかもその後の説明ね。

 

「なんでそこで私が、クリスさんに全力で媚び売って、『情報収集に長けていてどこでも何でも使えて性格と使い勝手と顔が良い人』が欲しいと頼んだら丁度いいのが居たから拾ってきてくれた設定にしちゃったんですか」

 

 そう。あの説明では謎となった、『ベルモットは何故バーボンを助けたのか』という当たり前な疑問を口にした新一くんへの回答がこれ。

 

 当時の私は大学での研究資料として様々なデータを集めて人工知能に食わせてたので、その収集要員を欲していたのは確かながら……

 

 私、新一くんたちに『組織からの監視は無い。だから無事で過ごせている』って説明したのに、それじゃバーボンさんと動いてた私はなんなのさ。

 知ってて動いてたって言うわけにもいかないし。

 知らなかったを押し通すしかないじゃないですか。

 ばかみたいじゃないですか。

 

 

 それに、私からの頼み(おねだり)、だなんて理由としては弱くない?と思ったのに、有希子さんも新一くんも神妙な顔のまま頷いて納得してしまったんだよな。

 

 もーさぁ、なんなの?

 

 

「お前がベルモットと絡んでるからだろ」

「ハルが組織と意味わからんところで何故か繋がりがあるからだろ」

「いうてそれほど繋がりは……」

 

 景光くんは自分と零くんを指さし、零くんはそこら辺でチカチカと光りながら読み込み中のノートパソコンや吊るしっぱなしの羽毛の黒いマントを指さす。

 うーん……スコッチ、バーボン、テキーラ、ベルモット……無言で指摘するの止めて?

 

「江戸川くんも灰原哀も、組織がプログラミングに優れた人材を探していることは知っているからね。そういう意味で、いつでも利用できる手札のひとつとして、ハルはベルモットに可愛がられてる……ってことにしたけど…………まさかそのまま事実だったりするの?」

 

 〆のうどんの茹でた玉を台所から持ってきた、胡乱げな目をこっちに向けてくる景光くん。

 

「へ?いやいやまさか。私、クリスさんに何か作れって言われたことないですよ」

「……無いのか?」

 

 ここで零くんが意外そうに目を丸くして訊ねてきた。

 

「ええ。勝手に見やすいように書式作ったりはしてますが、そうですね。プログラムを依頼されたことはありません」

「……そうか」

 

 そうだぞ、私とクリスさんは仕事だけの関係じゃなくってよ!持ちつ持たれつ持たれつ持たれつ……持たれっぱなしでは?

 …………裏山で拾ったキジか庭先に落ちてたスズメみたいなもんか……?

 

 ふんすと零くんが鼻を鳴らして、タレととろけた何かしか残っていないすき焼きの鍋にドュルンとうどんと卵を投下。

 待ち構えていた景光くんが、菜箸でぎゅんぎゅんに掻き回している。

 

 実際は、もちろん私は何もクリスさんには頼んじゃいない。

 

 零くんが自分で、クリスさんの特大の“秘密”を握ったらしく、それで脅す形でもって組織内での保護を“させている”状態なのだそう。

 女性の秘密を漁るなんて、最低!

 

 ……とは冗談で、なんでも、零くんが死ぬとその秘密の情報が公開される仕組み……だとか。

 いやー、物騒だね。

 

「当時だって、いつ何時何があってもいいよう、準備はしていた。別に俺はあの女の手を借りずとも、何とかする手立てはあったんだ。

 ……それを、あの男……最悪なタイミングでFBIだとバレやがって……こっちがどんだけ準備してたと思ってんだクソFBIめ……」

 

 ブツブツと、今思い出しても腹立たしいのか溶き卵をそれ以上とけないくらい高速でといている様子の零くん。メレンゲでも作るの?

 

「……それ、赤井さんの正体を組織にリークしようとしてた……とか?」

「…………」

 

 こらこら黙るな黙るな。

 

 赤井さんがそんなワンマンアーミーだったなら、その情報のデカさは計り知れない。

 

 もしも組織側が事前にそれを知っていたら、赤井さんだって生きて組織を抜ける事が出来たかわからない。

 

 

 ……それ、零くんは赤井さんを『殺す気だった』と解釈してよろしいか?あわよくばジンニキあたりと相討ちになったら美味しいなって?

 えー…性格悪……

 それとも、赤井さんのことだから、そんな大ピンチすらも切り抜けられるだろうと判断して、色々擦り付けて視界から追い出そうとした?

 ……どっちだろうな。後者の方が、まだ昔からの零くんらしくて私は嬉しいんだけど。

 

 

 ……まぁ、リークしてやる寸前で飄々と組織を抜けていった赤井さんに、危ないところだったバーボンは、ジンニキや組織のヘイトを幾らか引っ被ってもらってしまった状況なのは間違いなく。

 

 

「アイツの部下のミスだとは聞いてるが、タイミングがおかしいだろ赤井の野郎……」

 

 ……これ、赤井さんにそのつもりがあろうが無かろうが、結果的には零くん、“バーボン”として助かってしまった点もあるもんで、余計なことは余計なことだったし迷惑も迷惑ながら…

 お互いに要らなかったであろう『借り』が出来てしまった事実だけ残ってる?

 

 しかも、景光くんの…スコッチの件も含めると、更なる『借り』が出来てるわけで、零くんってばそれが嫌ってこと?

 

 ……とっとと精算しちゃえば良くない?

 あ、組織の人間だと思われてるから接触出来ないのか。ふむふむ……

 

 椀によそってもらったかきたまうどんを啜る。肉うどんみたいで美味しい。零くんの作る割下大好き。

 牛肉は高いし色んなところに匂いがつくから、あんまりやってくれないんだけどね。

 

「ところで、ハルはなんであんなに拗ねてたんだ?」

「え?」

「江戸川少年への説明の後、ここに帰ってくるまでずっと不機嫌だったろう」

「ええ?本気です? ……人に散々言ってたくせに?」

「?」

 

 おいおいキョトン顔が可愛いなアラサー。

 ……冗談だろこの金髪ゴリラ。

 

 景光くんを見ると、なんとも言えない顔。

 『俺も言ったんだけどさ』とか『自分は自分、俺たちは俺たち、って割り切り方してるみたいでさ』とか言いたげな、しょもしょもとした、彼がよく使うしょぼんの顔文字みたいなことになっている。

 

「……れーくん」

「ああ」

「とーるくん」

「……? なんだ?」

「バーボン」

「いや、だからなんだよ」

 

「あなた、散々みっちゃんが大変だった時の事、教えて貰えなかったことをあれ程キレ散らかしてたのに、同じことしてたんです?」

「あれとこれは違うだろ」

 

 ほーーーーーーん。

 

 そういうこと言うんだ?

 

 よーしよしよし、良いだろうお前やってやんよ。

 久しぶりに喧嘩といこうじゃないのよお前さん。

 景光くんがやったれとばかりにパパっと食器類を台所に下げ始めた。

 

 

「何が違います?」

「あれはヒロが…死んでしまったと思って、長いこと探し回ってたのにお前たちが2人してそれを隠してた事を怒っていたんだ」

「何が違います?」

「だから、」

「あなたがスパイの疑いをかけられて、新一くんや灰原さんを虐めたロン毛から命を狙われて、大嫌いな女性に媚び諂って、嫌な事ばかりの中必死に我慢して、長いことずっと耐えてきていたのに……友人がそんな目にあっていたのに、それを教えてもらえなかったのは何が違います?」

 

 今回は間違ってるのは零くんのほうだ。

 普段は私が馬鹿ばかりやって怒られる側だが、こればかりは理解してもらわなければならない。

 

「……死んでないだろ」

「みっちゃんだって死んでませんが」

「死んだかもしれないなんてこと、可能性だって考えたくもなかった」

「あなたの当時の連絡頻度覚えてます?表で出しましょうか?滅多に無かったんですよ?

 …しかもその滅多に無い電話を、かけてくるたび死にかけみたいな声で、業務連絡だけなんてのざらにあったの誰ですか?」

「確かに疲れてはいたが、お前を巻き込めるものではなかった。必然、そうなっただけだ」

 

「あなた、私たちがどれだけ友人としてあなたの心配しようが手出しはさせないけど、みっちゃんや私が自分の目の届かないとこでコト起こすのは心配だからダメって、キッショい束縛彼氏みたいなこと言ってる自覚あります?」

「……」

 

 お、表情変わった。一応自覚はあるらしい。

 

「なるほど。ちゃんと引っ掛かるところはあるんですね。

 じゃあいいです」

「え、いいの?」

 

 食洗機に食器を突っ込み、戻ってきた景光くんが口を挟んできた。

 挟んでくるもなにも今終わらせたんだけど。

 零くんも景光くんも、目をパチクリと。

 

「ええ。だって、既に昔の事ですから。

 当時の1番大変だった彼を、私は友人として助けてあげられなかった。それは今更の話で……きっと、私に十分な能力や信頼性があれば、れーくんは迷わず頼ってくれたのでは?…なんて…そのように考えてしまうこと自体が、頼ってもらえなかった力不足の証明です。

 うん。……れーくんは私の身を案じた結果だった。

 ……当然、それを後から…今更知った私は、こうしてとやかく言ってますが……

 

 結局、私もれーくんのことが心配だった。その事が伝われば良いんです」

 

 もちろんみっちゃんもね!

 

 零くんも景光くんも、あの頃の2人は連絡取るといつ聞いても『大丈夫だ』とか『心配いらない』とか、そんなわけないのにそんな事しか言わなかったからな。

 この嘘つきどもめ。

 

 最近顔合わせるようになって、表情も見えるから『大丈夫』が大丈夫じゃないのもよくわかるようになってきたけれど、いつ連絡が来なくなるかと、毎回心配してたんだぞこちとら。

 

 心配なのは今もだけど、今は結構状況とか見えたりわかるようになってきたから、だいぶ改善されたなと思う。

 その点、この間の爆弾犯事件での零くんは本当に偉かったし。

 ……まぁ、赤井しゃんでポカして以来また内緒が多くなってきたけど。このポンコツめ。

 

 ちゃんと飲み込んでくれたのか、零くんが頷いた。そして目を伏せる。

 

「……すまなかった。今後はなるべく気を付ける」

「俺も、頑張るよ」

 

 おう頑張るんじゃねーよ。無茶すんなっての。

 

「……ところで私に散々言ってたわけですが、私“が”心配させたのはお返しということで仕方ないとは「『ならない(よ)』」―ならないかぁ」

 

 うんうん。その心配と同じかそれ以上に私も心配だったってのを考慮してもらえれば幸いだ。

 2人とも、これまではもうどうしようもないが……これからを、どうか無茶しないでほしい。

 

 

 ■

 

 

「そういえば、“バーボン”が公安所属だって新一くんや赤井さんに伝えちゃダメなんです?」

「うーん……」

 

 景光くんが、顎をぽりと掻きながら零くんの方を見た。

 そこの判断の決定権は零くんにある。

 景光くんにあんなはぐらかし方をさせたからにはまだダメなんだろうが、赤井さんに教えない理由が零くんの感情由来だった場合、こちらも考えを改める必要があるが、そこんとこどうなの?

 

「……まず、情報漏洩の危険、という観点からあまり他所に広めたくない。これは大前提」

「はい」

 

 それはわかる。万が一漏れた場合のルートの割り出しのためにも、知っている人は少ない方が良いよね。

 

「FBIやCIAに『バーボンが公安のNOC』だと知られたくない理由は、そこにも組織から潜入している者がいる可能性があるからだ」

「……はい」

 

 公安にもいたからね。景光くんが俯く。

 

「赤井に教えたくないのは、感情的にもあるにはあるが……」

 

 あるんかい。

 

「大きな理由としては、奴がFBI所属で、組織が血眼で追っている対象であり、万が一にも奴が保身目的でバラす可能性があるなら教えられない」

 

 ……言ってる零くん自身が、『それはないと思うが』って顔をしてる、その取ってつけたみたいな理由何?

 

「あと、江戸川少年と灰原哀にだが……彼らが決めかねている以上圧力をかける事が出来ないので催促できないんだが、どこかしらの保護下には入ってもらわないと困る。特に、現状天涯孤独となった灰原哀――宮野志保のほう。

 戸籍や書類は、灰原哀で用意したものはある。ただ、アメリカに留学経験もある彼女がFBIの保護を選ぶ可能性もある。

 ……こちらとしては日本国民として、公安の管理下に置きたいが、結局選ぶのは彼女だ。

 そこに、“小林”が公安のイメージアップに尽力している横で組織の“バーボン”が公安所属、と伝えるのは、イメージ戦略的には痛手だろう」

 

 そうかね?

 1人残ってめっちゃ頑張ってる“バーボン”さん、結構好感度高いけどな。

 

「あとは……」

 

 あれ、言いにくそう。

 景光くんや、あとは何?

 

「……今回の江戸川くんにも言えるんだけど、今の“バーボン”はジンや他の幹部から睨まれてるから、下された指令はなるべく完璧に熟して実績を見せなきゃならない。

 今はベルモットが過激なものは絞ってくれてるとはいえ、決してキレイな仕事ではないから。

 それに、まぁ…“そういうの”も少なからずある。

 今回はたまたま、ハルに悪事がバレたくなかったのか消極的だったベルモットとバーボンと、ベルモットが御しやすい部下(カルバドス)しか居なかったから無事だったけど、もしあの場にジンがいたら、確実にライとの銃撃戦の合間に挟まれてみんな危険な目に遭ってただろうね」

 

 クリスさんは新一くんも蘭ちゃんも傷付けないだけだぞ。

 景光くんの言葉を継いだ零くんが、ひとつ呼吸を置いてから続ける。

 

「つまり、NOCだからといって……『バーボンだから大丈夫』、と思われては困るんだ」

 

 うむむ…大体の状況なら、零くんや、小林くんと私(まわり)でどうにか出来ないか動いてみるが、どうしようもない時はあるか……確かに。

 気を許されると困るって事ね。

 

 

「わかるか、ベルモットだって決して大丈夫な存在ではないんだからな?わかるか?

 ……わかってるか?」

 

「…………ハァイ」

「わかれ」

「ヒィ」

 

 

 いや、クリスさんは蘭ちゃんに何かあったら人身御供として先に私の命を捧げるだろうから危ない人ではあるしわかってるけども……

 わ、わかってるんだってば……

 

 

 




繁忙期に、自分は休むけどお前は休むなよって言ってくるタイプの上司がかつていましたね。めっちゃ腹立ちますねあれ。

読んでいただきありがとうございました!



ーーーーーー


??「ベルモットの知り合いならメールアドレス知ってるんじゃ……?……いや、きっとあの人の事だから、危険だから敢えて手を出してないんだろうな…」





??「アニキがバラした、工藤新一ってガキが行方不明だってんで、そいつについて嗅ぎ回ってる、『天里 与太郎』って双子のガキがいたんでさァ。オトモダチかと思ったんですがねぇ、なんでも“ファン”だとか言ってて……どうにも妙なガキ共でした。調べますか?」
??「ホォー…? ……丁度暇なヤツが居たな。アイツに調べさせるか…」




??フッ( -ω-)y─━ =3
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