起きたらレイヴンだったんだが、なんかコレ違うくね?   作:⚫︎物干竿⚫︎

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なんか知らんが、目が覚めたら某ロボットゲームらしき世界に居た。まるで意味がわからんぞ⁉︎とかなんとか言ってられない状況なんですけどね!

 

鳴り止まないけたたましい警報と共にグレーのオレンジ色の一つ目を輝かせたロボットが今にもこっちに向けたライフルを撃とうとしている様が目の前に映し出されていた。

 

半ば反射的にペダルを踏み込むと、ぐっと上からシートに全身を押し付けるような圧力と共にモニターからオレンジ色のモノアイが消えた。

 

『へえ?良い反応するじゃないか』

 

外の音を拾ったスピーカーを通してモノアイのロボットを動かしているらしい男の声が聞こえて来たが返事を返している余裕は無い。さっきは体が反射的に動いて回避出来たが、次はどうしたら良いのかわからんぞ。

 

『対象の照合完了。ランカーACマッドアイ』

 

「ああそうかい!んで名前だけ教えて貰っても困るんだけどな!」

 

モノアイのロボットの名前を無機質な電子音声が伝えて来る。てか、確定してACの世界かよここ!

 

AC、アーマードコア。人型機動兵器アーマードコアを操る傭兵としてミッションをこなして行くゲームで最大の売りは機体各部のパーツを自由に組み合わせる事で自分だけの機体を作れる事だ。

 

俺もプレイヤーとして遊んではいたが、それだけで実際にコックピットに座っての操作なんて出来る訳が無いだろ!

 

『火力、耐久性共に平凡ですが、機動性に優れた機体です。翻弄されないように落ち着いた対処を推奨』

 

それが出来りゃ今困って無いって言い返したいが、マッドアイが撃ってきたライフルを回避する。とにかく今は回避に専念だ。最低限逃げるだけなら体が勝手にやってくれる。

 

『ランク外の割には良く動く。だが、逃げ回っているだけじゃラチは開かないぞ?』

 

その言葉と共にマッドアイの左手のマシンガンが火を噴き、こっちが着地したところに撃ち込まれてバチバチと被弾する。警報が鳴り響くが気にしてる場合じゃない。

 

「ええい!なるようになれ!」

 

半ばヤケクソで操縦桿である2本のスティックを握り直して、スティックの上にあるボタンを押し込む。

 

『ハハっ!レイヴンと言うならランク外だろうとそうでないとな!』

 

「うるせぇ!さっさとくたばるかどっか行け!」

 

罵りながらペダルを踏み込んでのジャンプを繰り返しながら撃ち合う。体が勝手にやってるって事はちゃんと意味があってやってるんだろうし、向こうも似たように動いている。

 

だが、やたらめったらと何も考えずにバカスカ撃っている俺としっかりと狙って撃っている向こうとじゃ被弾率がまるで違う。こっちがまぐれ当たりのカス当たりが精々なのに対して向こうはしっかりと当てて来る。

 

『被弾増加。回避してください』

 

「出来りゃやってるよ!」

 

電子音声にキレながらビルの陰に一旦逃げ込んで一息吐いてマッドアイがどこから来るか警戒する。普通ならビルの左右のどっちかだがACは上にだって飛べる。なら、上から落ちて来るなんて事もあり得る。

 

ビルの左側からマッドアイが飛び出して来た。反射的にそれを撃つが、何も無かったかのように姿が消えて、

 

『敵機後方注意』

 

『惜しかったな。だが、ここまでだ』

 

「だらっしゃーッ!」

 

自分でも訳の分からないことを叫びながらスティックを引いてペダルを目一杯踏み込む。当然、そんなことをすれば全力でのバックジャンプになる訳で。

 

金属の塊同士がぶつかり合う金切音と車がぶつかったどころの騒ぎじゃない衝撃に襲われながらマッドアイと俺の機体が衝突する。全力でブースターを噴射してる分こっちの方がぶつかる力が強くマッドアイが逆に弾かれる。

 

『コイツ⁉︎』

 

『機体背部及びメインブースター破損。深刻な破損を検知、退避を推奨』

 

「逃げるも何もコイツを倒さねぇとダメだろ!」

 

言いながらよろめきながら着地した機体を振り向かせて尻餅をついたような体勢で倒れているマッドアイに向けてとにかくありったけの弾を撃ち込むが、

 

『左右兵装弾薬無し』

 

カチカチと言う乾いた音と無慈悲な電子音声による宣告と今だに健在のマッドアイ。あ、これ終わったわ。

 

『これはこちらが運に救われたな』

 

機体のあちこちがボコボコでバチバチと火花を散らしながらもマッドアイがゆっくりと立ち上がりながら右手のライフルを向けようとして下ろす。

 

『レストレイドか。その名前覚えておこう』

 

「覚えなくて良いからさっさと行っちまえよ」

 

『生きていればまた戦場で出会う事も有るだろうが、その時は必ずお前を墜とす』

 

そう言い残してマッドアイがブースターを噴射して飛び去って行った。

 

「なんとかなった………」

 

ため息を吐いた瞬間どっと疲れが襲いかかって来る。

 

『マッドアイの作戦領域の離脱を確認。状況の終了を確認、お疲れ様でした』

 

『こちらでも敵ACの離脱を確認した。ランク外の新人レイヴンと言う事ではっきり言って期待していなかったんだが、良くやってくれた。報酬の追加に加えて機体の修理費用はこちらで受け持とう』

 

電子音声に続いてビジネスマンって感じの声音の男の声がしてそう伝えて来た。そうだ。ACは成功報酬から弾薬費と修理費が取られるんだった。

 

「えっと、ありがとうございます。けど、良いんですか?」

 

『下位とは言え仮にもランカーACの相手だ。新人のレイヴンには本来なら荷が勝ち過ぎる。それを撃退してくれたんだ。当然の報酬だし、先の有望なレイヴンへの先行投資みたいなものだ。これからも互いに良い付き合いが出来ると幸いだ』

 

その後、回収しに来たヘリコプターにどんぶらこされて手配してくれたらしい工場に運び込まれてようやく自分のACとの対面だ。

 

あちこちボコボコでオレンジ色の塗装も剥げているが、角張った装甲に緑色のバイザーフェイスの機体だった。今は外されているが、装備しているのはアサルトライフルとマシンガンにレーダーと言う感じらしい。

 

「コイツはまた派手にぶっ壊されて来たもんだ」

 

キャットウォークの上でじっと今だに自分のACだと実感の湧かない機体を見ていると、そう声がかけられた。

 

隣を見るといつの間にか油に汚れたツナギに肩にはタオルをかけた髭の似合うおっさんが立っていた。

 

「えっと………」

 

「お前さんはACが好きなのか?ずっとそうやってるが」

 

「よく分からない。本当に自分のものなのか実感が無いだけだよ」

 

「今のコイツのパーツは使えるよう整備こそされちゃいるが新米レイヴンに貸与される中古品だからそうだわな。とりあえず、そこから離れて貰わないと俺達が仕事出来ないんだわ」

 

「あっはい。すぐどきます」

 

そんな感じでACの前から離れて手持ち無沙汰にあちこちを歩き回って最終的にカフェの席に落ち着いた。完全に携帯電話と財布が一体化してて、通貨も完全電子化されてるのはそこはかとなく未来感があるなと思いながらちびちびと買ったアイスコーヒーを飲んでいるとピリリと携帯が鳴る。

 

「もしもし?」

 

『レイヴンズネストのKです。作戦の達成とカーマインアームズ社より報酬の振込の確認が取れましたので連絡させていただきました。ランカーACマッドアイの撃退、お見事でした』

 

携帯越しに事務的な女性の声が聞こえて来た。レイヴンズネストと言うのは確かレイヴン達が傭兵として登録している派遣会社だか仲介業者のようなものだったはずだ。

 

「なんかそっちのデータに無い装備積んでたみたいなんだがアレは?」

 

『おそらくは購入後、一度も作戦行動をしていないかあるいはこれまでは装備していなかったものと考えられます。我々のデータベースもあくまでも作戦記録からの構築となっておりますので』

 

「まぁ、そうだよな。誰それが何を買ったまでは把握してないわな」

 

『ご理解いただきありがとうございます。つきましては、今回の作戦においてマッドアイが装備していた特殊兵装のデータを送信させていただきます。今後にお役立てください』

 

「現物とかじゃないのかよ⁉︎」

 

『そこはまぁ、あなたはランク外の傭兵ですのでレイヴン』

 

身も蓋もない回答である。まぁ、現物貰ったところで使い道ないんだけどさ。

 

『しかし私としても驚きですよ。マッドアイの搭乗者はアリーナにおいても対ACの経験も豊富なベテランのレイヴンであるベクターです。はっきり申し上げますと生きて戻って来るどころか撃退までして見せるとは』

 

「それ褒めてるのかザコって貶してるのかどっちなんだよ」

 

『もちろん褒めています。機体もアセンブリもしていない貸与パーツで組まれたACで自身に最適化したACに搭乗したレイヴンを新人レイヴンが撃退したなどとそうはありませんから』

 

「そりゃどうも。それで俺はいつその貸与パーツから卒業出来るんだ?」

 

『今回の報酬でいくつかはACパーツの購入が可能なはずです。それにクライアントに随分と気に入られたようですね。一部パーツが割引価格での購入が可能になっています。必要ならリストアップして送信させていただきますが』

 

「じゃあ頼むわ」

 

『わかりました。それではこれで失礼します。レイヴン、あなたのこれからの更なる活躍をレイヴンズネストは応援しています』

 

通話が終了した事を知らせる電子音を聞いてからこっちも通話終了ボタンを押して携帯をジャケットのポケットにしまって、残りのコーヒーを飲みつつ。

 

ところでこの世界の俺の帰るとこってどこだ?たぶんACの保管も同時に出来る倉庫みたいなとこだと思うが。

 

「ま、体がたぶん覚えてるさ。うん」

 

マッドアイとの戦闘も半分くらい体が勝手に動いてくれたおかげで生き延びたようなもんだし、そっちも覚えてるだろ。たぶん。




続くかは知らん。なんかPSストアに初代アーマードコアとかあって遊んでたら指が滑った。
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