イヴの時間 Another Episode   作:キリュウ

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いらっしゃいませ!

イヴの時間へようこそ!

短い間かもしれないけど、楽しんでいってね!


第三話 彼らの思い

 

 

「短い時間かもしれないけど、楽しんでいってね!」

そうカフェで働く彼女に言われ、僕は緊張しながら席についた。

 

とりあえず何か注文しなくてはと思い、机の上のセンサーに手を触れた。

今の時代、メニューと言われるものは机の上には置いていない。

今はどこでもホログラムのメニュー画面が机に表示されるようになり、

それを出すには机の真ん中にあるセンサーに手をかざす必要があるのだ。

 

何にしようかと考えていると、また驚くものを見つけてしまった。

カフェの奥にある休憩スペースとでも言えばいいのだろうか、そこに人が座っている。

いやそれは別に驚くことではない。

そこに座っていたのは僕がこの店に入るかどうか迷っている時に

僕の肩をたたいて先に入って行ったアンドロイドだった。

まぁここの店は入ってすぐの所に

『人間とロボットの区別をしません』

と書いてあるくらいなのだから別にアンドロイドが座っていてもおかしくない。

だが、・・無いのだ。彼には。

先ほどまで彼の頭上に出ていた、

アンドロイドと人間を区別する輪が無かった・・。

 

ありえない。もう僕はこの店に居ること自体ホントに危険なのではないかと思えてきた。

別にアンドロイドがおそってくる何てことはない。

それは『ロボット法』で定められているから大丈夫・・のはずだ。

だがロボットが輪を消すことはもうこれは確実に問題である。

この店がなぜこんな人通りの少ない所にあって入るのをためらうような位置に

店の入口を作ってあるのか僕はようやく理解した。

ここは、違法飲食店だ。

そんな場所で飲んでいたりしたら警察の人が来たりして、僕まで逮捕されてしまう可能性がある。

まぁドラマの見過ぎと言われるかもしれないが。

 

とりあえず早くここを出よう。そう思っていたらカフェの彼女が近づいてきた。

「ご注文は?」

「え?あぁ、それじゃあこの、イヴレンド?を一つください」

「イヴレ一つですね?かしこまりました」

そう言って彼女はまた戻っていった。

 

まぁ焦ってもしかたないと自分で自分を抑えて僕は奥に座っている

アンドロイドに視線を向けていた。

さすがに少し落ち着いてきた僕はあることに気がついた。

この店の看板に書いてある『人間とロボットを区別しない』

これは人間に向けての言葉と思っていたが、

ロボットにも向けられているのかもしれない。

それだと、奥に座っているアンドロイドの輪が無いのが理解できた。

人間あロボットに対して人と接するように扱いますという意味と

ロボットは人間に対して限りなく人間と思ってもらえるようにしているという意味だ。

ということは、このカフェにいる全員が人間の可能性もあり、アンドロイドの可能性もあるということになる。

 

そういう考えになるともう僕はこのカフェの存在より

中にいる人間、いやアンドロイドかもしれないが彼らをより

観察するようになった。

 

奥に座っている男、これは間違いなくアンドロイドだ。

僕とは違う椅子に座っている男女二人は・・とそのとき

 

「きょろきょろしちゃって~どうしたの?」

女の子が話しかけてきた。

「あぁ、ちょっとね。初めて来たお店だから気になっちゃって」

女の子の見た目は中学生くらいだった。

服装は私服で頭にニットの帽子をかぶっていて割と活発な感じを醸し出していた。

おそらくこの子もお客なのだろう。

「新入り君なんだって?ナギちゃんから聞いたんだ~」

「ナギちゃん?」

「あぁうん、ほらあっちでコーヒー作ってる子だよ」

ナギと言われる人物がカフェの彼女だと知った。

だけどこの女の子はホントによくしゃべる子だった。

「ねぇねぇどうやって来たの?誰かに紹介されて?」

「いや、来たばっ・・」

「そうなんだっでも新しい人は久しぶりだよ」

「そうな・・」

「いつ来ても同じ人ばっかりでさ~、奥で本読んでる人がセトロさんで、

 2階にいるおじいちゃんのほうがシメイさん。隣にいる小さい女の子がチエちゃん。

 それであっちに座ってる二人がリナちゃんとコージ君。ラブラブでしょ?

 それでさっきも言ったけどカウンターにいるのがナギちゃん!えっと~あとは~・・」

目の前で怒濤の紹介をしてくれた彼女は他に紹介し忘れていないか頭を回していたが、

僕自身、君は?と言っていいのか迷っていたら、

カウンターのほうからナギなんが、帽子をかぶっている子は?と問いかけたら、

「あ、えへへ~じぶんの事忘れちゃった~アキコです。よろしく!」

これで一応全員の自己紹介は終わったらしい。

「・・・僕は(しずく)です。よろしく」

と僕も一応名乗っておいた。

「雫くんか~女の子みたいで可愛い名前だね!」

言われたくない事を言われた。

 

ここで僕のコンプレックスを一つ紹介してみようと思う。

それは僕の外見だ。僕の身長はおよそ174cmと小さくない。

だけど、僕は顔が母親に似たせいか中性的な顔立ちである。

体格も細めで、なで肩、髪もストレートで少し長めなので、見た目女の子みたいとよく言われる。

実際、友人と待ち合わせても公園の○○で待っていると電話で伝えても

そこに女の子しかいないけど?とかいわれたりする始末である。

まぁもう正直なれてしまった。

 

 

アキコちゃんの紹介コーナーのおかげで割とイヴの時間という店に慣れてきていた。

だから僕は少し聞いておきたかったことをアキコちゃんに聞いてみることにした。

 

「あのさ、僕の家のペ・・・アンドロイドが来なかったかな?」

僕はアキコに自分の携帯を見せてみた。

そしてアキコが写真を見ようとしたら

 

「減点1」とコーヒー、イヴレンドを持ってきていたナギさんに言われた。

 

「え?あ・・」

言われて僕は理解した。

このカフェテリア(イヴの時間)では人間とロボットを区別してはならないのだ。

「も~そんな言い方しなくても、雫くんは初めてなんだから~」

アキコちゃんは笑いながら僕のフォローをしてくれた。

でもやはりナギさんにとっては大切なルールだったらしく機嫌を損なわせてしまったようで

イヴレンドを持ったままカウンターの横にある柱まで戻ってしまった。

でも一応柱の陰からはこちらを見てくれているが、少しというか怖い。

 

一緒に座っていたアキコちゃんは仕方ないな~と言わんばかりに席を立とうとしたが、

それよりも前に僕が席を立っていた。

そこから僕は柱の所に立っているナギさんのところまで移動した。

ナギさんもまさか席を立ってこちらまで来るとは思っていなかったようで少し驚いているようだった。

「その、・・大事なお店のルールを簡単に破ってしまってすいませんでした。

 ただ、別にロボットが、とか人間が、 ということを言いたかったわけではないんです。

 気を悪くさせてしまい申し訳ありませんでした。」

僕はそう言ってナギさんに頭を下げた。

「え、う、うん。そこまで怒ってないから頭上げて!ね?」

ナギさんもまさか頭まで下げられるとは思ってなかったようで慌てて僕に言った。

僕も一応謝罪はできたと思って顔をあげることにした。

それを見ていたアキコちゃんがとりあえず持ってきてあげたら~

という声が出てナギさんもそうだったと僕と一緒に机の所まで持っていってくれた。

席に戻ってきた僕にアキコちゃんが、

「雫くん、優しいね~すぐに謝れる人ってなかなかいないと思うよ~」

そう僕に言った。

まぁそうなのだと思う。一般人に人間とロボットを区別しないということは一般的に難しいことなのだから。

 

 

正直なところ僕は人間とロボットを区別はしている。

たしかに、アンドロイドの頭上にある輪が無くなったら僕はそれが人間なのかアンドロイドなのかどうか

区別はできなくらい精巧にできている。

だから、実際に接するときは人間にふれあうように接することはできる。

いやむしろ人間と接するようにしている。

だけど、どこまで行っても、どれだけ思っても

アンドロイドはアンドロイドでしかない、そう心で思ってしまう自分がいる。

 

 

「ところで、アキコちゃんはこの店の常連みたいだけど、なんでこのお店に来てるの?」

僕は少し話を変えたくて彼女に聞いて見た。

彼女くらいの年頃なら買い物なんかしたりして

ファッションに興味を持ったりする年頃だと思うからだ。

すると彼女は、う~んと少し考えこんでこう言った。

 

知りたい(・・・・)からかな?」

 

僕はそれを聞いてすぐに何を?と思ったが彼女はすぐに続きを言った。

「あなたは私をどう思っているの?ってね。それがここにいる理由だよ」

そう彼女は微笑みながら僕に言った。

 

「色々話してもっとわかってあげたいんだ~、だって家族(・・)なんだから」

 

そう話した彼女に僕はただ笑顔を向けるだけだった。

 

けど、ホントは、

わかるわけがない、彼らには『心』というものが無いのだから。

こっちが何かを求めない限り何もしないただのロボットなのだから。

そう、僕は思っていた。

 

僕はイヴレンドを飲みほし、今日はもう帰らなくちゃとアキコちゃんに言って、

ナギさんにお金を支払ってから僕はイヴの時間から、その日は帰って行った。

 

次の日の放課後、僕は昨日行ったイヴの時間の事を考えながら教室を出た。

実際ペールのことは確認はできなかったが、

まぁあんな看板を出している店だ。十中八九ペールも来ているのだろう。

だけど、まだよくわかってはいない。

とりあえずまた今度行く必要があるな、と考えていると目の前で

アンドロイドに自分の荷物を投げつけて渡している生徒がいた。

別に感性は人それぞれ、アンドロイドを物扱いするのはむしろ当たり前とされている。

だけど・・やはり見ていて気持ちの良いものではない。

嫌な光景だ。僕はそう思ってすぐ近くの階段を下りようとした時、彼女に出会った、・・・いや再会した。

 

 

昨日とは違った服装。やはりどうみても僕より年下のような小柄な体型。

けれど彼女に昨日のような明るい笑顔は無かった。

僕もそうだ。彼女を見て今どんな顔をしているのかわからない。

けど、そんなことを考える間もなく彼女は僕の横を通りすぎて行った。

何て声をかければいいのかわからない。

そもそも声をかけて良いのかわからない。

 

 

だって、僕の横を今、通り過ぎたのは

 

人間型ロボット(アンドロイド)だったんだから・・・

 

 

どういう・・ことなの?

 

 

 

 

アキコちゃん・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ふぅ~少しだけ進みました~

いや~主人公のキャラを定めるの大変なんですよね~

っていうか、やっと名前出ました!w
これからもちょびちょび出したいと思います!


それでは!
イヴの時間はまたのお越しをお待ちしています!
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