IS×機動戦士ガンダムGQuuuuuuX 自由な「ソラ」   作:ミヤトルト

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最新のロボット物は取りあえずISと混ぜとけ、とガンダムのオジキが言ってた。


THE・ORIGIN

人類が誕生して数十万年、さらに西暦という呼び方で年を数えるようになって2000年とちょっと。

私達人類は、いまだにこの地球(ほし)の重力の下で生きている。

1日の24時間をかけてこの地球は回転し、朝昼と夜を繰り返しながら一年をかけて太陽の回りを一周する。

私達は宇宙飛行士という例外を除いてこの地球の外に出ることは無い。そしてその例外になる為には大人になって、必要な知識をたくさん覚えたり、滅茶苦茶厳しい訓練を受けたりして、とにかく莫大な時間とお金がかかる。

だから、子供の私にはまだまだ遠い話。

結局私ができるのは、この空を見ながらその先の宇宙に思いを馳せるだけ。

たとえ、どれだけそれを望んでいても。

 

「まだアマテは小学生なんですよ!? それなのに軍に所属する? 意味が分かりません!?」

「落ち着いてください、お母様。私だって本当にアマテさんを戦場に連れていくつもりはありません。ですが、このIS適正A+という才能はそのままにするには余りにも惜しい、しかし我が国でISを扱うには軍に属さなければいけない。だから形だけでも軍属になって頂きたい、そういう話なんです」

「ISだなんて結局は兵器でしょう! それに娘を乗せるだなんて……」

「その観点はごもっともです、ですがISの軍事運用は条約で禁止されています。一種のスポーツの用な物ですよ。アマテさんにはモンドグロッソのような世界的な場で活躍できる才能があるんです」

「そんな事を言われても……夫になんて言えば」

 

この地球には重力がある。

それは酷く重くて、息苦しく感じる。肉体的にも、精神的にもだ。

人々はその重力に心も引っ張られてる、そうして色々と考えながら生きなければいけない。

友達なのに、親の関係で対等じゃなかったり。

家族なのに、相手の顔色を伺ったり。

国同士の思惑が絡み合って、本来なら宇宙探索用のパワードスーツが兵器になったり。

ほんの少しでも、私が宇宙に行けるようになるかも。なんて考えた私の理想は日本という国に向けられた無数のミサイルで消え去った。

 

きっと、本当はもっと簡単だと思う。

 

でも、この多くのしがらみという重力はそれらを難しくして、ややこしくして、結果として私達はこの地球に縛り付けられている。

そんな事を思いながら私はお母さんに言われた通りに、ベランダで空を見上げながら大人達の話が終るのを待っている。

海を見れば、イルカが跳ねて鳥が空を飛んでいるいるのが見えた。

……彼らは、この星の重力でも自由なのだろうか。私達は人間だから、こんなにも重力が重いのだろうか。

そんな訳無いだろ、と自分の考えを否定する。そう思っても考えは止まらない。

だったらここまでの人類の進化は何なんだよ。イルカや鳥の方が進化してるっていうのか。

バーカ、と自分で自分を馬鹿にする。

……でも、もしもそうなら。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そうだとしたら。

 

「アホらし。あー、早く入れてくれないかなー」

 

少し風が冷たく感じてきた、早く入れてほしい。

きっと変な考えが浮かぶのもそのせいだ。

今日の晩御飯は何かなー、なんて考える。

 

「ふふっ、私達大人は酷く物事を複雑に考えすぎてるのかもしれませんね」

「え? どういう意味ですか?」

「なんて事はありませんよ。私達が話し合うよりも、先に聞くべき人が居たのでは、という事です」

「それって……」

「失礼します、申し訳ない」

「あ、ちょっと!?」

 

コツコツと足音が近付いて来て、ガラガラ、という音と共に私がいるベランダへの窓が開いた。

余りにも唐突な行動に「うひゃぁ!?」なんて声が出て恥ずかしくなった。でも急にこっちに来たこの人が悪いと思う。

 

「失礼しますね。私、ジオン軍のシャリア・ブルと申します」

「へ、へ、え、えと、アマテ・ユズリハ、です」

「ええ、存じていますよ。アマテさん」

「は、はいぃ」

 

急に来て挨拶してきたこの緑色のおじさん……シャリア・ブルさんは酷く穏やかな顔をで私ことアマテに語りかけてきた。

すごくビックリした……しかも軍人さんだ。

丁寧だけと、冷静に見るとお母さんとの話をぶった切って私の元に来たヤバい人だ。怖い。

 

「そんなに怯えないで、少し聞きたい事があるんですよ」

「な、なんですか?」

「IS、インフィニット・ストラトスについては知ってますか?」

 

その質問に、思わず息を呑む。

さっきまで考えていた事だし、なによりも私にとってそれは……世間とは違う意味を持つから。

 

「宇宙探索用の、人型パワードスーツ、です」

「……そこまで知っていますか。たしかに、篠ノ之束博士が一番最初に提唱したISは宇宙で人が活動するための物でした」

「でも今は、兵器」

「そうですね。あの白騎士事件以来、各国はISを防衛兵器としてを強く見ています。篠ノ之博士が最初に伝えた形からは大きく変わってしまったと言えるでしょう」

 

その言葉に、思わず顔が下を向く。

白騎士事件。

世界中のミサイルが何故か突然に全て日本という島国目掛けて放たれ、その全てを白騎士というISが一機で防衛して見せた事件。

これによって世界のバランスは変わり、ISは兵器になった。

 

「アマテさんは、宇宙に興味が?」

「っ……多分、はい」

「……そうですか。やはりこの子もニュータイプか

 

シャリアさんの後半の言葉は聞こえなかった。

私自身、完全にそうだとは言えない。

きっと、私が宇宙に行きたいのは()だ。

大人になって、色々な経験を積めば私の魂だって重力に引かれるだろう。

その確信がある、だからこそ今の私は宇宙に憧れている。

 

子供故の憧れ、一理ありますね……アマテさん、私達とISで宇宙へ行きませんか?」

「へ?」

 

思わず顔を飛び上げた。

だって、今の世界にとってISは兵器で、それを伝えてきたのは目の前のおじさんで。

 

「宇宙という新しいフロンティア。そこへ向かう為のパワードスーツ、ISを本来の形で運用するのは我々ジオン公国としても悪くない」

「へ? え? へぇ?」

「それ相応の訓練や機体の準備、またその為にはISの兵器としての側面を見ることにもなるでしょうが……そうですね、宇宙飛行士になるよりは早く宇宙に行けるでしょう」

「ちょっ、ちょっと!? 待ってください! アマテに何を言ってるの!!」

「お母様。これならお母様の懸念点でもある戦争への参加も無くなります。宇宙探索用のIS操縦者であれば戦場へ出す意味はありませんから……いえ、それ用にIS操縦者の枠を軍とは別に作っても良い」

「え、えぇ!? 軍とは別って……でも……」

 

目の前の緑のおじさんが言う滅茶苦茶な言葉に、思わずお母さんも困惑しながら声を上げている。

私だってそうだ。このおじさん、何かとんでもないことを言ってる気がする。

でも、そんな事よりも私が引き付けられたのは。

 

「……行けるんですか? 宇宙」

「貴女が望むのなら、私はそのサポートを全力でしますよ」

宇宙って、自由ですか?

 

私が聞いたその一言に、シャリアさんが目を見開いた。そうして、顎に手を当てながら考え込むシャリアさん。

お母さんは私を止めたいのか、それともどうするべきか分からないのか。

私に手を伸ばそうとして、止めてしまった。

私は、その問の答えを待つ。

 

「確証はありません。ですが、そうですね……

きっと変わります。貴女も、世界も

 

その答えは私が聞きたかった事とは少しずれていたけれど、私が前へ踏み出すのには十分だった。

 

「やります! ISで、宇宙を目指します!!」

 

この一言で私のそれからが決まった。

後悔していないと言えば嘘だ。

それでも……私はあの日、落ちる太陽と昇る月の間、星のキラキラが光始めたあの時に、私はそう言ったんだ。

 

ーーーーーーーー

 

チュ……マチュ! もう着くよ!」

「んぇ?……ニャアンだ」

「そうだよ、もうすぐ着くから起きて」

「着くぅ? どこに」

「……ハァ、IS学園」

「藍園学園?」

「寝ぼけてないで、さっさと準備!」

「あぁ……はーい」

 

揺れるモノレールの中かで私は目を覚ます。正確には起こされた、起こしてくれたのは私の友人。

名前をニャアンと言う。私と同じく、()()()()()()I()S()()()()()()

彼女の言葉で、夢を見ていた事を自覚する。

あの日、シャリアのおじさんに答えた時から既に三年以上。

私はジオンのIS代表候補生まで登り詰めた。

……なんで宇宙を目指してる筈なのにそんな所に行ってるんだって話だが、あのおじさん曰く必要だそうだ。

一応、あれから専用機も貰ったし、軍とは別の所属でIS操縦者にもなった。

が、それはそれとして軍にデータを連携してるのも事実で、正直騙されてるんじゃないかと進行形で思っている。

 

「あの緑のおじさんはさぁ……」

「? シャリアさんがどうかしたの?」

「いーや、人の進路を勝手に決めるってどうなのって話」

「またその話? 良いじゃん、実際ISに関わるならこれ以上無いよ」

「そうなんだけどさー」

 

次の瞬間、モノレールの中に光が溢れる。

眩しくなって、思わず目を瞑った。

どうやらモノレールが海の上に出たらしい。太陽の光を反射してキラキラと光る海、その光景に思わず綺麗だと思った。

 

「マチュ、気持ちは分かるけど私達が見るべきなのはあっちだよ」

 

ニャアンが示す先にあるのはこのモノレールの行き先。人工的に作られた島、そしてその島に建っている学園。

より正確には島そのものが学園と言うべきか。

IS学園、これから3年間私達が通って過ごす場所。

 

「いや、ひっっっろ。大きすぎでしょ」

「……まぁ、世界で唯一だから」

 

私の感想と、引き気味のニャアンの声。声色で本心は私と同意していると分かる。

ともかくモノレール内で準備を済ませて、IS学園に到着したアナウンスと共に改札へと降りる。

そしてふと、立ち止まった。

 

「マチュ?」

 

ニャアンに呼び止められて、彼女も気付いた。

私達と同じタイミングで、改札を通ろうとしている男性が1人。

世界で唯一の、IS男性操縦者。

1人で歩く姿を見て……特に何か思ったわけじゃないけど、やはり気になった。

 

「本当に男の人なんだ」

「そりゃそうでしょ」

 

ニャアンと二人で言い合って、その間に男性操縦者は改札を通り過ぎていった。

私も改札を越える。

これから、私の学園生活が始まる。

 

『Let's get the beginning』

 

どこからか、そんな声が聞こえた気がした。

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