IS×機動戦士ガンダムGQuuuuuuX 自由な「ソラ」 作:ミヤトルト
(2025/06/15)
皆様大変ありがとうございます。
そんな感謝の10話です。
戦いが終わってすぐ、待機室まで戻ってきたニャアン。それを私はとても嬉しい気持ちで迎えた。
「お帰りニャアン! 勝てたじゃん!」
『カッタ、カッタ』
『NYANno ookina ippoda』
「ただいま……」
ニャアン本人は物凄く疲れている様子だったけど、そんなの構わずに私はジフレドを解いたニャアンに抱き付く。
ニャアンはふらついたけど、そのまま私を受け止めてくれた。
「マチュが信じてくれたから、私も応えないと。て思ったから……」
「なんだよー、嬉しい事言ってくれるじゃん!」
このこのー、と軽くニャアンを突く私。
うん、自分でも分かるくらいテンションが高い。
それを受けてるニャアンからすれば、よく分からないから不思議な顔をするだけだ。
でも、私はとにかく嬉しい。
ニャアンが勝ってくれたことも、何より他の皆がーーーー
「ど、どうしたのマチュ。なんか変じゃない?」
「そりゃあ、勿論」
「……?」
『よくやった。良い試合だったぞ、ニャアン』
「へ!? 織斑先生!? なんで……あ、管制室」
『あぁ、今回のクラス代表決定戦の責任者としてここに居た。そして私だけではないぞ』
『ニャアンさん、素晴らしい戦いでしたわ。これからも私達、お互いに良い関係で居続けましょう? それはそれとしてファンネルとやらについてお話がーーー』
『ニャアンさん、見てたぜ! 凄い逆転劇だった! これからも色々と教えてくれよな!!』
『ニャアン……うん、良い試合だった。本当にそう思う、私は……貴女と友で良かった』
「え、え? へ? へぇ???」
ニャアンが通信で管制室から聞こえてくる皆の声に戸惑ってる。
うん。皆もあのニャアンを見ても受け入れてくれてる、悪意も遠慮も……箒さんは少しあるかな、まぁとにかくあんまり変わらない姿勢で話してくれるのが嬉しい。
けど、ニャアンは……ヤバいか。
「え、え……う、うわあぁぁぁ!?!?!?」
「あー……」
『ど、どうしたんだよ、ニャアンさん!?』
『まさか何か後遺症が!?』
『いえ、これは……そうなりますわね』
「ち、違うんです! 本当、私は普通はあんな感じゃ無くて!? 落ち着いてて、冷静に戦えて!? とにかく普段はあんな感じじゃ無いからー!!」
『お、おぉ?』
『だ、大丈夫か?』
「大丈夫、ちょっと容量オーバーしただけ」
『それは大丈夫なのですか?』
恥ずかしさと焦りと……消えたいという気持ちのミックスされて、それがニャアンの中で渦を巻いている。
大丈夫だと、教えてあげないと。
「大丈夫だよニャアン。皆もう全部知ってるから、その上でこう言ってくれてるの」
「え? ……全部って?」
『ゼンブ、ゼンブ』
「ニャアンの素とか、経歴とか、全部教えた」
「はぁ!? え、ちょ、う、嘘、嘘だよね!?」
ニャアンのパニックは余計に酷くなった。
………正直本人の許可もとらずに話したのは悪いと思ってる。でも、私はニャアンが滅多に出さない本当のニャアンを出して、剥き出しのニャアンが見れたあの時がベストだと思ったんだよ。
「…………本当の、本当に?」
「うん。ごめんね、だけど私はさっきの試合が一番良いと思ったの」
「え、え……」
ニャアンの気持ちが恐怖と絶望に染まり掛けているのが分かる。
そうだろうな。ニャアンにとっては何よりも隠しておきたい事だ。
……ニャアンの元難民という肩書きだけで下に見たり、露骨に対応を変える人はたくさんいた。
そういう人達を実力で納得させてきたのは、間違いなくニャアンの強さとカッコよさの一つだ。
でも、それ以外の方法もある。
難民なんて気にしない、そういう人達もいる。
だからニャアンは自信を持って生きて良い。
私はそれをニャアンに知って欲しい。
私の気持ちを受け取って、最初に言葉にしたのはセシリアだ。
『ニャアンさん』
「は、はぃ。せ……オルコット、さ『セシリアです』うっ!?」
ニャアンがオルコット呼びしようとしたのをぶった切ってセシリア呼びに戻した。
こういう所はセシリアの強情というか、頑固な所の良い点だと思う。まぁ入学初日みたいな事件も起こすけど。
『ふー……ニャアンさんの気持ちは何となく想像が付きます、その上で言わせてもらいますわ。貴女は、私の人を見る目がそこまで無いと言いたいのかしら!?』
「え、えぇ!? なんでそうなるの!?」
『当然です。……以前話そびれましたが、私にはもう両親が居ません』
「え……?」
「なにそれ初耳」
『あまり人に話す内容ではありませんわ。特に本国だと、誰が「敵」か想像が付きませんから』
「敵」
セシリアが語りだした自らの過去に、私達は押し黙る。
……セシリアもニャアンのファミリーネームに突っ込まなかったあたり、何かあるんだろうとは思ってたけどここで来るか。
そして想像以上だ。
『えぇ、「敵」です。私が受け継いだ両親の資産を狙う者達です。私はこの十年近く、その敵と戦い続けました。その上で最も必要だったのが、誰が味方で誰が敵かを見定める人を見る目です。そうして私は信頼できる人達だけと関わり、敵から資産を守り抜いて来ました』
「すご」
「10年……」
セシリアの過去。
それは彼女の両親がもういないという事だけでなく、そこからの彼女の戦いの事だ。
ニュータイプの共感能力で、セシリアが体験した過去が流れてくる。
……本当に、セシリアは戦ってきたんだと理解させられる。
『そんな私が! 信頼してニャアンさんは友だと決めたのです!! それが元難民だから? それだけの理由で切り捨てるようなら友になど選びません!! 私がそれだけでニャアンさんを切り捨てると思うなど、例えニャアンさん本人でも許されない侮辱ですわ!!』
「え、えぇ!? なにその理論!」
「アッハハハ! だってよ、ニャアン」
「え、あ、うぅ……なら私は、セシリアさんの、友達で良いの?」
『当然ですわ! いえ、むしろお互いの事をより深く知った今なら以前よりも中の良い友人といえるでしょう!』
「え、えぅっと。よろしく、お願いします……?」
セシリアのトンデモ理論に、ニャアンはたじたじになりながらもその理論に圧されて友人だと認めた。
『あー……俺は戦争とか色々と分からないけどさ。うちも両親がいないで千冬姉と二人で生きてきたし、ちょっとは大変さを分かるつもりだ。だからさ……別にそういうのを知ったからって、嫌いになんてならない』
『私は……私の姉の発明が貴女の故郷を奪ったのなら、私にも責任を言われても仕方ない。それでも、ニャアンさんが許してくれるなら、私は貴女と友でありたい』
「二人も……本当に、気にしないの?」
『日本という国はよくも悪くも、その手の問題に疎い。それがお前にとって苦しみになる時もあるだろう……だが、この二人は本気で難民だのなんだとは気にしないさ』
セシリアに続いて織斑君と篠ノ之さんもニャアンに問題無いことを伝え、織斑先生がその理由を補強する。
知らない、という事は常に悪いことでもない。
勿論、全部の意味を知った上で受け入れるのが最高だろうけど、知らないまま友達になってそのまま友情を深めても良い。
それが偽物だなんて言わないし、言わせない。私はそう思う。
「えっと……じゃあ、皆改めて、宜しく……」
『ええ、勿論』
『おう、当然だぜ!』
『あぁ、私からも宜しく頼む』
そこで私は管制室との通信を切った。
途端に、ニャアンが腰が抜けたみたいに……いや実際に抜けてるなこれ。
とにかくニャアンの手をとって、あやすみたいに抱抱き締める。
「う、うわぁ~……こ、怖かった~」
「大丈夫大丈夫、皆受け入れてくれたよ」
『ウケイレタ、ウケイレタ』
『NYANha motto jiyude ii』
大丈夫、これからだから。
私達の、ニャアンの学生生活はここからまだまだ続いていく。
その中でニャアンを受け入れてくれる人はきっと増える。私は確信を持ってニャアンを宥めながら、彼女はその一歩を踏み出したんだと思った。
ーーーーーーーー
そんな出来事で嬉しい気持ちで一杯になりつつも、寮の戻って食事をして、二人の部屋で休んでいた夜。
「……何だか、都合が良すぎて夢みたい」
「夢じゃないよ、ちゃんと現実。国の外に出てみれば案外、気にしない人はいるんだよ」
何だか不思議な気分でお茶を飲んでるニャアン、適当な雑誌を読みながら答える私。
こんだけ言ってるけど、正直私も皆がニャアンを受け入れてくれるかはかなり心配だった。
杞憂だったけど。
そんな部屋にノック音が響いた。
「誰?」
「あー……えっと、凰なんだけど。ニャアンの部屋ってここで合ってるかしら?」
「は?」
思わず私は警戒態勢に入った。
あんな事あった当日にやって来るとは良い度胸じゃないか。
よし、ここは宣言通りに織斑先生のイメージをぶち当てて……
「まってマチュ、開けてあげよう」
「はっ!? 本気?」
「うん……私は、凰さんと話がしたい」
「ぐむむむ……」
『アケル、アケル』
『NYANga sorewo nozomunara』
「ぐぬぬ……はぁ、仕方ないか」
ニャアンが望むのなら、それを私が否定するのは違う。だから……私はしたくないが、本っ気でしたくないが、扉を開けてやる。
当然、私はニャアンの後ろに回って警戒と威嚇を怠らない。なにかやったらこいつは叩き潰す。
「お邪魔、します……」
「いらっしゃい、今お茶いれるから」
「あ、いや、そこまでは」
「そうだよニャアン、ささっと要件聞こう」
「……あんたも居たの」
「なんだよ、ルームメイトなんだから良いだろ」
結局ニャアンはお茶を淹れれず、テーブルを間に挟んで私達と凰は向かい合う。
「で? 何しに来たの? 負け惜しみ?」
「違うっての……その、ごめんなさい」
凰はそう言って、深々と頭を下げた。
……こう言っちゃ悪いが、普通に頭を下げて謝るなんてできるんだこいつ。少し見直した。
「私、調子に乗ってた。だから相手の事なんか見ずに私の都合を押し付けて、貴女の事を馬鹿にしてた。それに戦いの最中にも酷いこと言ったわ……調子が良いとは思うけどそれでも言いたいの。ニャアン、ごめんなさい」
深々と、自分の間違いを認めて頭を下げて謝罪する凰の姿は本気で、私達の感覚でも本気で後悔と反省、それから本物の罪悪感が伝わる。
とは言えこれを許すかどうかはニャアン次第な訳で……あ、なんか駄目そう。
「マチュは?」
「へ、私?」
「……そうね、アマテさん。貴女にも酷いこと言ったわ、貴女の友達や故郷を馬鹿にした事を本当にお詫びするわ。ごめんなさい」
「え? いや、まぁ……その……」
まさか私にも来るのか。
まぁ……
「まぁ別に。私はニャアンが勝ったからもう気にしてないし」
「うぐ。相手が気にしてないって、結構苦しい物ね」
「ニャアンが勝ったし」
「…………事実だけど」
「ニャアンが勝ったし」
「……………………」
「ニャアンが勝ったし」
「そう何回も繰り返さなくても良いでしょ!? 嫌味か!」
「そうだけど?」
「性質悪いわね!」
「ふふっ」
「やっぱりそっちが素なんだ」
「うっ……そうよ、悪かったわね」
「そうなんだ。うん、良いよ。マチュにも謝ってくれたし私も許すよ、ただその前にお願い聞いてくれる?」
「聞くわ」
なーんか。
弱ってる凰は違うというか、らしくないというか、余分に落ち込んでる気がしたから、からかってみた。
そしたらキレのある突っ込みに、暗い雰囲気を弾き飛ばす良い明るさを持った凰が見えた。
彼女の素はコレらしい。
ニャアンも笑いながら謝罪を受け入れて、ニャアンも交換条件……というか元々やりたくなかったクラス代表について話をした。
「本当に、クラス代表は私で良いの? この経験は就活に有利だと思うけど」
「ニャアンが就職目的なの知ってるの?」
「そりゃ、謝る相手の事は調べたわよ……」
「真面目だ」
「いいでしょ、別に。それで? 良いのかしら」
「うん。クラスを纏めた実績って考えれば、二年生で整備科の技術者集団を纏めた方が良いかなって。それに連続ではクラス代表にはなれ無い規則だし、三年生は就活に集中できる」
「……結構先まで見てるのね、ニャアンは」
「ねー、凄い」
「あんたも見習ったら?」
「お互い様」
「……ま、良いわ。それとクラス代表戦勝者のデザート券ね」
「うん、他のクラスと共有をよろしくね」
「私としては独占からの裏レンタルの方が良いかと思ってたけど……しょうがないか、敗者は勝者に従うわ」
さらっとヤバい計画建ててたなコイツ……手堅く悪い稼ぎ方考えるとか、倒して正解だった。
そこから私達はお互いの事を話ながら、普通の生徒の交流として仲良くなっていった。
「へー、アマテは宇宙に行きたいんだ」
「そう。なのに皆大事に捉えてきちゃってさー」
「鈴さんは宇宙ってどう思う?」
「別に良いんじゃない? 本来のISの使い方なんでしょ?」
「お、意外と理解あるじゃんリンリン」
「その呼び方止めなさい、いやマジで」
「たしかパンダの名前だっけ……」
「そうよ、お陰で昔嫌な思いしたんだから」
「……ごめんなさい。知りませんでした」
「知ったから良いのよ。それに嫌な事だけじゃ無かったし」
「そこの所詳しく!」
「誰が言うかぁ!?」
「やっぱり織斑君?」
「なぁ!? なんで……」
「凄い行動力だよね」
「マチュが言うと違和感が凄い……」
「ニャアン?」
それから数分、話をしながら私達はお互いの理解を深めた。
互いにニャアンとアマテ、鈴と呼び合う位に……何となく気が合う。
そして鈴が時計を見て立ち上がる。
「っと、そろそろ行かなきゃね」
「お、何々? 消灯にはまだ時間はあるよ?」
『アル、アル』
「……その前に、一夏の所に行こうと思って」
「ほう」
「え、それってまさか……!」
『キャー!』
「ち、ちが、あんた達が考えてる用な事じゃないわよ!」
「告白じゃないの?」
「!? アマテ、あんたストレート過ぎない?」
「ほほう……頑張って来なよ」
「が、頑張って!」
『ガンバレ、ガンバレ』
『kimoti wo tutaeruno ha daiji da』
「~~~やってやるわよ!!」
「織斑君の部屋は扉出て左最初ね」
「嘘!? 近いわね!?」
「じゃあね~」
「ちょ、アマテ!?」
私は外に出た鈴に対して情報と応援を送りながら、扉を閉める。
うん、なんていうか……
「意外と良い人、だったね」
「やっぱり人間調子に乗ると、嫌な性格になっちゃうんだなー」
「私達も気を付けないと」
「うん……所で大丈夫かな、鈴」
「上手く行くかな……」
「隣だし、壁に耳を付けたら聞こえたりして」
「ハロの集音とか、駄目かな」
『ヤッテミロ、ヤッテミロ』
「「よし」」
ニュータイプだのなんだのとは言うけど、私達も年頃な女の子な訳で。
やはりその手の話題は気になって仕方ない。
鈴の告白(?)の行方を気にして、壁に寄りかかって行った。
その後に予想以上の織斑君にやられた鈴が私達の部屋に押し入り、ニャアンがお茶を淹れて消灯ギリギリまで愚痴を聞いたのは別の話だ。
オジキィ!!(GQuuuuuux11話感想)