IS×機動戦士ガンダムGQuuuuuuX 自由な「ソラ」 作:ミヤトルト
なんとか最終回直前に投稿成功、その分誤字とか多いかもです。
ニャアンと鈴の二組のクラス代表を決める戦いから二週間。
話題になっていたクラス代表戦、その当日。
私とニャアンはアリーナの観客席に居た。
何気に観客席で観戦が初めてだと気付いたけど、逆に入学から1ヶ月でここまでの事件が起きた事がおかしいと思う。
「人がいっぱいだ」
『オオイ、オオイ』
「このクラス代表戦が今年初のIS学園が行う、公的ISバトルだからね。学年別だから今年の一年生の実力のお披露目、っていうのが普通みたい」
「……冷静に考えるとさ、クラスの代表を決める為にアリーナ貸し切って戦うってヤバいよね」
「私達が言っちゃ駄目じゃないかな……」
『mudana tatakaingnntenaiyo』
戦った張本人だからね。
過去の事は流そう……と言いたいけど、これから始まる戦いは過去の出来事の影響なんだよな。
私は先日鈴から聞いた話を思い出す。
『本っ当に信じられない! あの鈍感野郎! 私がどんなに思いであの言葉を言ったか……!!』
『はぁ、中国に行く時にプロポーズねぇ』
『凄いことしてるね、鈴さん』
『そうよ! なのにそれを毎日中華奢るとか……ふざけんなー!!』
『正直言って言い? 私も分かんない』
『あぁん!?』
『毎日手料理を食べさせるって事は、それだけ相手に食べて欲しいって事で……それだけ相手が好きって事だよね?』
『流石ニャアン! 分かってるわね!!』
『なるほどー、気付くの難しくない?』
『日本だと毎日味噌汁って有名なのよ!』
『へぇ~』
『そうなんだ、初めて知った』
『だぁー!! 怒りが収まんないわ!』
そう言って消灯ギリギリまで文句を言うに言いきった鈴の姿は記憶に残り続けている。
その後鈴は初日が嘘のように織斑君を避け、徹底的に距離を取った。
本人曰く「クラス代表戦で叩き潰して、謝罪させるまで口を聞かない」らしい。
「子供か」と思ったのは内緒だ。
ともかく鈴と織斑君は二人の過去の清算……というと大げさかもしれないけど、鈴がクラス代表になった事で拗れた二人の関係はこの戦いを持って終わるのだ。
とは言っても結局は本人同士の問題。
私にとって重要なのは……
「どっち応援するべきかなこれ」
「私としては鈴さんの想いに気付けない織斑君が悪いと思う、だから鈴さん」
「ニャアンはそうかー」
「マチュは違うの?」
「そもそも論としてお互いに中学生でプロポーズってどうなのよ?」
「それは……まぁ、確かに」
そりゃあ、好きな人に好意を伝えたのに伝わらなかったのはショックだろう。
しかし普通に考えてお互いに中学生なのにプロポーズされても、正直困るというか……そんな将来の事考えるか?
しかもあんな遠回りな奴、気付けるかはかなり怪しい。少なくとも私がされたら困るし「何言ってるんだコイツ」としか思わない。
とは言え、「毎日手料理を作る」を「毎日奢ってくれる」に変換した織斑君も結構酷いと思う。
……要は私から見れば互いに非があるように見えるので、どっちかの肩を持つ事はできない。
なら他の理由はというと、それも無いわけで。
「そういえば、優勝賞品のデザート券ってどうなったんだろう?」
「それについては抜かり無いわ、ユズリハ中佐」
「うわっ! 誰!?」
「相川さん、私のクラスメイトだよニャアン。相川さんは中佐呼びは止めて、せめて大尉で」
「そこ気にするの?」
私がデザート券について言葉を溢せば、どこからか急に現れた相川さんが私を挟む形でニャアンの反対側に座った。
……中佐と呼ばれるとどうしてもあの緑のヒゲマンが連想されるから止めて欲しい。
連想するならせめてまともな大尉が良い。
「まいいや。アマテ少佐の閃きによって我々一組は既に行動を終えています。他の代表が専用機持ちの為諦めていた三組、不安要素だった日本代表候補生がクラス代表だった四組はその本人が出場を辞退して諦めていた為予想よりも簡単にこの『d.c.s』に加盟しました」
「なにそのカッコいいの」
「は、『デザート.クーポン.シェア』で『d.c.s』であります! ユズリハ中尉!」
私の階級はどうなってるんだ……とにかく、二組の鈴はニャアンとの約束により実質その『d.c.s』とやらに加入済みだ。
つまりはデザート券は誰が優勝しても手に入る。
なら結局誰を応援しても良いわけだ。
なら当初の予定通り、二人とも応援するか。
二組の代表はニャアンから変わったけど、知り合いには変わり無いし。
「後は二組ですが……」
「あ、それは大丈夫。鈴にはニャアン伝いにもう加入させてる用な物だから」
「そうですが。流石はアマテ・ユズリハ大佐」
「マチュが大佐になっちゃったよ……」
大佐って呼ばれると今度は変な仮面の赤が思い浮かぶな……我ながら難儀だ。
そうして会話を楽しんでる私達の近くに二人の生徒が見えた、どうやら席を探してるらしい。
ニャアンの反対隣がまだ空いてるし、呼ぶか?
いやその前に向こうが気付いた。
「あ」
「っ……他の所探そうか」
「……そうね、最悪モニター見ましょ」
「は? ……ちょっと殴ってくる」
「お、落ち着いてマチュ」
その二人がこっちに来るかと思ったら、ニャアンと視線を合わせると露骨に態度を変えて別方向に向かって行った。
私としてはもうその時点で殴っても良いと思ったけど、ニャアンによって止められる。
いやでも、なんだよあいつら。
人の友達見てあんな態度とか……やはり殴るべきか。ニャアンは優しすぎる。
「私は気にしてないから、ね?」
「いやニャアンが気にしてなくても私が苛つく、よって殴って良し」
「いや駄目だよ!? 相川さんも止めて!?」
「お、おおう? 確かにあの態度はどうかと思うけど……落ち着いてよ少尉」
「誰がエグザベコモリンじゃい!!」
「なんて?」
「ここじゃ通じる人いないよマチュ!」
錯乱した私はニャアンと相川さんの二人に押さえ付けられ、そのまましばらく暴れようとしたが人が沢山いる場所というのもあって落ち着いた。
それはそれとして、あいつら次見つけたら殴る。
「落ち着いてくれた……うわぁ、見るからに納得してない顔」
「そりゃそうでしょ、友達をあんな露骨に嫌ってる奴らの事を好きになれる筈がない」
「まあね、ていうかあの人達誰?」
「……あの人達は、私のクラスメイト」
「ニャアン?」
私と相川さんがあいつらは何者なのか考えようとしたその時、ニャアンがポツリと答えを呟く。
その表情は寂しそうで辛そうな顔。
……この表情には見覚えがある、ニャアンの事を難民として毛嫌いしてた奴らが居た時だ。
もうこの時点であいつらを探しだしてぶん殴り、ニャアンに謝罪させたい気持ちがめちゃくちゃ沸く。けれどそれは我慢。
今はニャアンの側で話を聞くべきだ。
「なんで同じクラスの奴がニャアンを嫌うのさ」
「……この間の戦いでその、私がやらかしちゃったから」
「はい? なにそれ」
「もしかして貴女、この間の二組代表決めで全身装甲使ってた人?」
「……うん」
「相川さん何か知ってるの? ていうか、それがどうしたらクラスメイトへの対応がああなるの」
「なるほどなぁ……良い? アマテさん、落ち着いて聞いてね?」
「内容による」
「駄目そー。でもまぁ、知っとくべきかな」
「よし、言ってみろ」
「了解です、大尉殿」
ここで私が望んだ大尉呼びか、これは相当ご機嫌を取りに来てるな。
つまりはそれだけ、私にとって不愉快な出来事と言うわけだ。
そうやって私はある程度は受け止める覚悟で相川さんの話を聞いた訳だが……
「以上が私が知ってる情報の全部。うっわー……すっごい複雑な表情してる、アマテさんそれどんな感情?」
「物凄く、複雑な、感情」
『フクザツ、ハゲシイ、ダケドレイセイ』
「具体的にはどんな感じか聞いても?」
「二組の奴らを全員ジークアクスで叩き潰したい気持ちと、そんな事にジークアクスを使いたくない気持ちと、じゃあ私が直接殴るかって気持ちと、それでもニャアンの立場は良くならないから必死に自重してる気持ちのブレンド」
「……顔は複雑そのままに滅茶苦茶冷静に自己分析してる。一番怖いタイプだ」
「ま、マチュ? 落ち着いてね?」
「大丈夫、私は落ち着いてる。私が何かしてもニャアンにとってプラスにならないのを理解するくらいには、冷静」
「こ、怖い」
「いやー……見ちゃいけない物ってあるよね」
結論から言うと、話を聞いた私は私を押さえるのに必死だった。
マジで、最悪ジークアクス使っても良い。それで国際問題になっても知ったことか。
それぐらい、私にとっては不快な情報だった。
「駄目かな、ジークアクスの斧で殴ったら」
「流石に専用機は……」
「それだとマチュの夢も遠くなっちゃうよ」
『それは流石に……でも君が望むなら、まあ』
ハァー、と馬鹿みたいに大きな溜め息を吐いて私は席に座り込んだ。
要するに二組の生徒達の自業自得で思い込み。
これまではニャアンの弱気で内気な部分しか見てなかったから、それに甘えて……悪く言えば付け込んで好き勝手してた二組の生徒たち。
が、ニャアンは鈴との戦いで怒りのまま、その激情を解放した姿と強さを見せ付けた。
結果、それまでのあれやこれや……本人が望んでないのにクラス代表に仕立てた事を含めて、色々と復讐されるんじゃないかと怯えている。
という話らしい。
「馬っっっ鹿じゃないの? ニャアンはそんな事しないっての」
「そりゃあ、関係が長いアマテさんはそう言い切れるだろうけどねぇ。実際の所どうなの?」
「やらないよ復讐とか……別にそんなに気にしてないから」
「ほら、こういうところがニャアンの良い所で悪い所なの」
「あー……そういう」
「悪いのかな」
ニャアンは元難民のせいで自己肯定感という物が低い、凄く。
だから嫌なことがあっても、それに対して鈍い。
良くも悪くも慣れていると言って良いだろう。
とは言え、「慣れている」は「傷つかない」とは全く別物な訳で。
だからこういう事態になると非常に弱い。
……苛ついてきた、やっぱあの二人探して殴るか。
「興味深い話してるね」
「……黛先輩?」
「お、覚えててくれた? そう、新聞部の黛先輩でーす」
苛ついて滅茶苦茶話しかけるなオーラを出していた私に対して、呑気な声が聞こえて振り返ればそこに居たのは織斑君の祝勝会で出会った黛先輩。
……この人の新聞部という影響力を使えば、この状況は変えられるかな。
「いやー、貴女がニャアンさん? この後で良いからインタビューさせて貰えれる?」
「え? いやその……」
「受けなよ、ニャアン」
「えぇ? 面倒だけどマチュが言うなら……分かりました」
「助かる―。それじゃお礼にさっきの話に幾つか情報を教えてあげよう」
「どんな内容ですか」
「安心しなよ、ニャアンさんを傷つける内容じゃないから。だからその、禍々しいオーラをで収めていただければ……」
「マチュ!!」
黛先輩を信じられない私をニャアンが止める。
自分でも悪い状態なのは分かっているつもりだ。
実際相川さんを含めて、近くの人が何人か気分を悪くしているのが見える。
だがこれ以上嫌な内容を聞かされると我慢できる気がしない。
……ここは黛先輩の言葉を信用するとしよう。
「お? 軽くなった。これって中々興味深いよね、アマテさんの周りに居ると時々気分が悪くなる。いつか話聞いてもいい?」
「……ジオンから許可が下りれば」
「無茶苦茶重要事項、気になるけどヤバそう」
「いいから早く話してくださいよ、ニャアンに関する話」
「はいはい」
冗談に聞こえるが、実際ニュータイプのあれそれはジオン本国に聞いてもらわないと駄目だ。ていうか私もあんまり知らない。
とにかく、今はニャアンだ。
「まず最初に言うと、事態はアマテさんが思ってるほど深刻じゃないよ。ニャアンさんを怖がってる二組の生徒は……大体1/4に満ちるかどうかって所かな。殆どは普通って感じ、ギャップで今は距離を置いてる人達だけどね。後は普通にニャアンさんと関わってる人たち、これは凰さんが中心みたい」
「むっ」
確かに、鈴の事を失念していた。
彼女自身、中学生の頃に
ただ、黛先輩の言う通り事態はそんなに深刻じゃないと言ってもだ。
そういう人たちが居る、というのは私達ニュータイプにとってはしんどい。
例えどれだけ味方が居ようと、無関心な人達が居ようと、どれだけ少なかろうと悪意を持っている人達が居ればそれを感じ取れる存在にとっては苦なのだ。
「……でも、そういう人たちが居ると学校生活って楽しくないじゃないですか」
「ま、それはそうだね。でもさ、安心していいと思うよ」
「根拠は?」
「この学園において強さは正義だからね、中国の代表候補生の新星だった鈴さんを倒した実績があればこの学園では認められていくよ」
「結局時間をかけるしかないって事ですか」
「……確かに、今すぐは難しいかも」
その一言で、私と黛先輩の話は終わる。
たしかに、時間をかければ解決するのだろう。
その為に黛先輩の力を借りたいわけだし。
ニャアン自身も気にしてないし、時間をかけてどうにかなるなら別に何も言わないだろう。
……ものすごくもやもやする。
分かっている、これは私個人の感情だ。ムカついているだけだ。
気に入らないことを喚く、子供の癇癪と同じ。
で、それが悪いのか!!
「だぁあ―――!!!!」
「うぉ!?」
「いきなり叫んだ!?」
「マチュ、ここ人多いんだよ!?」
知るか!!
とにかく私はむしゃくしゃして大声で叫んだ。
ふー、一先ずこれで良しと……いや良くないが一旦忘れよう。
今の目的は別なんだから。
「よし、一先ず今ので手打ち! これからは応援に集中する!!」
『オウエン、ガンバレ』
「今回のメインイベントだしね。それが一番だと思うよ?」
「そうだった、クーポン券は手に入るけどそれはそれとして織斑君には勝ってほしいしね!」
「よ、良かったのかな?」
『hitomazu ibentoga owarumadeha』
とにかく、私はこの問題については一旦放り投げることにした。
どうせすぐには解決しないんだ、なら気晴らしに応援を全力でやろう。
誰を応援するかは決めない、とにかく大声なりなんなりで全員応援してやろう。
そう決めた私の視界に、織斑君と鈴の二人が入場したのが映った。
もう始まるのか。
3.
2.
1.
GO!!
よっしゃ! とにかく応援だ!!
ーーーーーーーー
IS学園でクラス代表戦が始まったのと同じ時刻。
IS学園近海の中で海面から約百メートルの地点に存在する、潜水艦の中。
そこでは一人の女性が鼻歌を歌い、複数のパソコンを同時に操りつつも楽しさを隠せずにいた。
「ご機嫌ですね、束様」
「おおうよクーちゃん。当たり前だよ! 何たって久々にいっくんとちーちゃん、そして何より箒ちゃんを見れるんだから! IS越しだけどね!!」
「さようでございますか」
楽しそうに作業をしていた女性ーーー世界を変えたIS発明者である「篠ノ之束」は潜水艦兼彼女の研究所である「吾輩は猫である(名前はまだない)」で作業に没頭していた。
そして彼女に声をかけたのはその助手兼、側近兼、義娘に当たる「クロエ」という少女。
銀色の髪に両目を閉じているという変わった姿だが、動きに不自由はしていないらしく束と自分用のお茶を注ぎながら束の話を聞いていた。
そんなクロエが外ーーー海の暗さでよく見えないが、大きさが五メートルはありそうな
「しかしそちらの役目を持ったゴーレムは既に発進済み、束様が調整しているこちらは?」
「あぁ、その子はまた別の役目があるんだよ。いっくんや箒ちゃんは関係ないの」
「と、言いますと?」
「んー、面白そうな話を聞いてね? あの学園に、
「……それは、それは」
「気になるよねー! 私以外にもアレを見れる人がいるなんて、さ」
そう言った束の操るパソコンの画面には、赤髪の少女とその隣に立っている黒髪の少女。
マチュとニャアンの画像が表示され、その顔部分には円と共に「Target」と記入されていた。
Gジェネの話なんですけど。
マチュが宇宙世紀でエースやボスを倒したり、ガンダムWでテロリストしたりしてるのを見て思わず苦笑いが浮かびます。
余りにも狂犬……