ジャッジ・ザ・デーモン タナトス・アサイラム   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 今回から新シリーズ!
 ネオ・ダーク・レジェンドなどで出てきた悪役や犯罪者達が敵として立ち向かってくる「タナトス・アサイラム」シリーズを執筆していきます。
「バットマン:アーカムアサイラム」のオマージュだと思ってください。



【ジャッジ・ザ・デーモン】序章:狂気の開宴【タナトス・アサイラム】

[帰ってきた偽りの犯罪者]

 

 うっすらと夜空に陰る雨雲から、雨が降り注ぐ闇夜のアニメタウン。

 そんな闇夜のアニメタウンをパトカーや救急車が駆け抜ける。

【総員 アニメタウン市長宅へ急行】

 今宵アニメタウン市長宅で起きた事件を対処する為パトカーが夜を駆り、また事件の最中で負傷した人を搬送するため救急車も駆り出されていた。

【Mrフェイクを逮捕、現在ジャッジ・ザ・デーモンがタナトス・アサイラムに搬送中】

 夜のアニメタウンを駆るパトカーの無線からは、事件を起こした犯人と、その犯人を取り押さえた聖龍隊在籍の自警団の現状が報告される。

 闇夜のアニメタウンを駆る高性能車両ジャッジ・モービルを操縦し、事件を起こした犯人を助手席に乗せて搬送するのは、元連続殺人鬼のジャッジ・ザ・デーモン。

「下がるんだ こっちには爆弾が……何だ……夢か。ヒヒヒ……」

 ジャッジモービルを運転するジャッジ・ザ・デーモンの隣の助手席には、事件を起こしてジャッジ・ザ・デーモンに取り押さえられた凶悪犯のMrフェイクが同乗してた。

 運転手ジャッジ・ザ・デーモンと同乗者Mrフェイクを乗せたジャッジモービルは、そのままアニメタウン沖へと海岸から入り、海上を航行しながら、とある孤島へと向かう。

 アニメタウン沖にある三つの島々、手塚治虫キャラクター達が住まう【手塚アイランド】、それに隣接するタツノコプロのキャラクター達が住まう【タツノコ島】そして自然に恵まれてアニメタウン政府より特別自然保護区に認定されている【麗わし島】の三つの島々に囲まれた孤島には、元から在った収容施設を改装された触法精神障碍者病棟が運用されてた。

 三つの島々に囲まれた孤島に在る触法精神障碍者病棟は、その名もタナトス・アサイラム。国連軍元帥補佐官のユーリ・ペトロフの命でアニメタウン領内に在った収容施設を改装された病棟である。

 

 そして海を渡り、孤島であるタナトス・アサイラムに到着したジャッジ・ザ・デーモンは、そこで捕らえたMrフェイクをアサイラムの警備員達に引き渡す。

 タナトス・アサイラムの玄関入り口で、ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクと共に姿を現す。

「やあ、ハワード! 何だか色々とアサイラムを改装しちゃってるみたいだけど、中々興味深いね!」

「正しくはハワード所長だ」

 Mrフェイクを引き渡す現場に居合わせるのは、アニメタウンのタナトス・アサイラムの所長を務めるハワード・ラグラフト氏。国連議長選にも立候補している彼は、選挙に勝つ為にもユーリ・ペトロフの命を受けてアニメタウンのタナトス・アサイラム所長を務めるが、ハワード・ラグラフトは心の底からタナトス・アサイラムの患者や囚人達を軽蔑している節が見られてた。

 そんなハワード・ラグラフト所長に愛想よく言葉をかけるMrフェイクに、所長は不機嫌そうな顔で守衛の一人に命じる。

「ボールズ!」

 所長の命で動く警備員フランク・ボールズにもMrフェイクは愛想よく話し掛ける。

「やぁ、フランキー。奥さんとお子さんは元気かな? 僕がいなくて寂しかったんじゃない?」

「黙れ、イカレ野郎! 袋叩きにされたいのか」

 自称、アサイラム最強を誇るボールズの怒号に黙らされるMrフェイクを、ボールズたち守衛は患者搬送用の拘束器具が付いた担架に縛り付ける。

「って、ウソォ。僕は歩いても良いのに、わざわざ運んでくれるのかい?」

 ボールズたち警備員達に移送用の拘束器具付き担架に縛り付けられるMrフェイク。

「そんなにキツクしめないでよ。せっかくのスーツがしわになっちゃう」

 こうして担架に縛り付けられたMrフェイクの棟内移送が整った。

「その下種な狂人をさっさと連れていけ」

 軽蔑の眼差しでMrフェイクを連れて行けと命じるハワード・ラグラフト所長だが、ここでジャッジ・ザ・デーモンが懸念を口に出す。

「所長、何だか嫌な予感がする。俺も同行する」

 Mrフェイクの行動に一抹の不安を覚えたジャッジ・ザ・デーモンは、Mrフェイクが完全に独房に戻らされるのを見届ける為に同行する事に。

 

 こうしてジャッジ・ザ・デーモンと警備員が同行する中、Mrフェイクは集中処置棟ロビーを通って集中処置棟の下層まで進み始める。

「もうウェルズは来ているのか?」

「はい。患者の引き渡し場所で待機しています」

 ジャッジ・ザ・デーモンは先にタナトス・アサイラムに来ている筈のアニメタウン本部長ウェルズの事を、警備員に訊ねる。

「いやあ、ハワードも目立ちたがり屋なんだね。こんなにカメラが溢れているなんて……大スターである僕をカッコよく映してちょうだい!」

 至る所に設置されている監視カメラの数の多さに、注目願望に支配されているMrフェイクは笑顔で一台一台カメラに向かって笑顔を振りまく。

「今度こそ確実に奴を捕えておきたい。また脱走される様なことがあれば、私の国連議長への道が絶たれてしまう」

「心配には及びません所長。今日はできる限りの警備員を此処に集めています」

「それで足りる事を祈るよ、ノース君。君自身の為にもな」

 完全に国連議長への出世の事しか考えてないハワード・ラグラフト所長。そんな所長はMrフェイクまでも議長出馬の宣伝に使おうと画策してた。

「Mrフェイクは最も治療困難な患者、更生できれば私の評価も上がる。ドクターヤンに患者が来たと知らせるんだ」

 タナトス・アサイラムでMrフェイクの担当医をしているドクターヤンに報せるよう指示するハワード・ラグラフト所長。

「愛しのスイートホーム! 我が家に帰るって、こんなに安心感があるんだね、デーモン」

 一方のMrフェイクは、タナトス・アサイラムに戻ってきたことを、まるで安らぎの我が家に帰って来たかのように喜々とする。

 そしてMrフェイクと同行するジャッジ・ザ・デーモン達は、危険物があるかを確認する検査機トンネルに入って、待機する。

「全員トンネルに入ったな、スキャンを開始しろ」

 警備員以外の人物が凶器などを持ち込んでないか検査機を使われて確認される一同。

「昔ながらのやり方が好きだったよ。全身、丸裸にされて、尻の穴まで調べられる人権無視の方法がね……!」

 検査機の内部で面白おかしく勝手に喋り出すMrフェイク。

「実はね、僕は洞窟なんかも探検するのが大好きなんだよね。まっ、今はどうでもいいけど」

 と、Mrフェイクが喋っていると、検査機を操作する警備員が異常を発見。

「ライト赤 問題あり 禁止品目を複数検出」

「もう一度、Mrフェイクをスキャンするんだ」

 危険な武器等が検査機に引っかかった現状に、所長が更にMrフェイクを調べる様に告げると。

「あーー、失礼。彼は、その……患者ではないですね」

 なんと検出に引っかかったのはジャッジ・ザ・デーモンだった。

「何を持ち込もうとしてるんだい、デーモン? 教えてちょうだいよ。ジャッジラング? ジャッジクロー? それともジャンクフード?」

 そんな検査機に引っかかったジャッジ・ザ・デーモンに、Mrフェイクは小馬鹿にする様に嘲笑う。

「Mrフェイクは異常なし」「ゲートを開けろ、連れていけ!」

 Mrフェイクに異常がない事を確認し、同行してるボールズが門を開けるよう指示する。

 そして検査機を出ると、そこには武装した警備員達が集まっていた。

「お前を見ていると常に銃口を向けていないと気が済まない」

 そうMrフェイクに銃口を向けるのは、タナトス・アサイラムのベテラン守衛である左手が義手のアーロン・キャッシュだった。

「そう慌てないでよ、時間はたっぷりとあるんだから。時間と言えば、チックタックチックタック……って、そりゃピーターパンの時計ワニだったね。ねぇ、キャッシュ」

 過去に左手を失ったキャッシュを嘲笑するMrフェイクを、警備員もアサイラムに勤務する医師も誰もが恐れる。

 集中処置棟を進む中、タナトス・アサイラムのテレビ画面にハワード・ラグラフト所長が力説する映像が流れる。

「これはあんまり視聴率が取れなさそうな番組だね。「私はおバカ所長よ~ん」「お前らは絶対に逃げらんな~~い」アハハハ……ッ」

 そんな映像をMrフェイクは皮肉りながら嘲笑する。

 

 と、Mrフェイクの搬送に同行するジャッジ・ザ・デーモンは、鉄格子を挟んだ向こう側の通路で、警備員達に銃口を向けられる囚人達を目視する。

「や、やめろ! 我々が誰だか分かっているのか!」

「はいはい、自分達は聖なる騎士だって言いたいんだろ? これだからキチガイは嫌になる」

 そう目の前の囚人である【七つの大罪】の聖騎士達に銃口を向ける警備員達は、聖騎士達を強制的に歩かせていた。

「いいか、此処じゃ俺たちやドクター、そして何より所長が絶対なんだ。抵抗してみろ、即バンと撃ち殺してやる……!」

「ッ、外道が……!」

「アァン!? 外道はテメエの方だろ、クソアマ!」

 警備員達の暴言に文句を言う聖騎士のギーラに、警備員達は殴る蹴るの暴力を振るい出す。

「や、やめろ! 暴力は……」

「暴力じゃなくて教育って言うんだよ! テメェら外道を端正する教育だよ!」

 と、暴力を止めようとしたハウザーだったが、そんな彼にも警備員の容赦ない暴力が襲い掛かる。

 こうして文句を言えば、警備員達から袋叩きにされるドレファス、ヘンドリクセン、ヘルブラム、ギルサンダー、ギーラ、ジェリコ、ハウザーの七人。

 そんな袋叩きにされる聖騎士達を遠視して、ジャッジ・ザ・デーモンは心の中で思い耽る。

(相変わらず、囚人の扱いが酷いな。此処は……)

 タナトス・アサイラムを始めとする、国連管轄の収容施設は囚人への扱いが雑だったり暴力的など非人道的な行為が目立ってた。

 

 と、エレベーターに続く扉に向かう道中、Mrフェイクが謎めいた台詞を言う。

「竹島の州立刑務所の火事は大変だったみたいだね。僕の手下も怪我したみたいだから」

 そしてエレベーターに通じる扉の前で、医師がフランク・ボールズに訊ねる。

「ボールズ、その囚人をチェックしたいんだが」「ああ、手短かに頼む」

 ボールズの許可をもらい、医師は規則に則ってMrフェイクの身体状態を視認する。

「これも決まりでね。特に問題はなさそうだが、小さな裂傷がいくつかある。ここ二時間くらいにできた物のようだが……」

 と、その時。

「わっ!」『!』

 Mrフェイクが突然大声を上げて、周りの皆を驚かせた。

「検温も必要かな? まさかパンツまで下ろすつもりじゃないだろうね?」

 そうおちょくるMrフェイクの言動に、医師も苛立ちを覚える。

「アンタらに任せるよ、早く連れて行ってくれ!」

 そう怒鳴る医師の許可をもらい、フランク・ボールズは無線で伝える。

「問題ない、ドアを開けてくれ」

 そして扉が開かれ、ジャッジ・ザ・デーモン一行はMrフェイクを搬送する為にエレベーターの前へと出る。

 が、其処では武装した警備員達がエレベーターに向けて銃を構えていた。

【集中処置棟に警告 カテゴリ9の患者を搬送中 鎮圧システム稼働 正当防衛を許可】

 警告音声が拡声器から響く中、警備員達は銃を構えて身構える。

「ここにもう一人、狂人が来る」

 物々しい重たい空気が張り詰める中、下層から上がってくるエレベーターが激しく軋み、途轍もなく重量のある存在がエレベーターで上がってくるのが理解できる。

「彼は臭いで、どのヒーローとか分かるんだって! 僕のボディーガードに雇いたいもんだよ。ねっ、キラー・タートル!」

 担架に縛り付けられているMrフェイクは、空気中に漂うコケっぽい臭いを感じ取って笑顔を浮かべる。

「用意はいいか」「いつでも発砲できるように銃を構えておけ」

 武装した警備員達が銃を構える中、狭いエレベーターに無理やり乗せられた巨体な囚人が辛うじてエレベーターから出てくる。

「興奮している?」

 荒い鼻息を発するその囚人は、頑丈な背中の甲羅に鋭い爪、そして肉を容易く噛み千切る屈強なあごを持つワニガメの獣人だった。

 そんなワニガメの獣人に照明が当てられ、守衛たちはより一層警戒する。

「気が立っている様だ」「なんだ?」

 エレベーターから苦労して出てきたワニガメの獣人キラー・タートルは、エレベーターから出るや否や鋭い嗅覚で敵対している彼の臭いを感じ取る。

「これは……ジャッジ・ザ・デーモンの臭い、覚えているぞ。ぶっ殺してやる」

 と、キラー・タートルが暴れ出すのを恐れ、鎮圧システムと同調している電撃が流れる首輪から強力な電気が流れ出した。

「この首輪が無ければ、お前をバラバラにして喰ってやるのに!」

 そう台詞を吐き捨てながら、キラー・タートルは武装警備員の監視の下、連れていかれてしまう。

「彼を見て思い出したよ。また此処から出た時は、スッポン鍋を食べに行きたいな」

「よし、行け!」

 キラー・タートルを見て呑気そうな台詞を呟くMrフェイクを、ボールズとジャッジ・ザ・デーモンがエレベーター内に搬送する。

「しっかり掴まってろ!」

 すっかりキラー・タートルの様な重量級の囚人をも乗り降りさせている為に、軋みが酷いエレベーターにジャッジ・ザ・デーモン達は乗る。

「キツク縛っておけ!」

 無線でハワード・ラグラフト所長が現場のフランク・ボールズに命じる。

 そんな中、Mrフェイクは喜々とした様子でジャッジ・ザ・デーモンに話し掛ける。

「パーティには最高の夜じゃないか! そうは思わないかい、デーモン」

「そんはものはない」

「夜はまだまだ始まったばかりだよ、デーモン! 僕はまだいくつか仕込んであるんだよ。州立刑務所の火災で僕の手下が此処に移送されたのは、偶然だと思ってるのかい?」

 そんな言動のMrフェイクに、フランク・ボールズが怒鳴る。

「黙れと言っただろ!」

「フランキー、口の利き方は勉強しといた方がいいよ。面倒事は嫌だろ?」

 そんな減らず口を喋るMrフェイクにジャッジ・ザ・デーモンは問うた。

「お前はこんなに簡単に捕まった事はない。何を企んでいる?」

「な~~んにも。孤独で無意味な人生を生きている人間を大勢見てきて、ふと僕自身の人生も何だったのかと思っただけさ。なにかの詩みたいに思えないか? ジャッジ・ザ・デーモン……!」

 と、そんなMrフェイクの話に繋がるアジア州立刑務所の囚人について、エレベーター内のテレビ画面に映るハワード・ラグラフト所長が説く。

「アジア州立刑務所から移送された囚人達と、ここの患者との接触は避けるべきだ。彼らは……」

 と、ハワード・ラグラフト所長が語っている最中、突如としてエレベーター内の灯りが消えて暗転してしまう。

「奴は何をしている!」「明かりだ、奴を照らせ!」

 暗闇に一時支配されるエレベーター内が騒然とする中、数秒後灯りが戻る。

 灯りが戻ったエレベーター内では、ジャッジ・ザ・デーモンがMrフェイクの首を掴んでた

「……一時的に此処に居るに過ぎない。繰り返す。アジア州立刑務所から移送された囚人達は危険だ。なるべく接触しない様に」

 ハワード・ラグラフト所長の話もテレビから放映される様に戻った中、Mrフェイクは自分の首を締め上げるジャッジ・ザ・デーモンに零す。

「ん? 僕のこと信じてないの?」

 そうしてエレベーターは地下にある集中処置棟の下層へと到着した。

「お客さんの到着だ」

 下層に降りたエレベーターからMrフェイクを下ろすホールズ。

【集中処置棟下層の警戒レベルはレッドアルファ】

 警戒レベルを最大まで上げている中、下層で待機していた警備員の一人が銃口を向けながらMrフェイクを問い詰める。

「よう、戻ったか。お前らが此処から逃げ出した時、俺の仲間が三人も殺されたんだぞ」

 これに対してMrフェイクは笑顔で答え返した。

「たったの三人とは、僕もまだまだだな。次はもっと派手にやらないとね。百人ぐらいでどうかな?」

 

 そんなMrフェイクを搬送し、一行は集中処置棟下層の待機房へと到着する。

 

 

[狂気のパーティ、開宴]

 

「長い夜だな、ウェルズ」

 Mrフェイクを搬送した一行。待機房で先に書類にサインしていたウェルズ本部長にジャッジ・ザ・デーモンが声をかける。

「Mrフェイクが市長宅を襲い、市長の人質騒ぎ。まったく、酷い夜だよ」

「それも今夜限りであってほしい」

 そう会話するウェルズとジャッジ・ザ・デーモン。

 だが、そんな二人を監視カメラで人知れず見張る二人の存在には気付いていなかった。

「そうですわね♪ その通りですわ♪」

 

 と、集中処置棟の待機房で待機していた警備員がジャッジ・ザ・デーモンを止める。

「そこで止まってくれ。申し訳ないが、ジャッジ・ザ・デーモン。此処から先は関係者だけだ」

「いいじゃないか。こいつはもう……」

 ウェルズがジャッジ・ザ・デーモンは今や自分達の協力者であると説こうとすると。

「彼が敵ではない事は承知しています。ですが、彼を見ると収容者達が興奮してしまうんです」

「そっか、それなら仕方ないか……」

 警備員の説明を聞いて、ウェルズもジャッジ・ザ・デーモンも納得する。

「フフフ、君の事だよ、デーモン」

 そうMrフェイクはボールズに腕を掴まれ、待機していた警備員に身柄を渡されて連れていかれる。

「他人行儀はやめようよ。君もボクらと同じ、頭がイカレてるお仲間、いつだって大歓迎だよ」

 しかしMrフェイクは怯む事無く、ジャッジ・ザ・デーモンを挑発するばかり。

「いやぁ、我が家に帰るのは気持ちいいねっ」

 そんなお気楽なMrフェイクを黙視するジャッジ・ザ・デーモンに、ウェルズが訊ねた。

「どうした?」

「アイツは一切抵抗しなかった。何か気に食わない」

「少なくとも、Mrフェイクは収まるべき場所に戻っていったんだ」

 と、ボールズが飲酒する中、ジャッジ・ザ・デーモンとウェルズは待機房の室内からMrフェイクが独房に連れていかれるのを見届けようと目を見張る。

 すると警備員に連れられる道中、Mrフェイクがわざと転んで跪く。

「立て! 早くしろ!」

 警備員が急かしていると、Mrフェイクは警備員に頭突きをして手錠の鎖で首を締め上げた。

「Mrフェイクが! 所長に知らせるんだ!」

 この非常事態に、ジャッジ・ザ・デーモンは体当たりで防弾ガラスに体当たりして突破を試みる。

「どうしたんだい、ドクター! 彼、死んじゃうよ!」

 手錠の鎖で警備員の首を締め上げるMrフェイクは、面白おかしく同行する医師を急かす。

 そして警備員の首を締め上げて倒した直後、Mrフェイクは次に目の前の医師を蹴り飛ばして気絶させてから、先ほど倒した警備員に顔を近付けて笑顔を浮かべる。

「面白くなってきたね」

 喜々と舞い上がるMrフェイクは、いつの間にか手錠を外すと、ゲートを指さして監視カメラに顔を向ける。

「ヒミコちゃ~~ん、ジーニアス!」「「おかえりなさい」」

 Mrフェイクの呼びかけに応える様に、二人の少女がMrフェイクに挨拶をすると同時に電子ゲートが開かれてしまう。

 そこにジャッジ・ザ・デーモンが防弾ガラスを打ち破って収容棟内に進入するが、それと同時にMrフェイクは閉ざされた電子ゲートの向こう側で仁王立ちしながら出迎える。

「ようこそ、ジャッジ・ザ・デーモン! 見事に引っかかってくれたね!」

 Mrフェイクが熱弁する中、ジャッジ・ザ・デーモンの周りには彼を恨む州立刑務所の囚人達が集まってきた。

「さあ、パーティを始めようじゃないか!」

 Mrフェイクが喜々とする中、ジャッジ・ザ・デーモンは目の前に立ちはだかる三人の囚人達と乱闘を開始する。

「お集りの皆様、お楽しみのところ失礼。何かと面白そうだから人質を取る事にしたよ」

 テレビの司会者の様に喋るMrフェイクの話の最中、ジャッジ・ザ・デーモンは素早く三人の囚人との乱闘を終わらせる。

「準備運動はバッチリだね、デーモン! アジア州立刑務所の新入りだよ! 行くよ、ラウンド2」

 すると今度は四人の囚人が開錠された電子ゲートを通ってジャッジ・ザ・デーモンの周りに集まり、再び乱闘が開始された。

「それじゃ、僕はお先に失礼! ちょっと、行く所があるんだ」

 四人と乱闘の最中、Mrフェイクは一足先にその場から走り去ってしまう。

 そんなMrフェイクを追跡する為にも、ジャッジ・ザ・デーモンは素早く四人の囚人を片付けて気絶させる。

 そして乱闘終了後、待機房に閉じ込められたウェルズが困惑してた。

「システムが使えない、やられたぜ。閉じ込められちまった」

「出口を探す。所長に連絡してくれ、ウェルズ」

 と、ジャッジ・ザ・デーモンがウェルズと話していると、棟内のテレビに脱走中のMrフェイクが映る。

「守れない約束はしない方がいいよ、デーモン」

 Mrフェイクは喜々としてジャッジ・ザ・デーモンに告げる。

「アサイラムは僕の思うが儘、何処にも逃がさないからね」

「お前こそ逃げられると思うな……」

「もうっ、ヒーローぶっちゃって! さっさと僕を捕まえてきなよ!」

 と、その時。遠隔操作で電子ゲートのロックが開錠されて、Mrフェイクを追える様になった。

「これは罠だぞ」「だろうな」

 ウェルズから見ても、これは明らかにMrフェイクの罠だと自覚できる状況の中、ジャッジ・ザ・デーモンは罠の渦中に飛び込む覚悟を決める。

「ボールズ、すまないがウェルズとこの場に待機していてくれ。ウェルズ本部長は任せたぞ」

「ああ! 任せてくれ、ジャッジ・ザ・デーモン」

 待機房に閉じ込められたウェルズとフランク・ボールズを置いて、ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクの追跡を開始する。

 

 そして処理通路を走ってMrフェイクを追跡するジャッジ・ザ・デーモンの目には、数多くの警備員や医師の死体が嫌というほど目につく。

「Mrフェイク。奴の行くところには必ず死人が出る……!」

 追跡の道中、処理通路を駆け抜けるジャッジ・ザ・デーモンの目と耳に衝撃的な情報が入ってきた。

【レベルB3に セキュリティ侵犯】

【レベルB8に セキュリティ侵犯】

【レベルB1に セキュリティ侵犯】

 なんとアジア州立刑務所から移送されてきた囚人達が一斉に脱走し、タナトス・アサイラムの施設内を蹂躙していた。

 するとMrフェイクを追跡するジャッジ・ザ・デーモンの前にも、そんな逃げ出した囚人が二名ほど立ちはだかった。

 しかしジャッジ・ザ・デーモンは慌てる事無く冷静に、二人の囚人を倒す。

 そして倒し終わった直後、ジャッジ・ザ・デーモンは通信機で聖龍隊の通信士と通話する。

「キャシー、聞こえるか?」

「聞こえます、どうしたんですか?」

「Mrフェイクが逃げた」

「ウェルズさんも、まだそこに?」

「ウェルズは無事だ。また連絡を入れる」

 聖龍隊の通信士に加盟したキャサリン・ルースこと愛称キャシーと通話を終えたジャッジ・ザ・デーモンは、再び走り出す。

「ジャッジ・ザ・デーモン、こっちだ!」

 と、そんなジャッジ・ザ・デーモンに声をかける警備員が。

 ジャッジ・ザ・デーモンは急ぎ囚人拘束室へと駆け付けると、そこで警備員のザック・フランクリンと話す。

「なんてこった、マイクの奴が電気椅子に……ザ・ハングリーの奴、どうかしている!」

「ここで待っていてくれ」

「来たら殺すと言ってるんだ。迂闊に近付くと、マイクが……!」

「大丈夫、気付かれない様に接近する」

 その一方で、警備員の一人を電気椅子に拘束してるザ・ハングリーは、電気椅子のスイッチを握ったまま警戒を怠らない。

「誰だろうと入ってきたら、この警備員を電気椅子で殺す。分かったか!?」

「そのスイッチを捨てろ、ハングリー!」

「何度言えば分かる? 離れないなら、この男をウェルダンに焼き上げてやるぞ……!」

 説得を試みる守衛だったが、ザ・ハングリーは興奮状態で耳を貸さなかった。

 その間、ジャッジ・ザ・デーモンは囚人拘束室の二階へと上がる。そこでは白髪の高齢の女性であるDrグレッチェン・ウィスラーがいた。

「情けない、どうやってザ・ハングリーみたいな狂人が自由になったの?」

「その話は後だ、ドクター」

「奴が警備員を処刑しようとしているのは知っているでしょ。何なら、昔の様にザ・ハングリーを始末してくれても構わないよ」

「医者の言う台詞じゃないなぁ……」

 医師であるグレッチェンの台詞に呆れながらも、ジャッジ・ザ・デーモンは行動に移る。

「仲間がハングリーに捕まった。殺されちまう、何とかしてくれ!」

「奴の注意を引き付けてくれ、背後に回る」

 守衛と話し終えたジャッジ・ザ・デーモンは、どうやってザ・ハングリーに気付かれず接近できるか考える。

(ザ・ハングリーの死角に入り込まなければ。普通に行くとバレる、行くなら上だ)

 そうして囚人拘束室の天井隅に目をやると、飾りであるガーゴイル像が目に止まった。

(丈夫そうなガーゴイル像だ、乗っても平気だろう)

 ジャッジ・ザ・デーモンはグラップネルガンでガーゴイルに登って、周囲の状況を確認する。

 ガーゴイル像の上を移動するジャッジ・ザ・デーモンは、ザ・ハングリーの真後ろに位置するガーゴイル像の上まで移動。そのままガーゴイル像の上から滑空してザ・ハングリーに強烈な飛び蹴りをお見舞いした。

「ハングリーが倒れた。立ち上がる前にとどめを刺さなければ」

 蹴り飛ばされて動転しては倒れ込むザ・ハングリーに、ジャッジ・ザ・デーモンは容赦なく頭部に拳を打ち込んで完全に気絶させる。

「誰か、こいつを独房に」

 こうしてザ・ハングリーは拘束された。

 

 と、ザ・ハングリーを倒したジャッジ・ザ・デーモンの目に、タナトス・アサイラムのテレビから映像が映し出される。

「スイッチ入ってますの、これ?」「入ってる筈だけど……」

 囚人拘束室に備え付けられているモニター画面全てに、二人の少女たちが映り込んだ。

「ハァーーイ、デーモン! トガヒミコですわよ」

「このボク、怪盗ジーニアスも居るぞ!」

 それは、今回Mrフェイクの計画に関わっているトガヒミコと、怪盗ジーニアスこと紫京院ひびきの二人だった。

「どうです? 私たちの新しい衣装、Mrフェイク様が考えて作ってくれたんですのよ」

「実にセクシーだろう? そうそう、君に見せたいものがあるんだ」

 二人は露出の多い服装でジャッジ・ザ・デーモンに話し掛ける。

「ちょっと待ってて」

 すると二人がフレームアウトした直後、一人の人物が椅子に拘束された状態で登場した。

「ジャジャーーン!」

 椅子に両手を縛り付けられ、口までも塞がれているのはタナトス・アサイラムの所長ハワード・ラグラフト。

「今から私たちが、この所長さんの代理ですわ」

「ハワードさんったら、楽しくて堪らないんだってさ」

「今夜はMrフェイクのアサイラムご帰還パーティ。あなたは名誉のゲストなんですって」

 と、トガヒミコと怪盗ジーニアスが説明する中、ジャッジ・ザ・デーモンが二人に警告する。

「今なら許してやる。降伏しろ、トガヒミコ、紫京院ひびき」

 しかし二人はこれをあっさり拒否。

「ハッハ、丁重にお断りしますわ」

「今のアサイラムは犯罪者達のパラダイス!」

「彼らは州立刑務所からの直送ですわ」

「それじゃ、またねデーモン!」

 そして最後に、怪盗ジーニアスが持っていたステッキでカメラを叩き壊して映像が終わった。

 

 その時、ジャッジ・ザ・デーモンの通信にキャサリン・ルースが。

「ジャッジ・ザ・デーモン、聞こえる?」

「キャシーか、どうかしたか?」

「アサイラムのネットワークに繋がらないんです!」

「セキュリティは奴らの意のままだ。恐らくネットワークから遮断しだんだろう」

「Mrフェイクはアニメタウンの各所に爆弾を設置したって。応援を呼んだら爆破するって。まだ公になっていないけど、時間の問題よ」

「多分、爆破するというのは嘘だろう。皆の注意を逸らすためのな」

「どうして言い切れるんですか?」

「俺はMrフェイクを……ジャクソン・グレイシスを知っている」

 そう意味深な発言を言うと、ジャッジ・ザ・デーモンは通信を切る。

「ゲートが開かない! 閉じ込められた!」

「無線を使え、制御室で開けられる筈だ!」

 一方で、電子ゲートが開かず、誰もが囚人拘束室から出られず困惑していた。

(あれで俺を閉じ込めたつもりなのだろうか。トガヒミコもひびきも詰めが甘い)

 ジャッジ・ザ・デーモンは部屋の隅々まで見て回ると、床と同じ高さに備え付けられている通風孔の鉄格子を発見。その鉄格子を自力で外し、其処から脱出を図る。

「ジャッジ・ザ・デーモンが出口を見つけた。通風孔をこじ開けた!」

 ジャッジ・ザ・デーモンが脱出したのを見届けた守衛は、地声で外部の仲間達に伝える。

 そして通風孔を通って脱出したジャッジ・ザ・デーモンに、再びキャサリン・ルースが通信を入れる。

「ジャッジ・ザ・デーモン、守衛の無線を繋ぐわ」

 キャサリン・ルースが繋げてくれた無線からは、脱走したMrフェイクや州立刑務所からの囚人達の暴挙の一部始終が銃声と共に聞こえてきた。

「州立刑務所の連中だぞ、ボイラーの所だ!」

「なんてこった、Mrフェイクだ! どうやって逃げたんだ」

 そして突然、無線が切れてしまう。

「ごめんなさい、切れちゃったわ。また試してみる」

 キャサリン・ルースからの通話を終えると、ジャッジ・ザ・デーモンは再びMrフェイクの追跡を再開する。

 

 

[拡散する惨劇]

 

 Mrフェイクを追跡するジャッジ・ザ・デーモンは、タナトス・アサイラムの汚染除去室前へと辿り着く。

 すると其処では、赤い煙に塗れて苦しむ警備員達が、汚染除去室の室内でもがいていた。

【汚染除去室に 毒物を検知】

 アナウンスが汚染除去室の危険を報せる。

【汚染除去室エリア 封鎖します】

「何なんだ、あれは!?」

 室外の窓ガラスで室内の惨状を目撃する守衛に、ジャッジ・ザ・デーモンが説明する。

「Mrフェイクの毒ガスだ。中の人々を助けなければ……」

「ジャッジ・ザ・デーモン、皆を助けてやってくれ」

 守衛から嘆願され、ジャッジ・ザ・デーモンは真上の通風孔からグラップネルガンを用いて室内へと侵入を試みる。

「みんなまだ生きてるか……」

 室外の守衛が、室内の仲間達の安否を気にする一方、ジャッジ・ザ・デーモンは今回の騒動について考えていた。

(思い付きや突拍子で、此処まで出来ない。Mrフェイクは以前から計画してた様だ)

 毒ガスまでも用意しているほど、今回の騒動をMrフェイクは計画してたんだろうと黙考するジャッジ・ザ・デーモン。

 そして通風孔から出たジャッジ・ザ・デーモンは、命辛々上へと上がって退避していた守衛を発見する。

「頼む、助けてくれ!」「もう大丈夫だ、此処に居ろ」

 守衛を引き上げた直後、ジャッジ・ザ・デーモンは更に上に上がってた二人の守衛に気付く。

「ジャッジ・ザ・デーモンが来た! もう少しの辛抱だ!」

「無理だ、もうもたない……」

 一人は安全な高所へと登れたが、もう一人は辛うじて捕まっている状態で安全ではなかった。そんな守衛をジャッジ・ザ・デーモンは同様に救出する。

「犯人は必ず捕まえる」

 そんなジャッジ・ザ・デーモンに、助け出された守衛の一人が言伝した。

「ジャッジ・ザ・デーモン、排気システムだ! 部屋の隅の、制御パネルだ!」

 室内の空気の排気を行うシステムの制御盤を操作するべく、ジャッジ・ザ・デーモンは滑空して遠くの高所へと飛び移った。

 その先には、逃げ遅れた囚人の一人が命辛々高所へと飛び移って、捕まっていた。

「くそっ、信じらんねえ! 置き去りか! あいつ……ゲホッ!」

 そんな囚人も同等に救出したジャッジ・ザ・デーモンだが、その直後に囚人を殴って気絶させる。

(あれが排気制御盤だな。ジャッジラングを使って電源を入れてみよう)

 排気システムの制御パネルにジャッジラングを投げ付けて、制御パネルを起動させて室内の毒ガスを全て排気させた。

【空気が正常に戻りました】【汚染除去室 入室を許可します】

 アナウンスが響いた直後、室内の空気が正常に戻ったのを見届けたジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクの追跡を再開する。

「この場は任せた、俺はMrフェイクを追う」

「行け、ジャッジ・ザ・デーモン! Mrフェイクに勝ち目はない!」

 守衛たちの声援を背に受けて、ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクを追う。

 

 伝達通路を駆け抜け、Mrフェイクを追跡していると、また新たな囚人が二人立ちはだかる。

 ジャッジ・ザ・デーモンは素早く二人の囚人を撃破していると、通路の奥からMrフェイクの声が聞こえてきた。

「何をモタモタしてるんだい? 僕はすぐ近くに居るんだよぉ?」

 挑発するかのように、ジャッジ・ザ・デーモンを呼ぶMrフェイク。

 そして伝達通路の奥へと到達したジャッジ・ザ・デーモンの前に、リフトで移送できる独居房の上に立ち尽くすMrフェイクが待ち受けていた。

「遅かったじゃないか」

「逃がさないぞ、Mrフェイク」

「まだ捕まる訳にはいかないんだよね」

 そうジャッジ・ザ・デーモンに言うと、Mrフェイクが乗っている独居房の中から、歪な程に全身の筋肉が膨張した囚人が出てきた。

「来たよ来たよ、デカいでしょ」

 巨大化した囚人は、そのままMrフェイクが観戦する中でジャッジ・ザ・デーモンと対峙する。

 巨大化した囚人は、まず手始めに足元に倒れている守衛の死体を拾うと、そのまま怪力でジャッジ・ザ・デーモンへと死体を投げ付ける。

 ジャッジ・ザ・デーモンは素早く投げ付けられた死体を回避すると、注意深く巨大化した囚人を観察。

 すると巨大化した囚人はジャッジ・ザ・デーモンへと一直線に突進。ジャッジ・ザ・デーモンは素早くジャッジラングを巨大化した囚人の顔面へと投げ付けると同時に、横へと回避移動する。

 一方で巨大化した囚人は顔面にジャッジラングが当たった為に一時的に視界が塞がれ、そのまま壁へと激突してしまう。

 壁へと激突した巨大化した囚人にジャッジ・ザ・デーモンは急ぎ駆け付けると、そのまま巨大化した囚人へ何発も拳や蹴りを叩き込んで攻撃。更に追撃とばかりに、壁を蹴ってその反動で巨大化した囚人の頭部へと鋭い蹴りをお見舞いさせた。

 すると巨大化した囚人は、床に拳を叩き込んで凄まじい衝撃波を繰り出した。ジャッジ・ザ・デーモンは素早く遠ざかって衝撃波から回避する。

 更に巨大化した囚人はゴリラの様にドラミングをすると、再びジャッジ・ザ・デーモンへ突進。ジャッジ・ザ・デーモンは焦る事なく冷静に、先ほどと同様にジャッジラングを投げ付けると同時に突進を回避する。

 そして再び壁に激突した巨大化した囚人は、そのまま怯むと、そこにジャッジ・ザ・デーモンが再び連続攻撃を叩き込む。

 すると突然、巨大化した囚人の心臓が高鳴り、激しく瞳孔が開いたかと思うと、巨大化した囚人はそのまま床へと倒れ込んでしまった。

「これは予想外。もっと強いのじゃないとダメか」

 そんな倒れてしまった巨大化した囚人を見下ろして、Mrフェイクは熟考しながら呟く。

「それはあげるよ、もう僕には要らないオモチャだ。気前良いでしょ」

 すると此処でMrフェイクは、独居房の端に立ってジャッジ・ザ・デーモンを挑発する。

「さあ、突き落としてみなよ、僕を! そうすれは一瞬で全てが終わるよ」

 Mrフェイクはジャッジラングで自分を突き落として殺してみろとジャッジ・ザ・デーモンを挑発するが。

「Mrフェイク、俺がそんなコケ脅しの挑発に乗ると思っているのか」

「ふふふふっ、流石は……我が子の為に人殺しには戻らないって信念が伝わるよ。それじゃ、僕はパーティの準備があるから、これで」

 そうジャッジ・ザ・デーモンと会話を終えると、Mrフェイクは独居房と共にリフトに吊るされた状態で巨大な扉の奥へと消え去ってしまう。

 

 Mrフェイクが去っていった後、取り残されたジャッジ・ザ・デーモンに声をかける者が。

「ジャッジ・ザ・デーモン、こっちだ!」

 それはリフトの操作部屋に籠ってた守衛だった。

「こっちへ! 急がないと奴らが」

 守衛は再び囚人達が襲ってくるのを懸念し、ジャッジ・ザ・デーモンを小部屋へと招き入れた。

「奴ら、いきなり現れて……電子ゲートを閉じた後、俺は気絶を」

「Mrフェイクが消えた扉、あの奥は?」

「隔離棟というエリアだ、リフトでしか入れない」

「開けてくれないか」

「分かった、連絡して開けてもらう」

 そうして守衛が大扉を開けようと操作するが。

「おかしいな……セキュリティがロックされてる」

 既にタナトス・アサイラムのセキュリティは全てMrフェイクの一派に占拠されていた為に、開錠できなかった。

 と、ジャッジ・ザ・デーモンが守衛と共に立ち往生している所に、小部屋のモニター画面にMrフェイクが映し出された。

「何がお困りかな?」

「Mrフェイク……!」

「ブラックホワイトが映るとでも思ったかな?」

「逃げ場はないぞ、Mrフェイク!」

「逃げる訳ないでしょ、こんな楽しいパーティは初めてなのにさ! 僕もさっきから笑顔が途絶えないね」

「笑っていられるのも今の内だ」

「それはどうかな? じゃ、またね」

 と、Mrフェイクは早々にカメラからフレームアウトしようとした、その時。Mrフェイクは何かを思い出したかのようにジャッジ・ザ・デーモンに言った。

「そうそう、忘れてたよ。念のため、保険をかけておいたんだ。今頃、ウェルズはトガヒミコちゃん達の所だよ」

 そうMrフェイクが言うと、カメラの視点が切り替わり、映し出されたモニター画面にはウェルズの不意を突いて後ろから警棒で殴り付けるフランク・ボールズが映し出されてた。

「ボールズめ」

 フランク・ボールズの裏切りを目撃するジャッジ・ザ・デーモンに、Mrフェイクが忠告する。

「僕を追ってきたら、ウェルズが死んじゃうぞ。トガヒミコも紫京院ひびきも、楽しみにしてるんだよね」

 

 ウェルズが捕まった緊急事態に、ジャッジ・ザ・デーモンはやむを得ずMrフェイクの追跡を中止。ウェルズの救出に向かった。

「リフトがダウンしている、ここの扉しか開けられない……済まない」

 先ほどの守衛が、部屋の扉を開錠してくれたお陰でジャッジ・ザ・デーモンは後戻りできるようになった。

(待機房に戻ろう。ボールズの手掛かりがある筈だ)

 まずジャッジ・ザ・デーモンはウェルズ追跡の手掛かりを探るべく、ウェルズがボールズに襲われた待機房にまで戻る事に。

 その道中、キャサリン・ルースから通信が入る。

「ジャッジ・ザ・デーモン、何があったの!」

「Mrフェイクが逃亡中、それとウェルズが人質にされた」

「そんな!」

「大丈夫だ、俺が必ず助ける」

「分かってる、でも……」

「ウェルズは必ず連れ戻す、Mrフェイクの好きにはさせない」

 更にジャッジ・ザ・デーモンは実行犯である裏切り者のボールズの事も報告。

「襲ったのは守衛のボールズだ、奴を追えばウェルズも見つかる」

「お願い、修司さん。急いで、お願い」

 再び足を速めて待機房へと駆けるジャッジ・ザ・デーモンに、通路に設置されているテレビからMrフェイクが不敵に笑みながら語り出す。

「僕がどうやって逃げたと思う? 名探偵の工藤新一や金田一少年でもお手上げでしょ」

 Mrフェイクは此処で、フランク・ボールズとの関係性を打ち明けた。

「フランキーとは訳ありでね。以前、ちょいと助けてあげたんだよ。セキュリティコードが要る時は彼に訊くのがいい訳だ」

 そんなMrフェイクの話を聞きながらも、ジャッジ・ザ・デーモンは急ぎ待機房へと向かう。

 

 

[裏切り者の痕跡]

 

 そしてジャッジ・ザ・デーモンは待機房へと戻ってきた。

「キャシー、待機房に着いた。これより犯行現場を調査する」

「ボールズの痕跡を探すのね?」

「その通りだ」

 ジャッジ・ザ・デーモンは此処で、大きな紅い瞳から視えるビジョンを用いて、周辺を調査し始める。

 すると部屋の片隅で、ジャッジ・ザ・デーモンは床に零れ落ちている酒ビンを発見する。

「迂闊だな、ボールズ。このビンをスキャンしよう」

 調べてみると、それはアルコール度の高いバーボンだった。

(バーボンのアルコール分……これを追跡できそうだ)

 空気中に漂うアルコールを追跡する事にしたジャッジ・ザ・デーモン。

「キャシー、手がかりを見つけた」

「これで追跡できますね。アサイラムの資料や情報は既に揃えています」

 ジャッジ・ザ・デーモンはキャサリン・ルースと話し終えると、急ぎウェルズの救出の為にボールズを追跡し始める。

 

 そしてジャッジ・ザ・デーモンはセキュア・トランジットと呼ばれるエレベーターホールへと辿り着いた。

「あーー、やけに時間がかかるな」

 そこには、エレベーターが中々来ないで苛立つ一人の守衛がいた。

「ったく、オンボロめ……」

 ジャッジ・ザ・デーモンがその守衛に近付くと、守衛は慌てた様子でジャッジ・ザ・デーモン問い詰める。

「あんたか。Mrフェイクはどうやって自由に?」

 と、その時。

「静かに」「どうした?」

 静かにさせたジャッジ・ザ・デーモンは、空気中のアルコールを検知して、ボールズがエレベーターを使って地上へと出た事を察する。

 と、其処に上から怪盗ジーニアスに扮した紫京院ひびきが降りてきて姿を現す。

「グッドナイト、デーモン! MrFがまだ来るなってさ!」

 そう告げると、怪盗ジーニアスは所持していたスイッチを押して、地上で止まってたエレベーターを爆弾で落下させた。それと同時に怪盗ジーニアスはエレベーターとは反対に急上昇するロープに掴まって、地上へと戻っていった。

「逃げろ!」

 ジャッジ・ザ・デーモンは守衛を素早くエレベーターから遠ざけ、落下するエレベーターから自らも自衛する。

「な、何が……」

 守衛も起き上がる中、二人の目の前には爆破されて落下した為に完全に使えなくなったエレベーターの残骸だけがあった。

「お気に召したかな、デーモン? これで追って来れないだろう?」

 怪盗ジーニアスは不敵に笑みながら、地下のジャッジ・ザ・デーモンを嘲笑うが、彼はこれしきで追跡を諦めない。

(ウェルズは地上にいる。グラップネルガンで追いかけよう)

 ジャッジ・ザ・デーモンはロープを射出して高所へと移動が可能になるグラップネルガンを用いて、地上に上がろうと奮闘する。

 時には両腕だけで全体重を支えながら、溝に指を入れて横へと移動しながら、通風孔へと入りこんで少しずつ地上に上がっていく。

 と、ジャッジ・ザ・デーモンが自力で地上を目指しているところに、Mrフェイクが拡声器を用いてジャッジ・ザ・デーモンに呼び掛ける。

「やあ、デーモン。ちょいと聞かせたい物があるんだ。トガヒミコや紫京院ひびき達が外に出るみたい。どんな方法なのか、聴いてみちゃおう」

 Mrフェイクが聞かせたのは、通信機からの音声だった。

「フランク! 今まで何処に?」

「Mrフェイク達が攻めてきた、正門を突破する気だ!」

「何だと? みんな、正門へ急げ!」

「敵は何人くらいだ? いや待て、なんでそんなこと知って……」

「な……何してるフランク! やめろ、その銃を下ろせ!」

 此処で銃声が響き渡る。

「フランク! 何故……!」

 更に二発目の銃声が響いた。

「片付いたぞ、ヒミコ、ひびき!」

「まあっ、あなたも中々やるじゃないですの」

「そこに痺れる女の人も居るんじゃない?」

 と、此処で通信は終わってしまった。

「ま、こんな訳だよデーモン。フランクはいい仕事するでしょ」

 ジャッジ・ザ・デーモンに近況報告をするMrフェイク。

【現在、レッドα発令中 訓練ではありません】

 そんな中、警報アナウンスが施設内の危険度の高さを警告する。

 

 と、ジャッジ・ザ・デーモンが地上に出てみると、エレベーターの前では既に群がってきた囚人達が守衛を痛め付けていた。

「ちっとは抵抗しろよ」

「Mrフェイクの言った通り、楽勝だな!」

「どれ、死に顔を……」

「俺らの敵じゃねえな」

 そんな一人の倒れ込む守衛に群がる囚人の背後から、忍び寄るジャッジ・ザ・デーモンは、囚人の背後から足払いして後ろへと倒れさせると同時にシュミット流バックブリーカーで痛め付けて気絶させる。

「ジャッジ・ザ・デーモンだ!」

 残った四人の囚人を相手に、ジャッジ・ザ・デーモンは乱闘を開始。

 拳や蹴りを巧みに使い、囚人達を痛め付け、更に囚人達からの攻撃を全て受け止めては素早く反撃して逆に痛め付ける。

 そうしてジャッジ・ザ・デーモンは囚人達を一人残らず倒し切った。

 と、倒し終わったところにキャサリン・ルースから通信が入った。

「どう、ジャッジ・ザ・デーモン? ウェルズさんは見つかった?」

「いや、もうすぐ追いつく。トガヒミコや紫京院ひびきの妨害を受けた」

「やられたの?」

「フッ、まさか。追跡が進んだら連絡する」

 

 キャサリン・ルースとの通話を終えたジャッジ・ザ・デーモンだったが、ゲートが開かない為にその脇にある通風孔を通って外へと脱出を試みる。

 そして通風孔を通って、エレベーターホールの室外に出ようとしたジャッジ・ザ・デーモンの五感に非情な事態が届いた。

「頼む、俺には子供が……撃たなくても良いだろ。ぎゃあっ」

「やめろ、やめてくれ……うぎゃっ!」

 二発の銃声と共に、二人の守衛が無残にも銃殺されてしまったのだ。

「まあ、撃たなくてもいいんだ。でも撃ちたいのさ! ボスの命令だ、誰か来たら撃て!」

「なるほど、此処がいわゆる地獄の門という訳ですね!」

「こっちも全員殺したぞ!」

 二人の守衛を残酷にも銃殺したのは、タクト=アルサホルン=フォブレイとラニ・アリステス、そしてマクギリス・ファリドの三人だった。

 銃で武装している三人の囚人を注視しながら、ジャッジ・ザ・デーモンは通信でキャサリン・ルースに話する。

「キャシー、監房ブロックが制圧された様だ」

「敵は銃を持っているみたい。無線でそんな話をしてました」

「その様だ。探索スキャンを調整、武器を持っている囚人を識別できるようにした」

 キャサリン・ルースと話し終えたジャッジ・ザ・デーモンは、暴挙に出た三人を止めるべく、三人を倒す事に。

(正面突破は自殺行為だ、違うルートを探そう)

 ジャッジ・ザ・デーモンは、グラップネルガンを用いて三人の頭上から背後に回る事に。

「本当にジャッジ・ザ・デーモンが来るのか?」

「現れたら、ぶっ殺すまでだ」

「そうだな!」

 強力な銃器を武装しているからか、完全に隙だらけの三人。そんな三人の背後を取り、ジャッジ・ザ・デーモンは最初にタクトを撃破し、続いてマクギリス・ファリドを鎮圧。そして最後にラニ・アリステスを窒息させた上で強打して気絶させた。

 更にジャッジ・ザ・デーモンは監房ブロック移送路の監視室からの話し声を聞き逃さなかった。

「異常なしです、ボス」

「ジャッジ・ザ・デーモンが向かってる。罠を仕掛けて、奴を出さない様に」

 それは囚人とMrフェイクの会話だった。

「僕の言ってること分かる?」

「解ってます。奴は、くたばったも同然……」

「言った事には責任を守ってよ。家族にとばっちりが行くからさ」

「ま、待ってください! ボス……」

 と、必死にMrフェイクに釈明を述べようとする囚人の背後を取り、その囚人も同様に気絶させるジャッジ・ザ・デーモン。

「わおっ! 噂をすれば、愛嬌の無い真っ黒いスーツは、まだ燃えてないんだね?」

 ジャッジ・ザ・デーモンが駆け付けた事を、カメラを通して確認したMrフェイク。

「手下達に教えといた方がいいかな? やめとこう、サプライズにしよう!」

 そんなMrフェイクの戯言を聞き流し、ジャッジ・ザ・デーモンは再び通風孔をこじ開けて内部を通って移動する。

「アサイラムの経営陣が変わりましたーー、パパっと詳細をご報告」

 Mrフェイクが自分の意のままのアサイラムの方針を此処で説明し出すが。

「脱走者が出ました、鬼の格好をした目立ちたがり屋でーーす」

 ジャッジ・ザ・デーモンを脱走者とした上で、皆で武力で止めようと説くばかり。

「怪我人が出る前に止めましょう、それが彼にとっても一番なはず」

 そんな中、ジャッジ・ザ・デーモンが通風孔を通って集中処置棟ロビーに辿り着くと、其処には三人の武装囚人が見回ってた。

 

 ジャッジ・ザ・デーモンはまず最初に、通風孔の前で射殺した警備員達を物色してた囚人の背後に忍び寄り、静かに口元を塞いで呼吸を奪い気絶させる。

 更にジャッジ・ザ・デーモンは、手すりに掴まり、囚人が自分の前を通り過ぎようとしている所に、囚人の頭を掴んで手すりに叩き付けて脳震盪を起こすと同時に囚人を高所から引きずり出す要領で柵を越えて真下へと落下させて気絶。

「なんだ!?」

 最後に残った囚人が駆け付けるが、その道中に高所に上がったジャッジ・ザ・デーモンが滑空して飛び蹴りをお見舞いして倒れると同時に素早く頭に拳を叩き込んで気絶させた。

「簡単には行かないよ。増援を送った、お手並み拝見だね」

 三人の囚人を倒し終わった直後、Mrフェイクの命で三人の武装囚人が増援として送られてきた。

「Mrフェイクの命令だ、手分けして探せ!」

「何処に居るか分からんぞ!」

「だから探すんだ、行け!」

 こうして新たな増援も集中処置棟ロビーに散ると、各員ジャッジ・ザ・デーモンを見つけ出そうと血眼になる。

「怖がらないで、デーモン。彼らは僕たちと同じさ、僕達よりちょっとイカれてるだけさ」

 ジャッジ・ザ・デーモンは再び息を殺して、三人の武装囚人と闘う。

「ジャッジ・ザ・デーモンを殺さなきゃ、こっちが逆にMrフェイクに殺される……!」

 ジャッジ・ザ・デーモンだけでなくMrフェイクにも恐怖を抱く囚人達は、銃を構えてロビー内を徘徊する。

 そんな囚人の一人の背後に忍び寄るジャッジ・ザ・デーモンは、背後に接近すると素早く囚人の口を塞いで窒息させ気絶させる。

「おい、こっち来てくれ!」

 すると囚人の一人が、先ほどジャッジ・ザ・デーモンが倒した囚人の側に歩み寄り、自分と同じ増援の囚人を呼んだ。

「まさか……死んでいるのか?」

 気絶し、ピクリとも動かない囚人を前に、増援の囚人は震え上がる。

 と、そんな囚人にジャッジ・ザ・デーモンは高所から滑空し、飛び蹴りをお見舞いすると素早く倒れ込んだ囚人の頭に拳を叩き込んで気絶させる。

「ジャッジ・ザ・デーモン!」

 その時、囚人を気絶させたジャッジ・ザ・デーモンを目撃して、最後の囚人が銃を乱射。だがジャッジ・ザ・デーモンは素早くジャッジラングを投げて囚人の手から銃器を弾き落した。

 動揺する囚人が目を向けると、其処には既にジャッジ・ザ・デーモンの姿はなく、囚人は困惑。

 だが、ジャッジ・ザ・デーモンは既に囚人の背後に迫り、静かに囚人に近付くと、囚人の頭を掴んでお得意のヤシの実割りで頭蓋を砕いて気絶させた。

「僕の家族も同然なのに、血も涙もないねデーモン。泣くよ、僕」

 増援の囚人が三人とも倒されたのをカメラで見届けたMrフェイクは、さも悲しそうな演技でジャッジ・ザ・デーモンをおちょくる。

 

 三人の囚人に、三人の増援。計六人の囚人を倒したジャッジ・ザ・デーモンは、再びフランク・ボールズの追跡を再開する。

 が、ロックされた集中処置棟の出入り口の前では、複数の看守の死体の真ん中に、拘束担架に囚われた死体があり、それを見たジャッジ・ザ・デーモンは思わず溜息をついた。

「Mrフェイクに悟られたか。ボールズの追跡は終わりだ……」

 拘束担架に囚われた死体、それは追跡対象であったフランク・ボールズの死体だった。

 と、ジャッジ・ザ・デーモンがフランク・ボールズの死体に気を取られていると。

「私は此処だ、ジャッジ・ザ・デーモン!」

 小部屋に籠って自衛してた守衛の一人が出てきて、ジャッジ・ザ・デーモンに声をかける。

 守衛に呼ばれたジャッジ・ザ・デーモンが歩み寄ると、守衛は先ほど此処で起きた惨劇を話してくれた。

「あれはまさに虐殺だった。ボールズがやってきて、皆に正面玄関を守るよう指示したんだ。「そこからMrフェイクの武装部隊がやってくる」ってな。言われて移動した仲間を二人、ボールズは撃ち殺した。何もできなかった」

「ボールズは一人だったか?」

「そう思っていたが、後からトガヒミコと怪盗ジーニアスそれに州立刑務所の囚人達も来た。アイツ等は次々と仲間を殺しやがった! 俺にはどうする事も出来ず、この部屋に逃げ込んで自衛するのがやっとだった。此処から監視カメラで中の様子が見えたが、本部長らしき人も見えた」

「ボールズをここで始末して、奴らは出ていった。もう用済みと言う事だろう」

「そうだな。アイツ等は人間のクズだ」

 最後にボールズを含めた囚人たち全員をクズ呼ばわりした守衛は、自衛してた部屋で既に息絶えた同僚を見詰めて悲観する。

「すまない、相棒……」

 ジャッジ・ザ・デーモンは静かに心中で黙祷を捧げると、ウェルズ救出の為に再び前進する。

 守衛が籠城してた部屋の奥の階段を下りて、その奥の守衛専用のロッカー室に足を運ぶ。

 すると、ロッカー室にあったラジオからニュースが流れてきた。

「番組の途中ですが臨時ニュースです。タナトス・アサイラムを武装集団が包囲したようです。二分前、Mrフェイクが全ニュースチャンネルに向けて驚くべき声明を発表しています」

 そして音声はMrフェイクの声明に切り替わった。

「やぁ、アニメタウンの皆さん。あなた達の新しい主人からの言葉です……あれ? 一行飛ばしちゃった。僕はMrフェイク、タナトス・アサイラムは占拠しました。外にいる皆様に警告です。警察、自警団、聖龍隊のヒーローなど、誰かがアサイラムに近付くのを発見した場合、アニメタウン国内に設置した爆弾を適当に爆発させちゃいます。幼稚園? 病院? セレブの邸宅? 何処を爆破するかはお楽しみ!」

 遂にタナトス・アサイラムでの暴動及び占拠などの事件が公になってしまい、アニメタウンは混乱するだろうと安易に予測できる事態に発展。

 ジャッジ・ザ・デーモンは急いで事件を終わらせなければと熟考するのだった。

 そしてロッカー室の奥の小部屋に入ると、ジャッジ・ザ・デーモンは通風孔の鉄格子をこじ開けて内部へと進入。通風孔を通って、澄んだ空気のする外部へと出る。

 内側から鉄格子をこじ開けて、外に出たジャッジ・ザ・デーモン。彼が出たのは洞窟だった。

 洞窟に出たジャッジ・ザ・デーモンが進むと、そこはタナトス・アサイラムを一望できる高所の洞窟だった。

 

(タナトス・アサイラム、今やMrフェイクなどの凶悪犯が蔓延る魔窟へと変わってしまった。一筋縄ではいかないが、何とかせねば……)

 

 洞窟からタナトス・アサイラムを見渡すジャッジ・ザ・デーモンは、Mrフェイクなどの凶悪な犯罪者達の暴挙を止められるのだろうか。

 

 

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