ジャッジ・ザ・デーモン タナトス・アサイラム   作:セイントドラゴン・レジェンド

3 / 6
 前回、ナイトメアの幻覚とサングリエントの死闘を掻い潜ったジャッジ・ザ・デーモン。
 今回はDrヤンの研究を調べる為、行動します。



【ジャッジ・ザ・デーモン】筋肉増強剤GOD【タナトス・アサイラム】

[アサイラムの鬼の棲家]

 

アニメタウン警察本部長ウェルズと別れた後、ジャッジ・ザ・デーモンは通信士のキャシーと話し出す。

「キャシー、Drヤンを調べてくれ。デーモンハビタットで確認したい」

「デーモンハビタット? タナトス・アサイラムの島に在るの?」

「備えあればだ。有事を見越して、数年前から造っておいた」

「よく今までバレなかったですね」

「自虐だが、隠し事は得意でね」

「流石、相変わらず用意周到ですね」

 と、ジャッジ・ザ・デーモンと話すキャサリン・ルースは此処で質問する。

「サングリエントは、Drヤンの薬物でおかしくなってたんですか?」

「多分な、Mrフェイクの狙いもそれだと思う」

 そしてジャッジ・ザ・デーモンはキャサリン・ルースに伝言する。

「アサイラム北側の、死者の岬にこれから行く。着いたら連絡する」

 キャサリン・ルースに伝えると、ジャッジ・ザ・デーモンはタナトス・アサイラムを駆け抜けて死者の岬と呼ばれる対岸へと向かった。

 

 岬に向かう道中、島内に数が多くなり、目立ってきた囚人達を一人ずつ確実に撃破しながら進行するジャッジ・ザ・デーモンに、キャサリン・ルースが通信で話し掛ける。

「死者の岬……自殺の名所でしたよね」

「以前、身投げをしようとした患者を助けた事がある。その時、手頃な洞窟を見付けた。拠点はいくつあっても困らない」

 そうキャサリン・ルースに説くジャッジ・ザ・デーモンは、集中処置棟の左側を通って立ち入り禁止のその奥の洞窟へと進む。

 そして洞窟を抜けて、断崖絶壁の岬から飛び降りて旋回、その先の洞窟に着地すると更にその奥で洞窟の壁と同化している識別装置で生体反応を認証される。

「IDを照合 反撃システム解除」

 コンピューターが侵入者を迎撃する防護装置を切るのと同時に、ジャッジ・ザ・デーモンは洞窟の中に造った通路へと踏み込んだ。

「オープン」

 洞窟内に流れ込む滝を潜り、認証されている声帯でデーモンハビタット内の通路を照らす。

「ライトアップ」

 更にデーモンハビタット全体を照らす照明も点けた。

 

 ジャッジ・ザ・デーモンの拠点であるデーモンハビタット。アニメタウン本土では、聖龍隊基地がある総本山の裏手にひっそりと構えている拠点。

 デーモンハビタットに到着したジャッジ・ザ・デーモンはコンピューターでキャシーが調べ上げてくれたDrヤンの研究資料に目を通す。

「Drヤンは大型のプロジェクト、通称GODを計画してるみたい。記録が残っているけど……何の研究なんです?」

 GODと呼ばれる研究を進めてたDrヤンの研究内容をキャサリン・ルースが訊ねると、ジャッジ・ザ・デーモンはパソコン画面を凝視しながら答えた。

「D-ワクチンを始めとする筋肉増強剤の研究だ。人体実験までしていたようだ……かなり改良されているな」

 過去にジャッジ・ザ・デーモンこと小田原修司も投与された筋肉増強剤D-ワクチンを改良したGODと呼ばれる薬物を、ジャッジ・ザ・デーモンは説明する。

「筋肉の増強が更に上がり、少量でも効果があるようだ」

 と、ここでDrヤンの研究資料を読んでいたジャッジ・ザ・デーモンは、ある事実に気付く。

「待てよ……頭の悪い俺でも、増強剤を作る為の化学式が抜けているのだけは分かる。そうか、Drヤンはこれを隠している訳だな……Mrフェイクの手に渡れば大変な事になるのは目に見えているからな」

「Mrフェイクは自分だけの軍隊を作るつもりなのよ! 絶対に止めないと!」

 キャサリン・ルースも、Mrフェイクの手に筋肉増強剤GODを渡してはならないと理解する。

 するとジャッジ・ザ・デーモンは、デーモンハビタットに秘蔵していた部品をグラップネルガンに装着して更に武装した。

 ジャッジ・ザ・デーモンがグラップネルガンに装着したのはデーモンクロー。遠くにある物を掴み引っ張る、かぎ爪型アタッチメントで、敵を引き倒す事も可能な装備品となった。

 

「地下通路からDrヤンを追う。タナトス棟に向かったはずだ」

 こうしてジャッジ・ザ・デーモンは新たにデーモンクローを装備して、地下通路へと向かう出入り口からデーモンハビタットを出る。

 デーモンハビタットを出ると、そこは高所に通気口しかない行き止まり。ジャッジ・ザ・デーモンは通気口の鉄格子をデーモンクローで引きずり落とすと、そのまま通気口を通ってタナトス・アサイラムの施設内へと戻った。

 通気口からタナトス・アサイラムの地下にある下水道へと出たジャッジ・ザ・デーモンは、そこで無線を使ってMrフェイクと話をしている囚人の会話を聞く。

「すまない、ボス。なかなか居所がつかめない」

「なるほど、次はもっと計画を練ればいいんだね」

「別に文句を言ってる訳じゃ……」

「いやいや、批判は歓迎だよ。ボクだって完璧じゃないからね! いや、待てよ。ボクは結構完璧なんじゃないのかな? 鏡よ鏡、ボクは誰? 恩があるのに、不満ばっか。そういうのは我慢できないよねェ?」

「済まない、ボス。悪気はなかったんだ」

「もういいよ、君の責任は奥さんにとってもらうから」

「でも、Mrフェイク!」

「気に入らないのかい? せっかく許す気になったのに」

「いや、そんな事は……感謝します」

「ま、この話はおしまいにしよう。奥さんが無事だとイイネ!」

「そ、そんな!」

 Mrフェイクに無線で脅される囚人にも、ジャッジ・ザ・デーモンは容赦なく背後に忍び寄っては静かに倒す。

「ちょっと、聞いてるの? しまいには怒るよ!」

 完全に気絶した囚人に、Mrフェイクは無線越しで怒る。

 

 そしてすぐ近くの曲がり角では、五人の囚人達が集まっていた。

 ジャッジ・ザ・デーモンは彼らに忍び寄ると、先ほど新たに装備したデーモンクローで、囚人の一人を引き倒す。

「ジャッジ・ザ・デーモンだ!」

 囚人を一人引き倒した事で、五人の囚人と乱闘が始まった。

 ジャッジ・ザ・デーモンは俊敏な動きで囚人達に続々と攻撃を浴びせて、時には倒れた囚人の上に馬乗りになって拳を振り下ろして完全に気絶させる。

 そんなジャッジ・ザ・デーモンの猛攻に、囚人達は何とか抗おうと手当たり次第に武器になりそうな鉄パイプやら機材を壁から引き剥がそうとする。が、ジャッジ・ザ・デーモンはそんな囚人達の隙を逃さず、果敢に攻めて反撃の手を許さない。

 拳や蹴りで完膚なきまでに囚人達を痛め付けたジャッジ・ザ・デーモンは、その後再び下水道を通る。

 と、赤いランプが点滅している方の地下下水道への道を通ってみようとするが、その扉は固く閉ざされていた。するとその扉の覗き窓からキラー・タートルの姿が。

「鬼の臭いがする……! 必ず、ぶっ殺してやる!!」

 そう興奮しながら覗き窓を殴り付けて、キラー・タートルは棲家である地下下水道へと消えていった。

 よくよく確認してみると、ジャッジ・ザ・デーモンが開けようとしていたのはキラー・タートルが棲家にしている地下下水道への道で、立ち入り禁止に指定されてた。

 

 改めて別の通路から地上を目指そうとするジャッジ・ザ・デーモン。そんな彼に通信でキャサリン・ルースが報告してきた。

「Drヤンを調査しました。銀行口座に多額の振込が。4月から先々月までです。振り込んだのはジョージ・グッドソンという人物です」

「なに? 本当にジョージ・グッドソンなのか?」

「え、ええ、そうですけど……知り合いなんですか?」

「ジョージ・グッドソン、Mrフェイクが良く使う偽名の一つだ。イニシャルがMrフェイクの本名ジャクソン・グレイシスと同じだろ」

「ああ、なるほど」

 Mrフェイクが偽名を使い、別人に成りすましてDrヤンの研究を支援していた事実を知り、ジャッジ・ザ・デーモンは足を急いだ。

 

 そんな地上を目指すジャッジ・ザ・デーモンの前に現れたのは、立体迷路のような下水合流地点だった。

 地上を目指す為、ジャッジ・ザ・デーモンはグラップネルガンでレンガで出来た高所へと上ろうと試みるが。

(ダメか。脆くてグラップネルガンが意味をなさない。地道に登るしかないようだ)

 なんとレンガが劣化して、脆くなっている為にグラップネルガンのかぎ爪が引っかからなかった。ジャッジ・ザ・デーモンはやむを得ず地道に下水合流地点を登る事に。

 そしてクライミングの要領で両腕の力だけで壁を登ったり掴んだりしながら地道に進んでいると、再びキャサリン・ルースから連絡が入る。

「待ってください。振込の件だけど、ヤンの方から拒否したみたいです」

「心変わりしたのかもな。だがMrフェイクは裏切り行為として許さなかった」

「だから自分からタナトス・アサイラムに戻ったのね。化学式を手に入れる為に」

「おそらくな」

 更に助走をつけて高所から高所へと伝って地上を目指すジャッジ・ザ・デーモンに、キャサリン・ルースが再び報告を。

「ヤンのメールをハッキングできました。目を引くのが二通。1通目は辞表、先週の日付です。逃げようとしてたんですね」

「2通目は?」

「Mrフェイクの脅迫メールです。中止を求める彼女を脅してます」

「なるほど」

「彼女だけじゃないです。家族の事も書いていますよ」

「怯えるのも無理はないな。今地上に向かっている、ヤンを探そう」

 そして何とか地上へと通じる出入口を発見し、ジャッジ・ザ・デーモンは其処から地上に出て行った。

 

 

 

[凶器と化した武装]

 

 立体迷路の様な構造の下水合流地点を登り、ジャッジ・ザ・デーモンはようやく地上へと出る事が叶う。

 が、地上であるタナトス・アサイラムでは、より一層多くの死人が続出し、守衛たちの死体が各所に転がっていたり、吊し上げられていた。

「ジャッジ・ザ・デーモンの事は心配無用。道々、サプライズを用意しているからね」

 そうして守衛達を惨殺して蔓延っている囚人達に、Mrフェイクが拡声器から言葉をかける。

「銃声がしても気にしないで。君たちに危険はないから、多分ね! 保険の内容を確認しておいた方が……おっと、失礼。君たちは未加入だったね!」

 更にMrフェイクが面白おかしく発言する様に、なんと本来守衛達が監視する為の警備塔にはスナイパーライフルを装備した狙撃手が配備されてた。

(狙撃手? 囚人たちめ、武器を手に入れたみたいだな)

 守衛達が装備していた最新鋭の銃器を囚人達が入手した様子にジャッジ・ザ・デーモンは一層警戒心を引き締める。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンはタナトス・アサイラム敷地内を探索できるように、警備塔にグラップネルガンで昇ると、そのまま静かに狙撃手の背後に忍び寄って狙撃手の口と鼻を押さえて窒息さえて気絶させた。

 更にジャッジ・ザ・デーモンは反対側の、もう一方の警備塔にも気付かれないよう接近し、グラップネルガンで上昇すると音もなく狙撃手の背後に忍び寄り、同様に静かに気絶させる。

 

 こうして二人の狙撃手を静かに倒したジャッジ・ザ・デーモンは、そのまま駆け足でDrヤンが向かった筈であるタナトス棟へと急いだ。

 だが、その道中。タナトス棟がある島の東側に通じる通路を通ろうとすると、ジャッジ・ザ・デーモンの目に天井に吊るされた救急救命士二名の無残な死体が飛び込んできた。

 しかもそこに、救急救命士達を惨殺して吊し上げた竹内/川井みき/島田一旗/植野直花/広瀬啓祐の五人がジャッジ・ザ・デーモンに迫る。

「殺してやる! ジャッジ・ザ・デーモン!」

 多勢に無勢でジャッジ・ザ・デーモンに襲い掛かる五人。だがジャッジ・ザ・デーモンは俊敏な動きで動き回りながら五人に攻撃しつつ痛め付けていき、同時に五人の攻撃を回避したり、足や腕の骨をへし折って反撃する。

両手に刃物を装備する竹内元教師の攻撃も、ジャッジ・ザ・デーモンは腕のブレードエッジで受け止めつつ、反撃して竹内を殴って気絶させる。

 最終的にジャッジ・ザ・デーモンは、最後に残った川井みきの頭を壁に押し付けて激突させて、五人全員を気絶させてしまう。

「ジャッジメント」

 五人の囚人を倒したジャッジ・ザ・デーモンはタナトス・アサイラム東側へと向かった。

 

 タナトス・アサイラムの東側区域にも、やはりスナイパーライフルを装備した囚人が警備塔に配置されていた。

「部下がどんどん減っていく。ジャッジ・ザ・デーモンが戻って来たみたいだね。警備塔に人を増やしておいたよん。万が一って事もあるし、気を付けないとね」

 Mrフェイクが拡声器からお喋りしてる間に、ジャッジ・ザ・デーモンは警備塔に配置された武装囚人を静かに制圧。

 それからジャッジ・ザ・デーモンは更にもう反対側の警備塔に配置されてる武装囚人を倒すべく、気付かれないよう静かにグラップネルガンで向かい側の警備塔へと飛び移る。

「君たちのフィードバックを乗っ取り作戦に活かそうじゃないか」

 タナトス・アサイラムに蔓延る囚人達に説き明かす様に喋るMrフェイク。その最中、ジャッジ・ザ・デーモンは向かい側の警備塔で武装している囚人を一人静かに倒した。

 最後に確認できるのは、目的地であるDrヤンが向かったとされるタナトス棟の入口その屋根上で待ち受けている二人の武装囚人だけだった。

 ジャッジ・ザ・デーモンは狙撃手に気付かれないよう、わざと迂回して狙撃手の視界に入らないようにする。そしてタナトス棟入口の屋根にグラップネルガンで飛び移り、屋根の端に両手の握力だけで掴んで息を殺しつつ、すぐ真上でスナイパーライフルを装備した囚人の足を引っ張って屋根から引きずり落とす。

「う、うわあっ!」「っ!?」

 ジャッジ・ザ・デーモンに足を掴まれて引きずり落とされた囚人は、その直前にジャッジ・ザ・デーモンによって足首に着けられたロープに宙吊りになって意識が低迷してしまう。

 そんな囚人の叫び声に気付いて、もう一人の武装囚人が駆け寄るが、既に其処にはジャッジ・ザ・デーモンは居らず、彼は両腕の力だけで屋根の端伝いに移動して狙撃手の背後に回る。

 そして遠くばかりを気にする狙撃手の背後に回ったジャッジ・ザ・デーモンは、静かに狙撃手を窒息させて気絶させるのだった。

「人質は丁寧に扱うんだよ。怪我なら良いけど、殺すのはナシだ」

 相変わらずMrフェイクのお喋りが聞こえてくる中、ジャッジ・ザ・デーモンは武装囚人二名が立っていたタナトス棟の入口屋根上方にある通気口の鉄格子をデーモンクローで外すと、そのまま内部へと侵入する。

 

 

 

[物色する囚人達]

 

 通気口を潜り抜けて、ジャッジ・ザ・デーモンはタナトス棟入口ホールへと出る。

 其処ではつい最近、タナトス・アサイラムに収監された八神飛鳥とレボルトの二人が会話してた。

「ここを出たらどうする?」

「もちろん! また新世界の神になる為に、聖龍隊に挑むつもりだ!」

「まだ神様気取りなのか……」

 レボルトの神様気取りの言動に、八神飛鳥は呆れ果ててしまう一方、ジャッジ・ザ・デーモンは彼らを注視する。

 注視すると、レボルトと八神飛鳥以外にもう一人、銃を装備している囚人が二人の側に立っていた。

 ジャッジ・ザ・デーモンは最初に銃を持っている囚人を倒すべく、滑空して武装囚人へと飛び蹴りを喰らわした。

「「うわっ!」」

 突然のジャッジ・ザ・デーモンの来襲に驚くレボルトと八神飛鳥。二人が驚く最中、ジャッジ・ザ・デーモンは飛び蹴りを喰らわした武装囚人の方を先に片付ける。

 銃を装備した囚人を片付けた後、ジャッジ・ザ・デーモンはレボルトと八神飛鳥の二人も連続で素早く攻撃し、殴り倒す。

 そして八神飛鳥は馬乗りになってから拳を振り下ろして殴り倒し、レボルトはハイキックで頭部を蹴り付けて気絶させた。

 

 三人の囚人を倒したジャッジ・ザ・デーモンは、階段を駆け上り、メインホールへと向かおうとする。

 が、メインホールへと続く扉は固く閉ざされており、先へと進行できなくなっていた。

 ジャッジ・ザ・デーモンは周囲を見渡して、真上の通気配管に気付いてグラップネルガンで上昇する。

 そしてその上で通気口を発見し、デーモンクローで強引に鉄格子を外すとその中を通ってメインホールへと侵入していく。

 通気口から出たジャッジ・ザ・デーモンは何とかメインホールへと辿り着く。

 だがメインホールには、十人ほどの囚人達が何やら手当たり次第に書物を物色して探索していた。

「何としても見つけ出せ! Mrフェイクを怒らせたら、俺たちがヤバいぞ!」

 どうやら囚人達はMrフェイクの指示で、Drヤンの化学式を探しているらしい。

(Drヤンの化学式を探しているみたいだな。さて、どうするか……)

 ジャッジ・ザ・デーモンは息を殺して手当たり次第に物色する囚人達を観察していると、あの二人の親子の姿も視認した。

「おい! この落ちぶれた王族親子! お前らもサボってないで、早く化学式とやらを見つけ出せ!」

「わ、解っているが……化学式とは、どんなものかもワシらには分からないのだが……」

「ウルサイわね! 王女である私に指図しないでもらえます? 平民の分際で……」

 囚人達に文句を言われているのは、このタナトス・アサイラムに収監されているオルトクレイ=メルロマルク32世とその娘であるマルティ=S=メルロマルクの親子だった。

 だが生意気な言動の親子に、周りの囚人達は同然ながら苛立ちを覚える。

「おい、王女様……いや、元王女様だよな? 女王である母親に見捨てられて、俺らと同じタナトス・アサイラムの住人に成り下がった分際で、よくもまあ未だに偉そうな口を叩けるもんだな……!」

「っ……ぶ、無礼ですわよ! あなた達、狂人と一緒にしないでほしいわ!」

 マルティ元王女が怖気付きながらも反論すると、囚人達は途端に不気味に微笑し出してマルティとオルトクレイに告げる。

「おいおい、な~~にが王女様ですか? このビッチが! 国からはビッチとかクズとかの二つ名を与えられた上で、追放された癖に……!」

「まあ、ビッチってのは合ってるかもな。マルティちゃんの性器、実に気持ち良かったでちゅからねェ……!」

 下種な笑みを浮かべて、マルティを強姦・輪姦した経緯のある囚人達の発言に、マルティはその時の事を思い浮かべて頭を押さえて泣きじゃくると、父であるオルトクレイが囚人達に怒鳴り返す。

「こ、この下種ども! よくも、我が愛娘を辱めおって……!」

 だが、怒鳴り返すオルトクレイにも囚人達は容赦しなかった。

「おうおう、元国王様がお怒りだ。それじゃ元国王様には平民である俺達の不満を真摯に受け止めてもらいましょうか」

 そう言うと、囚人達はオルトクレイとマルティ親子に暴力を振るい出した。

「うっ、や、やめるのじゃ……ぐはっ」「お、お父様……きゃあっ!」

 頭を殴られるオルトクレイの前で、娘であるマルティは着ていた囚人服を引き千切られて再び強姦されそうになる。

「やめてーーっ! いやーーーーっ」

「や、やめろ……、っ!」

「うるさいんだよ、爺さん。アンタは此処で娘が犯されるのを見てればいいんだ」

 悲鳴を上げて助けを求めるマルティ、彼女を見てやめるよう声を挙げようとするも殴られて黙らされるオルトクレイ、そんなオルトクレイを殴った囚人達はマルティを以前の様に強姦した上で集団で輪姦しようと囚人服を引き千切っていく。

 と、囚人達が集団でマルティを恥辱した上で強姦しようとした、その時。

 高所からジャッジ・ザ・デーモンが滑空してマルティを犯そうとしている囚人を蹴り飛ばした。

「ジャッジ・ザ・デーモンだ!」

 突然のジャッジ・ザ・デーモンの急襲に恐れ出す囚人達とメルロマルク親子。

 すると二人だけで姿勢を低くして逃げ出そうとするメルロマルク親子を見つけ、囚人達が怒鳴り散らす。

「お前らもやるんだ! 殺さなきゃ、こっちが殺される!」

 メルロマルク親子が戸惑っている最中、ジャッジ・ザ・デーモンは次々に囚人達を殴り飛ばして転倒させていき、同時に攻撃を回避して反撃に転じる。

 拳を振り回すだけでなく、俊敏な動作で鋭い蹴りも囚人達に浴びせていくジャッジ・ザ・デーモンは瞬く間に現場を制圧していく。

「そろそろ死ね! ジャッジ・ザ・デーモン!」

 と、囚人の一人が椅子の足でジャッジ・ザ・デーモンを殴り付けようと襲い掛かるが、ジャッジ・ザ・デーモンは振り回された椅子の足を奪い取って逆にそれで囚人の頭部を殴り付けて気絶させる。

 時には怪力で囚人を持ち上げて、持ち上げた囚人を別の囚人達へと投げ付けて一掃する。

 そしてほぼ全ての囚人達を片付けたジャッジ・ザ・デーモン。だったが、そんなジャッジ・ザ・デーモンに彼の背後からマルティが椅子を持ち上げて殴り掛かろうと迫る。

 しかしジャッジ・ザ・デーモンは背後の気配でマルティが持ち上げた椅子を奪い取ると、そのまま椅子をマルティの頭上に振り下ろして殴り付けた。木製の椅子はバラバラに粉砕し、マルティは完全に気を失う。

「わ、わわわ……」

 そして最後に残ったオルトクレイがその場から逃げようとするが、ジャッジ・ザ・デーモンはそんなオルトクレイにグラップネルガンを射出し、その先端のデーモンクローに掴まれたオルトクレイはジャッジ・ザ・デーモンの許へと引き寄せられ、そして最後は床に叩き付けられて全身に激痛が走った後にのたうち回って気絶した。

「ジャッジメント」

 囚人達に、マルティとオルトクレイの親子を撃破したジャッジ・ザ・デーモンは、再びDrヤンの捜索を再開した。

 

 そしてメインホールから西棟通路へと進行したジャッジ・ザ・デーモンの前に、此方に背を向けたまま二人の守衛に銃口を向ける【トリアージX】の飛城京児が目に入った。

「黙れ、女は何処だ?」

「知らない!」

「質問に答えろ!」

「だから知らないんだ、本当だ」

「死にたいようだな、女は何処だ?」

「どうせ此処から出られないんだぞ」「そうさ、お前ら負けさ」

 飛城京児の背後に忍び寄るジャッジ・ザ・デーモンを目視して、二人の守衛は勝気になる。

 そうして飛城京児の背後に忍び寄ったジャッジ・ザ・デーモンは、そのまま飛城京児の腹部を両腕で捕らえると素早くバックドロップで痛め付けて一発で気絶させた。

 すると完全に気を失った飛城京児が装着してる首輪が突然不気味な笑い声を発し出した。

「この首輪……なんなんだ?」

 突然笑い声を発する謎の首輪を見て、ジャッジ・ザ・デーモンが不思議がってると守衛が説明してくれた。

「その首輪はスーサイド・カラー、不慮の事故防止用の首輪だ。変な話、患者用の自殺防止首輪でもある訳さ」

「スーサイド・カラー?」

「心拍数を計れるんだ。下がりすぎると、医療班が駆け付ける仕組みさ」

 スーサイド・カラー、別名自殺防止首輪から発する不気味な笑い声にジャッジ・ザ・デーモンが戸惑っていると。

「君たちも鳴らしてみるかい? ボクの部下達がお迎えに行くよ。あ~~、今はダメだった。キャッシュを教育中なんだよ。ボクはサプライズを大切にする主義だから、君が向かってるのは内緒にしておいてあげるよ」

 スーサイド・カラーの警報音に気付いたMrフェイクは、そう言い残してテレビ画面から伝え終わるのだった。

「キャッシュが奥に。彼を助けてやってくれ」

「分かった、此処で待っててくれ」

 ジャッジ・ザ・デーモンは守衛達にこの場で待機するよう言い残すと、アーロン・キャッシュを救出するべく先へと急いだ。

 

 

 

[笑い出す首輪]

 

 そしてジャッジ・ザ・デーモンが到着したのは、タナトス記録室と呼ばれる収容者の記録を保管する部屋だった。其処には背を向かい合わせた状態で椅子に縛り付けられているアーロン・キャッシュを含んだ二名の守衛が囚われていた。

「もう一発、ぶん殴ってやれ!」

「くっ……この程度で吐くものか」

「Mrフェイクに連絡しろ、コイツが口を割らないと」

 どうやら囚人達はDrヤンの居所をキャッシュの口から割らせようと躍起になっている様子。

 ここでジャッジ・ザ・デーモンは、高所のガーゴイル像に飛び移って、室内を徘徊する囚人達を観察。すると囚人は全員で六名、しかも全員が銃を装備している上に例のスーサイド・カラーを首に装着していた。

(参ったな。武装しているだけでも厄介なのに、気絶させたら警報音が鳴る首輪を装着しているとは……慎重に行動しないと)

 スーサイド・カラーを装着した上で武装している囚人達を観察してると、拡声器からMrフェイクが記録室の囚人達に告げる。

「キャッシュを吐かせるんだ。Drヤンとノートを探すんだよ」

 Mrフェイクの監視も続く中、ジャッジ・ザ・デーモンは記録室の上部各所に設置されているガーゴイル像の上を飛び移りながら囚人達を一人ずつ片付ける。

 そして一人の囚人に狙いを付けたジャッジ・ザ・デーモンは、ガーゴイル像の上から真下へと急降下して、ガーゴイル像の真下を徘徊してた囚人を捕まえる。

「おい、放せ!」

 ガーゴイル像の上へと引き上げた囚人が騒ぐ中、ジャッジ・ザ・デーモンは囚人の両足にロープを装着させてガーゴイル像の上から落とす。

「うわあーーっ!」

 ガーゴイル像の上から奇襲された囚人は、そのままガーゴイル像の真下に宙吊りになってしまう。

「た、助けてくれ……」

 騒ぎを聞きつけ、他の囚人達が駆け付けた時にはジャッジ・ザ・デーモンは既に別のガーゴイル像に移動した後だった。

「降ろしてやるからな! ジャッジ・ザ・デーモンを始末した後で!」

 そう宙吊りにされた囚人に告げる別の囚人。だが次の瞬間、遠くからジャッジ・ザ・デーモンはジャッジラングを投擲して囚人を吊るすロープを切断。そのまま囚人は真下へと落下するが、その時真下にいた囚人と激突して二人とも完全に気絶してしまう。

「どこだ……どこにいる? クソッタレが!」

 恐怖で混乱する囚人達は残り四人。すると一人目と二人目が伸びているガーゴイル像の真下から離れたところで、物音を立てずに着地したジャッジ・ザ・デーモンが静かに囚人の一人に忍び寄る。そして一瞬の内に囚人を窒息させて意識を奪った。

「ちょっと頭数を数えてみよう! 減ってないかい?」

「聞いたか、今の!」

 残ってる三人の囚人達は、Mrフェイクの助言と鳴り響くスーサイド・カラーの警報音で三人目も倒された事に気付くと、急いで警報音が鳴り響く三人目の許へ急ぐ。

「おい、しっかりしろ! おい!」

 気絶してる三人目を見て、囚人達は更に怯え出す。

「ち、散るんだ! 早く鬼野郎を見つけだすんだ!」

 幸い、囚人達は連携が取れてなく、各自散り散りに散って各々がジャッジ・ザ・デーモンの探索を再開する。

 すると一人の囚人が梯子を上って、部屋の二階部分に移動するのだが、此処でガーゴイル像の真下に移動したのをジャッジ・ザ・デーモンは見逃さなかった。

「うおっ、離せ!」

 先ほどと同様に囚人をガーゴイル像の上へと引き上げると、ジャッジ・ザ・デーモンは問答無用で手を離した。

「うわあああっ!」

 こうしてジャッジ・ザ・デーモンは四人目の囚人もガーゴイル像に宙吊りにして気絶させる。

「!?」

 その叫び声を聞いて、五人目の囚人が駆け付けると、ジャッジ・ザ・デーモンはその五人目に目掛けて滑空して飛び蹴りを喰らわして転倒。そして素早く頭部を殴り付けて意識を奪う。

「こ、この!」

 そのジャッジ・ザ・デーモンへ最後に残った囚人が銃を乱射。ジャッジ・ザ・デーモンは素早く本棚の陰に隠れる。

「ジャッジ・ザ・デーモン、よく聞け! お、俺に近付いてみろ……この守衛を撃ち殺すぞ! いいか! 本気だからな!!」

 銃を乱射した囚人は、キャッシュに銃口を向けるが、その手は恐怖で震えていた。

 すると本棚の陰に隠れたジャッジ・ザ・デーモンは、その場でジャッジラングを手にすると、身を潜めたままジャッジラングを投擲してキャッシュに銃口を向ける囚人の顔面に直撃させる。

 ジャッジラングが顔に直撃して転倒した囚人が目を回していると、そんな囚人に飛び掛かるようにジャッジ・ザ・デーモンが襲撃する。

「うわあああっ!!」

 囚人が断末魔を発した直後、ジャッジ・ザ・デーモンが最後の囚人の顔面を殴り付けて完全に気絶させた。

「ジャッジメント」

 六人すべての囚人を倒したジャッジ・ザ・デーモンに、椅子に拘束されている二人の守衛のうち一人であるアーロン・キャッシュが声をかける。

「こっちだ、ほどいてくれ!」

 アーロン・キャッシュの嘆願を聞きつけ、ジャッジ・ザ・デーモンは駆け寄ると手早く縄をジャッジラングで切断してキャッシュたち守衛二人を救出した。

「すまんな」

「Drヤンはどこに?」

「オフィスに逃がした。連中が探していたからな」

「ドクターの研究はオフィスにあるのか?」

「恐らくな、必死の形相だった。オフィスはあっちの方だ」

「いつ頃だ? Mrフェイクより先に研究ノートを確保したい」

「20分……いや、もっと前だ。そんなに大事なものなのか?」

「Mrフェイクが狙う程のものだ。此処に居てくれ、探してくる」

「了解だ、俺は無線で応援を。誰かいるといいが」

 キャッシュと話し終えたジャッジ・ザ・デーモンは、Drヤンの事務所へと向かうため北通路へと進行する。

 しかし北通路の先は、あいにく扉に鍵がかかっているのか開錠できず別の道を進むことに。

 そして探索の末、ジャッジ・ザ・デーモンはまたしても通気口からDrヤンの事務所へと向かう事に。

 すると、通気口を通っているジャッジ・ザ・デーモンにMrフェイクの声が拡声器で届いてきた。

「やあ、デーモン。ノートを探しに行くのかい? 奇遇だねェ、ボクの部下もなんだ。そんなこんなで化学式はボクがいただくよ。もう諦めなよ。結局は、無駄な努力なんだからさ」

 だがジャッジ・ザ・デーモンの信念が曲がる事なく、彼は迷う事無く通気口を通ってDrヤンの事務所へと辿り着いた。

 

 Drヤンの事務所に到着したジャッジ・ザ・デーモンは、通気口の出口から事務所に入る為に出入り口前で扉に体当たりしている囚人達を見かける。

 囚人は三人、そのうち一人が銃を装備していた。

「くそ、開かねえ!」

「待て、次で開くかもしれねえ」

「さっきもそう言ったよな」

「ボスに言ってくれよ。開かねえって」

「バカか、そんなこと言えるか」

「見てろ、こんなのすぐだ。……くそ、やっぱダメか!」

「黙ってろ、こっちも必死なんだ!」

 事務所内に入れずに困惑している囚人達を見下ろし、ジャッジ・ザ・デーモンは銃を装備している一人の囚人に向かって滑空して飛び蹴りした。

「ジャッジ・ザ・デーモン!」

 突然の奇襲に他の二名の囚人が戸惑う中、ジャッジ・ザ・デーモンは飛び蹴りを喰らわした囚人に跨り、拳を振り下ろして完全に気絶させてた。

 そして他の二名の囚人にも、ジャッジ・ザ・デーモンは回し蹴りや拳を振り下ろしたりと、激烈な打撃を浴びせて意識を奪う。

「ジャッジメント」

 三人の囚人を倒し終えたジャッジ・ザ・デーモンは、Drヤンの事務所出入口が完璧に閉ざされている現状を確認する。

(この奥がオフィスらしいな。だが……扉が開かない様だ。別の入口を探そう)

 ジャッジ・ザ・デーモンは事務所入口付近の、研究用の死体安置室内にある通気口をこじ開けて中へと侵入。そのまま通気口内を通って事務所内へと侵入する。

 

 

 

[指紋を追え]

 

 事務所内へと侵入したジャッジ・ザ・デーモンは、開きっぱなしの金庫を視認する。

(金庫が開いている……いったい誰が?)

 次にジャッジ・ザ・デーモンが着目したのは、正規の出入り口である扉。

(こじ開けた形跡はない。番号を知っていたようだ……)

 暗証番号を知っている人間が室内に入って金庫を開けた様子に、ジャッジ・ザ・デーモンはDrヤンのパソコンをハッキングして、室内の監視カメラの映像を確認する。

(どれ……)

 映像に記録されていたのは、Drヤン本人が金庫を開ける様子だった。

(なるほど、Drヤン本人か。Mrフェイクに見つかる前に、隠し場所を変えたようだ)

 Mrフェイクなどの犯罪者ではなく、Drヤン本人が化学式の隠し場所を移した様子にジャッジ・ザ・デーモンは一安心。

 しかしこのまま放置しておけば、いづれはMrフェイク達の手に化学式が渡ってしまう可能性を危険視したジャッジ・ザ・デーモンは調査を開始する。

(痕跡を辿れば、ノートが見付かるかもしれん)

 Drヤンが移動した化学式が書かれた紙面を追跡するべく、ジャッジ・ザ・デーモンは捜査スキャンを用いて金庫の扉に注目する。そこにはDrヤンの指紋がくっきりと残っていた。

 早速ジャッジ・ザ・デーモンは通信士のキャシーに報告する。

「キャシー、Drヤンの指紋を見付けた。ビジョンを調整して、新しい指紋だけを辿れるようにした。上手くいけば、本人かノートが見付かる筈だ」

 ジャッジ・ザ・デーモンはビジョンを調整して、60分以内の指紋だけを辿れるようにした。

「成功を祈ってます。ところで市街地で爆弾が発見されたそうです。中身は大量のお菓子と子猫だったけど」

「やはりな、それは陽動だ。アイツの目的はタナトス・アサイラムにある」

 そうキャシーに報告すると、ジャッジ・ザ・デーモンは入室する際に通ってきた通気口を戻り、室外へと出ていった。

 

 そして通気口からジャッジ・ザ・デーモンが出ると、目の前の扉から続々と四人の囚人達が雪崩れ込んできた。

「Mrフェイクの言うとおりだ! 此処に居るぞ!」

 四人のうち、一人は鉄パイプを、一人は両手に鋭利な刃物を携えてジャッジ・ザ・デーモンに襲い掛かる。

 ジャッジ・ザ・デーモンは一人駆け寄っては殴り掛かろうとする囚人の腕を掴み上げ、そのまま顔面に強烈な打撃をお見舞いさせて転倒させる。

 更にジャッジ・ザ・デーモンへと攻撃を仕掛ける鉄パイプを持った囚人も、鉄パイプで殴り掛かれる瞬間に鉄パイプ奪い取って相手の囚人の脛を蹴り付けて悶絶させる。

 と、そこへ両手に刃物を携えた囚人が切り掛かってくるが、ジャッジ・ザ・デーモンはブレードエッジで受け止めつつ、間髪入れずに反撃して刃物の囚人も殴り倒した。

 そこへ先ほど転倒された囚人が襲い掛かってくるが、ジャッジ・ザ・デーモンはその囚人の顔に回し蹴りをお見舞いして気絶させる。

 残った三名の囚人も、今までと同様に拳や蹴りなどの打撃を浴びせて蹴散らし、最後は頭部に衝撃を与えて意識を失わせた。

(さて、Drヤンのノートを追跡しなければ……)

 四名の囚人を倒したジャッジ・ザ・デーモンは、Drヤンの化学式が書かれた紙面を追跡するべく行動する。

 

 そしてジャッジ・ザ・デーモンは西館通路へと出て、Drヤンの指紋を追跡していく。

 通路に横たわる多くの死体を目視しつつ、ジャッジ・ザ・デーモンは指紋を追跡してメインホールへと戻ってきた。

 メインホールから犯罪者の私物などが展示されている南通路を通過しようとするジャッジ・ザ・デーモン。

 だが南通路の曲がり角、図書室へと入室する為の扉の前に二人の囚人が立っていた。一人が武装、一人は非武装だった。

 ジャッジ・ザ・デーモンは曲がり角に身を潜めると、そこから素早くジャッジラングを投擲して銃を装備している囚人の頭部に直撃させる。

「うわっ!」

 ジャッジラングが顔に直撃して、銃を装備している囚人は銃を落としてしまうと同時に床に転倒する。

 そこにジャッジ・ザ・デーモンが素早く飛び掛かり、もう一人の非武装の囚人に攻撃。この囚人が倒れた直後、先ほどジャッジラングが直撃した囚人に跨り、拳を振り下ろして気絶させる。

 そして最後にジャッジ・ザ・デーモンは残ったもう一人も痛め付けて意識を奪った。

 

 二人の囚人を倒したジャッジ・ザ・デーモンは、すぐに図書室へと入るのだが、其処でも多くの囚人達がDrヤンの研究用ノートを探索するべく物色していた。

「! ジャッジ・ザ・デーモン!」

 すると一人の囚人が図書室に入室してきたジャッジ・ザ・デーモンに気付き、図書室を物色していた多くの囚人達がジャッジ・ザ・デーモンを取り囲んで襲い掛かる。

 総勢六人の囚人達に包囲されたジャッジ・ザ・デーモンは、慌てる事無く冷静に囚人達を痛め付けていく。

「タナトス図書館へようこそ。トラウマな出来事! 殺人事件! 人がおかしくなるには十分な資料だ」

 ジャッジ・ザ・デーモンが囚人達と乱闘する最中、そんな乱闘を監視カメラで観戦しているMrフェイクは面白おかしく喋り出す。

 飛び膝蹴りで相手の顔面を打ち付け、両手に刃物を持つ囚人の攻撃をブレードエッジで防ぎつつ反撃して転倒させるジャッジ・ザ・デーモン。

 一人ひとり確実に囚人達を痛め付けて気絶させていくジャッジ・ザ・デーモン。最後は朦朧とする囚人にご自慢の頭突きをお見舞いさせて気絶させる。

 囚人達を倒したジャッジ・ザ・デーモンに、スピーカーからMrフェイクが祝福する。

「おめでとう! 階段を降りて人質を助けてあげてよ」

 言われた通り図書室の階段を降りて地下1階の空間に移動するジャッジ・ザ・デーモン。

 するとジャッジ・ザ・デーモンの目に、地下1階の出入口付近に爆弾と共に拘束されている医療スタッフ二人が飛び込んできた。

 ジャッジ・ザ・デーモンは二人を助けようと電子ゲートを潜ろうとするが、その前に電子ゲートがロックされて進入する事ができなくなってしまう。

「まったく、イライラしちゃうね。そんな簡単な訳ないでしょ、今夜の教訓はゼロなのかい?」

 そんな立ち往生するジャッジ・ザ・デーモンに、Mrフェイクは嘲笑しながら説明した。

「2分で毒ガスがモクモク、みんな絶頂に達して……そして死んじゃう!」

 ジャッジ・ザ・デーモンは巨大な箱から毒ガスが噴出される前に、どうにかして地下1階のフロアに向かう術を探す。

 するとジャッジ・ザ・デーモンは、1階と地下1階を隔てる床が美しいガラス細工で作られている事に着目する。

(このガラスの床を突き破れば、下のフロアへと移動できる。が、強靭で分厚いガラスだ。爆破ジェルでも破壊できないだろう)

 そう考え込むジャッジ・ザ・デーモンが、ふと上を見上げてみると、図書室の天井には巨大なシャンデリアが吊るされている事に気付く。

(……やむを得ない、アレを使おう)

 何かを閃いたジャッジ・ザ・デーモンは、グラップネルガンで上の階へと上昇し、更に通気口を通って図書室の最上階そうシャンデリアと同じ位置に辿り着く。

 そして図書室の最上階で、ジャッジ・ザ・デーモンはジャッジラングで天井のシャンデリアを吊るすロープを切断し、シャンデリアを落下させて1階のガラス張りの床を強引に破壊した。

 シャンデリアの残骸の横に着地したジャッジ・ザ・デーモンに、椅子に縛り付けられている守衛と医療スタッフが助けを求める。

「ジャッジ・ザ・デーモン! 此処だ、縛られてて動けない!」

 ゆっくり慎重に毒ガスが仕込まれていると思われる箱に近付き、その箱を開けてみるジャッジ・ザ・デーモン。すると箱からは巨大なグローブが飛び出してきただけでガスも噴出されなければ爆発もしなかった。

 Mrフェイクのコケ脅しに唖然とするも、ジャッジ・ザ・デーモンはすぐに椅子に拘束されている守衛と医療スタッフを解放する。

「恩に着るよ、ジャッジ・ザ・デーモン。奴らはもういないのか?」

「もう大丈夫だ。何があった?」

「囚人共が雪崩れ込んできて……何かを探しているようだった。応戦したが、多勢に無勢だった。Drヤンが拉致されて……奴ら、ドクターの後を追って来たんだ」

 すると医療スタッフに続いて守衛もジャッジ・ザ・デーモンに話した。

「すまん、俺が来た時は全員縛られてた。Drヤンは……!」

 二人の拘束を解いたジャッジ・ザ・デーモンは、Drヤンの研究ノートの追跡を再開し、彼女の指紋を追って図書室内を探索。

 すると地下1階の本棚その中の一冊の本にDrヤンの指紋が付着しているのに気づいたジャッジ・ザ・デーモンは、その本を開いてみる。案の定、その本に筋肉増強剤GODの化学式が書かれたノートの切れ端が挟まっていた。

「キャシー、Drヤンの化学式を見つけた」

「やりましたね! と、言う事は……Mrフェイクの企みを阻止できたって事ですか?」

 ジャッジ・ザ・デーモンはノートの紙切れに爆破ジェルを付着させて、ジェルを着火させてノートの切れ端を焼失させる。

「アイツの事だ、そんな単純な話じゃない」

 

 無事にDrヤンが隠した筋肉増強剤GODの化学式を見付け出して焼失させたジャッジ・ザ・デーモン。だが、それを監視カメラで見ていたMrフェイクが騒ぎ出す。

「何てことをするんだ! 化学式を燃やしちゃうなんて。まったく、どうすればいいんだ」

 と、困り果てた様子のMrフェイクは、何かを思い出したかのように語り出す。

「待って。さっきザ・ハングリーがいたな。ガーデンから戻る時だ。彼ならDrヤンから聞き出せるかもしれないね。これは名案だね、デーモン!」

 Mrフェイクの発言に、ジャッジ・ザ・デーモンは急いで所長室に向かい、ザ・ハングリーからDrヤンを救出しに向かう。

 そして図書室から出ようとするジャッジ・ザ・デーモンだったが、なぜか図書室出入り口で謎の気体を吸い込んで咳き込んでしまう。

 

 

 

[小田原修司のトラウマ]

 

 図書室から出たジャッジ・ザ・デーモンの目の前に広がっていた光景。

 それは通路ではなく、乾いた固い大地に覆われた干からびた土地。

 其処は紛れもなく……中東の戦地だった、今は既に滅亡したイスラム国の戦場だった。

 

「狙撃班! イスラムの連絡係を担っている兵士を狙撃して始末しろ!」

「し、しかし上官! 連絡係は、まだ子供……少年兵ですよ」

「それがどうした! 敵に情報伝達させる訳にはいかない。いや、それ以上に上官の命令に従えないというのか!」

 戦場を徒歩で移動して情報を伝達する少年兵を狙撃するよう命じる上官からの指示に、兵士達が戸惑っていると。

「俺が撃ちます」

 当時、まだ国連所有の人間兵器として戦っている若かりし小田原修司が狙撃を志願した。

「小田原修司! ……伝令兵を撃ち抜けるのか」

「経験があまりありませんが……やれるだけ、やってみます」

 そう若かりし小田原修司は上官に伝えると、国連軍から支給された特別製の対戦車ライフルを構えて、500mほど先の少年兵に狙いを定める。

「お、おい……あの子はまだ、10歳にも満たない子供なんだぞ! いくらなんでも……!」

 若かりし小田原修司が狙撃態勢に入っていると、最初に上官から少年兵狙撃を命じられるものの躊躇ってしまってた兵士達が修司の行動に激しく戸惑う。

 すると若かりし小田原修司は、戸惑っている兵士達と命令を下した上官に聞こえるよう語った。

「ここは戦場だ。常に生死の境が曖昧な、誰であろうと一瞬で死んでしまう無情の戦場……それ故に、戦場にいる命は全て平等に接しなければならない」

「平等だと……?」

「ああ、戦場にいる以上、どんなに強い存在だろうと一瞬で死んでしまう。俺も、あんた等も……当然、上官あんたも」

「!!」

「俺は戦場で生きている以上、対等に敵兵をも撃ち抜く。生きる為に、生命に感謝しつつ………………命を、奪う」

 次の瞬間、修司は対戦車ライフルの引き金を引き、特大の銃弾を少年兵である伝令兵目掛けて撃った。

 修司が放った対戦車ライフルの銃弾は、少年兵に直撃。少年兵は余りの威力に跡形もなく粉々に吹き飛んだ。

『………………………………』

 平然と、そして冷徹に対戦車ライフルという人間相手に撃つべきではない武器で、しかも年端も行かない少年兵を狙撃して粉々に吹き飛ばした若かりし小田原修司の行為に誰もが一瞬唖然とする。

「……よ……よくやった! 小田原修司!」

 そんな修司の狙撃を目の当たりにし、上官は一瞬唖然としつつも修司の戦果を称賛した。

 だがしかし、そんな若かりし小田原修司の冷徹な行動と独特の価値観を理解せず、若かりし小田原修司の陰口を話す様になる兵士達。

「いくら上官からの命令とはいえ、迷う事無く……それも年端も行かない少年兵を狙撃するなんて」

「しかも、本来は戦車を破壊する為の対戦車ライフルで撃ち殺すなんて……」

「威力が高すぎて撃ち殺された少年兵の体、木っ端微塵に吹き飛んじまったっていうぜ」

「戦場では誰でも死ぬからって……どういう思考をしてるんだ?」

「アイツに人の心はないのかよ」

「いや、それ以前に心というものが欠落していないか」

 命令通りに少年兵を狙撃した若かりし小田原修司を、誰もが称賛しないどころか陰ながら恐れられる様になる。

 無論、若かりし小田原修司自身もまた、自分の弱い部分を押し殺して殺傷していた。

 だが、そんな若かりし小田原修司の思考を誰も理解してくれず、そんな中で着々と上官の命令を聞いて殺傷を続ける若かりし小田原修司は自分が殺していった人命の成れの果てを脳裏に焼き付けて忘れる事ができずにいた。

 対戦車ライフルで粉々に撃ち抜いた兵士など、無残な戦場の死体を脳裏に焼き付けた小田原修司は、おそらく死後もまた永遠にその深層心理に苦しみ続ける事だろう。

 

 そして若かりし小田原修司が扉を潜り抜けると、先ほどの対戦車ライフルを右腕に装備していた兵士だった頃の姿ではなく、現在のジャッジ・ザ・デーモンとしての姿に戻ってた。

 ジャッジ・ザ・デーモンは謎の空間を駆け抜け、立体迷路のような迷宮へと助走をつけて飛び移っていくと。

(うっ、なんだ……!?)

 突如ジャッジ・ザ・デーモンの頭を片頭痛が襲い、彼が立っている立体迷路の奥から、あの巨大なナイトメアが再び姿を現したのだ。

 ジャッジ・ザ・デーモンは、ナイトメアに見つからないよう慎重に歩を進めていく。

 ナイトメアの視界に入らないよう、ナイトメアが遠くの別所を監視している内に駆け足で進行するジャッジ・ザ・デーモン。

 時おり、柱の陰などに身を潜めてナイトメアの監視を掻い潜る道中、ジャッジ・ザ・デーモンはデーモンクローでコンテナボックスを高所から引き落とし、その陰に隠れながら先へと進む。

「ふふふふ……はははははッ」

 不敵に笑うナイトメアの監視を掻い潜り、ジャッジ・ザ・デーモンは墓地らしい場所へと辿り着く。

 するとその地面に巨大なナイトメアが右手に装備している五本の注射器具を突き刺して、地中から無数の骸骨たちを出現させてジャッジ・ザ・デーモンと戦わせる。

 ジャッジ・ザ・デーモンはナイトメアに見つからないよう、陰の中で骸骨達と乱闘して次々と打ち倒して木っ端微塵にしていく。

 と、全ての骸骨を倒し切った時、何処からともなく鐘の音が鳴り響き、巨大なナイトメアが何処かへと行ってしまう。

 この隙にジャッジ・ザ・デーモンは駆け足で先へと進んでいくのだが、そんなジャッジ・ザ・デーモンに巨大なナイトメアが告げた。

「お前の心はガラスの様に砕け散る!」

 隠れながら進行するジャッジ・ザ・デーモンは、上の方へと登りながら進んでいく。

 そして再び墓地のような場所へと行き着くと、そこでも巨大なナイトメアが注射器を地面に差して大勢の骸骨を出現させてジャッジ・ザ・デーモンと戦闘をさせる。

 素早く全ての骸骨を倒し切ると、再び今度は近くで鐘の音が響いて、巨大なナイトメアが離れていく。

 すると高所を上がって粋と、巨大な歯車が目に付き、その先には巨大な振り子が行く手を阻んでいた。

「お前の心を壊してやる……!」

 巨大なナイトメアの監視を潜りながら、ジャッジ・ザ・デーモンは巨大な振り子をタイミングを見計らって通過し、更に上を目指す。

「逃げられないぞ!」

 そして巨大なナイトメアの視線を避けつつ、ジャッジ・ザ・デーモンは駆け足で頂上へと急いだ。

「目に映る全ては、何もかも私の思うまま!」

 目から光線を放ち、視界に入ったジャッジ・ザ・デーモンを逃がさないと意気込む巨大なナイトメア。

 だがジャッジ・ザ・デーモンは、幻覚に打ち勝ち、頂上の魔鳥のシグナルに到達する。

「おお、そこだったか」

 それと同時に巨大なナイトメアに見つかるが、ジャッジ・ザ・デーモンは巨大なナイトメアに向けて魔鳥のシグナルを照射。巨大なナイトメアは瞬く間に光に打ち消されて消滅するのだった。

 

 ジャッジ・ザ・デーモンが意識をはっきりさせ、幻覚に打ち勝つと其処はいつの間にかメインホールの時計、その歯車が並ぶ天井に立っていた。

「誰かジャッジ・ザ・デーモンを見かけたかい? ちょっとちょっと、誰か一人ぐらい見てないのかい? 黒くて紅い目が大きい、問答無用で襲ってくる怪人だよ。誰も見てないって? それは良かった!」

 突然監視カメラの視界から姿を消したジャッジ・ザ・デーモンに、Mrフェイクが気にかけていた。

 一方でジャッジ・ザ・デーモンは鐘が吊るされている天井て出口が見付からず困惑していた。

 困り果てたジャッジ・ザ・デーモンは、仕方なくジャッジラングを構えて巨大な鐘を吊るすロープに狙いを定める。

(すまない……)

 心の中で謝罪したジャッジ・ザ・デーモンは、脱出するために釣鐘を吊っているロープを切断した。

 ロープが切れると、巨大な鐘は真っ逆さまに落下し、壁に激突を繰り返しながら轟音を発して床上へと落下した。

 鐘を落とした事で出来た空間から脱出できたジャッジ・ザ・デーモンは、天井から一気に床へと急降下し、床に激突する前に速度を緩めて舞い降りる。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンはDrヤンの救出に向かう為、東棟通路へと急いだ。

 

 

[Drヤン]

 

 東棟通路に出て、左に曲がるとその先の扉の前に囚人が一人待ち受けていた。

「通れるもんなら通って見ろ、黒焦げにしてやるぞ!」

 囚人は、本来守衛が装備している電撃をお見舞いするスタンバトンを手に持っていた。

 ジャッジ・ザ・デーモンは囚人が振り翳すスタンバトンを回避するため、囚人の頭上を跳び越えて背後に素早く回って背中から囚人を攻撃。そして囚人が倒れた隙に跨り、頭部を殴って気絶させた。

 と、ジャッジ・ザ・デーモンがスタンバトンを持った囚人を倒した直後、タナトス・アサイラムのテレビ画面にMrフェイクが映った。

「おや、其処に居たんだね。待ってたんだよ、ドクターの悲鳴を聞きながら。やっぱりザ・ハングリーはやるねェ。で、ナイトメアとはどうだった? 話してみてよ、聞いてあげるから。聞くと言えば、ボトッて音がしたね。ザ・ハングリーがドクターの耳でも切り落としたのかな」

 これを聞き、ジャッジ・ザ・デーモンは急いで所長室へと入室する。

 そして所長室に入ったジャッジ・ザ・デーモンの目に飛び込んできたのは、Drヤンを締め上げながら彼女にナイフを突き立てるザ・ハングリーの姿だった。

「そこにいろ、ジャッジ・ザ・デーモン! 言う事を聞かないなら、ドクターを切り刻む!」

「お願い、誰か助けて!」

 Drヤンの悲鳴が響く中、ジャッジ・ザ・デーモンは二人を追う。

 そして所長室のフロア中央でDrヤンを人質に籠城し出すザ・ハングリーは、ジャッジ・ザ・デーモンに告げる。

「こっちに来てみろ、一瞬でこの場が食肉解体場に変わるぞ!」

 悲痛なDrヤンの悲鳴が乱れ飛ぶ中、ジャッジ・ザ・デーモンはザ・ハングリーを刺激しないようフロア入口の角に身を潜めて待機。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンは右手にジャッジラングを持ち構えて、ザ・ハングリーの頭部にジャッジラングを直撃させる機会を待つ。

「もうすぐ聞かせてやろうか。この女が食肉に変わる絶叫を!」

「いやっ、いやあっ」

 泣き叫ぶDrヤンを盾にしつつ、ジャッジ・ザ・デーモンが此方へと来ないか時おり顔を覗かせるザ・ハングリー。ジャッジ・ザ・デーモンはこの瞬間を狙ってた。

 ザ・ハングリーがDrヤンの顔から、自分の顔を覗かせた瞬間、ジャッジ・ザ・デーモンはジャッジラングを投擲してザ・ハングリーの顔に直撃させた。

「ぐはっ」

 顔面にジャッジラングが直撃して転倒するザ・ハングリーは、意識が朦朧とする中なんとか立ち上がろうとするが。

 立ち上がろうとするザ・ハングリーの頭上目掛けて、Drヤンが側のデスクに置かれていた花瓶を持ち上げて、ザ・ハングリーの頭頂に叩き付けた。

 花瓶は割れ、中から溢れた水で上半身がずぶ濡れになったザ・ハングリーは頭に強い衝撃が与えられた事で完全に気絶してしまう。

「このモンスター! あんた達なんか、みんなみんな怪物よ!」

 完全に気絶したザ・ハングリーに、泣きじゃくるDrヤンが何度も何度も意識を失ったザ・ハングリーを殴り付ける。

「落ち着け、ドクター。もう安心だ」「……ごめんなさい」

 ジャッジ・ザ・デーモンはDrヤンを落ち着かせて、彼女をを立ち上がらせる。そして更に彼女を落ち着かせる為に、ザ・ハングリーを所持していた手錠で近くの机に繋げて拘束した。

「これで満足か?」

 ジャッジ・ザ・デーモンがDrヤンに訊ねると、彼女は涙でぐちゃぐちゃになった顔で何度か小刻みに頷いた。

 Drヤンを落ち着かせたジャッジ・ザ・デーモンは、彼女にタナトス・アサイラムで行った筋肉増強剤GODの研究について訊ねる。

「サングリエントに会った。此処で行われた研究も知っている」

「Mrフェイクに脅されて……お金は返すと言ったのに……」

「Mrフェイクに、自分を否定する意見は通じない」

「私の研究で、世界中をメチャクチャにするって……」

「筋肉増強剤も、化学式も、これで奴の手中だ」

「ガーデンに秘密のラボがあるの。所長の金庫にキーコードが」

 そう言うとDrヤンは所長の隠し金庫に歩み寄り、金庫を開けようとする。

「Mrフェイクは、他にどんな計画を?」

「分かる訳ないでしょう。話が支離滅裂なのよ、ここの囚人達は」

 と、Drヤンが金庫を開けた瞬間、クラッカー音と共に、赤いペンキでイタズラ書きされた金庫の内扉が紙吹雪を噴出する。

「え、そんな……!」「離れろ!!」

 動揺するDrヤンに告げるジャッジ・ザ・デーモンだったが、それも叶わず二人とも金庫の爆発で吹っ飛んでしまう。

 

 用意周到なMrフェイクの策によって仕掛けられた爆弾に吹き飛ばされ、意識が朦朧とするジャッジ・ザ・デーモンが瞼を開けると、目の前にMrフェイクの手駒である怪盗ジーニアスが現れる。

「可哀そうなDrヤン。MrFはチクリが大嫌いなんだよ」

 すると怪盗ジーニアスは引き連れた部下から所長が所持していたステッキを奪い取ると、同行させている拉致したハワード・ラグラフト所長に歩み寄る。

「チクリといえば」

 怪盗ジーニアスは拉致した所長の口を塞ぐガムテープを外すと。

「誰か、助けてくれ!」

 助けを求める所長に、怪盗ジーニアスは持っていた所長のステッキで強く所長の顔を殴り付けた。その際、ステッキが折れて先端の球体から液体が零れ出る。

「このお爺さん。まだボスのつもりみたいだね。それじゃデーモン、ボク達は行くから」

 と、怪盗ジーニアスは所長を引き連れて何処かへと去っていくが、同時に連れてきた囚人達に命じた。

「殴っても良いけど、程々にだよ。パーティの招待客なんだから」

 そう怪盗ジーニアスに言われた囚人達は、爆発で意識が朦朧としているジャッジ・ザ・デーモンを取り囲む。

 が、ジャッジ・ザ・デーモンは囚人達に取り囲まれると咄嗟に素早く立ち上がり、四人の囚人と乱闘を開始する。

 ジャッジ・ザ・デーモンは最初にスタンバトンを所持した囚人の背後に素早く回り込み、背後から囚人を攻撃して吹っ飛ばす。

 それから他の三人にも同様に攻撃を連続で当てていき、時には倒れ込んだ囚人を持ち上げて別の囚人へと投げ飛ばす。

 そしてジャッジ・ザ・デーモンは四人の囚人達を完全に叩きのめした後、植物園にあるGOD製造施設を破壊するべく通信士キャシーと通話する。

「キャシー、Drヤンが死んだ。セキュリティゲートの解除方法は? ガーデンに向かわなければ」

「ハッキングは無理ですよ、最新鋭の技術で作られているんですもの、しかも所長の生体認証だから余計に。暗号シーケンサーを使えば何とかなるかも」

「いや、既に破壊されている。所長から直接手に入れるしかない……怪盗ジーニアスを追跡する」

「了解、気をつけてください」

 ジャッジ・ザ・デーモンはすぐさま所長室を調査し、痕跡を探す。すると先ほど怪盗ジーニアスが殴り付けるのに使った為に折れたステッキの先端にある砕けた球体から溢れ出ている液体から、ハワード・ラグラフト所長のDNAが検出された。

 検出された所長のDNAを追跡し、ハワード・ラグラフト所長から生体認証を入手するべくジャッジ・ザ・デーモンは行動に移った。

 

 所長を追って屋内を進んでいくと、メインホールに三人の武装した囚人達が点在していた。

「なんだよ、まだやる気か?」「静かにしろ、お前ら」

 何やら銃を持ったレボルトと八神飛鳥が口論している所に、先輩囚人が黙るよう言ってた。

「怪盗ジーニアスが通ってた。なんで、あんなジジィと一緒に?」

「Mrフェイクの命令なんじゃないのか。それより、そろそろ黙ってろ」

「ケッ、落ち着けよ!」

 二人の会話に、先輩囚人は静かにジャッジ・ザ・デーモンを待ち受けるよう注意する。

 そんな三人のやり取りを真上のガーゴイル像から観察してたジャッジ・ザ・デーモンは、扉前を見張る先輩囚人の背後に静かに着地して、それから窒息させて静かに倒すと今度はジャッジラングを同時に二つ投げてレボルトと八神飛鳥の二人を同時に床へと倒れ込ませる。

「「うわっ!」」

 ジャッジラングを当てられ、床に倒れ込むレボルトと八神飛鳥の二人に、ジャッジ・ザ・デーモンは素早く駆け寄ると最初はレボルトの顔面を殴り付けて気絶させ、その直後に立ち上がった八神飛鳥に連続攻撃を浴びせて脳震盪を起こさせ気絶させた。

 三人の武装囚人を倒したジャッジ・ザ・デーモンは、所長の追跡を再開し、タナトス棟入口ホールへと出るとスピーカーから所長と怪盗ジーニアスの声が聞こえてきた。

「は、放すんだ。この泥棒娘」

「ボクは怪盗だって! そんなに悪い言葉を吐くなら、ママに代わってボクが教育しちゃうよ」

 そう言って、怪盗ジーニアスは所長を殴り付けてた。

 

 ジャッジ・ザ・デーモンはハワード・ラグラフト所長を保護する為にも、急いで所長を見つけ出さなければと屋外へと出るのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。