心優しい先生と過呼吸になる生徒達   作:黒巛清流

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おひさ


蒼森ミネ

「おはようございます先生」

“おはようミネ、今日はよろしくね”

 

今日の当番はトリニティの救護騎士団の団長、蒼森ミネだ。

彼女はとても綺麗好きらしく手をよくウェットティッシュで拭いている、最初は潔癖症だと思っていたけど別にそういうわけではないらしい。一度私が“触らない方がいい?”と聞いたら強く大丈夫です! と言われた。

 

いつものように書類仕事、相も変わらずとんでもない仕事が舞い込む部署である。

他の学園も結構仕事があるらしいけどそれは大丈夫なのだろうか。ここは私が書類仕事が結構得意だから仕事を貯め込むようなことは今まで発生してないけど。

 

黙々と書類を片しているミネをちらりとみる。

正義感と使命感が極めて強く、実直で生真面目。それが周りに聞いてみた彼女の感想だ。

だけど、私は少し違うと思っている。

もちろん、それも彼女が持っている一面なのだろう。だけども彼女は非常に不安定だ。

 

まず、彼女は人を傷つけることをひどく恐れている。いやもしかしたら本来の気質的には違ったのかもしれない。

彼女は恐らく本来戦闘で怪我人が出る前に制圧するタイプの子なのだろう。だけども何度か指揮をした時に気づいたけど…彼女は攻撃する瞬間、一瞬だけ手を止める。

そして戦闘が終わった後、自らの両手をじっと見つめ。ほっとしたような表情を見せる。

彼女が何を背負っているのかは分からない。だが、私からそれを聞くことはできない。

いつか、彼女が心を開いてくれるまで。私が先生でいられたらいいな。

 

 

 

 

 

「後続部隊は前衛と交代! 怪我人は補充要員と交換を!」

 

色彩、そう呼ばれる存在がキヴォトスに出現しトリニティ…いや、キヴォトス中は混乱に包まれた。

そんな中ミネは色彩に侵された機械兵器と部隊を率いて戦っていた。

完全に壊れるまで襲ってくる機械兵器達、疲れを知らないアレらはこちらの疲労などお構いなしに襲い掛かって来る。

何日も連続で戦い続け、隊員たちにも限界が訪れたころ…

突如機械兵器達が崩れ落ちた。まるで突然電源が落ちたように同時に機能停止したのだ

 

「いったいなにが…?」

 

真っ赤に染まっていた空も段々と本来の青に戻っていく、周りの隊員も困惑していた時クロノススクールの生徒によるニュースにより。シャーレのもう片方の先生が解決したということを知った

シャーレの、もう一人の先生

 

新しく作られたシャーレという組織には発足当時、二人の先生が赴任していた。

外で活動して交流などを行っていたアレと書類仕事などの内政を担当していた先生

ミネはどちらの先生とも関りがあった。通称アレと呼ばれている先生だった人間は、先生であることを理由に生徒へのセクハラ行為や違法薬物を生徒に使用しようとしていたところを発見され。ヴァルキューレに指名手配され逃亡していた

もう一人の先生にもそうなのではないかと伝聞が広がり周りの生徒から攻撃を受けたりしていたから何度か治療したことがある

 

「先生が…!」

 

それを聞いた途端ミネは走り出していた。

こういうと失礼になるが、先生は戦闘に出るべきではない存在だ

指揮をとるものというのもあるがそもそも前線にすら出てくるべきではないほどキヴォトスの人と比べて脆弱な肉体を持っていたからだ

だからこそ今回は隠れているとミネは思っていた

ミネはだからこそその報告を聞いた瞬間、己の疲労を無視して先生を探し始めた。

 

そして三日後…

 

「先生…!」

 

路地裏で壁に寄りかかっている先生を見つけ、ミネはほっと一息ついた

 

「先生、こんなところで寝ていたら体調を崩してしまいますよ」

 

反応がないためよほど疲れているのだろうとミネは運ぼうと先生を抱き上げようとする

 

「…先生、今までのことを謝罪いたします。なのでまずは怪我の治療を…」

 

ドサッ

先生を抱き上げようと体を持った瞬間。ぬるりと何かが滑るような感覚と共に、力なく先生の体が崩れ落ちた。

 

「…………え?」

 

ミネのそのような声と共に恐ろしく冷たい先生と自らの手を見た。

真っ赤……

先生から流れ出た血がミネの手を真っ赤に染め上げていた。

 

「              !!!!!!!!!!」

 

声にならない叫びが口から音のない叫び声として発せられた

なんで…どうして… これは血?

手が赤い 先生が死ぬ必要が?

私がいれば ナンデナンデナンデナンデ 先生は死ななかった…?

あ…あぁ…私が生きている意味は…?

 

 

 

 

 

“…ネ…ミネ!”

「…っ! ……すいません先生、ちょっとぼーっとしていたみたいです」

“ちょっと休む?”

「……そうですね、ちょっと失礼します」

 

ミネはそういいながら席を外しトイレへと向かった。

顔を洗い濡れた顔で鏡を見る、ひどい顔だ。無理矢理化粧でごまかしたやつれた顔。

視線を下し、自らの手のひらを見る。

 

真っ白な汚れのないはずの手のひら。視界がブレる。

真っ赤な血で染まった両手、幻覚と分かっていても血が滴る感触も臭いもあの時のまま再体験(フラッシュバック)される。

 

「-ッ!」

 

蛇口をひねり洗い流すように手を洗う。手なんか汚れてないのに、血なんてついてないのに。

どんなに洗っても、どんなに拭いても、どんなことをしても、この感覚は消えない。

 

あぁ…先生、今度こそ。必ず守ります

そのためなら敵は全て (ころ)します




・先生
本当にダメな時以外は見守ってくれる

・蒼森ミネ
時折両手が血で真っ赤になる幻覚をみるのでウェットティッシュが手放せなくなっている


先生
銃創 4か所、切り傷 28か所、打撲多数、致命傷なし

蒼森ミネ
敵対はしていなかったが深く関りもしなかった。第一発見者
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