心優しい先生と過呼吸になる生徒達   作:黒巛清流

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やあ、何かびっくりするぐらい筆が乗ったから書いたよ。

あと前回のカンナ。いつもの手記を乗せ忘れていたから書いておいたよ。


伊落マリー

「おはようございます、先生」

"おはよう、マリー"

 

今日はシャーレの仕事が一段落ついたらマリーから買い物に付き合って欲しいと連絡が来て待ち合わせをしに来たところである。ちょっと寝不足だが生徒のためを思えばなんとやらだ。

買い物自体は特に何事もなく終わった。マリーの距離が少し近かったぐらいだろうか。

その後はクレープを買ったり当てもなく出歩いたりしてみた。そしてベンチでのんびりと。

最近ちょっと寝れてなかったからかなんだかうとうとと…。

 

 

 

「先生?」

 

視線を向けると先生はうたた寝していた。さらりと顔を撫でる。

隈を隠すためのコンシーラーを付けている。少し無理をしていたらしい。

 

「先生…」

 

体を摺り寄せるように先生に軽く体を預ける。

もう傷もなく、味もしっかりと感じれるように戻ったこの体。先生を見るとあの時の過去が何度も頭の中で再生される。本来ならシスターとしてみだりに異性に近づくような真似はしちゃいけないのだろう。

でも大丈夫。

 

「だって…」

 

 

 

 

 

「大丈夫ですか…?」

 

トリニティにある大聖堂、そこ近くの林にてマリーは一人の男性を見つけた。

マリーは気づいた、最近色々と話題になっている先生と呼ばれる存在だと。

正実やティーパーティーからは関わらない方針と言われたがマリーは傷ついた男性を放っておけなかった。

マリーはサクラコに必死に頭を下げ大聖堂の一室にて手当をしていた。

 

"ありがとう、わざわざ匿ってくれて。でも大丈夫なの?"

「サクラコ様には許可を頂きました。そのような怪我の方を放っておけませんので」

 

どうやら先生は結構疲労していたようですぐに出ると言っていましたが無理矢理休ませることにしました。

どうせならと先生と話をすることにしました。なんでもないことや好きな物など。

するとすぐにわかりました。この先生は誠実でいい人だと。

何故このような方がキヴォトスの方々から非難を受けているのでしょうか…。

その後、先生は私に礼を言うとすぐに去って行かれました。何をしているのかは分かりませんでしたがとっても大事なことなのでしょう…

 

数日後、私は先生の噂を色々と耳にしました。

本当は二人いた、一人が悪いことをしていた。つまりもう一人も悪いやつだ。

などという噂、憶測だけで……。

…私の中に何か黒い感情が宿った気がした。頭を振ってその思いを振り払う

そして数日後、先生はまた近くの林に現れた。

 

「先生!?」

 

彼は腹部を押さえて血をにじませながら蒼い顔をしてそこにいた。

急いでいつもの部屋に運び医療箱を持ってくる、腹部を確認すると銃創があった。

彼は撃たれたのだ。弾は抜けているようだが止血がまだ甘い。

薬を塗り、包帯を巻きなおし。発熱しているので氷嚢を乗せる。

間違いなく重傷だ。救護騎士団を呼んだ方がいいのだろうかとおろおろしていると私の手を掴まれた

 

"すまない伊落さん…他の部の子は呼ばないでほしい…"

「え、私の名前…」

 

私は会話をしたが名乗ったことはなかった。だが先生は私の名前を知っていた。

聞いたら先生は生徒達の名前を全て覚えているらしい。あんなに色々言われていたのに全ての生徒を…。

結局、私だけで先生の看病をすることにした。本当ならサクラコさんやヒナタさんなら呼べるはずだった。でも、呼ばなかった。

何故呼ばなかったのかは分からない、だけどもきっと。彼のいい所は私だけが知っている。と優越感を覚えていたのかもしれない。

先生が眠ると同時。私は調理室に向かい急いで簡単な物を作った。

といってもおにぎりだけだし急いで作ったから塩は多く振ってしまったし形も不格好だけど…。

戻ると先生がちょうど目を覚まし体を起こそうとしていた。急いで正解だった、きっと私が来なかったらすぐにでもここから去っていただろう。

 

「先生…っ! まだ動いちゃ…!」

"ごめんね伊落さん。でも私は行かないと…"

「…でしたらせめてこれを食べていってください」

 

私はおにぎりを差し出した。少し不格好なおにぎりを三つ。

先生はそれを見ると嬉しそうにそれを受け取った。

 

"ありがとう、早速いただくよ"

 

そういうと先生はすぐにそれを口に運んだ。笑みを浮かべており見ているこっちも嬉しくなる

 

"ふっくらしてて温かくて美味しいよ"

「少し塩を入れ過ぎてしまって…」

"疲れていたから塩味が効いててとても美味しい"

 

食べ終えるとふぅ、と息を吐いて"ごちそうさまでした"と言ってくれた。

本当ならもう少しゆっくりしてて欲しいけど彼はこういう時意地でも進むタイプだという事は理解した。

 

「また…来てくださいね」

"…そうだね"

 

そう言って先生は去って行った。

食べてくれた空の皿を見て思わず口元が緩む、そして片付けようと調理室に向かうとヒナタさんがあわあわと混乱していた。

 

「どうしたのですかヒナタさん?」

「あ、マリーさんごめんなさい~!」

 

そう叫ぶヒナタさんの手には先ほど使っていた塩と砂糖の瓶を持っていた。

どうしたのだろうと首を傾げていると。

 

「砂糖と塩を入れ間違えてしまいました~! どうしましょう~!」

「……え?」

 

その言葉に震えながら空の皿に指をなぞらせ口に含む。

甘い……砂糖だ。

でも…だって…

『"疲れていたから塩味が効いててとても美味しい"』

思わずふらつきそうになったが気を持ち直す。

次に…会った時に…聞かなければ…

 

 

 

 

だが、その日以来。先生が大聖堂に来ることはなかった。

 

「主よ…どうか先生に救いを…穏やかな明日を…!」

 

最近、祈る時間が増えた気がする。

先生の無事を祈る。キヴォトスに色彩というものが訪れ、空が赤く染まり。戦力に乏しい私は祈りを捧げていた。

ふと、意識を掠った。先生はどうしているのだろうかと。

冷や汗が溢れる。私達と違い、銃弾一発で死に至る可能性がある先生がこの戦いに…?

 

「主よ…! 先生の背負う責任を少しでも…!」

 

強く、強く祈る。どうか先生に無事でいてほしいと。また会って言葉を交わそうと…。

 

 

 

色彩が終わった、空は青に戻り生徒達は歓喜の声を上げる。シスターフッドでも喜びの声が上がっていたが私は祈りを続けていた。

この事件は先生が解決し、そして行方不明になってしまったことがニュースで伝えられたからだ。私は探しに出ることも出来ずひたすらに祈りを捧げていた。信じる者は救われると。どうかと縋り付くように

 

「あぁ、主よ…どうかお願いです…!」

「私の身はどうなっても構いません。ですから、どうか……!」

「どうか先生をお守りください…! お願いします…! 先生を…!」

 

寝食すら曖昧になるほど私は先生の無事を祈り続けた。

私にはこれしかなかったから

主ならきっと先生を救ってくださると信じていたから

 

そして三日後

 

先生が死亡したという情報を、知った。

 

 

 

 

 

ガァンッ!

 

大聖堂でデザートイーグルの音が響く。

一度聞こえた後、何度も何度も。音にして八回

マリーはとあるものに向けて銃を放っていた。

 

カチッ、カチカチッ

 

弾が切れても引き金を引き続け、ギリッと歯を食いしばると持っていた銃を放り投げた。空間に重い音が響く。

マリーはふらりと銃を放った物……砕け散った神像へと…歩を進め。

顔に当たる部分を持ち上げる。

 

「私は…祈り続けていました」

「声も…私の話も」

「聞こえていたはずです」

 

見開いた目から涙を流しながら無表情に神像の破片に声をかける

みしりと、その手に力が入り。マリーは声を張り上げた。

 

「ちゃんと聞いているのですか!!!!

私の話を!!!

 

「マリー…!?」

「サクラコ…様…」

 

銃声を聞きつけたのかサクラコがマリーの元へとやってきた。サクラコはその惨状に目を伏せる。

マリーは持っていた神像の欠片を落としサクラコの方へと振り向く。

サクラコはその様子を見てマリーをぎゅっと抱きしめた。サクラコも静かに涙を流す

マリーは力無くサクラコに体を預け、ぼそりと消え入りそうな声で呟いた。

 

神様なんていない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・先生
最近ちょっと無茶しただけで普段はちゃんと寝ている

・伊落マリー
多分ちょっとラインを超えると闇落ちテラー化する


先生
塩のことを伝えられるまでは味に言及してない

伊落マリー
信じる者がすくわれるのは足元だけなんだよ
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