或る潜入捜査官の手記~LostTechnology組織アルカトラズ編より   作:アツ氏

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あとがき(と土下座、及び非公式設定の出典等)

 どうも、こんにちは。しがないいちロステクプレイヤーのアツ氏と申します。このたびは拙作『或る潜入捜査官の手記』を読んでくださって誠にありがとうございます。

 先月の中ごろに『亡国の剣』を書きはじめてから、調子に乗って三作目まで取り掛かって、今日でだいたい一ヵ月半です。とりあえず個人的な事情で、十二月になる前に全部書き終えられてよかったなーと、ほっとしております。細かい直しとか加筆とかは、また気が向いた時にぼちぼちやろかと思いますが。

 さて、今回の主人公のハンクという男、ロステクプレイヤーで最後まで読んでいただけた方には分かると思いますが、厳密にはオリキャラではなく、かなり脚色はしていますが、アルカトラズ編冒頭の半モブの人を想定して書いております。それを言ってしまうと物語のラストの壮絶なネタバレになってしまうので伏せる必要があったわけですが、書いている間、あー、人物像掘り下げたって結局はあーなるのよねー、と落ち込むこと多々あり、終盤内容が重くなるにつれて、気分も重くなりまして、あとがきを書いている今も若干やさぐれ気味であります。

 話の内容は前作『うら若きクリステルの悩み』とリンクしており、前作のクライマックスで起こった猟奇事件の真相を追って、クーニッツ騎士団の特殊工作員ハンクが、疑惑の犯罪組織アルカトラズに潜入するという流れになります。

 とにかくエレクトリスを罪人の街として描写するために、ゲーム中で明かされてない部分を、私の貧弱な想像力で懸命に補ったわけですが、結果としてオリジナル設定が多くなってしまい、それをいいことに若干趣味にも走ってしまいます。ほとんど原作レイプと言ってもよい状態です。土下座です。本当にごめんなさい。

 エレクトリスは考えれば考えるほど本当に面白い街で、アルカトラズのボス、コルラードはマフィアらしくイタリア風の名前ですが、所在地は極寒のシベリアを髣髴させますし、多種族混交で暮らすという点では、治安の悪い開拓時代のアメリカのようでもあります。

 ですので、それに倣って設定を広げていって、例えば~番街という区画区分はニューヨークを参考にしたり、敵対するマフィアの名称はイタリア人名から取ったり、コルラードの屋敷の『死の家』という蔑称や『黒い犬は洗っても白くならない』というイラーリオの言い回しは、ドストエフスキーのシベリア流刑に関するルポから引用したりと、いろんな要素をつぎはぎしています。成功しているかどうかは微妙ですが。

 趣味という点で言えば、特殊工作員ハンクのキャラは、ハードボイルドということで、当初スペースコブラと探偵神宮寺三郎(どっちも古いな)を足して二で割って、粗暴にした感じというコンセプトで組み立てていましたが、結局は、ツンデレで、不器用で、ウブで、ムッツリスケベで、お人よしで、センチメンタルな、およそ特殊工作員に向かない性格の男になってしまいました。作者が女々しい人間なので、どうしてもクールなタフガイという感じにはいきません。慣れないことはするもんじゃないですね。ちなみにハンクという名前は、文体の参考にしたチャールズ・ブコウスキーの短編に登場するヘンリー・チナスキーという人物と、バイオハザード2に登場する特殊部隊員ハンクに由来しています。(ハンクを誘惑するアダという女性の名前も、バイオシリーズに登場する女エージェントのエイダ、あるいはバイロンの戯曲における人類最初の殺人者カインの妻アダ、誘惑を象徴する生物である蛇としてのadder、色気という意味でのあだっぽいとか、仇になるとか、いろんな意味を含ませています)彼の行く末は決まっているので、せめてそれまでいい思いをさせてやりたいと考え、ぺトラと仲良しということになりました。書き始める直前に、ちょうどアガハリ様が描いたすっばらしいぺトラのイラストが新着してたので、それに触発されたというのもありますけれども。

 でまあ、そんな風に出来上がったハンクというキャラを、イラーリオやぺトラをはじめとしたアルカトラズの面々と絡ませながら話を進めていったのですが、中にはエレクトリスの住人じゃない奴も出てくるわけです。ええ、あいつです。この作品で私が最も言いたかったこと。それは『アーツが強くて何が悪い』ということです。

 うそです。それじゃ某格闘漫画の人みたいですね。しかし、半分くらいは本音で、アーツ君はそのピーキーな性能と、マスケット編でのうだつの挙がらなさから、完全にネタキャラとして不動の地位を確立してしまい、彼のことが大好きな私は、ひそかに悔しい思いをしておりました。ちょっとぐらいかっこいいエピソードがあってもいいのに、と思い、前作を書き終えた後、アーツ君の武者修行物語と、今作と、どっちを書こうか迷いましたけれども、結局、前者は先行きがまったく見えないので没にいたしました。その名残として、今作の第三話、第四話があります。格闘シーンを書いていて、やっぱりアーツ君武者修行物語にしなくて良かったな、とほっと胸をなでおろしたものです。若いころにほんの少しかじった武道や、某ムエタイ映画、中国拳法漫画などを参考にしましたが、やはりああいう臨場感を文章だけで表現するのは難しいというか、不可能です。絵が描けたら迷うことなく漫画にするのですが、残念ながら私は絵がド下手ですので、こうしてクドクド説明臭い文章とポエムで話を作るしか能がございません。それにしたって下手の横好きですが。

 それはそれとしても、作中でアルカトラズのキャラ全部登場させられたし(ウィッシュボーン先生は名前だけになってしまいましたが)、今回も個人的欲求を満たすための二次創作としては、自己満足の域には達しました。そういやもう一人、アルカトラズじゃない人物を登場させましたが、あの砂漠のお兄さんは、王子が成長するまで十年以上、諸国を旅して回ったということで、ひょっとするとエレクトリスにも立ち寄ったんじゃないかなあ、と考え、思い切ってコルラードさんと絡ませた次第です。この展開に反感をもたれる方もいらっしゃるかもしれませんが、ひとつ断っておくと、別に私としては、こういうことがあったはずだ、と主張している部分はひとつもなく、こんなことがあったかもしれない、という可能性と妄想の寄せ集めだけでこの作品は成り立っていますので、それくらいの一歩引いたスタンスで読んでいただけると、ありがたく思いますです。はい。

 ちなみにコルラードさんが口にする詩ですが、あれは旧約聖書のコヘレトの言葉、古くは伝道の書と呼ばれた一連のアフォリズムからの引用です。ネタ探しに新共同訳聖書をざっとあさっていたら、まさしくロステクの世界を象徴するような文が目に留まったので、初老の域に達した男に喋らせると哀愁があっていいかもしれん、と思って使わせてもらいました。他には、第六話でハンクが口ずさむ下品な歌も、十七世紀の無名詩人の手によるもので、フランスの作曲家フランシス・プーランクが曲をつけています。前作の赤ずきんやウェルテルと同じく、そうした文化が、ロストテクノロジーとして伝わっているかもしれない、と思って引用した次第です。

 仕事の関係でクラシック音楽に触れることが多く、そこからの引用も数多いです。アルド・プロッティ、エットーレ・バスティアニーニ、ハンス・ホッターは実在したバリトン歌手、オーリックはプーランクと同じくフランス六人組という作曲家集団の一人で『ローマの休日』の音楽を手がけた人です。カヴァティーナは声楽の楽曲形式の名称。床屋を主人公にしたのは『セビリャの理髪師』というオペラからヒントを得ており、プロッティ三兄弟のバルバロ、バロルド、ベルトルドという名前は、上から野蛮人、ど阿呆、抜け作、という意味で同オペラの台本に出てくる誹謗中傷の台詞です。バルバロが関西弁なのは、ボクシングの亀田三兄弟をモデルにしたからです。だから末っ子が最強です。

 とりあえず、最後まで書けてよかったなと、思うことはそれだけです。書き始めたからには責任をもって完結させなければなりませんので、ハンク君には悪いですが、着実に最後まで進めさせていただきました。おかげで軽い神経衰弱です。何でもかんでも勢いで始めてしまう性格は、自分の首を絞めますのでよくありません。

 さて、年の瀬も徐々に迫ってきており、ゲームの大幅アップロードが待ち遠しいことこの上ないです。なんと声優さんによるボイスもつくということで、大変楽しみです。いちプレイヤーとして、進化してゆくロステクに今後も目が離せません。

 最後になりましたが、あらためて、読んでくださった皆様、原作者のCB-SXF6様 、そしてロステクのすばらしい世界に感謝いたします。どうもありがとうございました。

 

    2014年11月29日

                              アツ氏

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