中務キリノの護りたいもの   作:馬刺しユッケ

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やっぱ大将なんですわ
あの世界で信じれる大人かつ頼れる兄貴って希少すぎるんですよね


580円以上の優しさ

「ごめんってばアヤネちゃ〜ん、機嫌直して〜」

 

「怒ってません」

 

「はい、お口拭きますからこっち向いてください〜」

 

「赤ちゃんじゃないんですよ」

 

「アヤネ、チャーシューいる?」

 

「いたふぁきまふ」

 

私たちは会議を終えてから、アヤネさんに機嫌を直してもらうために、柴関ラーメンに来ています

でも、いろんな人に餌付けされてるアヤネさんは見てて少し面白いです

 

ガララッ

 

「あ…あの…」

 

「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

 

「えっと…ここ…600円以下のメニューってありますか?」

 

「でしたら、580円で柴関ラーメンが食べれます!うちの看板メニューなのでおいしいですよ!」

 

ガララッ

 

会話の一部始終を見ていると、ゲヘナ学園らしき制服を着た人が4人ほど入ってきた

 

「えへへっ、やっとあったね、600円以下のメニュー!」

 

「当たり前じゃない、この程度想定済みよ」

 

「さ、流石アル様です!」

 

「はぁ…」

 

「4名様ですね。お席にご案内します」

 

あまりこの辺りではゲヘナ学園の生徒は見かけない…というより、他学園の生徒は度々見かけるのですが…あんなしっかりした格好のゲヘナ生徒はあまり多く見かけません

この辺の生徒は大抵不良ですし、何よりどこかで暴れるとなった際、ゲヘナ生徒にとって最も自由に暴れられるのはそれこそゲヘナ学園だからです

なので少し気になりますね、杞憂だとは思うんですけど…

 

「それじゃあ、柴関ラーメン一杯よろしく」

 

「あ〜店員さん、お箸は4膳でよろしくね〜」

 

「一杯に4膳って…まさか一杯を4人で分け合うつもり!?」

 

思ったよりお金持ってないですね…

 

「ごっ、ごめんなさい!貧乏ですみません!お金がなくてすみません!」

 

「なっ、何もそこまで謝らなくても…」

 

「いっ、いえっ!お金がないのは価値がないのと同じ!生きる価値なんてない虫けら以下の存在ですみません!」

 

だいぶ卑屈な思考をしてる方ですね…他の人にいじめられてる人が陥りやすい思考です。しかもあの感じ、かなり重症ですね。他の3人からいじめでも受けてるのでしょうか…気をつけておきましょう

 

「ハルカ…うるさいよ。周りの人の迷惑になってる」

 

「そんなことないわ!」

 

「へっ?」

 

「お金は天下の回りものっていうでしょう?あまり持ってないだろうに、お金をかき集めてここに来てくれたんでしょう?それが大事なのよ!待ってて!今すぐ持ってくるから!」

 

セリカさんがまくし立てるように言い放ち厨房に戻っていきました

なんというかセリカさんらしいですね。お金に対して真摯に向き合ってるからこそ出てくる言葉だと思います

 

「なんか私たち勘違いされてない?」

 

「ん〜ここまで貧乏なことはあまりないんだけど…強いていえばアルちゃんの金遣いが荒いからかな〜」

 

「ちょっと!「アルちゃん」じゃなくて社長でしょう?ちゃんと肩書で呼びなさいよ」

 

「え〜でも今は仕事中じゃないじゃん。ところで、社長さんは部下にラーメン一杯も奢れなくていいの?」

 

「ぐっ…」

 

「明日の襲撃任務に投入する人員を雇うためにほぼ全財産使っちゃったし……」

 

「そうは言ってもラーメンはちゃんと食べれてるでしょ?」

 

「一杯だけじゃん、全員分は残しとこうよ…」

 

「ぶっちゃけ忘れてたんでしょ、ねぇねぇアルちゃん、夕飯代、忘れてたんでしょ?」

 

「依頼主の感じからして、そこらのヘルメット団じゃ相手にならないとは思うけど…そこまで厄介なの?アビドスって」

 

「えっ…」

 

アビドス襲撃…?しかも明日ですか?一体何時ごろから?依頼主ということは雇われ、傭兵や便利屋の類ですね…バックにいる存在がヘルメット団に引き続き新しく戦力を雇ったというわけですか…

もう少し、情報が欲しいですね…もっと向こうの様子を…

 

「いや、よく分かってないよ、だからアルちゃんビビっていっぱい雇っちゃったんだよ」

 

「ビビってなんてないわ!依頼の確実な成功のために最大限のリソースを割く!便利屋68のモットーよ!」

 

「初めて聞いた…そんなモットー…」

 

「今思いついたんでしょ」

 

『便利屋68』…どこかで聞き覚えがあるような…元々生活安全局の所属だったのが悔やまれますね…D.U.にいるならともかく他学園のそういう人たちは把握してません…温泉開発部とか美食研究会なら有名なので分かるんですが…

 

「お待たせしました!柴関ラーメンです!お熱いのでお気をつけて!」

 

ダンッ!

 

「ヒェッ、なにこれ!?ラーメン超大盛りじゃん!」

 

な、なんですかあの大きさは…器の2倍ほどの高さまでラーメンがそびえ立っています…

 

「見た感じ、ざっと10人前はあるね…」

 

「オーダーミスでは?こんな量を食べるお金…持ってませんよ…」

 

「いいえ、合ってるわ。柴関ラーメン並一杯、でしょ、店長?」

 

「あぁ…ちっと手元が狂っちまったが気にしないでくれ」

 

「そういうこと、さぁ、食べちゃいなさい。すっごくおいしいんだから!」

 

「こう言ってるんだし、食べちゃおうよアルちゃん!」

 

「えぇ…これは少し想定外だったけど、ご厚意に甘えて、いただくわ!」

 

ズルズルッ

 

「「「「美味しい…!」」」」

 

「でしょうでしょう!おいしいでしょう!」

 

あれ!?ノノミさん、いつの間に!?

 

「あれ?向こうの席の…」

 

「ここのラーメンは素晴らしいんです。ここに食べに遠くからいらっしゃる方もいるんですよ」

 

「その言葉も納得ね。いろんなところを駆け回ってきたけど、ここまで美味しいラーメンは今までなかったわ」

 

[………ねぇムツキ、あいつらの制服を見て]

 

[あれ、アビドスのやつらじゃん]

 

[それにあっち、あの大人とその横の生徒]

 

[ん〜大人の方はあんまりこっちを警戒してないけど、あっちの白髪ちゃんにはずっと見られてる気がしたんだよね]

 

「うふふっ、すごくいい店じゃない!気に入ったわ!」

 

[アルちゃんは気づいてないみたいだけど…]

 

[言っとこうか]

 

[ん〜ん、面白そうだし、このままで]

 

一瞬4人組の中の2人がこちらに目を向きました。観察してるのがバレたかもしれませんね…

とりあえず、食事が終わったら、便利屋68について少し調べましょう




アリウス新章、楽しみですけど構想が崩壊しないか恐ろしいですね
そもそもこのシリーズ、実は構想を考えたのはちょうど去年の今頃でして、その後のデカグラ新章で見事に設定が吹き飛んだので、少し怖いような…
まぁ、その100倍は楽しみなんですけどね
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