それにしてもまさかナグサ実装とは…石足りねぇ…
私がシャーレに所属してから数日経ちました
“やっぱり本当に補佐官でよかったのかい?今からでもどこかの学校に編入手続きでも…”
「先生、何度言わせる気ですか。私はこれでいいんです。ここが良いんです」
“そっか…”
といった感じで4時間に1回はこう聞かれる以外は特に変わったことはありません
目の前に先生がいてくれるだけで私は嬉しいんですから心配しないでほしいのですが…
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「こっちの書類は片付きました。ここに置いておきますね」
“ありがとう、シャーレって思ったより業務が多いんだね”
「動き出したばかりですし、しばらくしたら落ち着くと思いますよ」
そうして他愛もない雑談に花を咲かせているとと、先生のもとに一件のメールが届きました
《連邦捜査部の先生へ》
《こんにちは。 私はアビドス高等学校の奥空アヤネと申します。 今回どうしても先生にお願いしたい事がありまして、こうしてお手紙を書きました。》
《単刀直入に言いますと、今、私達の学校は追い詰められています。それも、地域の暴力組織によってです。》
《こうなってしまった事情は、かなり複雑ですが……。どうやら、私達の学校の校舎が狙われている様です。》
《今はどうにか食い止めていますが、そろそろ弾薬などの補給が底を突いてしまいます……。このままでは、暴力組織に学校を占拠されてしまいそうな状況です。》
《それで、今回先生にお願いできればと思いました。先生、どうか私達の力になっていただけませんか?》
“これは…”
アビドス高等学校かららの救援要請のようです
アビドス高校の皆様とはシャーレで何回か会ったくらいで関わりはほとんどありません
そういえば先生は就任して早々に砂漠に向かったと何処かで聞いた覚えがあります
ということは…
「キリノ、しばらくシャーレを留守にするから、よろしくね」
そう言うと思っていました
でも2つほど不満な点があります
「駄目です。私も行きます」
“えっ”
私は留守番をするつもりはありません
いつ何が起こるのか分かったものではありませんから
「先生、私たちと比べて先生の体は弱いこと、忘れてませんか?」
“覚えてるけど…”
「なら駄目に決まってるじゃないですか。それに私は補佐官です。補佐官がついていかなくてどうするんですか」
“確かに…”
そしてもう一つ不満な点は
「砂漠にその格好で行くつもりですか?」
先生の格好はビジネスシャツにスラックス、ペットボトルとシッテムの箱という、とても今から砂漠に行こうとする人の格好には思えません
「服装面はともかくとして、水分や食料はもっと持っていきましょう」
“はい…”
縮こまった先生を横目に携帯食料やペットボトル等をいくつかバッグに入れながら、話を続けます
「それじゃあ、行く前に少しアビドス高校の現状を調べておきましょう」
“あぁ、それなら私がやっておくよ”
「ありがとうございます」
その後、準備が7割ほど終えたタイミングで調べ終えたようです
“アビドス高等学校。昔はどうもキヴォトスで一番規模の大きい学校だったみたいだね。でも、頻発する砂嵐で街のあちこちが砂に沈んだ影響で生徒数が減っていった。今となっては在校生は5人だけみたい”
「5人だけですか…」
“うん、しかもどうやら借金もいくらか抱えてるみたい”
しかも手紙の内容が正しければ武装集団に襲われている、と言うわけですか。かなり厳しい状況ですね
“それに砂漠の規模も大きい…キリノに止められてなかったら野垂れ死んでたかも…”
「縁起でもないこと言わないで下さい。次から気をつけて下さいね」
“承知しました”
「はい、それじゃあ準備もできましたし、アビドスに向かいましょう」
“ありがとう、行こうか”
準備もしっかりしましたし、これなら問題なく着けるでしょう
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「ぜぇ…はぁ…先生…大丈夫ですか…?」
“なんとかね…”
完全に舐めてました。まさかここまでたどり着けないとは…アビドス自治区に着いてしばらくは良かったんですが、砂嵐の影響で建物や街の様子が変わっていたようで、地図がうまく機能せず、迷子になって1度夜を明かしています
ペットボトルもあと1本になり、その1本も水は残り2割も残っていません
「こんなことになるなら車とかを連邦生徒会に要請すればよかったです…」
“後悔先に立たず…と言ったところかな…”
朝、目を覚ましてから水を飲んでいないので、そろそろ先生に水を飲ませるべきですね
「先生、水です。飲んでおいてください」
“2人分もないじゃないか。キリノが飲むべきだよ”
「先生は体が弱いんですから、先生が飲むべきです」
“いやいや、キリノは生徒なんだから、キリノが飲むべきだよ”
「“ムムム…”」
結局、両者譲らなかったため2人で飲むことになりました
「まぁ、飲まないよりはマシでしょうか」
“はるかにね”
しかし、その後水の量が足りなかったようで、2人揃って倒れ込んでしまいました
「あ…れ…足が…うごかない…」
まさかこんなところで、終わってしまうのだろうか…
あれだけ護りたいと…護ると誓ったはずなのに…
そう考えてると…
「何してるの?」
救いの声が聞こえました
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「あなたは…?」
「砂狼シロコ。それより水分不足だから水飲まなきゃ」
「なら…先にはそっちの方に…」
なんとか助かりました。これで安心できそうです
「あ、待って、今からコップを…」
シロコさんの名札にある校章はこの間調べたアビドス高校のものでしょう
「待って、それ私も口つけたやつ…」
これならアビドス高校にもなんとか行けそうです
「あっ…」
なので背後から聞こえる不穏なやり取りは聞こえないフリをします
「シロコさん、少し顔が赤いですけど大丈夫ですか?」
「な、なんでもない…はいこれ、水」
なぜか顔の赤いシロコさんからコップに入った水を受け取りながら用件を話します
「すみません、私たちアビドス高校に用がありまして、連れて行っていただけないでしょうか」
水を飲んで回復したとはいえ、案内なしではこの先厳しいものがあります
できればお願いしたいところですが
「ん、いいよ。私も登校してたところだから、ついでに送ってあげる」
「ありがとうございます!」
そうは言ったものの
「先生、歩けます?」
“ちょっと厳しいかな…”
先生が歩けそうもありません。私も今から先生を背負う気力もないですし…どうしたものか…
「なら私がおんぶしていこう」
「いいんですか!?」
「うん、そのかわりそのロードバイク、あなたが押してきて」
「はい!やらせていただきます!」
「それじゃあ行くよ」
そうしてシロコさんは先生を背負い、私はロードバイクを押していきます
道中で半分眠ったような先生が汗のかいたシロコさんの匂いを嗅ぎ、“いい匂い…”と言っていたのは聞かなかったことにしました
ただ、私から言えることは、シロコさんの顔は赤かったということだけです
これ一度言ってみたかったんですよ
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