「ハァハァ」
父や妹と分かれてから約3年たった。父はジェラルド。妹はベレス。俺はベレトだ。
自閉症を患い、妹のベレスとは違って能力に差異がある。俺は近くのマフィアのお兄さんに構われて逃げる最中だ。
「ハァハァ」
コツンコツンと下水道を走る音は俺の足音だ。この街はアンヴァル。裏社会が蔓延る街だ。
綺麗で美しい街とは裏腹に裏社会では密猟、密造、窃盗、暗殺、売人、娼婦なんでもいる。
なぜ俺がここまで来たのかって?簡単な話、傭兵団から追い出されたからさ。
俺のような奴らは毎回、ここに来る。
「おっ!!メトジェイ頼む!!」
「おっ!ベレトこっちだ。」
「ベレトもう少しだ。こっちだ。」
「エイヴォルまでいるのか。助かる。」
エイヴォルは持っていた手斧を投げる。相手の首はチョンパだ。
「どうやら貴族に雇われたようだな。奴らは............!!」
「クソッタレが!!おいベレトどうするよ!?」
「そんなの等に決まっている!!メトジェイ、エイヴォル俺達の信条は!?」
二人は復唱する。
「汝己の剣を罪なき者に振るうな」
「ありふれた風景に溶け込め」
「兄弟を危険にさらすなかれ」
ベレトは止まり、敵の前に立つ。
「それが俺達、暗殺者の信条だ。決して誰かに縛られずましてや生きるためには相手を殺すしかない。だが市民と裏社会の人物とは差をつける。それが俺達だ。」
!!シュッ!!
剣を斬る音がしたかと思うと敵である人物が死んだ。
「わりいな。これも俺達が生き残るためだ。」
ベレトは一瞬考えながら
「エイヴォル金目の奴はあったか?」
と無表情で言った。
「こいつ、結構貯めていたみたいだ。ゼラン金貨300枚、ヴァルダ銀貨100枚だぜ?普通の金持ちじゃねえと思うぜ。」
とエイヴォルがベレトの前に見て言う。
と今度はベレトがメトジェイに向かっていう。
「メトジェイ、敵の仲間は?」
「残存部隊はいなさそうだ。」
「大方、気絶しているぜ。死んだ奴もいそうだけど生きている奴は尋問して吐かせるか?」
ベレトは頷きながら言う。
「その方が効率的だろうな。誰に雇われたか、仕事は何だったのか、なんで俺達が狙われたのか。」
「とりあえず捕縛してアジトに帰るぞ。」
ベレト達のアジト
「おいおいユーリス。おまえ、何してるんだ?」
「ベレトの兄貴...........すみません。寝ていました。」
「ユーリスとバルタザールは尋問のプロだよな?」
「はい。尋問、脅迫、恐喝、扇動何でも得意です。」
「じゃあ、こいつ頼むわ。俺はちょっくら仮眠とってくる。」
「了解しました。」
「おっ!!メトジェイの兄貴、エイヴォルの兄貴。」
「ユーリス。心配かけてすまんな。」
「俺達は無事だがベレトの奴はちょっと疲れたみたいだな。」
「ベレトの兄貴、そんなに疲れているんですか?」
「うーん。みたいだな。昨日は睡眠せず昼夜仕事していたから無理もないだろうけどよ。」
「エイヴォルの兄貴はどうしたんすか?」
「いやベレトのおかげで金品を奪うことができたんだわ。」
「それをおまえたちにも山分けしようぜってことだ。」
「バルタザール、コスタンチェ、ハピ。」
「うーん。兄貴達、無事に帰ったんすか。」
「そうだな。俺達はいつかてっぺんを取るぞ。全てはうまくいく。ベレトの言葉だが...........。」
「メトジェイの兄貴...........」
「よう、ハピ後で算術教えるわ。」
ベレトの部屋
俺は孤児だったこいつらと自らつるんで「漆黒の救世主」を結成したがまさかの逆に人件費がかかるとわな。
まぁこいつらも結構、能力あるからよ。俺も伊達に何年こいつらに付き合ったと思っている。
逆に俺はあいつらの能力を買っているし、いいんだけどよ。あいつらにもっと自由を与えてあげれればいいんだが..........
俺はどこに向かえばいいのだろう。
「おいおまえら俺は出掛ける。ただ1人でだ。」
「なんで?」
「いやベレト、良いんだがどこに出掛けるんだ。」
「アンヴァルの宮城だよ。おまえらのことは俺も買っているし分かるけどよ。今回の仕事はリスキーだ。」
「わりいがメトジェイとエイヴォルもお留守番だ。」
朝になってベレトは出かけ始める。商人たちに交じってベレトが向かった先はアンヴァルの宮城である。皇帝が住まうという城に向かうのだ。
「今日は赤狼の節 4日か。それは多いわな。」
アドラステア帝国では今年、ファーガス神聖王国との会談があった。イオニアス9世とランベール国王がそれぞれ向かいあって会談している。
「俺には関係ねえか。でも今年もやっぱり王国は不作なのか。」
ファーガス神聖王国は寒冷地域にあり、長年、不作も相まってかアドラステア帝国からの輸入品に穀物や胡椒、トウモロコシなどがある。
アドラステア帝国の宮城に着いたベレトは兵士に変装して宮城の内部を洗った。ここに来た目的は情報である。アドラステア帝国でも唯一無二の宮城の情報は価値の高い決して安くない売り物になる。
そんなベレトだが気絶させた兵士が見つかり、警鐘が鳴る。
「危ねえ。ずらかるか。」
と言いながら上の方へ向かう。上なら兵士達は簡単にはできない。鎖帷子や鎧はかなり重いし、ベレトほど速いわけではない。
ベレトは走ったが走った先でイレギュラーが発生する。
「あなた...........何者?」
エーデルガルト皇太女か。厄介な存在だ。なんとかやり過ごそう。
「別に怪しい者ではありません。皇太女様、どうやら宮中に賊が発生したようで私共は捜索&調査を進めています。」
「そう、あなた名前は!?」
「ルークです。」
「ルーク。あなた平民なの?貴族なの?」
「殿下、恐れ入ります。私は平民出身です。」
「ルーク、どこへ行くの?」
「上です。賊は上に向かうでしょう。」
しっかり嘘と本当のことを混ぜて言うと後々、それが事実になることがある。監視カメラのない時代なら尚更だ。
「分かったわ。ルーク下がっていいわ。」
「はっ!!」
敬礼しながらベレトは上へ向かった。ベレトはその後、無事にアジトに帰り、宮中の情報を手土産にしたのだった。