紅い弓兵と戦姫 【凍結】   作:無機物

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えと、始めて投稿してみました。

誤字脱字などがあるかも知れませんが、よろしくお願いいたします。あと、改善点などがあれば教えて頂けると嬉しいです。


始まり

 

 

何もない、何も見えない空間に英霊エミヤシロウはいた。そして彼は今、再びサーヴァントとして呼び出されようとしていた。

何の前触れ無しに訪れるソレを感覚が伝えてくる。

 

 

 

あぁ、またか。

 

と呆れた声を軽く口から漏らし、あの時のような乱暴な召喚はないようにと祈る。

 

 

外れ(私)を引き当てるなんて何処の間抜けなのだろうかと、召喚されたら皮肉の一つや二つを言ってやろうと考えたところで、エミヤはその空間から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんでさ」

 

 

つい生前の口癖が出てしまった。エミヤが召喚された場所は木々に囲まれた森だった。風が吹くと、木々の葉が擦れてざわめいた。自分を召喚したと思われるマスターすらいない、まったく人気の感じない場所だった。

 

 

(乱暴な召喚でなかっただけましだと考えるべきなのか……いや、それを差し引いてもこの状況は不味いか……)

 

 

この場が森でマスターの姿が見えないのはこの際どうでもいいとしよう。これよりも重大な事があった。

一つ目に、サーヴァントとして召喚された筈の彼にクラスを与えられていなかった。そして彼の身体は受肉をしていた。今までに経験したことの無い原因不明の事態。自分の身に何が起きたのかエミヤには分からなかった。

 

そして二つ目

 

 

 

 

「グゥオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 

 

 

目の前に野生丸出しの獰猛な竜がいた。全長は7メートル程か、硬質で黒く艶のある鱗に包まれた翼の無い竜だった。

 

 

「これはこれは……翼の無い竜とは、ドラゴンと言うよりこれでは巨大なトカゲではないか」

 

 

エミヤの一言が気にさわったのか、ドラゴンは目の前のエミヤ(獲物)に食らいつこうと、その大きな口を開け突進して来た。

 

 

「フッ!」

 

 

その突進ををエミヤは高く跳ぶ事で回避。その後竜の背中に着地、竜の背中をを踏み台にまた高く跳ぶ。

突進を回避された竜は爪を地面に突き立て急停止を行い、木々を数本なぎ倒しながら突進の勢いを殺し止まった。

 

 

(しかし巨体な図体の割に動きが早いな。その上あの体にある硬質な鱗。あながち竜と言うのも間違いではないのかもしれんな)

 

 

竜からある程度距離を取り着地、透かさず弓と矢を投影し竜の目へ構える。竜は既にこちらを向いており、再び突進をしようと重心を下げ構えている。

 

 

「――目にするか。セイッ!」

 

 

竜の目へ向け矢を射放つ。放たれた矢は狙い通り竜の右目へ飛んでいった。どんな硬質な鎧で身を護ろうとも視界を確認する目は護れまい、とエミヤは考えていた。

 

しかし

 

 

「硬いな」

 

 

射放った矢は狙い通り竜の目に当たった。が、その矢は竜の目を貫く前に折れてしまった。それほどまでに竜の目は硬かった。

思いもよらなかった目の硬さにエミヤは表情にこそ出さなかったが驚いた。ただ驚いただけ。それ以上の情はない。

 

 

(目があそこまで堅いとは思えない。目に堅い膜でも張っているのか?)

 

――ならばと

エミヤは脚に力を込め先程よりも高く跳んだ。

 

 

「召喚されて何の役目も果たさぬ前に喰われて終わる訳にはいかんのでな、早々にけりをつけさせてもらう」

 

 

―――投影

 

呼び出すのは必中必殺の魔槍『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)』。敵の心臓に命中している事実を作った後に攻撃を放つ槍。

 

それが今、エミヤによって投影され具現化、紅い槍がその手に握られた。

 

 

「I am the bone of my sword」

 

 

――真名開放

その力を解放された魔槍ゲイ・ボルグが魔力を帯び更に紅く、強く光る。

 

 

「刺し穿つ――死刺の槍(ゲイ――ボルグ)ッ!」

 

 

ゲイ・ボルグを勢いよく投擲する。

投擲されたゲイ・ボルグは紅い直線を描き竜の硬い鱗を一瞬で突き破り、その心臓を貫いた。

 

魔槍に心臓を貫かれた竜は最期の咆哮をして絶命した。

 

 

 

 

 

「まったく、一体なんだったんだ……」

 

 

骸と化した竜を見ながらそう言うと、改めて周りを見渡した。見えるのは木、岩そんなものしかないただの森。

 

それにしてもと――

 

「……マスターとの繋がりも気配も無い。一体どうなっている?」

 

 

今のエミヤにはクラスを与えられていないが確かに召喚をされた。竜と交えた時も何の問題も無しに対処することができた。受肉こそしているがザーヴァントと何ら変わりもない。念のため魔術回路を確認するが全て正常に稼働している。

 

 

「何も分からない以上考えても無駄か……。取り敢えずは、私は今何処にいるのかを知ることが先か」

 

 

エミヤは自分が今置かれている状況を知るため先ずはこの森を抜けようと考え、この場を去った。

 

 

 

 

 

「これは戦の後か……」

 

 

竜に警戒しながら森を進んでいると1時間程で森から抜けることが出来た。森を抜けて見ることが出来たのは荒れた地と転がる無数の屍だった。

 

 

「一方的に敗戦したと見て良さそうだな」

 

 

森を抜け更に進むみ分かったことは屍となった兵の殆どが同じ形、色の甲冑を纏っていたこと。そしてその屍の殆どが同じ方向を向いて手元に武器が殆ど無かった。

 

 

「主力が尽きて敗走したところを殺れたといったところか。……もう少し先へ行ってみるか」

 

 

行く宛のないエミヤは取り敢えず屍の転がる地をもう少し進むことにした。

 

 

 

 

 

「意識はあるようだな……」

 

 

兵の屍が転がる地を歩き初めてから暫く経った時、一人生存者を見つけた。その一人は数人の死体の下敷きになった形で気を失っていた。

 

 

「う、ぅ………」

 

 

意識を取り戻した生存者は自分の上にある死体を退けると上半身を起こしエミヤを見た。他の兵とは違いその人は甲冑を身に装備していない。身軽な姿だった。

 

 

「見たことないが、あんた誰だ?」

 

 

警戒しながら尋ねてきた。どうやら致命的な傷もないらしい。冷静に事を対処しようとする様子を見て今すぐ武器を構える気はない様だとエミヤは見た。

 

 

「驚かせてしまって済まない。先ずは私には交戦する意思が無いということを分ってもらいたい」

 

 

「で、あんたは誰だ?」

 

 

直ぐに返事が帰ってきた。以外に落ち着いており、冷静に物事を判断することが出来ていた

 

 

「只の通りすがりさ名乗る程の者じゃない」

 

 

「ふざけているのか?」

 

 

「いいや、至って真面目さ。私も聞きたい事があるのだがいいだろうか?」

 

 

それを聞くと分かったと言い、首を縦に振った。それを聞いたエミヤは膝を曲げ腰を下ろし、目線を同じにした。

 

 

「ここで何が起きた?」

 

 

それを聞くと生存者の男は不思議そうにエミヤを窺い、警戒しながらも口を開いた。

 

 

 

 

「これが俺の知る限りで起きたことだ」

 

 

彼の話を聞いて知ったことは。まず、この戦は二万対五千の圧倒的な戦力さで起こった戦だと言うこと。

軍は二万の方がブリューヌ軍。五千の方がジスタート軍だと言う。

 

結果だけ言えばその戦はたったの半日で終わってしまった。これだけを聞けば誰もが二万の数を率いた方が勝ったと思うだろう。

 

 

――だが、違った。

 

 

戦はジスタート軍が勝利しブリューヌ軍が敗北に終わった。

二万対五千。この戦力の差を埋めることは出来る筈がない。

ならば何故か、それは戦が始まる前の夜、夜明けと共にジスタート軍が奇襲を仕掛けてきたことにあった。

奇襲を受け、混乱したブリューヌ軍を前方と後方とで攻めたて大軍相手に勝利したと言う。

 

 

そんな簡単にやれるものなのか?

 

 

奇襲を成功させたとしても二万と五千の戦力差で一気に瓦解させることは難しい。だが、その戦力差を引っくり返す程の力を持った者がジスタート軍にいたと言う。その正体は『戦姫』常に陣頭に立つ、16の若さにして軍の指揮官で更には常勝無敗の実力者とのことだった。

 

 

もういいだろうと言って生存者の男は立ち上がった。エミヤに背を向けその場から立ち去ろうとする。

 

 

「あと、戦姫ことだけど見れば分かるとだけ言っておくよ。戦場にいる女なんて戦姫しかいないからさ」

 

 

最後にそう言うと彼はその場から立ち去って行った。この場は戦場。いつまでもその場に留まっていれば危険に去らされるのだからその行動は当然のことだろう。

 

 

 

「戦姫か……恐らくは――」

 

 

男が走り去った方向の逆を向き、その遠くを見据える。遠くを見るエミヤの眼差しが捉えたのは五人の兵の一団。馬に跨がり移動をし、女性の兵を中心に護衛と思わしき兵が4騎。その距離約1キロ

 

 

「奴が戦姫と見て良さそうだな」

 

 

先の男が言っていた通り直ぐに分かった。あの陣列で動いていれば中心の人物は護衛する対象の者だと判断できる。更に中心にいる人物は女ときた。中心にいる彼女は戦姫以外の何者でもない。

 

 

(トレースオン)

 

 

弓と短剣を投擲、具現化する。

 

 

「戦姫、お手並み拝見といこうか」

 

 

短剣が光を放ち形を変え矢になる。矢を弓に番え、的(戦姫)を狙い、―――放った。

 

 

 

放たれた矢は狙い通り戦姫へ一直線に向かうが、当たる直前に気づいた戦姫が剣を振るって防いだ。そして戦姫が馬を走らせ向かって来た。走る馬の速さが通常よりも速い。

 

 

「……ここまでは上手くいったな」

 

 

これは鬼が出るか蛇が出るかの駆け引き。吉が出る可能性は低いだろう。失敗すれば戦姫と一戦交えることになる。

 

 

「どうなるかは戦姫の気分次第と言ったとこか」

 

 

手に持った弓を手放す。弓は地面に落ちると結晶の様に砕け、消えた。

近づいてくる戦姫を見据えるエミヤの口元は笑っていた。

 

 

 




こんな感じで進めていこうと思います。更新は早かったり遅かったりしますが、暇潰し程度に読んで頂ければと思います。

感想、意見などお待ちしております。
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