何とか続きを書くことが出来ましたが、時間があまりない中で書いたものですので誤字や脱字があったり違和感を感じさせてしまう部分かあるかと思います。その際にはお手数をかけさせてしまい恐縮ですが教えてくださると有りがたいです。
長い駄文申し訳ありませんでした。それではどうぞ!
そこは闇だった。
真っ暗で何も見えない闇。奥行きも分からなければ、そこに何があるかも分からないほど真っ暗で何も見えない。もしかするとそこは行き止まりの無いどこまでも続く空間なのかもしれない。それほどまでにそこは暗く、何も見えない不気味な空間だった。
だが、何があるか分からないが何も無いわけではない。そこは真っ暗ではあるが、確かに蠢く何かがそこにはある。そしてそこは血生臭い腐臭の様な臭いが漂っていた。
暫くして暗い空間に光が灯される。その光は奥行きの分からない空間では小さく、周りを照らせる程強い光ではなかった。
ただただ紅く、不気味な光だった。
その不気味な光は怨念に苦しむかの様に蠢き、力無く消えた。
その刹那、再びその光が灯る。
その光は消える前よりよりも強い。こんなところで消えるものか、そんな意思を持っているかの様に光は揺らぎ、動いた。紅い光は血管の血流のよう流れ、紅い線を引き円を描く。紅い線は枝分かれを繰り返しては繋がり、血管のように円の中に張り巡らせ、絵のようなものを描いた。
紅く、紅く光るその光は血。
張り巡らせた線は例えるなら血管。
そして描かれた絵はまさしく魔法陣。
暗い空間に現れた魔法陣は異様なまでの霊気を放ち漂わせ、不気味さを超え恐怖を覚えさせる。
突然風が吹く。微風ほどの弱々しい風だが、その風もまた異様。弱々しい微風はやがて旋風となり吹き荒れ、描かれた紋章は閃光の光を閃かせ
轟、と大きな音が鳴り響いた。
紋章の閃光が終わり、風が止み、異様な雰囲気を漂わせた紋章も死んだように光を失った。
だが、その代わりに別のものがそこにはあった。そしてそれもまた奇怪で異様なもの。
「……ほう、『奴』が言った通りになったな。半信半疑でやってはみたがまさかな。何はともあれ、ようこそ」
それへ向け誰かが声をかける。いつのまにいたのか将又そこに最初からいたのか、それは誰にも分からない。その人は一歩、また一歩とそれへ歩み寄り
「ようこそ同胞よ」
その人は手を差し伸べ、歓迎した。
稽古場での一件から一晩が経ち、今日と同時刻の昼前にエミヤはエレオノーラに呼び出された。
稽古場での騒動の後、エミヤは許された範囲内の敷地を軽く歩き回ってから部屋に戻りその日を終えた。
昨日と同じ時間に同じ場所を通ったが、一晩が経った事と昨日の一件のせいか周りの彼を見る視線は別物になっていた。彼にとって気にすることでもなかったが、何人かの兵がエミヤに声をかけ、自分の弓の技量を褒めてきた時は悪い気分じゃなかった。
「意外でしたか?」
先を歩くリムアリーシャが歩きながら尋ねてきた。意外か? 聞いてきたのだその用件は先程声をかけてきてきた兵の事だろう。
「ああ、戦場から連れてきた得体の知れない捕虜を弓が上手いと褒めてきたのだ。これを意外と思えない訳がない」
「そうですか」
素っ気なく返されその話はそれで終わった。エミヤは彼女と同行する日が多かったが録な話をしたことがなかった。エミヤとリムアリーシャは捕虜と監視役の関係であるのだ。本来ならばこれが当然のありかたなのだろう。
(さて、今日は何処へ連れてくれるのやら。また武器を持たせるのなら、せめて昨日よりましな物を用意してもらいたいものだな)
周囲からのエミヤへの警戒の意識は最初に来た時と比べて随分丸くなった。それは先程にあったように気軽に近寄り弓の技量を褒める程にだ。昨日のエレンといい、ここの人間は用心の意識が欠けているではないかと思う部分も彼にはあった。
だがそれは全員ではない。彼を良く思わない連中も当然いる。先を進むリムアリーシャもその一人と見て間違いない。捕虜に馴れ馴れしく接するエレンとは真逆の彼女だ。きっと彼女が規律を厳しく正してエレンの軽率な行動を食い止めているのだろうとエミヤは見ていた。
そして間もなく、リムアリーシャとエミヤはある扉の前に行き着いた。そこが目的地だったようで、彼女はそこで足を止めるとその扉をノックした。
「彼をお連れしました」
中から、入れと直ぐに返事が帰ってきた。入室許可を聞き入れたリムアリーシャは扉を押し開き中へと入っていった。後ろに続いてエミヤも入室し、扉を閉じた。
どうやらそこは執務室の様で、室内はとても立派な造りが施されており、言うまでもないがエミヤに用意された部屋とは比べ物にならなかった。
この部屋の造りもそうだが、部屋に置かれた家具類も立派だ。特に壁に立て掛けるように飾られた二つの旗が目立っていた。一つが黒い竜の書かれた旗だ。この旗はここ意外でも見かける時が度々あった。きっと国を象徴するものなのだろう。
そしてもう一つは剣の形があしられた黒旗。こちらは初めて見る旗で何の旗なのかは分からなかった。
エミヤを呼び出した。エレオノーラは腕で長剣を抱え込んで足を組み、部屋の奥にある窓枠に腰掛けていた。
「やぁ、待っていたぞ。少々狭いが中々に立派な部屋だろう?」
ご苦労だったなと、リムアリーシャに労いの言葉をかけ腰掛けている窓枠から降りた。
彼女が言う通り、執務室に設置された何れもが見れば感嘆するくらいに立派な代物だ。しかし、今の彼の視線は部屋に飾られる家具や工芸品ではなく部屋の端、隅の一点に着目していた。
「…………」
それは屑籠、――否、その周りにある棄てられた紙屑だった。投げ入れようとして失敗のだろう。無造作に転がるそれは彼から見ればこの立派な執務室の中で最も目立つ存在だった。
だが何時までもそんな所を見ているのは相手にとって失礼なものだ。視線をエレオノーラへ向ける。
「さて、今日も色々と予定が押しているのでな、早速本題に入るとしよう」
そう言ってエレオノーラはエミヤの前まで歩いてきた。
「昨日の件のこと、済まなかったな。」
エミヤの前まで来ると彼女は頭を下げ謝罪をしてくる。エミヤは昨日の事を振り替える。昨日の件と言うことは稽古場での一件の事だろうか。それならば心当りは無いことも無いが思い浮かぶのは粗末な弓を渡されたことくらいだ。
「昨日の件。と言うのはあの稽古場での一件のことか?」
エミヤは彼女に尋ねる。
「そうだ。あの時粗末な弓がお前に渡されていた事を知ってな。少し考えれば捕虜に何かを企むのは予想できた筈なのに……私の不注意が原因だ。済まなかった」
エレオノーラは再び頭を下げ謝罪する。
それを見たエミヤは正直困った。捕らえられた捕虜が何かしらの暴力を受けるのはよくある話である。目の前の彼女はそういった事を好ましく思っていないのかエミヤからの許しを待っているのか彼女は頭を下げたまま動こうとしない。
(……たかが捕虜一人に頭を下げるとはな)
リムアリーシャから何か言えと言わんばかりの鋭い視線が感じる。こうなってしまうとエミヤが容認しない限り事が進まない。
「その件はもう終わった話だ。気にする必要などない。そんなことより、時間が押しているのだろう? 他に用件はないのか?」
それを聞いてやっとエレオノーラの顔が上がる。
「用件は、ある」
エレオノーラは先程座っていた窓枠に歩み寄る。そして、その近くに置かれていた机の上から何かを手に取り戻ってきた。
エミヤへ持ってきたそれを突きつける。
「これだ」
それは弓だった。見て分かるくらいに粗末な物で、昨日エミヤに渡された弓と同じくらいだ。
「リム。これを持って弦を引いてみろ」
「エレオノーラ様? これには何の意味が」
エレオノーラに弓を渡されたリムアリーシャは少し困惑する。彼女もその弓がどれ程粗末な物なのか見て理解していたのだろう。
「いいから引いてみろ。それだけでいい」
疑問を持つリムアリーシャにエレオノーラは引けともう一度命ずる。その顔は何時になく真面目だった。そんな彼女の顔を見てリムアリーシャは粗末な弓へ視線を向ける。どう見ても粗末な弓だ。材質も悪ければ構造も悪い。
(……どう見ても粗末な弓。しかしエレオノーラ様は弦を引けと仰る。この弓に一体何が?)
疑問を持つがそれはこの弓を引かない限り解決しない事くらい彼女も理解している。昨日のエミヤの真似をしてみろと命じられた訳でもないのだ。疑問は後で解決すれば良い、とそこで思考を切り替えた。
リムアリーシャは命じられた通りにその弓の弦を引き、弾いた。
「―――ッ!?」
弦を弾いたとたん彼女は言葉を失った。弓ととても良くしなり、弦の張りも強い。今彼女が引いた弓は見た目からは考えられない代物だった。
「……エレオノーラ様。この弓は一体何者が拵えたのですか? この見た目とは全く釣り合わない仕上がり。こんな技術を持つ者を私は聞いたことがありません」
渡された弓に驚愕するリムアリーシャ。そして彼女はエレオノーラの更なる追い討ちで仰天することになる。
「お前の直ぐ近くにいる奴だ」
「――え?」
彼女が言った一言を理解するのにリムアーシャは遅れた。自分の直ぐ近くにいる人物。自分に弓を渡してきたエレオノーラは様々な武器を使えるが弓を拵える技術は備えていない。消去法で残るのは一人。リムアリーシャは咄嗟にエミヤの方を見た。
「まさか!?」
「粗末だった弓に細工を加えたのはお前だな? エミヤ」
エレオノーラはエミヤを問い詰める様に尋ねた。今の彼女はあの時、エミヤと初めて出会った時よりも鋭く殺気立っていた。
「お前は何者だ?」
(……弱ったな。どう返すべきか)
エレオノーラに問い詰められ、エミヤは返答に困った。確かにその弓に手を加えたのは事実なのだが、魔力を通して強化したと言っても信じてはくれるかどうか。だが、しらを切ってやり過ごせる状況ではない。
こんな状況下で事を荒立てることだけは回避したいのが今の彼の心情である。ならばやることは一つしかない。
「……あぁ、そうだ。その弓は私が手を施した。」
「まだ一つ残っているぞ。エミヤ、お前は一体何者だ? 包み隠さず吐け」
殺気立つ彼女の眼差しは更に鋭さをます。
「この状況下で隠す気など無いさ。私の正体は……そうだな。まずはこの世界の者ではないとだけ言おうか」
「貴様、隠す気が無いと言っておきながら……!」
「止めろリム、まだ終わっていない」
エミヤへ食って掛かろうとするリムアリーシャをエレオノーラが止める。彼女がその様な行動を取るのも無理はない。自分は別の世界からやって来たと言ったのだ。それを聞いて、はいそうですか。と信じられる訳がない。しかし、自分が従う主にそれを止められたら。自分は止めるしかない。
「信じられないな。確かにお前は粗末な弓を全くの別物に変えている。だがそれだけでは足りない。お前がこことは違う別の世界から来たと言うならその証拠を見せろ」
言いたいことを言えないリムアリーシャの代わりにエレオノーラが尋ねる
「ごもっともだ。私もこんな突拍子のない話で信じてもらえるとも思っていない。ここからは順を追って説明する必要があるのだが、少々時間が掛かってしまう。その辺は問題ないだろうか?」
「なるべく手短に頼む」
そこからエミヤは自分がもといた世界の話をした。魔術のこと、それを扱う魔術師のこと、そして聖杯とサーヴァントの存在。そして自分もその中の一つであること。
彼が話す何もかもが本の中の物語で出てくる神妙な内容ばかりで、それを聞いていた二人は呆気にとられた。リムアーシャは半分呆れ、エレオノーラは半信半疑だ。
「手短に話せばこんなものか。そして、これが私の持つ力だ」
説明を終えたエミヤは最後に投影を行い剣を一刀具現化させ二人に見せた。その異行を見せられた二人は仰天した。ここまでくると二人は信じざるを得なかった。
「お前がこの世界の者ではないことは分かった……。それで、聖杯を奪う為のサーヴァントであるお前が聖杯とは無縁の別世界に来ていることについてどう思っている?」
「正直に言えばまだ分からないと言うしかないな。誤認と受け取りたい所だが材料が足りない。分かっている事と言えば受肉していることと、死ぬまでこの世界にいることになる事くらいだな」
そこまでエミヤの話を聞くと、エレオノーラは頭を手で押さえ困った様に溜め息をつき、口を開いた。
「……困ったな。実を言うとお前が何処の出身なのかを聞いてそこへ身代金を要求しようと思っていたのだが……まさか別世界の存在だったとはな」
困り果てるエレオノーラだが、まぁいいと呟き再びエミヤと向き合った。
「つまり、今のお前はどこにも行く宛の無い遭難者と言うことで良いのだな?」
「そう受け取ってもらって構わない」
「なら、私に仕えないか? そうすれば生活を送る分には充分に養う保障をしよう。お前が望むのなら今より広い部屋を用意したって良いぞ?」
「………」
「奴隷になれと言っている訳ではない。私に仕える仲間になってくれないかと頼んでいるんだ。それなりの地位も与えるし、戦での手柄しだいで俸給だって与よう。悪い話ではないだろ?」
「確かに悪い話ではない。しかし私を買い被りすぎてはいないか?」
「失礼だな。人を見る目には自身がある。それに私は昨日のお前の弓の技量を目の当たりにしている。買い被りなものか。そこにいるリムでさえ、お前の技量を認めているのだぞ?」
嫌ってはいるがなと最後にボソッと付け加え悪戯気に笑うと、彼女はエミヤへ更に歩み寄った。必要以上に歩み寄ってきたせいで二人の距離は1mを切ってしまう。
「それでどうだ? 私に仕えてくれるか?」
エミヤとの距離を全く気にせず彼女は更に問い詰めようとする。ここまで迫られてしまうと流石に困ってしまう。エミヤは後ろへ後退しながら両手を上げた。
「……分かった、降参だ。その期待に応える様に精進する」
それを聞いたエレオノーラはまるで我が儘が叶った幼子の様に無邪気に笑った。その笑顔に釣られてエミヤの口元もつい緩んでしまう。
「ようこそライトメリッツへ。歓迎するぞエミヤ!」
こうして、エミヤの新たな物語が幕を切って落とされた。
続きを書くよりも今まで投稿した作品を修正した方がいいのでしょうか……。でも自分は続きを書くことを優先したい。なんて考える日が多くなってきました。
エミヤに関して調べていたら
尚、答えを得たがそれは召喚されてる間まで、再び召喚されれば彼から記憶は失われる。
とありました。
自分は信じがたいのですが、どなたかこの事に関して知っている方はいませんか? 是非教えてもらいたいです