追放ものに転生した。ただし、ざまぁされる側らしい   作:流石ユユシタ

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【エピローグ】シエラパート。略してシエパ

 私は非常に安堵をしていました。

 

 

 ミクスさんが会っていたのが異性ではなく、魔族であったからです。

 

 

 なぜ、私がミクスさんを追って町の外に出たのか。それはホワイトちゃんのせいでした。

 

 

 宿屋の部屋で待ちながら私は、ホワイトちゃんとブラックさんのイチャイチャを邪魔したりしながらミクスさんの帰りを待っていたのです。

 

 

 

 

 

『シエラはミクス様を好きなのはよく知ってるけど、どう言うところが好きなのかしら?』

 

 

 

 

 ホワイトちゃんが私に対して疑問を投げてきました。なるほど、確かにミクスさんのどこが好きなのか細かく語ったことはありませんでしたね。

 

 

 

 

「ふふ、色々です」

『ざっくりしすぎね。もうちょっと細かく言ってほしいわ。ねぇ、ブラック?』

『ワイはもう主人のことは知り尽くしてるからその話興味ないで』

 

 

 

 

 しかし、本当に色々なのです。あり過ぎて困ってしまいます。

 

 

 

 

『ミクス様って単純に食事の腕が凄い。って言うのがあるわね。他にも強いとか顔がいいとか、声がいいとか』

「全部ですね」

『だからざっくりし過ぎなのよ。まぁ、でも、多彩なのは本当にあるわね。それにちょっとまだまだ謎があるし』

「そう言うのがいいんです。ミステリアスなのが。底知れない魅力っていいですよねー」

『ミステリアスな人が好きなの? それならルディオとか言う冒険者はどうなの? 今の所謎も多いんじゃない、言動もかなり特徴的で謎っていうじゃない』

「あの人何考えてるか分からなくて苦手です」

『あれ、ミステリアスと何考えてるか分からないって同意義……?』

 

 

 

 

 それに最初にミクスさんに対して失礼な態度をとっていたのがどうしても許せません。まぁ、ミクスさんは優しいから許しているんでしょうけど、器が大きいから気にしてないんでしょうけど。

 

 私はそんなに器大きくないですし、気も短いのでまだ怒ってますね。はい。

 

 

 

 

『ミクス様のミステリアスな所が好きなのね……。今日は1人で何をしてるかしらね? デートだったりして』

「………………」

『あ、ご、ごめん、ごめん、そ、そのついノリで言っちゃって……』

「……ちょっと外出てきます」

 

 

 

 

 もし、本当にデートであれば……潔く身を引くしかありません。ミクスさんが幸せになってくれれば私はなんでもいいのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ、嘘ですが。

 

 

 

 

 

 微塵も引くつもりなんてありませんけど。

 

 ちょっとだけ、性格良い人間を演じてみようかと思いましたが無理でした。

 

 どうか、デートとかじゃありませんように!!!

 

 

 

 

 

 

 ──そう願っていたら、ミクスさんと魔族の戦いに遭遇をしました。

 

 

 

 

 

 いやー、安心しました。魔族とは伝承に出てくる化物であるのですが……異性よりは全然怖くありませんでした。

 

 

 よかったぁ。

 

 

 

 2人で森から町に戻り、再び宿屋の部屋に戻ってきました。ミクスさんは少しばかり疲れているようでした。

 

 

 

「ふー、それにしてもシエラはすごいな、農民スキルってあそこまでなのか?」

「あ、そう言えばスキルが進化してまして」

「そうだったか」

 

 

 

「豊穣の主」

・魔力を消費し以下を行える。

・土地を肥沃化させる。

・植物の成長速度を上昇させる。

・ 植物の耐久を大幅に上げる。

・育てた植物を操作できる。

・ 植物の効能や特性を強化できる

 

 

 私自身もステータスを確認したり、しなかったりで気づくのが少し遅れてしまいました。

 

 

 

「スキルが進化って俺は聞いたことないな」

「私もありません」

「それなのに冷静だな」

 

 

 

 まぁ、スキルがどうとかあんまり興味がないと言えばないので。ミクスさんのお役に少しでも立てる力が増えたのは嬉しいことですけども。

 

 

 

 そんな事よりも私はミクスさんが会っていたのが魔族であることで安堵が強いです。

 

 

 

 

「魔族、初めて見たな。伝承の存在だと聞いていたけど」

「あれが魔族なんですね。私も初めて見ました」

「あぁ、シエラを狙っているみたいだったから気をつけてくれ」

 

 

 

 

 ミクスさんが書斎の椅子に座り、ほっと一息ついていたようでした。なんだか今までとは違い、本当に落ち着いているようです。それに何やらニヤニヤとして嬉しそうでもあります。

 

 

 

 

「そうだ。ロールケーキ作ってたんだ。一緒に食べよう。お茶も入れるから」

「あ、ありがとうございます!!」

 

 

 

 ミクスさんのお茶やケーキは絶品ですからね、これは嬉しいです! 

 

 

 

 暫し、2人でお茶を共にし、辺りが暗くなってきました。そのタイミングでミクスさんは少しだけ疲れていたようで眠りについてしまいました。

 

 

 また、私もミクスさんの寝顔を見ていたら徐々に眠くなってきました。多少、とは言えミクスさんを探すために町外を走り回ったのが効きました。

 

 

 最も効いたのはミクスさんがデートをしているかも知れない、と言うストレスによる神経がすり減ったことですけども。

 

 

 

 

 

 

──徐々に眠くなり、瞳を閉じてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………。

 

…………。

 

……。

 

 

 

 

 

 

「……ぐ、がうあぁ……こ、この人殺し」

「……ッ」

 

 

 

 

 

 

 

 また、私はミクスさんを殺す光景に立っていた。返り血で服が濡れて、強い血液の匂いだけが残っていた。

 

 

 

 ミクスさんの腹を抉った時の鈍い音がずっと、頭の中に残っている。

 

 

 

 人を殺した、自分の好きな人ではないが顔と声が一緒の人を殺した。

 

 

 

 ふと、また景色が変わった。両親が死んだ時の光景でした。13歳の時にモンスターに襲われて死んでしまった両親の原型も残していない、肉塊を土に埋めた時の光景だった。

 

 

 

 両親は黒髪青目の女を育てていたから、周囲から浮いていました。私の容姿の差別が両親にも移っていったんでした……。

 

 

 

 肉塊を墓に埋めている瞬間、優しかった両親の匂いはなくて。腐った血と肉の匂いしか残っていません。

 

 

 

「……殺したのは……私……?」

 

 

 

 

 もし、あのまま両親が私と出会うこともなければモンスターに殺されなかったのではないでしょうか。

 

 だって、村で浮いた両親はその侮蔑的な目で病んでいて……時折、私が寝た後で喧嘩をする時だってありました。

 

 

 

 

 

 私がいなければ……

 

 

 

 私がいなければ幸せになれるんですか。そう思って、手首を少しだけ剣で切ったことがありました。

 

 

 

 でも、私は生きたいと思ってしまったのです。だから、救済の光に入ってなんとか食い繋いでいたんでしたっけ。

 

 

 また、景色が変わりました。今度は救済の光に入っていた時の私がいました。

 

 

 手首を剣で少しだけ切っていました。痛い時だけは何も考えなくて済む気がしていて、いっそのことこのまま死んだ方が楽なのかと、それが幸せなのかも知れないと笑えたから切っていました。

 

 

 

「このままの方が幸せなんですかね……このまま……」

 

 

 

 

 

 痛い、痛い、痛い、痛い、死んでしまいたい、でも生きたい。痛い、助けて、痛い。

 

 幸せになりたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それ、痛いからやめな」

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 顔を上げたら白い髪に紅の瞳の男の人が立っていました。救済の光に入ったばかりのミクスさんが私のナイフを取り上げて、手首を回復で癒してくれました。

 

 

 

 

「事情はさ、あると思うんだけど……。痛そうな顔してからさ。何かあるなら話聞かせてくれ。俺、救済の光に入ったばかりで君のこと知らないし。名前、なんだっけ?」

「……し、シエラです」

「よろしくね、俺はミクス。錬金スキル使いなんだ。あ、これお近づきの印にパンあげる」

「あ、ありがとう、ございます」

 

 

 

 

 

 ミクスさんがあの時、私の手を止めてくれました。私は本当は誰かにやめてくれって、言って欲しかったんだと思います。

 

 

 

 

「ふーん、救済の光はそんな感じか。シエラって大分苦労人だな。それなのに……笑ってて偉いし強いな」

「あ、い、いえ、別に」

「え、凄いと思うけど。俺には出来ないな。あ、パンもう1個食べる?」

「あ、え、えと、あの、い、いいんですか?」

「いいよ、これ俺が焼いたのだし。15歳だっけ? 育ち盛りじゃんー、新しいパンよーそれー」

「ど、どうも」

「ふっ、このネタはわからないか……ふっ、新しいパンはアンパンではない、ただのパンなんだ」

 

 

 

 そう言ってミクスさんはまた丸パンを渡してくれました。そして、私の話を聞いて、そこから去っていこうと背を向けました。

 

 

 

 

 待って、行かないで。

 

 

 

 

 もう、1人は嫌だ。お願い、もう少し一緒に居て。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、また明日ね」

 

 

 

 

 

 

 

 また、明日……。そっか、明日があったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、集合場所どこだっけ?」

「え、えと、この町の宿屋です」

「そっか、それじゃ……あ、パンの感想だけ聞かせてくれる? 俺にとっては重要なんだよね」

「す、すごく美味しいです……」

「ふっ、結構自信作でね。分かりきってはいたけども。また、明日作ってくるからそん時は感想よろしく。それじゃ」

 

 

 

 

 

 

 その日から、私は自分の体を傷つけることも無くなりました。感情が抑えらなくて、痛さで辛さを誤魔化そうとして、誰かに気に留めてもらいたくて、溜まっていたストレスで、

 

 

 傷をつけていましたが、ミクスさんが来てから全てなくなりました。

 

 

 

 

 

 

 

「またな」

「は、はい」

 

 

 

 

 

 

 毎日別れるのが辛くて、毎日会うのが嬉しくて仕方ありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 ──ふと、そこで眼が覚めました。

 

 

 

 

 そこはサリアの町の宿屋の一室。ミクスさんは机の上で何やら研究をしているようでした。

 

 

 私はベッドの上で起きて、ジッとその様子を見続けました。

 

 

 いつまで見ていても飽きない光景です。

 

 

 正直に言えば……一生見ていたい、勢いあまって結婚しちゃいたいです。

 

 

 

 ──ミクスさん、愛してます。

 

 

 

 

 

 こんな日がずっと続きますように。

 

 

 

◾️◾️

 

 

──数日後

 

 

「あ、シエラ、ちょっと留守番頼めるか?少し人と会う予定ができてな」

「いえ、構いませんが……。急ですね。一体どんな方ですか?」

 

 

本当は寂しいのでとっても嫌ですが……!!!

いえ、そもそも。私がいてはダメなのでしょうか?

ついていきたいです!

 

一緒にいる日がずっと続くって宣言したばかりじゃないですか!

※ミクスはしてません

 

 

「ああ、なんか、俺の元婚約者って人がきたらしくて」

 

 

 

 は?

 

 

 




どもです!ここまでが【第1章】となります!
毎日仕事帰ったあとにせっせと書いてましたが、よーやく一区切りつくとこまでこれました!
これも皆さんの感想や応援のおかげです。
まだ評価されてない方も、1mmでも「この作品、思ったより良かったかもー」って感じだったら、ぜひ評価お願いします!


次から2章となります。新キャラが登場し、新しいパートになります。
また、仕事の合間に頑張ろうと思うのでこれからもお願いします!
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