追放ものに転生した。ただし、ざまぁされる側らしい   作:流石ユユシタ

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第26話 修羅場

 シエラとユルレ・リューゼン。

 

 アニメだとこの2人は出会い、友のようになっていく展開だった。【サリアバザー】と言うのを仕切っているのがリューゼン家であり、

 

 

 そこで【交易祭】と言われる他国と交流の祭りに出品する物を選別しているのだ。

 

 

 アニメだとシエラが良い野菜とかを出していたので選ばれて、交易祭に参加してそこで他国の王子と出会うと言う流れだ。

 

 

 

 ユルレは良くも悪くも、正直な人だ。シエラを交易祭に選んだのも作っていた野菜が良いからであった。まぁ、農民とか言うチートスキルを持ってるんだから選ばれて当然なんだけど。

 

 

 だとしても、ここでシエラとユルレが争う事で交易祭に選ばれないなんてことがあるとまずい。

 

 

 

 

「そんなミクス様に執着するとか、彼女とか何かなの?」

「か、彼女なんて……ち、違いますけど! で、でも、ミクスさんにあんまり近寄らないでください! そう言うの迷惑だと思います!」

「そんな事いってないもんね?」

 

 

 

 おっと、ここでユルレに同意を求められた。正直にいえば思いっきり迷惑というか、面倒なんだけど。

 

 

 ここでそんなことを言うと角が立つしな。なんともいえない顔をしておくか

 

 

 

「……」

「あ、これは僕にデートに誘われて嬉しそうにしてる顔だね」

「そんな訳ありません。これはきっと、迷惑だから角立たないようになんともいえない顔をしてるんだと思います」

 

 

 

 いや、ピタリとシエラに当てられたんだけど!? なにこの子!? エスパー能力でも持っているの!?

 

 

 

 

「いやいや、僕美人だし、金もあるし、幸せにできるし。絶対僕にしておきなって。絶対に幸せにするから」

「簡単に幸せにするとか言う人が1番信用できないですよ! 私、ミクスさんに安易に幸せにするとはいえません! だって、責任があるからです! そう言うのは本当に思ってるなら言いづらいです!!」

「えぇ? 思ってることがすぐ口に出ちゃう性格だからさ? 僕はミクス様を幸せにするって思ってるよ」

「そう言うペラペラ、チャラいの言うの本当に腹立ちます! どっかいけ! このやろう!」

「……君さ、口調が安定しなくなってるけど大丈夫?」

 

 

 

 

 

──やめて! 俺のために争わないで!!!

 

 

 

 

 乙女ゲームとかで、王子とイケメンに取り合いされてる時の主人公ってこんな感じなのかな。

 

 なんて言えばいいのか。別にどっちが勝ったとしても、なんとも言えない気持ちになるし。

 

 

 あとシエラもちょっとだけキャラ崩壊をしてるんだけど。大丈夫だろうか。このやろう! なんて今まで言ったことないだろう……

 

 

 

 

 

「ふーん、やけにつっかかってくるね? 君さ、名前は?」

「シエラですけど」

「そう、僕はユルレ・リューゼン。君がミクス様を渡したくないのはわかったよ。まぁ、君の物じゃないんだろうけど? でもでも、そこまで言うなら……どっちが彼に相応しいか勝負でもする?」

「待ってました!!!!!!」

「え? 待ってたの? 君さ、結構好戦的だね」

 

 

 

 シエラは勝負を待っていたようだった。急にニコニコして、俺の方を向いた。

 

 

 

「この間、ミクスさんがルディオさんに勝ったみたいに今度は私が、ユルレさんに勝ちます! 見ててください!」

「僕に勝てると思ってるんだ? 僕は美人なだけじゃないんだよ? 幼い時から剣術やスキルの使い方を学んでるんだぜ? しかも、リューゼン家はスキルが受け継がれてるからね? ただ、使えるだけじゃない、使いこなせるんだよ? 僕に勝てるのかなぁ?」

「勝てますよ。場所を変えましょう」

 

 

 

 

 

 争いを止めようと思ったのだが、中々入って行けそうにはない。シエラの迫力がすごいってのもあるけど。

 

 ユルレも結構好戦的だし、これは止めても意味がないかもしれない。しかし、このままって訳にもいかない。

 

 

 

 

 

「あの、争うはやめないか?」

「やめないよ?」

「やめません!」

 

 

 

 

 あ、やめないのか……じゃ、しょうがないか! なんてなるわけもないんだけど。しかし、2人はそさくさと町を出て、郊外の方に向かっていく。

 

 

 

 しばし歩き続けて、2人は俺とルディオが決闘をした草原で相対する。

 

 

 

 

「さーてと、軽く倒してあげるよ? シエラさん?」

「やれるものならしてみてください。私は強いですよ」

「どうかな? 僕は強いぜ……Bランク冒険者くらいの実力がある」

 

 

 

 じゃ、ユルレの負けだな。

 

 

 シエラはSランクくらいを余裕で超える強さあるぞ。既にステータス平均は30000近くになってると思うんだけど。

 

 

 

 ユルレの負け試合を見ることになろうから、決闘はさせたくはなかったんだけど。どう考えても戦力差がありすぎるぜ。

 

 

 

 

 絶対にユルレが負けるって見る前からわかるぜ。当の本人のシエラだって、分かってただろうにな……

 

 あれ、決闘にノリノリだったなシエラ。まさか勝てると分かってたからノリノリだったのかな。

 

 

 

 決闘開始前、ユルレが自らの魔力を高める。なるほど、確かに自分で言うだけあって確かに強いな。

 

 

 魔力はスキルを使う上で重要な要素だ。それがどれだけ高いかで、強さ格が分かると言っても過言じゃないな。

 

 

 だからこそ、ユルレの全身から溢れる魔力には驚かされる。ビリビリくるぜ。まるで、滝のようだな。

 

 

 

 

「僕の魔力を見ても驚きもしないとはね」

「……今度は私の魔力を見せます」

 

 

 

 

──外から見ている自分が、まるで井の中の蛙のような気がした。

 

 

 

 

 

 シエラから溢れ出す魔力はまるで……海そのもの。ユルレが可愛くてマスコットに見えてしまいそうなくらいに格が違った。

 

 

 

 魔力を自由自在に大量に一瞬のうちに引き出せる操作力、本当に格が違うって感じがしる。

 

 

 

 これ、もう世界救うとか簡単なんじゃね? 魔族とか魔王とかいるんだろうけど、これシエラもう大丈夫では?

 

 

 

 もう俺、離脱してもいいんじゃないだろうか? そう思わせるほどの圧力があった。

 

 

 

 うん、これ本当にユルレの負け試合だろ。

 

 

 

 

「な、なんだ!? この魔力は……ほ、本当に人間なの!?」

「人間です。さて、どうしますか? 降参しますか?」

「……くっ、僕も引く訳にはいかないもんでね。【白炎】」

 

 

 

 

 お、おう、ユルレ、あの魔力を見てもまだ挑もうとするとはすごいな。正直、どう考えても勝てそうにはないと思うけど。

 

 ユルレの周りには白い炎が溢れ出し、それが空中を蛇行する。

 

 

 リューゼン家の相伝スキルである【白炎】。単純な火系統をスキルかと思うが、通常の火よりもよく燃えて、また味方の場合は傷を癒すと言う使い勝手の良さそうなスキルだ。

 

 

 更には炎を剣や弓矢のようにして、飛ばすことができる汎用性も高い。

 

 

 

 

 

「白い炎ですか? それを剣のように……」

「そう、僕のスキルは自由自在に炎を操るんだ。降参するなら今のうちだけど? ほらほら、これに当たったら熱いぞ? さっさと降参した方がいいんじゃない?」

 

 

 

 

 ユルレはもう怖さを煽って降参させるくらいしか手段がないのだろう。シエラの前進から立ち上る

 

 

 

 

「……そうですか。私も植物を操れるんです。それに私が負ける要素もなさそうですね」

 

 

 

 

 シエラは1本の枝を取り出して、それを地面に突き刺した。

 

 

 

 

「樹海降臨」

 

 

 

 

 

 

 一瞬にして、木の枝が大樹へと変わり、地中からその木の根が飛び出してくる。アンデッド戦にてシエラが繰り出した樹海降臨をここで使うのか!!

 

 

 いや、これはどう考えても勝てないだろ……

 

 

 

 

 

「えええええええええええええええええええええええええええええええ!?」

 

 

 

 

 

 ユルレの分かりやすい反応が正直面白い……ウケるんだけど笑。ククク、外から見てる分には面白すぎる。

 

 

 しかし、ユルレの周りで木の根は動きを止めた。わずかな挙動さえも許さぬと言う形でユルレの周りで木は攻撃の機会を伺っている。

 

 

 

 

「降参しますか?」

「しますしますします!!! 降参します!!!!」

「やりました! ミクスさん見てくれましたか!!」

 

 

 

 

 あ、うん、シエラが喜んでるけど。ユルレの降参の速さには驚いてしまった。恐ろしいほどの速い降参、俺ではなければ見逃しちゃうぜ。

 

 

 

 

「な、なんだこの魔力と異常なスキルは……」

 

 

 

 

 ユルレは驚いてるけど、絶対に厄災の魔女とか見た目をどうとかとは言わないのが嫌いになれない所だよね。

 

 

 許嫁とか云々はすごく面倒だけど。

 

 

 

 

 

 

「ミクスさん、私どうでした!?」

「頑張ってたな、すごいぞ」

「ど、どうも、えへへ」

 

 

 

 

 めっちゃ喜んでるな。しかし、ユルレは未だに驚愕って顔をしているぞ。シエラもこんな可愛いけど、さっきの樹海降臨とのギャップすごいな。

 

 

 

 

「はい、私の勝ちなので近づかないでくださいね!」

「……え? 僕そんなこと言った?」

「え?」

「勝負するとは言ったけど、彼に近づかないとは言ってないよね」

「……約束が違います!!」

「ふふ、貴族とはそうしたものさ。次からはちゃんと条件を確認するんだね」

「ずるいです!戦った意味ないじゃないですか!」

「意味はあるさ。戦いに免じて、今日はひいてあげるよ」

「なんで勝ったのに譲られた感じになってるんでしょうか……」

「うーん。君はとても素直だねえ。好感が持てるよ」

 

 

 こう言う飄々として、適当に言ってくるのは貴族らしいよな。

貴族相手にうかつにことを運ぶと、損をするのだ。

  まあ実害もないし、シエラにはいい勉強になったともいえる。

 

「シエラ、庇ってくれるのはありがとな」

「わ、私はすごく怒ってます! ぷんぷんしてます!」

「ぷんぷんしてるのか……シエラが言うとちょっと可愛いな」

「え、あ、ど、どうも」

 

 シエラは筋が通ってないとスッキリしない性格だからな。俺の代わりに怒ってくれてるのだろう。

 

 ちょっと頬を膨らませてるシエラは可愛い。これは本当だな。なんて言うか、改めて思うけど、顔面が整ってるわ。

 

 アニメ世界なのもあるけど、やっぱり凄いわ。正直、前世の日本とかでこんな美少女は見たことない。テレビとかネットに出てくるよりも可愛いって印象がある。

 

 これで不人気なのが意味わからん。まぁ、髪と瞳の色がこの世界では禁忌なのだから、そう言うものだと思えばそれまでなんだけど。

 

 しかし、ユルレのやつ、まだまだ厄介ごとを持ってくる予感だ。しかし、これでもバザーの責任者でもあるから無碍にはできない。

 

 いい機会だ。バザーについて聞いておくか。

 

 

「そうだ。俺とシエラがバザーに参加するつもりなんだけど、大丈夫か? 責任者はリューゼン家だろう?」

「お、参加してくれるのかい?ちょうどよかった。実は君を誘おうと思ってたんだ。今の注目株だしね。バザーも箔がつくし、盛り上がることだろう」

 

 

 一応、アニメとの差異も確認しておきたい所でもあるしな。

 

 しかし、ユルレの言ってること……本当かな?いや本当なんだろうが、ユルレがいうと、どうもそこに加えて、外堀を埋めにきてるんじゃないかと邪推してしまうな。

「いやいや。注目といっても、俺の活躍はシエラあってのものだからな。出るなら2人で出るつもりさ。シエラの商品はとんでもないからね」

 

 外堀うめにくるなら、先手をうっておこう。一人で参加したら、何をされるかわからないし。

といっても、最初からシエラと一緒に出るつもりだが。

 

「そうです!ミクスさんと私がでるんです!あとミクスさんありがとうございます!商品凄いのは、全部ミクスさんが凄いからですよ!ところで、バザーってなんですか?」

「……ユルレ。説明してもらっていいか」

 

情報が洪水してるシエラには、あえて突っ込むまい。

 

 

「……いいよ。サリアバザーは冒険者や商人が多く、色んな商品を大々的に販売する催しだね。ここでは売れた商品にランキングをつけて、それの上位になる、または僕が目についた商品は交易祭と言う祭でも売り出せるって感じかな」

「なるほどな……シエラも俺も折角だし、商品を出そうとは話をしてたんだ」

 

 

 

 アニメだと金が足りないとか理由もあってシエラは野菜とか出してたけど。

 

 まぁ、今はアンデッドの時の報酬があるからね。樹海降臨でアニメの時より遥かに多いアンデッドを倒してるから余裕はある。

 

 しかし、逆にアニメの時とは違って彼女は野宿ではなく宿屋に俺と一緒に住んで代金はかかってるし、金はあって越したことはない。

 

 俺もバザーへの参加意欲は少し高くなっている。なぜかと言うと食事を売ろうと思っている。理由としては俺は今までシエラ以外には基本的に料理を振る舞ったことがない。

 

 

 

 だから、どの程度世間にウケるのか調査してみたいのだ。

 

 

 

 正直、絶対に美味しいと思うし。ウケるとは思ってるけど、修正点とかあるかもしれないし。

 

 

 

「ミクス様の商品何か楽しみだね。えっと、君も何か出すの?」

「そうですけど? まぁ、嘘つきに何も教えませんが」

「あ、そう。大分雑にスルーされたなぁ。じゃ、僕も君をスルーするね。ミクス様、この後時間ある? 楽しませるから、少しだけ宿屋行こ。僕、個室予約してあってさ」

「おい、このやろう! ミクスさんを安易に誘わないでください! てか今日は引くって約束したじゃないですか!」

「っち、覚えてたか」

「当然です!!」

 

 

 今、ユルレはスルーするねと言ったな。ふっ、中々面白いギャグじゃないか。

 

 

 なんて、ふざけてる場合でもないか。

 

 

 なんとか2人の仲が良くなってくれるといいんだけど。今後の流れもスムーズになりそうだし。

 

 

 大丈夫かな? ちょっと難しそうだけど……

 

 

 

 

 ──そして、その日からシエラとユルレに修羅場みたいに挟まれる日々が続いた。

 

 

 なんとかしようと思ったが、どうにもならず。

 

 

 そのままバザーの日がやってきた。

 

 

 色々あったが、ようやくきた。

 

 ここで、シエラの商品が注目されて、いろんな出会いを呼んで、シエラは羽ばたくのだ。

 

 

 感無量である。

 

 

 

 なお、俺が発売したクリームパンが大きく評価されるのを、その時の俺はまだ知らない。




引っ越しがありまして、ちょっとドダバタしてまして、更新遅れます。待って頂けると嬉しいです!

面白ければ高評価お願いします!
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