追放ものに転生した。ただし、ざまぁされる側らしい   作:流石ユユシタ

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第39話 背後から最強の狙撃

 シエラが薬を飲ませたことにより、魔族の正体が顕になった。

 

 

 突如として、人間の頭から角が発生した。そして、肌は真っ白、舞妓さんくらい真っ白だ。

 

 

 目は白い部分が塗りつぶされたように黒で、目の奥は紅。まさに人間からかけ離れた見た目だろう。

 

 

 流石にこれを見たら婚約者には選ばないだろう。

 

 

 

 

 

 

 しかし、これ思ったのだがシエラが薬を飲ませたみたいな感じになったりしないだろうか。

 

 

 

 

 

「くっ、こ、これは……我が身を看破する薬か……!!」

 

 

 

 シエラが吹き飛ばしたので、壁の瓦礫などの中から魔族はゆっくりと立ち上がった。

 

 しかし、爽快にシエラが吹き飛ばしたはずだが、余りダメージは無いようだ。

 

 あれで終わってくれれば爆笑……いや、とても楽だったのだが。

 

 流石は魔族というべきかもな。

 

 耐久力はあるようだ。

 

 そうは言っても、そんな魔族でも驚いているようだ。

 

 そして、ユルレやその父親とか、仕えている周りの連中は状況が把握できてないだろう。

 

 

 

 

 しかし、この状況大丈夫かな?

 

 魔族の正体は分かったけど。それを明かしたのはシエラ。黒髪青目だし、色々と変な勘ぐりをしようとする奴も居るだろう。

 

 

 そこは俺がカバーしたりすれば、大丈夫なのかな。シエラが魔族に飲ませた薬はまだ余ってるし。それを俺とか他の人も飲めば薬が安全だったと全員が分かるだろう。

 

 

 

 

 

 

「急にヴァニッシュ様の姿が変わったぞ!!!」

「変わった上に、なんか吹っ飛ばされていったぞ!!!」

「何がどうなった!?何が起こったんだ!?」

 

 

 

 

 

 ──あぁ、シエラが早すぎて、残像すら誰も見えてなかったのね。あの圧倒的なステータスを持っているシエラだ。

 

 飲ませた事も、吹っ飛んだ事も余り見えてなかったらしい。

 

 彼らにみえたものは、ただ異形に変化したヴァニッシュの姿、そしてそれがいきなり吹っ飛んだ姿、そしてなんか良くわから無いことを高らかに宣言した少女の姿。

 

 こんなところだろうか。

 

 一般には見えないくらいに速いのか。最近、平均ステータス76000くらいだと言っていたな。あれ? もう1人だけ世界観が違くない!?

 

 

 恐ろしいほどの早い薬飲ませ。俺でなければ見逃してしまうねぇ。

 

 

 

 あと、俺別れようとか言っても絶対別れてくれなそう。どんどん追いかけてきそうだし。

 

 

 まぁ、それは置いておくか。それよりもシエラが魔族に薬を飲ませたけど、これを変に曲解されると面倒だ。

 

 黒髪青目が口にさせた物だから、魔族化したとか言われても溜まったものではない。

 

「シエラが正体を明かす薬を飲ませたとか言っても逆に疑われる可能性がある。だから、ここは俺が魔族の正体を明かしたってことにしておこう」

「あ、私もそう思ってました! 気が合いますね! そして、私のことを考えてくれるなんて嬉しいです! ダーリン!」

「あ、うん。もうダーリン呼びなんだ」

 

 

 

 シエラがやったとか言っても逆に疑ってしまうような。そこは彼女もわかっていたようだ。

 

 

 かなり、脳筋戦法と思ってたけど、彼女もその後を考えていたらしい。ただ、この世界の人はもう少し、彼女を信じてあげてほしい。

 

 まぁ、難しいんだろうけど。

 

 

 

 

「皆さん。落ち着いてください。あの化け物は魔族と言われる存在です。私が奴の正体を看破し、化けの皮を剥がしたのです。これから奴を討伐します。この私、Aランク冒険者のミクスが」

「ま、魔族!?」

「存在したなんて……」

「ヴァニッシュ様が魔族だったなんて! しかし、Aランク冒険者のミクス様は随分と落ち着いてらっしゃる。この事態を把握してたのですか!?」

「しかし、彼が本当のことを言ってるとは限らないのでは!?」

 

 

 

 おお、執事やメイドからの質問が多いですね。ユルレはこちらを見て、次は自分が話すと目で訴えていた。

 

 

 

 

「落ち着きなさい。彼は僕が呼んで凄腕の冒険者、Aランク冒険者のミクスなんだ。彼はあのSランク冒険者のルディオ様にも認められ、サリアバザーでも良い商品を出し、交易祭にも出ることが決定してるんだ。しかも、凄腕の錬金スキルの使い手で、弟子が100人弱いる程の人物だよ」

「ほぉ、ルディオ様が認めたとは」

「お嬢様がここまでいうとは本物!?」

 

 

 

 

 おっと、魔族も俺の方にターゲットを定めているみたいだな。だがしかし、こっちの戦力は多大だぞ。

 

 

 

 

 

「ぐ、ぐおお……。ま、まさか、魔族となってたことがバレようとはな……。お前が?」

「俺がやったんだ」

「……いや、そうだったか?衝撃で記憶が定かでないが、なんか……」

「どう考えても俺だ」

「……そうだった気がする。ぐぬ……ただの人間ではないようだ」

 

 

 

 おい、なんでお前も丸め込まれてるんだ。

 

 まあ都合はいいけど。

 

 

 まぁ、俺がやったと言っておいた方が良いのだろうさ。屋敷中が俺に注目をしている。ユルレとその父親、それに支えているメイドや執事は驚きを隠せない表情だ。

 

 そりゃ、急に魔族が現れたらね。

 

 しかも魔族ってそもそもが空想上の存在とすら言われているわけだし。

 

 

 

 

 

「俺の名は、ミクス。Aランク冒険者だ」

「……なるほど、Aランク。そして、お前の後ろにいる黒髪青目の女……どうやら、放っておいていい連中ではなさそうだ」

 

 

 

 

 魔族は自らの腰に携えていた剣を抜く──、前に俺が魔族の剣を押さえていた。

 

 

 食事場所の室内から急に、外に出て一瞬で間合いを詰めたので魔族もその速さに驚いている。

 

 

「なにっ?」

「おっと、剣は抜かせない。対戦の前に少し、語ろうか」

「──速いっ」

 

 

 

 

 そのまま、回し蹴りをして魔族に更にダメージを与えておく。

 

 

 

 まぁ、俺もステータスアップの木の実をちょくちょく食べてるからステータス平均が上がってるんだよね。

 

 

 無論、シエラには及ばない。シエラは俺の3倍くらいあるからね。

 

 

 

 

「え、強くない? Aランクとか嘘じゃない? Sランクあるんじゃ」

「いや、俺はAランクだから」

「いや、Sランク」

「ない、Aランクだから」

「ん?」

 

 

 

 

 ユルレがおいっと言う眼でこちらを見ている。いや、ランク偽装とかしてるわけじゃないぞ?

 

 本当だよ。Aランクより上に上がるとマジで面倒だからさ。俺としてあんまり木の実は食べるつもりなかったんだけど、シエラがせっかく作ってくれたりしたし。

 

 錬金スキルに支障がない程度に食べてるだけなんだって。ステータスアップ木の実はステータスを上げてくれるけど、その分、急激に成長した体の感覚が慣れない場合がある。

 

 そうすると緻密に操作するスキルの失敗確率が上がってしまう。だから、あんまり食べてはいない。しかし、それでもここまで上がってしまったんだから、仕方なくない?

 

 

「へぇ……Aランクねぇ? ふーん……強くて、顔良くて、身長高くて、元貴族で、錬金スキルで美味しいの作れて、それが超美味しいから名産品とかもできそう……やっぱり結婚相手としては最適か」

「しないから」

「ええ? 僕との関係は遊びだったの!?」

「おい! 紛らわしいことをわざと大きな声で言うなよ!!」

 

 

 

 

 ユルレはニヤニヤしながら大声で面倒なことになりそうな言葉を放つ。頼むから黙っててくれ。

 

 

 魔族以上に面倒なことを増やさないでくれよ。俺はさっさと国外に……あれ? シエラが俺と付き合ってるから、もう面倒なことに巻き込まれるのは決まってるのか。

 

 

 あれ、今後の方針どうすれば……

 

 

 

 どうすれば……うん、先ずは魔族を倒してからかな。

 

 

 

 

「なんて言う脚力……このオレが動けんとは」

 

 

 

 

 魔族は地面から起き上がり、再びこちらを見据える。そして、二度目の剣を抜こうとするが──

 

 

 

「だから、抜かせないって」

 

 

 

 

 再び、抜こうとした手を俺は止めた。一瞬で距離を詰められたことに魔族は驚き、ユルレや彼女の父親も驚いている。

 

 

 

「──お前、どんなステータスしてる!」

 

 

 

 ステータスアップ木の実やっぱりチートだわ。これをガンガン作れるシエラちゃん。マジで半端ないわ。

 

 

 凡人の俺がここまで無法に強くなれてしまってるのがやはりやばいよね。

 

 

 

 

「まぁ、結構高いかもな」

 

 

 

 ステータスが高いのはシエラのおかげだけど。それはおいておいて、さっさとこいつを倒しておくかな。

 

 

 一瞬のうちにスキルで粗悪な剣を作り出して、魔族を斬り伏せた。性能は圧倒的にこっちが上。

 

 

 

「──少々、待っていただけますか」

 

 

 

 

 斬り伏せた……と思ったのが、俺が振るった剣は謎の魔族によって止められていた。

 

 おい、急にもう1体出てくるなんて聞いてないぞ。

 

 

 援軍とかやめろ。

 

 

 白い髪に真っ黒な瞳。角は生えてないが、翼が片方だけ存在している。

 

 そして、背中から神々しいサークルのような物が出ており、そこに模様やら文字が浮かんでいる。なんか、強そうな感じがするな。

 

 見た目の身長とかは俺と似ており体のシルエットも同じ。武器は腰に2本あるから、2刀流とかか?

 

 

 

「まさか、ここまでの剣士が居たとは……ヴァニッシュ、下がりなさい。お前では手に余る。ここは魔王軍幹部【十二凶】の1人、【魔毒】のソリサが貴方のお相手をしましょう」

「幹部……か。そんなの居るとか聞いてないな」

「えぇ、私も貴方のような冒険者がいるとは聞いてませんでした。人間を魔族に変える実験として、ヴァニッシュを観察していれば……このような事態になるとは」

「魔の宝玉の実験か」

「その名も知ってるとは……このまま放置しておくには危険ですねぇ」

 

 

 

 

 

 えぇ、幹部が来たのか。全然聞いてないんだけど……それに幹部ってどれくらい強いんだろ。

 

 

 

「危険ですが私の敵ではありませんねぇ──ッ!?な、なにっ」

 

 パァン!!

 

 やつが何か喋ってる途中、何かが弾け飛ぶような、場違いな音が部屋に響いた。

 

 そして……気づけば、相手の幹部のソリサの右腕が消し飛んでいた。

 

 

 

 

「ま、まさか、魔王軍幹部の私ですら視認できないほどに速いッ!!!!????」

 

 

 

 いや、俺何もしてない……そんな驚くような表情をされても……。

 

 

 多分、豊穣の女神は誰にも視認できないくらいの速さで攻撃してきてるんだと思う……。

 

 そう思った瞬間。再び、物騒な音が周りに響いた。

 

 ザシュ

 

 

「がは!!!? こ、今度は左腕だとっ!!!??」

 

 

 

 

 いや、すごい驚くような表情を向けられても……あ、その、俺何もしてない。

 

 

 

「なんと言う速さだ!!」

「あの魔族達を圧倒している!!」

「あれAランクの実力ではない!!」

「お父様、あの人婚約者でいいかな?」

「優秀な血筋は我が家には大歓迎だ」

 

 

 

 後ろも後ろで変に盛り上がってるし!! ってか、もう、ブラックとホワイト来た意味ないだろ!!

 

 

 

 あと俺も居る意味があんまりないような……もう、シエラだけでいいんじゃないかな?

 

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