私は怪盗団のストーカー   作:棚木 千波

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今後の為にP4U2を買い直しました。ペルソナ5の二次創作なのにとか言ってはいけない。
PQとPQ2のリマスターも出してくれ。


#24 それでも動かずにはいられない

 

 大衆の認知が入り混じる異世界メメントス。その序層も序層という所で、私たちはまさか過ぎる強敵と相対していた。

 

「うそ――これは、死神シャドウですっ!!」

 

 瞬時に判別した山岸さんが叫ぶのと、銃声が響くのは全くの同時だった。

 しかしその弾丸が誰かに命中すると言うことはなかった。

 

「うっ!?」「なんだよ、コレ?!」「動きが……!」「やられたっ……!」

 

 代わりに場の全員が顔をしかめ、その変化を感じ取っていた。

 それは死神シャドウである『刈り取るもの』が使うスキルの一つ、『ランダマイザ』。攻撃力や防御力や回避率を下げるデバフ技を、一息で全員にかけやがった! というかそんな事出来たっけ?!

 

「二人とも、下がってください!」

 

「ここはウチらに任せとき!」

 

 それでもとばかりに私たちの前へと躍り出たのは、アイギスさんとラビリスさんのシャドウ制圧兵装コンビだ。しかしその声に数秒前までの余裕はなく、ただ目の前の死神だけを見据えて私たちに背を向けていた。

 

「私たちも……!」

 

「駄目です! あれは死神シャドウと言って、極めて危険な存在なんです。ペルソナに目覚めたばかりのあなた達二人が戦っていい敵じゃありません!」

 

「そ、そうだぞ寺崎! 明らかにヤバそうじゃん、アイツ!」

 

「でもっ……!」

 

 加勢しようとした私を三島くんと山岸さんが押し留めようとしてくるが、言われなくてもアレがヤバい事くらい識っている。

 

 死神シャドウ『刈り取るもの』。それはペルソナ3から登場する裏ボスのような存在だ。ダンジョンの同じフロアに長時間居座る等のネガティブ行動を取ることで出現する強敵であり、基本的に勝てる相手ではない。下手をすればシリーズのラスボスよりも強いステータスとスキル構成をしているからだ。

 

「召喚シーケンス、『アテナ』!」

 

「出番やで、『アリアドネ』!」

 

 その身に搭載された機構を用いて、二人のペルソナが姿を現す。

 正面に大円の盾を持った騎士のようなペルソナ、『アテナ』がその盾をぐるりと回してからその槍を掲げる。それと同じくして彫像のように白く整ったペルソナ、『アリアドネ』が腕を振り上げた。

 

「『マハラクカジャ』!」

 

「『マハタルカジャ』!」

 

「おお?! なんか、身がしっかりしてきたというか、感じ悪いのが消えたような?」

 

 二人がまず使ったのは味方全体の攻撃力と防御力を上げるバフ技だ。デバフを受けた状態だとプラマイゼロになってしまうが、弱体化したままの方が危険なので仕方がない。

 

 しかしそれは不利を打ち消しただけで、握られた場の主導権を取り返したわけではなかった。

 

『……!』

 

「うっ?!」

 

「なんやてぇ?!」

 

 響く銃声は二度。その両手に持った銃から放たれた弾丸が、物理耐性を持つはずの二人の身体を叩いたのだ。その前提を覆された事の衝撃が、二人から更に余裕を奪っていく。

 

「二人とも! 死神シャドウ相手に防御有利は働かないと思ってください!」

 

「やはりそういう事ですか……!」

 

「なら、こっちからも行くで!」

 

 山岸さんの分析結果に顔を歪めるアイギスさんの横から、ラビリスさんが大斧を構えての突撃を開始した。

 

 機械の身体を活かした駆け出しに加えて、その斧に取り付けられたブースターによる加速は『刈り取るもの』との距離を一瞬にしてゼロにする。

 その勢いのままに振り切られた大斧の斬りつけが、死神の腹部へと突き刺さった。

 

「ブッ飛びやぁ!!」

 

『ッ……!』

 

 斧と鎖の擦れ合う響きと共に、死神の巨体が後方へと押し出される。けれどそれも2,3メートルで衝撃を殺し切ったのか、すぐに停止して銃を撃つべく腕を動かす。

 

「行って、『アテナ』!」

 

『……!』

 

 しかし姉を追って近づいてきていたアイギスが、『アテナ』の槍でその刹那を刺し貫く。ダメージは小さくとも無視は出来ないその攻撃に、死神は苛立ちを覚えたかのように腕を横に振るった。

 

「ここは私たちが引き受けます! 風花さんはその間に逃走経路の確保を!」

 

「分かった、急ぐねアイギス! 二人は私の傍で、いつでも逃げられるように待機で!」

 

「わ、分かりました……!」

 

 そんな応戦中のアイギスさんから指示を受けて、再び山岸さんが『ユノ』の中に入ってメメントスの入口までのルートを探し始める。

 そんな山岸さんを守るように私と三島くんが周囲を固めるけど、実際はその逆だ。前世の記憶やイセカイナビを持っていようと、私たち二人は大人になった彼らシャドウワーカーからは庇護対象と見られている。それは否定出来ない事実だった。

 

「タルタロスで戦った時よりも、強い個体ですね……!」

 

「ほなアイギス、その時はどうしたん、やっ!」

 

「その時はあの人が、リーダーがいましたから!」

 

「……そっか、なら他の手を考えへんとな!」

 

「っ……!」

 

 死神の魔弾を掻い潜りながらのアイギスさんが漏らしたその役職名に、私は青い髪で片目を隠したとある少年の背中を幻視する。

 けれど死神シャドウすら体力と気力を全て消費した上で討滅してくれそうな彼はこの場にはいない。なのに死神の相手を二人だけに任せていいのかと、そんな焦燥が私の身を駆り立てる。

 

「おい、行くなよ寺崎?!」

 

「う、うう……!」

 

「ラビリスさんやアイギスさんがあんだけ動いてる中に俺たちが行ったって、足手まといにしかならないって!」

 

 けれど私の肩に手を置く三島くんによって、私は動けないでいる。そして死神シャドウとやり合うロボっ娘二人の動きは連携が取れているので、そこに私が割って入るのは確かに邪魔になっちゃうだろう。それも、分かっているんだけど……!

 

「ここです!」

 

「合わせるで!」

 

『ッ……!』

 

「二人とも、今なら逃げられそうです!」

 

 そんな二人の攻撃が立て続けに『刈りとるもの』へと命中し、少しだけど距離が空いた所で山岸さんからオーケーが出た。彼女が立ち上がるのと、前線にいた二人が戻ってくるのが同じ位だった。

 

「風花さん、走れますか? 厳しそうなら私が背負いますが」

 

「もしかしたらお願いするかもだけど、ひとまずは大丈夫。だから私だけじゃなくて、寺崎ちゃんと三島くんの二人の事も見てあげてね」

 

「なら殿がウチがやるわ。完全にダウンを取ったわけでもないし、早い所行こか!」

 

「は、はい!」

 

 焦りを隠し切れていないラビリスさんに押されるようにして、私たちは入り口を目指して走り出す。

 幸いにしてそこまで奥に来たわけではないから、三分もしない内にスタート地点まで戻れる筈だ。

 

 そして死神シャドウはそこまで足が速くない。途中で道を間違えたり他の雑魚敵にぶつかったりしない限りは逃げ切れると踏んだから、山岸さんもGOサインを出した筈なのだ。

 

「――え?」

 

 それでも消えなかった――否、最初からずっと感じていた違和感が、私の意識を後ろへと向けさせる。

 ――そのすぐ近くにいた死神と、目が合った。

 

「速すぎる、やろっ!」

 

 最後尾にいたラビリスさんが急ブレーキと共に斧を振り抜くが、死神はその手に持つ黒い銃で刃を受け止めてみせる。そしてもう一つの銃の引き金を引くと、私たちの足元に黒い魔法陣のようなモノが出現する。

 

「ひゅあっっ?!?!」

 

「え!?」

 

「寺崎さん?!」

 

 その瞬間、私の身の感覚が意識の暗転と共に奪われかけた。すぐにフラついた身体を支えようと足に力を入れるけど、それだけで息が上がってしまいそうになる。というかコレって……!

 

「今のはマハムドオンです! 食いしばりで耐えたみたいだけど、寺崎ちゃんの体力が危険域に入りました! 誰か回復を!」

 

「姉さん、数秒耐えてください!」

 

「言われへんでも!」

 

「……あ、ありがとう、ございます……!」

 

 撤退を中断して再び死神と対峙するラビリスさんの背中を見ながら、アイギスさんの『アテナ』による回復魔法を受ける私。けれどその向こうにいる、妙に足の早い死神に視線を向けられた気がした事で、ようやくその違いに気がついた。

 

 私たちと因縁のある一般シャドウだったとはいえ、それだけで死神シャドウがこんな序層に現れるなんておかしい。それに全体ランダマイザや倍の移動速度を持っている事も原作ではなかった事だ。それこそ原作を知る私位にイレギュラーな存在じゃないのか。

 

 そしてそんな私の弱点である呪怨属性の即死魔法を使ってきた事で、自意識過剰であって欲しい可能性が思い浮かぶ。

 

 ――アレは、私の為の死神なんじゃ?

 

「ごめんなさい、私が死神の移動速度を見誤ったばっかりに……!」

 

「風花さんの所為ではありません! ここで私たちがもう一度ダウンを取りますから、それまで皆さんは防御姿勢を!」

 

「……いや、私も戦います!」

 

「ちょ、おい!?」

 

 アイギスさんのディアラマと追加した傷薬でどうにか立ち上がると、目を丸くした三島くんが慌てて私を止めにかかる。隣で『ユノ』を呼ぼうとしていた山岸さんも似た顔だった。

 

「寺崎ちゃんは今倒れかけたばかりなんだよ? それなのに戦うなんて、許可出来ません!」

 

「でもあの死神シャドウは普通じゃない。この場の全員が無事な内に何とかした方が確実だと思うんです」

 

「普通じゃないって、アレの事も識ってるのかよ……」

 

「私の識ってる死神シャドウよりも、多分山岸さん達が過去に出会った奴よりもアレはずっとヤバい気がして……!」

 

「それは、そうだけど……」

 

 言い淀む山岸さんには悪いけど、事ここに至ってはもう退くわけにはいかないだろう。

 信じてないわけじゃないけど、今戦ってくれている二人が倒れてしまう可能性もある。よしんば私たちは逃げられたとしても、二人が大怪我をしてしまうのも看過できない。この死神シャドウの出現に私が関与しているのなら尚更だ。

 

「また前みたいに死ぬ事前提の無茶をするんなら、俺は反対するからな」

 

「……断言は出来ないけど、だからこそ三島くんも力を貸してほしいの。四人がかりなら倒せなくても、ダウン位は取れるかもしれないから」

 

 何かを押し殺しながらに告げる三島くんと約束は出来ない。何せ相手はあの死神だし、原作だとジョーカーのダウンショットでしかダウンしなかったような気がするけど、それでも全員生還を目指すのならもはや戦うしかない。

 

「し、死ぬ前提……?」

 

 例え、先ほどの発言からちょっと引いた目で私を見る山岸さんを更に引かせる事になっても……!

 

『……!』

 

「――しまっ?!」

 

「――やば!?」

 

「ああっ、二人とも?!」

 

 そんな折に響く銃声と、二人の切羽詰まった声が私たちの意識を引き戻す。

 そこには膝を折って身動きが取れなくなった二人と、弱点属性の魔法という鎌を届かせた死神の姿があった。

 

 そして弱点を突いたのなら『刈りとるもの』にはまだ1MOREが残っている筈。それだけで、私が駆け出すには十分だった。

 

「――フォロー入ります! 三島くんは援護お願い!」

 

「ちょっ、ああもう仕方ないな!」

 

 私を取り逃がした三島くんが悪態をつきながら狙撃銃を構え、その射線に追随するように私が死神へと接近していく。当然、相手がそれに気付かない筈はない。

 

「寺崎さん! 来てはいけません!」

 

『……!』

 

 同じく接近に気付いたアイギスさんの制止を振り切るように、死神が私へとその銃口を向ける。その黒い穴を見つめながら、考えるのはこのペルソナ世界の魔法の事だ。

 

 今まで見てきた中で推察するのなら、ペルソナによる魔法はかなり制限が緩い。手元から発射する事も出来るし、狙った地点に直接出現させる事も可能なのだ。体感的には後者の方が多いので、つまりは使用者が念じた地点に魔法攻撃を発生させられると思っていい。

 

 しかし念じた瞬間と魔法が発動する瞬間には僅かなタイムラグが存在する。その刹那に発生地点と自身の身体をズレさせる事が出来れば回避成功、ゲームでいうMISS判定になるんじゃないかなというのが私の予想だ。

 

 なので死神の攻撃もそのつもりで避ければいい。

 ――そう思っていた時期が、私にもありました。

 

「――『オラクル』!」

 

「えっ――?!」

 

 何かが割れるような音と共に、目の前の景色が歪んで明滅する。ワンテンポ遅れて通り抜けた寒気で、死神シャドウの攻撃を風花さんが防いでくれた事を察した。

 ……いや、見えなかったんだけど?!

 

「二度目はありませんから戻ってください、寺崎ちゃん!」

 

「っ……!」

 

 叫ぶように勧告する山岸さんに後ろ髪を引かれながら、既にその退路は断たれている事を察した私は必死になってその死神を見据えてただ走る。その鎌の射程圏内にいる私の胸中にあったのは、恐れの肥大だけだった。

 

 見えなかった。技の起こりが全く感じられなかった。

 

 ゲームに当てはめるのなら、これがレベル差の暴力という事なんだろう。ステータス的にも差がありすぎて、挑戦者という立場すら与えられない。起こるのは絶対的強者による蹂躙だけだから、アレは死神なのだ。

 

 故に私のスキルなら勝てるかもなんて甘えは捨てた。目指すのはあの二人が起き上がるまでの、たった数十秒の生存だ。

 

『……!!』

 

「スクカジャッ!!」

 

 『シャルロット』の強化を受けながら、両手に持った鎖を伸ばして回転を始める。とにかく速く回して盾代わりにしながら動き回り、魔法の始点をズラせるように足掻く。私の攻撃はどうせ有効打にならないだろうから、ひとまず後回しだ。

 

「あうっ……!」

 

 銃声と、左手の鎖が弾かれるのが同時。分銅を回していた方に火炎魔法が当たったらしい。

 その衝撃で手放すついでに身体ごと後ろに持っていかれそうになる所を、身を捩るついでに右手の鎖を前方へ投げる事でバランスを取る。それは隙だけど、1MOREでなければ突かれる事にはならな――

 

「させるかっ!」

 

「嘘ぉ!?」

 

 そんな私の横を抜けた三島くんによる認知の弾丸が、死神の手元に当たって狙いをブレさせる。それによってMISSになった氷撃が、私の脇で爆ぜていった。いや1MOREじゃないのにここまで早いの?!

 

「無理や寺崎ちゃん! 反応出来てないやないか!」

 

「なら早く起き上がって――くださいお願いしますっ!!!」

 

 第六感なんて私にはないから、もう死神が銃を動かしただけで転がるようにして逃げている。ラビリスさんの方をチラリと見たけどまだ回復しきってはいない。私の絶体絶命はまだ終わらない。

 

「ブフーラ! からのガルーラッ!」

 

 これ以上死神に近づいたらホントに無理と判断して、左手に戻した鎖の先にある分銅に向かって氷結属性の魔法を使用する。鉄球ならぬ氷球となったそれを回すついでに疾風属性の魔法でブーストし、横薙ぎに叩きつけた。

 

「駄目です、その程度じゃ……!?」

 

『……ッ?!』

 

 しかし死神は難なくその攻撃を銃で受け止めて、その直後の刺突に僅かな驚愕を見せた。

 その手に刺さっていた鎌は、私が氷球の後を追うような軌道で回していたモノ。私の手首を犠牲にして氷球がぶつかるタイミングから僅かにズラして投げた事により、死神の意表をつくのに成功していた。

 

 けれど意表をついただけで、クリティカルには程遠い。だから少しのダメージと共に稼いだ数秒のあとに、死神が次の手を撃つのもまた必然。

 真上に掲げた銃が火を吹くと、死神シャドウの全身に力が漲ったようなエフェクトが煌めいた。

 

「コンセントレイトです! 次が来る前に皆退避を!」

 

「やば――」

 

 鎖を手元に引き寄せるのを優先した所為で、逃げるコマンドが一手遅れる。それは割り込んだ死神がその銃の撃鉄を落とすまでの間と同じ位だった。

 

「姉さん!」

 

「間に合わせたる!」

 

 そんな私を庇うように前へと出たのは、復帰したばかりのアイギスさんとラビリスさんの二人。私がそれに反応する暇すら与えないと、『刈りとるもの』はその一撃を解き放った。

 

 それは青紫に縁取られた白い光球。誰を狙うでもなく地に落ちてすぐに、私たちを包み込む程の爆発が引き起こされる。

 

 その魔法の名は『メギドラオン』。あらゆる耐性を貫く万能の光と熱が、全てを蹂躙していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――だから、これは奇跡だと思った。

 

「……わたし、まだ、生きて……」

 

 力の奔流の始まりと終わりを認識出来ている、つまりそれだけの意識が続いている事にまず驚いた。痛みはあるけど身体は動くし、体力もまだ半分は残っているだろう。

 けれど、それが不幸中の幸いである事にもすぐ気が付いた。

 

「……あ……!」

 

 私の前にいた二人はダウンこそしていない。けれど『メギドラオン』を受け止めたのだろうその腕や斧は傷に塗れている。体力も私以下としか思えなくて、良くて三割といった所だろうか。

 

『…………』

 

「ま、ずい……!」

 

 そして『メギドラオン』を使ったばかりの死神は、当然健在だ。大技である事は間違いないが、特段クールタイムが長いわけでもない。だから死神よりも先に動き出さなくてはと思うのに、立ち上がりがどうにもぎこちなくなってしまう。

 

「……大丈夫ですか、寺崎さん」

 

「……ホンマ、手のかかる子やな」

 

「え……?」

 

 だから、急にかけられたその声に私は呆けるしかなかった。

 

「アイギスさん、ラビリスさん……?!」

 

「なんや、それだけ驚けるなら心配はいらなそうやね」

 

「死神シャドウに接近し始めた時はどうなる事かと思いましたが……ギリギリ間に合ったようで何よりです」

 

「いや、でも、お二人が……!」

 

「いやいや、ウチらはシャドウワーカーやで? コレ位、どうってことあらへんよ」

 

「はい、全然へっちゃらであります」

 

 私の無事を確かめた二人の言葉は、やはり強がりにしか聞こえない。『コンセントレイト』からの『メギドラオン』、例え防御姿勢(ガード)をしていたとしても相当なダメージだろう。

 

 しかしその瞳にはまだ闘志が燃えていた。死神相手でも諦める事はないとばかりに、私をその目で射抜いてくる。

 

「でもウチらがダウンしとった時に、寺崎ちゃんが死神の気を引いてくれたのは確かや。かなり肝冷やしたけど、ここまで来たら腹くくったるわ!」

 

「ここからあなただけを逃がすのも至難の業ですからね。なので寺崎さん、絶対に無理はしないように」

 

「……は、はい!」

 

 出しゃばってしまった私を咎める空気はある。けれどこの状況を切り抜ける為に使えるものは何でも使うと覚悟を決めた二人に、私は報いなければならない。それがすべき事だと自覚した。

 

 ――そしてこの場にはもう一人。それを自覚して既に動き出していた者がいた。

 

「――『メディラマ』!」

 

 突然現れた気配と共に、踏み込まれた砂利が音を鳴らす。その方向へと振り返ると、そこにいたのは――

 

「み、三島くん?!」

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

 白い爆発による音と風がメメントス通路を震わせる。

 けれどその破壊力だけが届かない距離にいた二人は、その顛末を見届けていた。

 

「ちょ……寺崎? ラビリスさん、アイギスさんは?!」

 

「……大丈夫、反応はあります! けど、かなり体力が削られてる……!」

 

 爆発に飲み込まれた三人の反応を『ユノ』で拾った風花だが、その表情は芳しくない。『オラクル』の強化と合わせる事で凌いだようだが全員無傷では済まず、逆に死神シャドウはまだ七割弱の体力を残している。

 

 逃げることも倒すことも困難。しかし情報支援しか出来ない自分では取れる選択肢も少ないと、風花は歯噛みする思いだった。

 

「一体、どうすれば……」

 

「……あの、山岸さん。俺もその、行っていいですか?」

 

「……え、ええっ?! だ、駄目だよ危ないから!」

 

 思いがけない提案に慌てふためく風花だが、よく見れば言った本人が一番青い顔になっている。目も耳も疑ってしまうような話だった。

 

「も、勿論俺なんかがあんなヤバいのを倒せるとか思ってんじゃないです。けど、俺のペルソナならあの三人を回復させられるんじゃないかって、それだけで! ここからだと、ちょっと届かないんで!」

 

「だとしても、許可なんて――いや……」

 

 自分以上にテンパってるかもしれない三島を見て、僅かに戻った冷静さが風花の言葉を中断させる。

 

 補給要員の有無は勝敗を大きく左右するポイントだ。前衛三人の中に彼が加われば勝率は確かに上がるだろう。

 

 ここから動けば三島も危険に晒されるのは間違いない。しかし多少のリスクを取ってでも動かなければあの死神の打破は出来ないと、ナビとしての経験がそう囁いている。

 奇しくもそれは、前衛であるアイギスとラビリスが寺崎に下した判断と似たものだった。

 

「…………あなた達に頼る事になってしまってごめんなさい。でも万が一の時は自分の身を守る事を優先してね、いい?」

 

「わ、分かりました。あと寺崎もついでに回収してきます」

 

「うん、お願い!」

 

 そうして風花がGOサインを出したタイミングで、『メギドラオン』による煙が薄れてくる。

 そうして体勢を低くした寺崎の姿が見えた辺りで、四人目である彼が駆け出した。

 

「『ジャミング』をかけたので、近づいてもある程度は気付かれない筈。その隙に皆を回復してあげて!」

 

「は、はい!」

 

 自身の周囲に空間の歪みのようなモノを纏わせながら、前線へと向かっていく三島。召喚器を握った上から持つ狙撃銃は、盾にするつもりでの護身用だった。

 

 

 

「――『メディラマ』!」

 

「み、三島くん?!」

 

 そうして辿り着いた三島は己のペルソナを呼び出し、念じるようにして回復魔法を唱える。もう一人の己自身であるが故に、初めてであってもそのやり方を間違えたりはしなかった。

 

「三島さんまで……!」

 

「ど、どうだ?! これで皆、立てるようになったよな?!」

 

「――避けや、三島くん!」

 

『……!』

 

 得意げになった三島へラビリスの鋭い声が響くが、死神の指が動く方が早い。

 そして響く轟音。三人の間を抜けて飛んでいった弾丸が少年の身体へと突き刺さり、その衝撃が後方まで突き抜けていく。少年の咳き込む様な声が、遅れて漏れた。

 

「み、三島くん?!?!」

 

「ゲホッ……! あ……いや、ダメージは、ないのか……?」

 

「『オラクル』の効果で一撃だけは軽減されてる筈です! だから大丈夫、だと思うんだけど……!」

 

「え、軽減されてコレ……!? 寺崎とかシャドウワーカーの二人ホントに凄いんだな……!」

 

 被弾部位を抑える三島だが、死神の一撃を食らって顔を顰めるだけで済んでいる時点でも奇跡だろう。むしろその結果に一番納得がいかない存在が、再び銃を構えようと動きを見せる。

 

「俺だって一撃くらいはお返ししてやるからな、『シャルル』……!」

 

 そんな死神よりも早く、己の額に召喚器を突きつけた三島が再びもう一人の自分を呼び出す。

 そうして現れた灰色の人型が腕を振るうと、左右に浮いていた透明な二枚の板が死神へと飛んでいく。

 

『…………?!』

 

 しかしそのまま死神へとぶつかるのではなく、半円部分にその首をはめ込むような形で二枚の板が連結された。あたかもギロチンの刃を落とすべく、その罪人を固定するかのように。

 

「『大切断』――!」

 

「ハァッ!」

 

『…………ッ!?』

 

 そんな即席の拘束具の下を潜るような斬撃が、『シャルル』と呼ばれた人型によって横薙ぎに放たれる。首から下を僅かに見れなくなった死神の首元に、その刃が突き立てられて。

 

 けれど、それで終わりだった。

 

『――!!』

 

「えっ――?!」

 

 硬いものがぶつかった時の音と共に、その斬撃が両断を完了する事なく止められる。間に何か挟まれたわけでもなく、素の硬度だけで防がれた事を当人たちだけが理解した。それがレベル差によるモノである事は、とある少女以外が知る事はない。

 

 その直後に首の拘束具が引き裂くように破壊され、再び自由を取り戻した筈の死神。

 

 ――されどその巨体は、バランスを崩してよれかけていた。

 

「う、嘘?! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 距離を置いて見ていた風花は何が起こったのかを理解している。けれどそれが信じられないとばかりに目を見開いていた。

 

『…………!』

 

 それはしてやられた死神も同様。言葉はなくとも動揺を胸に抱きながら、それを果たした下手人を見下ろす。

 

「――やっぱり、完全な不意打ちにはならないよね……!」

 

 そこにいたのは息も絶え絶えのまま地を転がる一人の少女。いつの間にか死神の背後へと移動していた寺崎は、その一撃をして尚悔しさを露わにしていた。

 

「……アイツ、俺の攻撃に被せたのか?!」

 

 『シャルル』を呼び出していた三島は当然、同じタイミングで低空の飛び込み前転をしていた寺崎を見ていない。透明な拘束具そのものとその仕掛け人に気を取られた死神も、自身のローブの下への潜入を見落とした。

 

 そこから仰向けに身を捩りながら放たれた、辻斬りのような『シャルロット』の一撃。『シャルル』の『大切断』とほぼ同時だったソレは、身構えていた死神の意識外を突いていた。

 

 しかし『大切断』という攻撃が来る前提での不意打ちであったが為に、判定は不完全。ダウンはせず、威力も本来の半分以下であり、寺崎も次に移る余裕はない。

 

 ――それでも、二人にとってもそれは『天啓の一手』だった。

 

「ここです、姉さん!」

 

「分かってる! ウチらもええとこ見せへんとなぁ!」

 

 

「「テウルギア、発動!!」」

 

「えっ?!?!」

 

 

 勝負所とみた二人が同時に叫ぶと、ガラスの割れるような音と共にその瞳が紅く煌めく。一人はその背に追加武装を展開し、もう一人は自身の白いペルソナを呼び出した。

 

「最大強度や、アリアドネ!」

 

『……?!』

 

 ラビリスの号令によって死神の足元から飛び出したのは、赤く光る糸の剣。今まで使われていなかった攻撃に反応が遅れた為か、死神と言えどその身を抑える事に成功する。

 

「はあああああっ!」

 

『……! ……!』

 

「させるか……!」

 

 そんな死神の周囲を回るように飛び始めたアイギスが、飛行ユニットと共に新しく構えた機銃やミサイルランチャーの一斉掃射を開始した。爆心地と化した死神が動かせる片腕で銃の引き金を引くが、三島の狙撃銃による牽制によって着弾には叶わない。

 

「こっちもまだ終わってへんで――!」

 

 そうしてアイギスが撃ち尽くした直後に、ラビリスが『アリアドネ』と共に突進する。振り下げた斧と死神が接触した瞬間に再点火したブースターが、轟音と共にその巨体を宙へと打ち上げる。

 拘束が外れて空中へと投げ出された死神が見たのは、落下し始めるラビリスの腕が伸びる瞬間だった。

 

『ッ゙…………!!』

 

「そりゃあああああああっ!!」

 

 人ならざる機械の身体で拡張された間合いの中を、鞭のような勢いで振り回される大斧。死神も抵抗とばかりに銃弾を放つが、感情の高ぶりと共に上げられた出力の前では五分となった。

 

『……!!!』

 

「ちぃっ……!」

 

 それでも撃ち勝った死神の弾丸によって、大斧が後方へと飛ばされる。手首から伸びた鎖によってまだ掴んだままではあるが、崩された体勢はラビリスの隙を証明している。死神が再び照準を定めるのには十分過ぎる間が生まれた。

 

「――テウルギア中に反撃しないでよ! ブフーラっ!」

 

『……ッ!』

 

 しかしそれはタイマンだった場合の話だ。

 身体を起こし終えていた寺崎の何故か怒りの籠もった氷撃が、死神の動きを僅かに遅らせる。

 その次を担ったのは、空中で準備を終えたもう一人の機械の乙女だった。

 

「――これ以上の手出しは、させないっ!」

 

『――――ッ?!』

 

 『アテナ』の大盾を足場にして放つ、全体重を乗せた鋼鉄のライダーキックが死神の胴体へと突き刺さる。飛行ユニットの燃料の全てを費やしたその勢いによって、二人が地に墜ちた事による衝撃がメメントスを揺らした。

 

「死神シャドウの体力、あと僅かです!」

 

『ッ…………!』

 

 それでもまだ息がある事を、シャドウワーカーの三人は悟っていた。

 アイギスが叩きつけた事で出来たクレーターの中心で、『刈りとるもの』が起き上がろうと動き出す。テウルギアを使い切ったアイギスは、その爆心地から跳躍して距離を取るのが精々だ。

 

 ――そして響くは擦れる鎖の音。迫りくる死の報せを聞いたのは、されど死神の方だった。

 

「ならコレで――終いやぁあああああっ!!」

 

 大斧を飛ばされたラビリスの、その腕の鎖を限界まで伸ばした状態でのぶん回し。少し前の寺崎と似た動きでありながら、その中身には雲泥の差があった。

 

 そもそもがラビリスにしか扱えない程の大斧が、半径数メートルの円を描く。『アリアドネ』の糸で補強しても尚耐えられるかギリギリの負荷を受けながら、彼女はその遠心力を斧の先端に込めていく。

 

 そんなテウルギアが可能にした渾身の一撃が、最後に己の身の回転すら乗せたラビリスによって死神の斜め上から振り下ろされる。その速度と威力は『刈りとるもの』に一切の抵抗を許さなかった。さながら、無慈悲に落ちるギロチンの刃の様に。

 

『ォォ…………!!』

 

 更なるクレーターが生まれんばかりの衝撃と共に、とうとう漏れる死神の断末魔。役目を終えた斧がその負荷によって砕け散るのと同じくして、『刈りとるもの』の身体が黒い塵となって霧散していく。その光景を、全員が満身創痍のまま見ていた。

 

「……や、やったの……?」

 

「……死神シャドウ、消滅を確認しました。他に反応は――寺崎ちゃん後ろっ!!」

 

「え?」

 

 風花の突然の叫びによって寺崎が振り返ると、そこにいた植物の身体を持つシャドウと目が合った。『マンドレイク』と呼称されるその敵との距離、僅か一メートル。

 

『こ、こうなったらオマエだけでも――!』

 

「しまっ――」

 

 それは『天啓の一手』であれば間違いなく即死級に届いていただろうタイミング。

 どうにか立ち上がりかけていただけの寺崎には、その攻撃を回避するだけの余力も余裕も残っていない。実際にはそれがただの『突撃』だったとしても、先程のスキルで消費した末に残った僅かな体力を吹き飛ばすには十分だった。

 

 ラビリスは斧を失い、アイギスのリロードも間に合わない。だから、引き金を引いたのは彼だった。

 

「――『シャルル』ッ!!」

 

「ひゅあんっっ?!」

 

『あっつぁぁぁぁぁ?!』

 

 三島の呼び出した『シャルル』が再び二枚の板を重ね合わせ、その穴から飛び出した炎球が『マンドレイク』の身を焼く。明らかに火力が上がった『アギラオ』の前に、最後のシャドウは為す術なく黒い塵となっていった。

 

「シャドウの弱点だったようです! これで本当に周囲のシャドウ反応はゼロになりました!」

 

「やりましたね、皆さん……!」

 

「ふぅ……どうなる事かと思ったわ……」

 

 改めての戦闘終了を確認したシャドウワーカー三人もようやくとばかりに息を吐く。死神シャドウさえいなければあと少しでメメントスの入口に戻れる為に、場の空気が弛緩していくのは道理だった。

 

「危ない所だったな……。ほら大丈夫か、寺崎」

 

「…………」

 

 三島も最後に荒れた息を整えながら、尻もちをついたままの寺崎へと近づく。何故か返事はない。

 終盤また目を輝かせていたけれど、流石に疲れたのかと手を差し出す三島だが――

 

「……………………きゅう」(バタン)

 

「えっ?」

 

 目を回して後ろに倒れた寺崎に、言葉を失った。

 

「ちょっ、おい寺崎?! え、嘘、間に合ってなかった感じ!?」

 

「…………もしかして、最後の『アギラオ』が当たっていたのでしょうか。あの距離ですし、寺崎さんの弱点も火炎だったような……」

 

「いやいや、確かに弱点(WEAK)を突かれた時の反応やけど……!」

 

「い、息はあるみたいだけど、ええ?!」

 

「て、寺崎ぃぃぃぃぃ?!?!」

 

 グルグルと目を回した少女が倒れ込むメメントスに、そんな最後の叫びが木霊していった。

 

 

 ☆★☆

 

 

「……なるほど。それが今回の顛末か」

 

 後日、桐条美鶴の執務室にて。改めての報告に来たアイギスへと美鶴はそう言葉を返した。

 

「風花さんと三島さんに目立つ外傷はなし。私と姉さんの負傷は先日までに修復が完了しました。そして寺崎さんですが、彼女も一日寝込んだ後に快方へと向かったそうです」

 

「全員帰還したようで何よりだが、寺崎くんが一日昏睡していたと言うのはやはり、そうなのか?」

 

「医療班や研究班からの報告からも間違いないかと。それだけで済んでいるという意味では、荒垣(あらがき)さんよりはマシかもしれませんが……」

 

「だからといって容認するわけにはいかないが、後に残るようなモノがない事は良しとするべきだな」

 

 ひとまずの無事を確認し終えた美鶴は、それでも残った懸念事項で空を仰ぐ。

 

 死神シャドウを討伐したという報せは、帰りを待っていた美鶴に少なくない衝撃をもたらした。軽いデモンストレーションのつもりで派遣を許可したのだから、それも当然の反応だろう。

 

「しかしこのメンバーで討伐に成功するとはな。アイギスやラビリスや山岸の活躍は勿論だが、やはり彼女のペルソナによる所も大きいのか?」

 

「申し訳ない事に、今回は寺崎さんと三島さんの二人がいたからの結果だったかと。あの一撃が戦況を変えたのは確かですし、それが叶ったのは三島さんの奮闘があったからこそでした」

 

 プロとしては不甲斐ない事だが、守るべき高校生である二人の活躍をアイギス達は評価していた。もっとも本人たちはそもそもの原因が自分たちにありそうなので、事が終わってからも恐縮しきりだったが。

 

「元々今回は二人の力を見る事も目的の一つだったんだ。そういう意味では認めざるをえないな」

 

「寺崎さんはいろんな意味で意表を突ける動きをしますし、三島さんも援護の腕は悪くありません。あの一日でペルソナも大きく成長したようなので、身を守るだけなら十分に出来ると思います」

 

「やはりそうか……。なら、私も腹を括るしかないようだな」

 

 あの二人には戦う力がなく危険だという点は、今回の一件である程度解決されてしまった。だからといって危険に飛び込んで行く事を良しとするつもりはないが、それでも時は流れて事態は進んで行く。

 

「先日、怪盗団に動きがあった。七月末に宣戦布告をしたメジエドのホームページに、彼ら自身の個人情報が掲載されたんだ。恐らくこれが怪盗団の返答なのだろう」

 

 美鶴が開いたパソコンの画面には、今話した通りの内容が映し出されている。すなわちコレは、怪盗団がメジエドに勝利した証明に他ならない。

 

「――八月中に怪盗団はメジエドと決着をつける。本当に寺崎さんの言った通りになったのですね」

 

「それだけじゃない。私が調べた限りでは誰にも予告状は出されていないし、これで自白をしたような人間も見つかっていないんだ。つまり怪盗団は、改心以外の方法でメジエドを倒した事になる。これもまた、彼女の言った通りにな」

 

 遂に動いた怪盗団に世間は沸き立っていたが、美鶴たちシャドウワーカーの一部はその逆の様相を呈していた。

 

 怪盗団とメジエドのいざこざが収まる事くらいなら誰でも予想は出来るだろう。しかしその具体的な手段や状況まで事前に言い当てた事で、寺崎叶の話の信憑性が上がってしまったのだ。

 

 つまりそれは、これから先の流れも彼女の示す通りになってしまいかねない事を意味していた。

 

「やはりこの先も彼女たちに力を貸す以外の道はないのだろう。それが何処に向かうのかまではまだ分からないが、私たちには私たちの信念がある。気を抜かずに対応していくぞ、アイギス」

 

「了解です、美鶴さん」

 

 そうして今後の方針を改め直した美鶴に、アイギスはビシリと敬礼する。それに頷きを返しながら、美鶴が考えるのはこの先の出来事だ。

 

 

「九月上旬に起こるであろう、秀尽学園の校長を狙った精神暴走事件。まずはこれを寺崎くん達と協力して阻止するんだ」

 

 





 ☆寺崎叶(LV.66)
 テウルギアで一番興奮してた少女。シャドウワーカーと三島がいなければ勝つ事はまず不可能だった。
 原作にないテウルギアを見せてくれた事と鎖繋がりでラビリスに少しシンパシーを感じているとかいないとか。
 
 ☆三島くん(LV.64)
 一番足が震えていた少年。『刈り取るもの』の中で優先順位が低かったので何とかなった。けど最後に倒れた寺崎でマジ焦った。俺リカーム使えないんだからな。
 シャドウワーカーの戦いぶりを見てちょっと寺崎の気持ちが分かった。ところでテウルギアって何?

 ☆アイギス(LV.84)
 二人を戦闘に参加させてしまった事を少し悔やんでいる。気持ちは分かるのでその、余計に。
 オルギアモードは相性が悪いと判断してもう一つのテウルギアを使用した。次があるのなら遺産解放兵器も持ってくるであります。

 ☆ラビリス(LV.83)
 P1クライマックス事件の後にテウルギアを獲得した人。イメージはP4Uの『ストリングアーツ"猛獣"』→『ストリングアーツ"異端審問"』。グリングリンのカメラワークでお願いします。
 やっぱりウチも更に強くならなあかんし、もう一度向き合ってみんとな。

 ☆山岸風花(LV.82)
 寺崎の暴走で一番肝を冷やした人。けれど一番修羅場を見てきたナビでもあるので判断自体は早かった。
 『ハイ・オラクル』としてやれる事は増えたけど、私も出来る事を増やした方がいいのかな……? でもりせちゃんみたいには流石に……。

 ☆桐条美鶴(LV.83)
 報告聞いてびっくりした人。自分も行くべきだったかと本気で悔やんで使用人に窘められた。寺崎叶から聞いた情報から今後の対策を練っている。
 ――私だ。やはり前に言っていた件で助力を頼みたい。そちらも警察組織の中で動き辛いとは思うが、構わないか? ……助かる。では近い内に会おう、明彦。

 ☆『刈り取るもの』(LV.92)
 今回の加害者兼被害者。割と大変な仕事をしなくちゃいけなくなったシャドウ。
 後半はもう『メギドラオン』連打でいいかと思ってたら撃たせてもらえなかった。コマンドRPGのつもりが格闘ゲームになっていたような感覚を味わっていたとかいないとか。



 閲覧、評価、誤字報告など誠にありがとうございます! 感想もいただけると嬉しいです!
 長すぎた八月もようやく終わっていよいよペルソナ5本編に合流、のハズです。次回もよろしくお願いします。
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