オラリオで映画館を運営する転生者達の話   作:寝心地

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第10話

カァン カァン カァン カァン

 

鉄を打つ音が部屋に響く。熱く熱く燃える鉄は火花を散らし薄暗い部屋を一瞬赤く照らす

 

「良し、こんなもんだろう」

 

近くにあった水の入ったバケツに鉄を落としジュウゥゥと鉄が冷える音が聞こえる

 

その時、扉を叩く音が響きそちらを見ると敬愛する主神が立っていた

 

「おはようございます。ヘファイストス様」

 

「おはよう。調子はどう?」

 

「あまり良いとは言えません。最近はどんなに真剣に全力で打ってもこれじゃないと感じてしまう」

 

「良くあることよ。どの分野の職人でもね。私は鍛冶しか知らないけど。子供達には特に多いって聞くわ。たまには気分転換でもしてきたら?」

 

「…………………………わかりました」

 

「……………………折角なら主神様と行ってきたらどうだ?」

 

突然2人以外の声が聞こえそちらを見ると褐色の女性がいつの間にか立っていた

 

「椿………………何時からそこに……」

 

「ついさっきだ。ヴェル坊が行き詰まっていると言っていた辺りからだな」椿がヴェルフを呼ぶあだ名は「ヴェル吉」

 

「ならその時に声をかけてほしかったわ」

 

「ハッハッハッすまんな。それで?どうするのだ?」

 

「私は無理よ。何処かの団長がまともに書類仕事をしないから仕事が溜まりに溜まっちゃってるもの」

 

「そう気にするな。主神様も最近は仕事で部屋に籠っていたではないか。気分転換をするなら一緒にしてきてしまえ」

 

椿がそう言い残しハッハッハと笑いながら去っていった

 

「と言うわけだから。貴方も今流行りの『映画館』にでも行ってきたら?あそこでは何か新しい出会いがあるそうだから」

 

「……………………分かりました」

 

「あ!!結構良い建物みたいだから念のためシャワー浴びて着替えてから行きなさい」

 

ヴェルフは言われた通り汗を流し適当な普段着に着替えると映画館に向かった

 

「はぁ~デッケェな」

 

建物を見回しながら中に入ると紳士服を着た男が出迎える

 

「いらっしゃいませ」

 

そう言って男は一礼する

 

「お、おう、俺はヴェルフ・クロッゾってもんだがあんたは?」

 

「失礼いたしました。私当映画館のマネージャーをしております。ヤマモト・タダシと申します」

 

「そうか、俺の事はヴェルフと呼んでくれ。家名の方は嫌いなんだ」

 

「かしこまりました。それではヴェルフは本日どの様な映画をご要望でしょう?」

 

「そうだな。俺は鍛冶師なんだが最近上手く行かなくてな。主神様からも少し鍛冶から離れて息抜きした方がいいって言われちまった。だからそう言うのを頼む」

 

「かしこまりました。では……………………此方等はいかがでしょう?」

 

そう言ってタダシはとある映画を進める

 

「此方は【ツナグ】と言う映画です。死んだ人間に1日だけ会える。そんな特別な力を持つ人の前に死んでしまった人にもう一度会いたい。そう願う一心で彼らの元を訪れる。そんな映画となっております」

 

「へぇ~。死んだ人間に会えるか…………気に入った。それにするよ」

 

「ありがとうございます。では当施設のご説明をさせていただきます」

 

そう言ってタダシは説明を始める

 

「以上で説明を終わらせていただきます」

 

「分かった」

 

ヴェルフは適当な料理と飲み物を買い席に座ると映画が始まる

 

最初は子供達の間で広がる噂話だった。それを会いたい人がいる者は会いたいあまりその噂の通りに進めるとツナグを名乗る男が現れとある場所に案内され1夜だけ会う事が出来る

 

途中ツナグは本当は彼の祖母であり自分はあくまで後継者兼案内人だと分かり最後は祖母からツナグを継ぎ終わった

 

「………………………………」

 

「いかがでしょう?」

 

タダシが現れ隣に座るとそう尋ねる

 

「………………なかなか興味深い話だったよ」

 

「それはようございました」

 

「……………………そろそろ行くよ」

 

「はい、またのお越しをお待ちしております」

 

タダシは一礼しヴェルフを見送る。その顔には何処か清々しい顔をしていた

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