オラリオの人々の娯楽として独自の存在を確立した映画館
その存在は今や映画館が現れるまで絶対の物だった【カジノ】や知名度を誇っていた【怪物祭】ですら足元に及ばない程の物になっている。しかし【人気】と言う1点において映画館と同等或いはそれ以上の人気を誇る娯楽がある
それは、その日突然ギルドから告知があった中堅ファミリアである【アポロン・ファミリア】と団員1人の零細ファミリアである【ヘスティア・ファミリア】との【戦争遊戯】が宣言された
これにはオラリオに住む全ての者が話題とし街はあっという間にお祭り騒ぎになりこんな時ばかりは映画館も閑古鳥が鳴いていた
「あの、やっぱりここ【ダンまち】の世界なんですか?」
スズは【戦争遊戯】や【ヘスティア・ファミリア】と言う単語に聞き覚えがありそう尋ねると隣にいたミユが答える
「うん、サイトウさんも知ってるの?」
「と、友達が好きで良くマンガを借りて読んでたんです」
「そっかぁ。でもやっぱり【戦争遊戯】の人気には勝てないね」
「まぁ、映画みたいな創作と違って【戦争遊戯】は現実で起こりますからね。僕達の感覚でボクシングとかプロレスみたいな感覚なんでしょう」
リュウセイが話に入りそう答えると人が入ってくる
話を打ち切り元の持ち場に戻りタダシが出迎える。その人物は今まさに話題の渦中にある【アポロン・ファミリア】の主神アポロンだった
「いらっしゃいませ。アポロン様、本日はどの様な映画をお求めでしょう?」
「ああ♪我がファミリアに新しい子が入る事になるんだ。その前祝いとベル君の好みを把握しておこうと思ってな。何かベル君が好きな映画を観たい」
「かしこまりました。でしたら此方の作品ですね」
タダシはそう言いファイルを取り出す
「【仮面ライダー】?」
「はい、此方の作品は【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネル様が現在夢中になっている作品です。此方の作品はシリーズが無数にありますがどのシリーズに致しましょう?」
「そうだな。お前に任せる」
「かしこまりました。それでは此方の作品に致します」
「え」
タダシが出した作品にミユが声を上げるがアポロンは気にせずチケットとハンバーガーセットを買いシアタールームに向かう
「マネージャー良いんですか?あの作品…………」
「フフフ、同じ【仮面ライダー】作品なのですから良いでは無いですか。あちらが任せると言っていたのですから」
タダシはそう言い残しその場を離れ同じタイミングでスズが尋ねる
「あの、ミユ先輩。あの作品何か問題があるんですか?私仮面ライダー全く知らなくて」
「ああ~。あの作品はね。大人向けの仮面ライダーなの」
「大人向けの仮面ライダー?」
「あの作品はね。簡単な話………………怪人が人を食べちゃうの」
「えっ」
「しかもその描写が割りとしっかり描かれてるの」
「えっ」
「だから大人向けの仮面ライダー」
「……………………作品名何でしたっけ?」
「【仮面ライダーアマゾンズ】」
「絶対見ない様にしよう」
「その方がいいよ。そう言うのに耐性無いと本当に気分悪くなっちゃうから」
スタッフ達がそう話している一方。アポロンは席に座り顔が真っ青になり買ったハンバーガーを1口も食べられずにいた
理由はリアルなまでの流血と臓物の描写と怪人のおぞましい所業
人間の肉を様々な方法で調達し食らう描写は神々にとっても気分の良い物でも無かった。特に綺麗な物や美しい物が好きなアポロンにとってその所業は耐え難い物だった
映画が終わりアポロンが席を立つと出入口でタダシが立っていた
「タダシ、ベル君は本当にあんな物を観たのか?」
「はい、ベル・クラネル様には大変好評で【また続きを観に来ます】とまで仰って頂きました」
「そ、そうか………………」
アポロンは青ざめたまま映画館を後にした
嘘をつくコツは嘘の中に真実を混ぜる事 らしい