「…………………………はぁ~」
とある古い建物、そこで息を吐く1人の男神がいた
「お悩みですか?タケミカヅチ様」
そこに極東のコップ、湯呑みに熱い茶が注がれ置かれる
「ああ、ありがとう命。最近武術について少しな」
タケミカヅチがそう言うと命は少し驚いた表情を浮かべる
「タケミカヅチ様は武神なのに武術に悩むことがあるのですか?」
「命、俺は武神だから武術に長けているのではない。武術を学んだからこそ武神となれたのだ」
「………………成る程」
「しかし、最近どうも型がしっくり来なくてな」
「………………タケミカヅチ様、たまには気分転換してはいかがですか?最近えいがと言うのが流行っているらしいですよ」
「ふむ、そうだな。命も行ってみるか?」
「良いのですか?」
「男神が1人で見ても面白くは無いだろう。他の者も誘ってみるか」
タケミカヅチはそう言い他の者にも声をかけるが
「すみません。俺は今日用事がありまして」
「私も今日は桜花に着いていく事になってて」
と全員が用事があった様で結局タケミカヅチと命の2人で行く事になった。尚タケミカヅチは桜花達が命にウィンクしていたのに気付く事はなかった
映画館内
「何時見ても奇っ怪な作りの建物だな。この床等何で出来ているのだ?」
「凄いですね」
キョロキョロと周りを見回す2人の前に紳士服の様な服を着た男が現れる
「いらっしゃいませ。私当映画館のマネージャーをしております。ヤマモト・タダシと申します」
「ああ、俺はタケミカヅチ、此方は私の眷族のヤマト・命だ」
「はじめまして。ヤマト・命です。名前の響きからして同郷の方ですよね?」
「いいえ。残念ながら私は極東の生まれではありません。しかし文化は近いでしょう」
男はニコリと笑いそう言う
「さて、お二人は映画館は初めてですよね?私が説明を行う事も出来ますがいかがいたしましょう?」
「そうだな。折角だからお願いしよう」
「かしこまりました」
そうしてタダシは映画館の説明を行った
「以上で当館の説明は終わりです。何かご質問は?」
「いや、大丈夫だ」
「私も大丈夫です」
「それでは此方で見たい映画をお選び下さい」
「ふむ、見たい映画か、何分初めてなので難しいな。俺は極東で武神として活動していたのだが何か武に関する物はあるか?」
「それでしたら此方はいかがでしょう?」
男がそう言ってファイルを取り出す、そこには【ラスト サムライ】と書かれていた
「【ラスト サムライ】?」
「此方は私共の故郷の過去に実際にあった出来事を元に作られた物でございます。共通点の多い極東生まれの方でも楽しんで頂けると思います」
「ふむ、ではそれにしよう、一番安い席を2人分頼む」
「かしこまりました」
「楽しみですね。タケミカヅチ様!!」
「そうだな。惜しむらくは金が無い故に軽食のポップコーンとやらを買えない事だな」
「それはまた我々が頑張って稼ぎます」
「すまないな、命」
席に座り部屋が暗くなると映画泥棒の警告が流れ本編が始まる
「……………………成る程」
1人の戦争で英雄となった男が別の国の政府に依頼されその国に訪れた所から始まる。しかし彼は政府軍に敵対する侍達に敗れ捕虜となってしまう。そこで武士道精神を学んだ彼はその生き様に感銘を受け彼らと共に戦う事になった
と言うのがあらすじだった
「素晴らしいですね」
「ああ、全くだ。武神と名乗っているのが恥ずかしくなる程に彼らは輝いていた」
映画が終わり暫く放心していた2人は命が先に言葉を発した事で漸く動き出す
「命、私は1つ武に関して思い違いをしていたよ。武とは心を表す鏡なのだろう。少しだけ光明が見えた気がする。お前のお陰だ。礼を言う」
「そ、そんな⁉此方こそお誘い頂いてありがとうございます!!」
2人はそんな調子で映画館を出ていった
「若いって良いですねぇ~」
その光景を見ていたタダシはニコニコしながらそう言う
「マネージャーもそんな年じゃ無いでしょ、前世含めて幾つ何ですか」
ポップコーン等を売っていた女性が若干引き気味にそう尋ねる
「合計で128歳になります」
「え⁉128⁉ってことは…………今が……………だから…………享年70⁉滅茶苦茶長生きじゃないですか⁉って事はその喋り方素⁉てっきりキャラ付けかと思ってたのに…………」
「そう言う君はどうなんですか?」
「へ?私ですか?女性に年齢を訪ねるのはルール違反ですよ♪まぁ前世は29で死にました」
「2人とも口じゃなくて手を動かしてください」
チケット売りの少年が2人に働く様に注意を促しその場はお開きとなった