オラリオで映画館を運営する転生者達の話   作:寝心地

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第48話

「…………………………フゥ」

 

【ロキ・ファミリア】本拠の一室、ペンを走らせていた団長フィン・ディムナは仕事が一段落付いたのかペンを置き椅子に(もた)れかかる

 

リヴェリアと共にアイズに着いていった以前から事は大きく変わらず今日もアイズは元気に修練場でかめはめ波の練習をしている

 

念のためリヴェリアと共に映画館を去る前に本当に出るのか確認した

 

『私には何とも言えません。ですが、あれは【ドラゴンボール】に心を奪われた者の宿命の様な物です。神の力をその身に宿した彼女が心から望み真にその力を理解すれば『もしかしたら』があるかも知れませんよ?』

 

タダシはそんな感じの事を言い結局はっきりした事は分からなかった

 

「まぁ、可能性はある、と言うことなのかな?」

 

フィンは愚直にかめはめ波を練習するアイズに苦笑いを浮かべると気分転換でもしようと映画館に向かう

 

「こうしてみるとオラリオもかなり映画館の影響を受け始めたな」

 

映画館に向かう道中フィンは街を見回しそう呟く

 

街では子供達が聞いたこともない技名を叫び大人達はあの映画はこうだったあの映画はそうだったと話し合い壁には映画館関係者が張ったのか宣伝ポスターが張られていた

 

そんなこんなで映画館に辿り着き中に入ろうとするととある人物と鉢合わせる

 

「む?貴様か」

 

「やぁオッタル、君も映画を観に来たのかい?」

 

「いや、俺はあの方の護衛だが、ここに入ってしまえば意味はないからな」

 

「ああ、【館内での暴力行為はご遠慮願います】と言う奴か、僕も噂程度しか聞いてないけどあそこでルールを破るととんでもない事になるらしいね」

 

「ああ、本来なら念のため俺も中に入りたいのだが」

 

「だが?」

 

「俺の得物は屋内で使うには大きすぎる」

 

「ああ」

 

「それにあまり露骨に大きな武器を持ち込むと奴らに止められるからな」

 

「止められたのかい?」

 

「………………前に1度」

 

「ハハ、そろそろ中に入らせてもらうよ。僕達は人目に付きやすいし」

 

フィンはそう言うとオッタルに軽く手を振り中に入る

 

「いらっしゃいませ」

 

「やぁ、映画を頼むよ。そうだな…………僕は見ての通り小人族でね、他の種族から蔑まれた時代がある。その歴史を変えようと頑張っている訳だけどそう言う話はあるかな?参考にしたい」

 

「………………成る程、少しお待ち下さい」

 

タダシはそれだけ言うと奥に引っ込みフィンは近くにあった椅子に座る

 

(何を言ってるんだ僕は、そんな都合の良い話あるわけ無い。タダシが戻ってきたら謝罪してかえ……)

 

「お待たせしました」

 

帰ろうと決めかけた時、タダシが一冊のファイルを持って戻ってきた

 

「此方の作品など宜しいかと思います」

 

「【ROOKIES】」

 

「此方は…………」

 

「いや、前情報無しで観たい。説明は遠慮しておくよ」

 

「かしこまりました」

 

フィンはチケットと軽食を買い指定の席に座る

 

映画が始まるとアイズと同年代程度の少年達が何やら鉄の棒で玉を打っている、どうやら球技を題材にした作品の様だとフィンは思ったが

 

「情報を入れないのは失敗だったな。ルールが全く分からない」

 

しかし物語が進みルールはそれ程重要ではなく新任教師と彼が導く【ニコガク野球部】のメンバーの成長の過程こそ大事なのだと知る

 

最初は落ちこぼれで素行の悪い彼らだったが新任教師と共に成長しその姿が周囲にも伝播し蔑みの眼差しは応援の歓声へと変わった

 

結果、彼らは敗れこそしたもののその存在は彼らの住む街で大きな話題となりその存続を認められた

 

「……………………彼だ」

 

フィンは感銘を受けた様子でそう溢す

 

「いかがでしょう?」

 

「…………ありがとうタダシ、凄く励まされたよ。僕は今まで彼らの象徴になろうとしていた、ただ小人族に必要だったのは象徴じゃない、正しい道に導く指導者だったんだ、それに気付けただけでもこの映画を観る価値はあった」

 

「それはようございました。此方の作品は後日談も映画になっておりますので宜しければそちらも是非ご覧下さい」

 

「ああ、それもまた観に来るよ」

 

フィンはそう言い笑顔で映画館を出ていった

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