オラリオで映画館を運営する転生者達の話   作:寝心地

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第5話

「………………ふぅ」

 

ある1室で女性が息を吐く。机の上には大量の書類が積まれ部屋中に薬品や何かの道具が積み上がっていた。外を見ればすっかり暗くなり部屋を照らすのは手元を照らしていた小さな蝋燭だけ、それも新しい物に変えなければ間も無く消えてしまうだろう

 

そこに扉が開かれ羽根付きハットを被った男が入ってくる

 

「やぁアスフィ。たまには息抜きしないか?」

 

「ヘルメス様、5日も仕事を放り出して何処に行ってたんですか?」

 

ギロリとアスフィが睨むとヘルメスは肩を震わせる

 

「ぎ、ギルドから依頼があってね。それで調査に行ってたんだよ。大丈夫、危険な場所じゃないから。それで今回は君に力を借りたい」

 

「何をさせたいんですか?」

 

「なに、少し俺と映画を見て欲しいだけさ」

 

「映画…………と言うことは対象は映画館ですか?どんな依頼を?」

 

アスフィが尋ねるとヘルメスは口元に手をやり人差し指を立てる

 

(ギルドから他言無用と言われていると言うことか)

 

「………………分かりました」

 

何となくそう察したアスフィは何も言わずOKを出した

 

映画館前

 

「何時見ても得体の知れない建物ですね」

 

「そう構える事はない。君はただ映画を楽しめば良い」

 

ヘルメスはそう言って先導すると見慣れた男が出迎える

 

「いらっしゃいませヘルメス様、本日はお連れ様もようこそいらっしゃいました」

 

「どうも」

 

「やぁタダシ。紹介するよ、この子は僕の眷族のアスフィ・アンドロメダ」

 

「それはそれは。高名な【万能者】にお会いできて光栄でございます」

 

「此方こそ、映画館の噂は聞いてますよ。今日は宜しくお願いします」

 

「早速だけどタダシ。今日はSFが見たいな。何か良いの無い?」

 

ヘルメスが尋ねるとタダシはニコリと笑う

 

「でしたら此方はいかがでしょう?」

 

そう言ってファイルを取り出し中を見せる

 

「【いぬやしき】はとある理由で体が機械に変わってしまった初老の男性が主人公です。かなり迫力のあるアクションが楽しめるかと思います」

 

「じゃあそれにするよ。席を2人分頼む」

 

「かしこまりました」

 

「それじゃあアスフィ……………………お菓子買いに行こう!!」

 

「お菓子?」

 

軽食販売コーナー

 

「いらっしゃいませ~!!」

 

「やぁユナちゃん♪今日も可愛いねぇ~」

 

「やだぁ~♪それじゃあご注文お伺いします」

 

「取り敢えずポップコーンのXLサイズ、キャラメルとカレー味で、飲み物はメロンソーダ、アスフィは?」

 

「えっと………………良く分からないんですけど?」

 

アスフィが困っていると販売員の女性が笑顔になる

 

「良かったらご試食どうぞ?」

 

そう言って白いフワフワした物を差し出してくる。試しに口に入れると様々な味が堪能できた

 

「他にもチュロスと言う揚げ菓子とフランクフルトやホットドックもございます」

 

「じゃあホットドックとコーヒーをお願いします」

 

「はい、コーヒーはアイスとホットどちらになさいますか?」

 

「あいす?ほっと?」

 

「あ、そうですよね。コーヒーは冷たいコーヒーと温かいコーヒーの2種類があるんです。最近は気温が上がってきているので個人的にはアイスをお勧めします」

 

「そんなに細かく選べるんですか…………じゃあアイスで」

 

「はい!!、コーヒーにミルクとお砂糖はおいくつお付けしましょう?」

 

「……………………取り敢えず1つずつで」

 

「はい!!、お待たせしました!!此方ご注文のお品物になります」

 

買った物を受け取り指定されたゲートに入ると部屋が暗くなり物語が始まる

 

内容は家族からぞんざいに扱われている男がとある事故に逢いサイボーグと化し一緒にいた青年の凶行を止めるため奔走する話だ

 

「どうだいアスフィ?」

 

「かなり面白いと思います」

 

「そうだろうそうだろう………………僕も最初に見た時はかなり驚いたけど楽しんだよ」

 

そうして映画が終わり2人は外に出る

 

「そう言えば、ギルドからの依頼は良かったのですか?」

 

アスフィが尋ねるとヘルメスは肩を竦める

 

「そんな物無いよ。最初から」

 

「………………………………は?」

 

「ギルドから依頼なんてされてない。僕が独断で調べてるだけさ」

 

「何でそれを今言うんですか?」

 

「そろそろ打ち切ろうと思ってたからね」

 

「……………………はい?」

 

「今日まで彼らについて調べ尽くしたんだ。出身・家族構成・経歴・何処のファミリア所属か………………あらゆる手段を使って調べたが何一つ手掛かりは掴めなかった。まるで建物と共にそこに現れた様にね」

 

「……………………確かに得体の知れない建物と人達でしたが………………流石にそんな訳は…………」

 

「…………………………そうだな。あり得ない話だ」

 

ヘルメスは一瞬瞳を鋭くさせたが次の瞬間には何時もの飄々とした態度に戻っていた

 


 

「相変わらず侮れない男神だこと」

 

タダシは何時もの笑顔を浮かべそう呟く

 

「馬鹿言ってないで次の映画始めますよ」

 

「これは手厳しい」

 

「大体、うちらに目的とか野望とかそんな大仰な物無いでしょ。ただ死んだ後魂になった時に仲良くなった奴らで映画館やりたいって思って神様にお願いしたらOK貰えただけ何だから」

 

「ハッハッハッ全くだ。さて次のお客様をおもてなししないとね」

 

タダシはそう言うと新たな客を出迎えるため玄関に向かった

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