オラリオで映画館を運営する転生者達の話   作:寝心地

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第61話

窪地に水が溜まりザバザバと音を立て潮の臭いが強まる

 

ベルはその近くでゼェゼェと息を吐きゴブリンスレイヤーは冷静に周りを見回すと凪いでいた海水がバシャバシャと音を立て始める

 

「Gob」

 

這い上がってきたゴブリンはため息を吐き呼吸を整え顔を上げる、そこには剣を振り上げるゴブリンスレイヤーの姿がありゴブリンは頭を割られ死んだ

 

「気を付けろ、運良く溺死しなかった奴は這い上がってくるぞ」

 

ゴブリンスレイヤーはベルにそう告げベルは涙目になりながらゴブリンを倒していった

 

ゴブリンを倒し終えゴブリンスレイヤーはゴブリンの死体から使えそうな武具を回収する

 

「お前はどうする?」

 

「い、いえ、僕はこの短剣があるので」

 

「そうか、潮の臭いが強いな、今なら紛れられるかもしれん」

 

「は、はい」

 

「念のため、血を被り直しておけ」

 

「またですか!?」

 

踏んだり蹴ったりのベルの叫びが響き2人は洞窟を更に進んでいく

 

暫く歩いた所でゴブリンスレイヤーが声を上げる

 

「再確認をする、何が出来る?」

 

突然の問いにベルは首を傾げる

 

「えっと、何がって言うのは?」

 

「見たところ斥候の様に見えるが、戦士の心得もあるな、前衛か?」

 

「あ、はい、普段は前衛で戦う事が多いです」

 

「短剣の扱いには慣れている様だな、武器はその黒い短剣か?」

 

「はい!!」

 

「魔法の短剣と言うだけでなく業物だな、+1か+2か」

 

「ぷらす?兎に角凄い良い物だって事は分かります」

 

「ふむ、他には何がある?」

 

「えっと、魔法が使えます、火の魔法を」

 

「そうか、何回使える?」

 

「回数?あ」

 

ベルはゴブリンスレイヤー達の魔法が数より質を重視する事を思い出す、しかし嘘を言ってもしょうがない為正直に話す

 

「えっと………………確か、70回くらいです」

 

「そうか、ななじゅ………………70?」

 

ゴブリンスレイヤーは思わぬ回数に2度聞き返しベルは苦笑いを浮かべる

 

「はい、70回くらいは」

 

「…………………………そうか」

 

「そうなんです!!あ、別にズルとかじゃないんです!!僕成長期らしくて」

 

「……………………お前のソレはズル(チート)などではあるまい。恩寵(ギフト)、大いなる授かり物だ。大事にしろ、だが惜しみ無く使え、受け取った以上お前にはその責任がある」

 

「ッ!!はい!!」

 

その時、無数のゴブリンが行く手を阻む

 

「数が多い、それに場所も」

 

慣れない状況にベルはたじろぐがゴブリンスレイヤーは冷静に対処する

 

火の矢(ファイアボルト)だ、鴨打ちだが好きなだけ打て」

 

「え?」

 

「急げ、主導権(イニシアチブ)を握られるぞ」

 

「は、はい!!」

 

ゴブリンスレイヤーの指示にベルは戸惑いながらも従い火の矢を無数に放つ、軈て魔法を撃たれていないゴブリンも倒れていく

 

「な、何で…………」

 

「火は燃え上がるのに他の物も燃やしているらしい、それが無くなると息が出来なくなって死ぬ」

 

「へぇ~」

 

「だが、これだけの手間をかけてやるには時間が掛かりすぎるな、お前の様に70回も使えるなら普通に撃った方が早い、手間を取らせた」

 

「は、ハハ、もう何だか慣れちゃいました」

 

ベルはゴブリンスレイヤーの言葉に苦笑いを浮かべドサリとその場に座り込んだ

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