階段を降りたベルとゴブリンスレイヤーは今まで歩いてきた洞窟とはうって変わった人工的な建物の様な場所を歩いていた
しかし場所が変わったからと言ってモンスターが居なくなったり変わったかと言えばそうでもなく襲ってくるのは絶えずゴブリンだ
ゴブリンスレイヤーとベルはゴブリンを薙ぎ倒しながら進む
そのまま先に進むと今度は一転して豪華な城の中の様な空間に辿り着く
「ここが最深部?それにあれは…………祭壇?何であんな物が」
「ッ!!」
ゴブリンスレイヤーが何かの異変に気付くと周囲の隠し扉が開き無数のゴブリンが現れる
「やはり罠か、突破する、このままでは話にならん」
ゴブリンスレイヤーは腰に下げていた棍棒を抜き言う
「あ、はい!!」
ベルもナイフを構えゴブリンを殺していく、しかし途中ゴブリンの死体が青い光を放ちダンジョンが揺れる、光は祭壇に向かい黒い玉に変わると玉の内側から何かを突き破り現れたのは
「黒い…………ドラゴン」
ドラゴンが現れた瞬間、ゴブリン達は興奮した様に騒ぎ始める
「あのデカブツが、奴等の崇める神と言った所か」
「あ、あんなのどうすれば」
「やることは変わらん」
ドラゴンに恐れ戦くベルにゴブリンスレイヤーは淡々と告げる
「ゴブリンどもを殺す、ついでにあの龍も始末する」
「龍がついで何ですか!?」
「お前は……あの…………なんと言ったか。そうだ、アルゴノォトを使え。ただし蹴りは駄目だ、奴が炎を吐けば回避のしようが無い、魔法、精々弓だ。時間は稼ぐ」
「ッ!!そんな無茶ですよ!!1人でゴブリンの群れと龍を相手にするなんて!!」
「無理や無茶をして勝てるならいくらでもするが、それで上手くいくのならば苦労はしない。………………ポケットの中には何がある?」
「え?それって」
それはゴブリンスレイヤーの師が嘗てゴブリンスレイヤーに問うた言葉、当時のゴブリンスレイヤーは答えられなかったが今にして思えば指輪でと入って居たのだろうと嘗て思った物だ
「問題ない。手はある、常にな」
「ッ!!分かりました」
ベルはそう言うとアルゴノォトを使い力を貯める
(必要なのは魔法?弓?兎に角遠距離攻撃)
ベルは力を貯める中で必死に自分の
木の実の鎧を纏い平和の為にあの世の名を冠した森に実る黄金の実を求めた戦士
「Wooooooooooo!!」
不意にベルはゴブリンスレイヤーに向けて炎を吐こうとする龍を見た
「ゴブリンスレイヤーさん!!!!」
「ッ!!」
「ファイアボルトオオオオオオオオオ!!!!」
炎とはまた違った鮮やかな色を放ちながらファイアボルトは龍の炎を防ぐ
「Wwwwwoooooooooooo!!」
しかし龍は更に強い炎を吐きベルのファイアボルトを飲み込んだ
「うわああああああああああ!?」
ベルはゴブリンスレイヤー諸とも吹き飛ばされ重症を負う
更に体制を立て直すのをのんびり待つ程ゴブリンも馬鹿ではなく動けなくなった2人を取り囲み今にもなぶり殺そうと襲い掛ってきそうだ
「ッ!!おい」
ゴブリンスレイヤーは何とか立ち上がりベルの様子を伺う、重傷を負ってこそいるが暫く立ち上がれそうに無い
絶体絶命の2人をゴブリン達が襲う、しかしゴブリン達に2本の矢が飛来する
「いた!!オルクボルグ!!」
「ゴブリンスレイヤーさん!!」
現れたのは普段ゴブリンスレイヤーと冒険する上の森人と女神官
「クラネルさん!!」
「酷い怪我、早く治療を……」
更にリューと千草も現れひとまず窮地を脱するとゴブリンスレイヤーが上の森人に声をかける
「……………………おい」
「わ、私?何よ」
「勇者と呼ばれた事は無かったか?」
「ええ?そう言うのは兄さまや姉さまよ。戦船だって1射で沈められるのよ、あの人たち」
「…………英雄」
「え?」
「アイツには英雄が必要らしい、英雄さえ居ればアイツがあの龍を倒す」
「よ、良く分かりませんけれど人々の心を震わせる様な人が必要なんですか?」
「ああ」
「…………それならゴブリンスレイヤーさんがいるじゃないですか」
「何?」
思わぬ回答にゴブリンスレイヤーは戸惑いを見せる
「少なくとも私は、ゴブリンスレイヤーさんがいてくれたから今もこうして頑張れているんです」
「………………いや、しかし。そう言う上等な者ではあるまい、俺は」
「あるものでやるのがオルクボルグでしょ?そりゃあ私も英雄になりたいけど」
「…………………………」
「子供の頃、冒険者になりたいって言ってたじゃない」
振り返るとそこにはゴブリンスレイヤーが寝泊まりしている牧場の幼なじみの牛飼娘がいた
「どうして、ここにいる?」
「う~ん、私にも分かんないや」
「直ぐに避難しろ。どうにもならんぞ、ここにいては」
「それは嫌だって前にも言ったよね。まぁあの時と違ってここは家じゃないんだけど、でも、家に帰るなら一緒が良いから」
ゴブリンスレイヤーは再び龍を見る、その兜の隙間からは賽子の一の目の様に真っ赤な瞳が龍を睨んでいた
「……………………やるぞ」