リヴェリア達が映画館で【ナルニア国物語】を観ている頃
アイズは本を閉じ訓練場にいた
「おや、アイズ、読書は飽きたのかい?」
そこに彼女達の団長フィン・ディムナが現れアイズに尋ねる
「試したい事があるからレフィーヤに手伝って貰おうと思ったんだけど」
「ほう、何を試したいんだい?」
「モーフィアスは理解できれば避ける必要すら無いって言ってたから試してみようと思って」
アイズの言葉にフィンは一瞬宇宙を背負った気がしたがギリギリで戻ってくる
「もしかしたら魔法を理解出来れば避けなくても無傷でいられるかも」
しかし次のアイズの言葉に今度はしっかりと宇宙を背負ってしまった
結局アイズは顔が良いだけに本を読めば勝手に知的なイメージが付いてくるがアイズが読んでいたのは映画館で買った【マトリックス】の資料集。当然その内容は【マトリックス】の作品内での事なので現実に引き出しても意味はないし脳筋思考のアイズに難しい言葉が並べられた説明を理解出来る訳もなかった
「…………………………まずは武器を止められる様になってからの方が良いんじゃないかな?」
フィンは必死にアイズを止めようと思った結果、その言葉を絞り出すので精一杯だった
「………………………………確かに」
そしてアイズは純粋な性格のお陰と言うべきかフィンの言葉を素直に聞きフィンを相手に選んだ
尚、フィンの振るう武器がアイズの力で止まることは一度もなくたまたま通りかかったロキの『そもそもあの話肉体から精神が離された世界での話やから現実じゃ使えんやろ』と言う一言でアイズが崩れ落ちるまで続いた
「全く、アイズにも困ったものだ」
鍛練(無意味)が終わった後、フィンは自室に戻り息を吐きつつうっすら笑みを浮かべる。しばらく書類とにらめっこしペンを走らせるとまたため息をつく
「…………………………レフィーヤもリヴェリアの後任として成長してきた。ファミリアとしての規模も大きくなってきた………………………………まだまだ先の事だが、その内僕もこの座を譲る日が来るんだろうな………………」
嫌な事が頭を過り考えるのを止める
「……………………僕もたまには息抜きしよう」
そう考えこっそりと本拠を抜け出し映画館へ向かう
「1度行ってみたいと思っていたんだ」
中に入ると聞いていた通り紳士服を着た男が出迎えてくれた
「いらっしゃいませ」
「ああ、1人なんだが大丈夫かい?」
「ええ、お客様は初めての方と認識しておりますが、当施設の説明は必要でしょうか?」
「いや、ある程度知り合いから聞いているから大丈夫だ。まずはチケットと言うのを買うんだろ?」
「はい、お客様はどのような映画をお求めでしょうか?」
「そうだな……………………何か僕を熱くさせてくれる様な映画を頼むよ。最近年を取ったせいかそう言う事が無くてね」
「………………かしこまりました。熱くなれる作品は幾つかございますが。私がお勧めするのは此方になります」
そう言ってファイルを1つ取り出しフィンに見せる
「【リアルスティール】」
「はい、此方はロボットボクシングと言う機械が殴り合う競技が流行り人同士の格闘技が廃れた世界が舞台となっております」
「成る程、人でないならより過激により安全な物が見れるね」
「はい、主人公はそんな時代の煽りを受けた元ボクサーの男チャーリーとその息子マックス、そして旧式としてゴミ捨て場に捨てられていた練習用ロボット【アトム】彼らが再起をはかる物語です」
「うん、面白そうだ。それにするよ」
「かしこまりました」
その後、ポップコーンの塩味とコーラを買い指定の席に座る。丁度そのタイミングで部屋が暗くなり物語が始まる
世界がロボットボクシングに熱狂する事で完全に居場所がなくなった男チャーリーが元妻の死をきっかけに10年会っていなかった息子マックスと再会する事から始まった。チャーリーははっきり言ってどうしようもない男だった。借金まみれに短絡的、おまけに戦うと言うのに無計画
そんな男に息子が心を開くわけも無く互いに衝突する日々だった
そんな彼らの間を取り持ったのは1台の旧式ロボ【アトム】
彼が2人の絆を結び育みそして最高の舞台に上がり王者を脅かし最後に2人は笑っていた
「……………………成る程。確かにこれを見せられては燻っているだけではいられないな」
フィンはそう呟き映画館を後にした