「まぁとりあえず横になれよ」
俺の担当ウマ娘、ステイゴールドは耳かき棒を片手に笑いながらそう言った。もう片方の手で膝をポンポンっと叩いてるから膝枕〝しろ〟という事だろうか……
「えっヤダ」
「あ?」
「お膝元お借りします」
「うむうむくるしゅうないぞトレーナー」
俺は諦めてステイゴールドの足に自分の頭を乗っけ、外を向きながら右耳を見せるようにした。
「どうやら最近トレーナーは頑張ってるみたいだからな、私なりに労ってやるよ」
「あっありがとうステイゴールド」
戦々恐々としながら始まった耳かきだったが、存外気持ちよかった。無理やりガリガリとされる事もなく痒い所が分かるみたいにイイ所をやってくれた。
「ところでトレーナー、私が旅に出てる間随分と〝楽しかった〟みたいだね」
「い゛っ!?」
気を抜いていた所おもむろに耳の中の壁をゴリッと引っかかれ、思わず声を上げてしまったがステイゴールドはお構い無しに続ける。
「私が旅をしていたからアンタに寂しい思いをさせてしまった、ソレは私が悪いな素直に認めるよ。けど、他のお嬢ちゃん方にうつつを抜かすのは違うよなぁトレーナー?」
「ッ!……ステイゴールド、いったい」
俺の声は無視してるのかそのまま耳の中をグリグリゴリゴリといじめるステイゴールド。
「あっあれは普通に教えを乞われたから教導の一環でやっただけで、別に担当を増やすとかそういうのは無い!」
「……………」
「ステイゴールド?」
彼女は俺の言葉を聞いて手を止めたが、依然として感じるオーラは不機嫌の時のソレだ。
「アンタの言葉をとりあえず信じてやるよ」
「助かるよ」
「けど浮気の様な事をするな」
「浮気って」
「私に隠れて逢い引きしたんだ、浮気だ浮気」
「分かったよ俺が悪かった、確かに軽率でした」
「分かればいいんだ、分かればな」
「ったく」
気づけば耳かきは最初の優しいあたり方をしていた、機嫌が治ってくれたようで助かった。
「そうだな、浮気の罰は……今後の旅には〝絶対〟同席して貰おうかな」
「え!?」
「なんだ不満か?」
「不満は無い、ただ大変そうになりそうだなって思っただけだ」
「ソレを不満って言うんだろ……こっちは終わりだな、フッ!」
「ヒゥッ!」
ステイゴールドに耳かきの終わりに耳の穴へ息を吹きかけられ思わず変な声が出てしまった、ソレを聞いて彼女はカラカラとご機嫌に笑っている。
「コノヤロウ……笑う事無いだろ」
「いやすまない、アンタにしては珍しく情けない声が出たから思わずな。さぁ寝返りしてもう片方の耳かきやるぞ」
「分かったよ」
俺はステイゴールドの指示に従いもう片方の耳も捧げる事にした。
「……なぁトレーナー」
「ん、なにステイゴールド」
「…………アンタは私の旅の仲間なんだ、途中で私の手を離したら許さねぇからな」
「分かってるよ」
「ならいい」