《天竜》の伝説   作:PAPA

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復帰記念にもう一話。


第九説:超新星の情報

シャボンディ諸島の無法地帯のとある場所。

 

「オーッス!久しぶりだな!テラの旦那」

 

「ああ、久しぶりギドー。人さらいなんかやってないだろうな?」

 

俺は情報屋に会っていた。

 

「何言ってるんだ!あんたからたんまり金もらってるんだからやるわけないでしょう?」

 

「へえ、金もらってなかったらやるんだな?」

 

「うっ。それは言葉のあやってもんですよ、テラの旦那」

 

俺の情報屋。

それは俺が2年前にボコボコにして親切にも───

 

「無理矢理ですよ」

 

「何か言った?」

 

「何でもありません」

 

そう、親切にも海軍に突き出さずに雇ってやったかつての人さらいチーム「ブラックオーガ」だった奴等だ。

今までも外の世界の情報収集に何度かお世話になっている。

どうにも普段、マリージョアにいると外の世界の情報が入って来づらいので不便でしょうがない。

天竜人という存在自体が外の事に興味があまりないというのが理由だから仕方ないのかもしれないが。

 

「連絡した通りの情報はもう仕入れているよな?」

 

「あったりまえですよ旦那!今やルーキーについては話題沸騰中だからすぐに情報は手に入りますよ」

 

「よし、じゃあさっそく教えてくれ」

 

「あいよ!じゃあまずはこいつから!」

 

ギドーに頼んでいたのは今、世間を騒がせている海賊たちの超新星(ルーキー)の情報。

つまり、現在この島に来ているであろう海賊たちの情報だ。

正直、今のシャボンディ諸島を出歩くのは危険にも程がある。

何せ原作の化け物と呼ぶに等しい奴らがひしめいているのだからそこらで小競り合いが起きても何らおかしくない。

しかし、せっかく原作キャラたちが集まっているのだ。

一目でいいから生で見ておきたいと思うのが転生者としての素直な本音だ。

危険とは言えども遠目に見るぐらい罰は当たるまい。

という訳で島にいる海賊の情報を把握し、彼らを見に行こうというミーハー丸出しの計画を立てたのだ。

 

「懸賞金2億6000万ベリー!《鷹の目》のミホーク!背中に背負う黒刀はあの最上大業物12工の一振りである「夜」で凄腕の剣豪!たった一人でここまできた海賊。ルーキーの中でもかなりの強者らしいぜ」

 

やっぱりいたのか、ミホーク。あの野次馬どもの会話から薄々は分かっていたけど。

まだ世界最強の剣士という訳ではないようだ。

 

「さて、次はこいつ!懸賞金2億9600万ベリー!《暴君》バーソロミュー・くまだ!奴はその二つ名の通りまさに暴君!ニキュニキュの実の能力者で残虐非道の限りを尽くす海賊さ」

 

そういえば、くまはかつては残虐非道の限りを尽くした海賊だって原作でも言われてたな。

原作でも恐るべき強さでルフィたちを圧倒していたんだ。

その上残虐だなんて手がつけられない。

遠目でも気を付けないと。

 

「それで次はっと…」

 

「懸賞金8100万ベリーのサー・クロコダイルだ。こいつはルーキーの中で一番懸賞金が低いが珍しい自然系の悪魔の実、スナスナの実の能力者だ!戦闘力も他のルーキーに引けをとらねぇ」

 

クロコダイルか。

懸賞金は低いが、スナスナの実の能力は全く侮れない。

捕まったら、それで一巻の終わりの能力だ。

弱点が水っていうありきたりなものとはいえ、本人が何の対策もしていないとは思えないし。

考えると原作でルフィが勝てたのって奇跡みたいなもんだな。

現に二回負けてるし。

 

「お次は懸賞金3億2000万ベリーのゲッコー・モリアだな。こいつも悪魔の実の能力者でカゲカゲの実を食べた影人間だそうだ。部下も懸賞金はかけられていないが有能な奴が多いらしい」

 

ふーん、ルーキー時代のモリアか…

確か新世界で四皇のカイドウに負けるまで己の力を過信してたんだっけ?

実際、過信するほど前半の海じゃ敵なしだったんだろう。

というかこの時代に海賊やってる未来の王下七武海勢揃いだな。

恐ろしい。

 

「次のこいつは超大物だな。懸賞金4億7000万ベリー!!赤髪のシャンクスだ!かつて海賊王の船員(クルー)でそのせいか懸賞金がルーキーの中でずば抜けて高い!その強さも折り紙つきだ!」

 

スゲー。

圧倒的だな、シャンクス。

後に四皇になるんだしこれぐらい懸賞金かけられるのは当たり前か。

そう言えば覇気はもう使えるのかな。

ソフトクリームのお礼も必ず返さないと。

 

「次が最後だな。懸賞金1億8000万ベリー、《神咲》のブルーだ。こいつも鷹の目と同じくたった一人でここまできた海賊だな。こいつについては余り情報が得られなかった。何せ他のルーキーとは違ってごく最近に現れた海賊だからな。悪魔の実の能力者ってことだけは分かってるが…。それでも懸賞金が高いのは民間に多大な被害を与えているからさ。ルーキーの中では一番世間に不評な海賊だな」

 

酒場で見たあの髪の青い男か。

こいつは原作では名を聞かないな。

新世界でやられてしまったのか。

俺的には一番興味があるな。

 

「以上総勢6名のルーキーがこのシャボンディ諸島に集まっているようだぜ」

 

「え、ドフラミンゴは?」

 

当然、いるであろうと思っていた名前が出なかった事に思わず声が出る。

 

「ドフラミンゴ? ああ《天夜叉》の事ですか。奴も凶悪なルーキーとして名を馳せてますが、この島に来ているという情報は今のところないですね」

 

馬鹿な。

あの笑い声は確かにドフラミンゴのものだと思ったんだが。

気のせい、いや、もしかして海軍を警戒して潜伏してるのか。

狡猾そうな奴の事だ。

大いにあり得る可能性だ。

 

「そうか。ありがとな、ギドー。助かったよ」

 

俺はギドーに報酬の金を渡した。

 

「いやいや、こちらこそこんな大金をもらえて感謝だぜ。そうだ、テラの旦那。もうひとつ言うことがあったぜ」

 

ギドーが思い出したようにそんなことを言う。

 

「何なんだ?」

 

「ああ。海軍のことさ」

 

海軍。

そりゃもう動いててもおかしくないか。

海軍本部のお膝元の島に強豪の海賊たちが集まっているんだ。

警戒しないはずもないし、あわよくば一網打尽する気なのかもしれない。

 

「海軍がどうしたんだ?」

 

「それが今日の昼頃に海軍の中将がこのシャボンディ諸島に来るらしい。ちょうど今頃到着したんじゃないか?」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。

シャボンディ諸島のとある港。

その港には海軍の軍艦が停泊していた。

その軍艦の甲板に一人の男が立っている。

その男は正義の刺繍が入った背広を羽織っていて、頭には海軍の帽子を被っていた。

 

海兵の一人がその男に近づく。

 

「サカズキ中将!全兵士の武装、完了しました!」

 

その男───サカズキはその報告を聞き、海兵を怒鳴った。

 

「遅いわ!! もっと早くせんか!!」

 

「す、すみません!!」

 

一喝され怯える海兵を一瞥しサカズキはシャボンディ諸島を見る。

 

「まずは赤髪を狙わなければのう。奴は海賊王の元船員。新世界へと進出を許せば必ず次世代の海賊としての頭角を表す。そうならん為にも今、始末せんとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャボンディ諸島のとある無法地帯。

ヤルキマン・マングローブが聳え立っているだけで何もない場所。

 

「仲間を探していたつもりが面白れぇ奴に会っちまったな」

 

「貴様が赤髪か」

 

そこで二人の男が対峙していた。

 

「噂はかねがね聞いてるぞ。鷹の目」

 

「己の噂などに興味はない」

 

ミホークとシャンクスである。。

まるで見定めるかのようにシャンクスを睨み付けた後、ミホークは無言で背中に背負った黒刀「夜」を手に取る。

 

「手合わせ願おう。強き者よ」

 

そしてシャンクスに鈍く煌めく黒い刃を向ける。

その切っ先に何の雑じり気もない純粋な殺意を乗せて。

 

「決闘、という訳かい」

 

それを受けたシャンクスもまた腰に差した剣を抜く。

途端にその体躯から放たれる圧力が増す。

 

「仲間を探してる途中だが、売られた喧嘩を買わないのは礼儀に反するよなぁ?」

 

お互いに握った刃を相手に向ける。

 

緊迫した空気が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャボンディ諸島のとある街中。

 

轟音と悲鳴が飛び交う。

 

「キーッシッシッシ!せっかちな奴等だな、オイ!」

 

ゴシック調の服を着た大男────モリアは大声を上げて笑う。

顔や口調こそは笑っているが、額に浮き出た青筋がかなりキレていることを示している。

 

モリアの視線の先。

その先の建物から砂嵐とこの場に不釣り合いな肉球型に穴の空いた瓦礫に混じって二人の男が飛び出してきた。

 

「ちいっ! 何だあのふざけた肉球は!」

 

一人はクロコダイル。

己の体に空いた肉球型の穴を見て、忌々しそうに顔を歪める。

すぐに埋まるとはいえ、己の体にこんなふざけた穴をそう何度も空けられれば屈辱的である。

 

「懸賞金8100万ベリーのクロコダイル。こんなものか」

 

もう一人はその穴を空けた張本人、バーソロミュー・くまだった。

まるで期待外れだったと言わんばかりに大きな溜息をついてクロコダイルを見やる。

 

「キッシッシ! くま。食事中はお行儀よくしろって親から習わなかったのか? 人の宴会をぶち壊しやがって」

 

「目障りな奴は今の内に減らしておくべきだと思ってな」

 

「ムカつく野郎だな。てめえミイラになりたいか?」

 

一触即発の雰囲気。

もはや戦闘を避けられない状況だった。

人々が逃げ惑う中、それを物陰から見物する人物が一人。

 

「フフフフ。面白れぇことになってんじゃねえか?」

 

 

 

 

 

ここ、シャボンディ諸島において始まる戦いの兆し。

これが大事件の始まりであることをまだ誰も知らない。

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